4 他人という鬱積(脚本)
〇駅前広場
玲未(蒔田くん!)
玲未(蒔田くん、蒔田くん、蒔田くん!)
玲未「蒔田くんっ!」
久嗣「お、二宮じゃん!」
久嗣の妻「あなた、こちらは・・・?」
久嗣「中学の同級生。 昨日久々に会ったんだよな!」
玲未(え・・・?)
久嗣の妻「そうだったんですね! 初めまして、久嗣の妻です」
子供「こんにちは、おばちゃん!」
久嗣「おばちゃんは失礼だろっ!」
子供「ごめんなさーい」
久嗣の妻「すみません・・・」
玲未「いえ・・・」
玲未(何? この”何もありませんでした”って感じ・・・)
久嗣「二宮、わりーな。 これから家族で出かけるとこでよ」
子供「動物園行くの〜!」
久嗣の妻「せっかく声かけていただいたのに、申し訳ないです」
久嗣「じゃな、二宮も早くいい人見つけろよ〜!」
玲未(嘘・・・)
玲未「あたしの・・・トキメキ・・・」
玲未「何だったの・・・?」
〇住宅街
FROM:蒔田久嗣
昨日のことは、俺とお前の秘密な♡
またシよーぜ
玲未「はぁ・・・」
私はおばさんで──
婚期を逃した負け犬で──
ただの”性欲のはけ口”で──
──この世界では、そんな人だったんだ。
玲未(この世界の私は、幸せだったのかな?)
玲未(この世界の私は、どう感じて生きてたのかな?)
玲未(この世界の私だったら──)
玲未(結婚してた私が、羨ましかったかな・・・)
〇一戸建て
〇住宅街
玲未(あっちの世界の私は──)
玲未(──幸せだったのかな?)
玲未(苦しくても、一人ぼっちでも──)
玲未(罵られても、バカにされても──)
玲未(──家族と一緒に生きていた毎日の方が、幸せだったのかな?)
玲未(なんて、今更・・・)
玲未(大切なもの・・・)
玲未(失ってから気づいたって、遅いんだよ・・・)
玲未「うわぁぁぁぁぁあ!」
〇ファンシーな部屋
玲未「うう、ぐすっ」
玲未「芽依・・・パパ・・・」
玲未「ふぇ・・・ん・・・」
泣いたって、仕方ない。
そんなこと、分かってる。
分かってる、けど──
玲未「ふぇ、ひくっ・・・」
戻りたい。戻りたいよ。
戻してよ、元の世界に。
・・・ねぇ、お願い。
From:七海
昨日、大丈夫だった?
気付いたら姿見えなくて、心配してたんだけど
玲未(大丈夫なわけ、ないじゃん・・・)
玲未(でも、こんなこと七海に言ったって・・・)
〇教室の外
七海「玲未、無理して笑わなくていいんだよ?」
七海「辛いなら辛いって、苦しいなら苦しいって言えばいいじゃん」
玲未「ヘーキだって」
七海「全然、ヘーキじゃないでしょ・・・」
〇ファンシーな部屋
玲未(言っても、いいのかな)
玲未(言ったら、すっきりするのかな)
玲未(抱え込むのも、我慢するのも得意だったけど──)
玲未(それで、私は幸せになれた?)
玲未(──なれない、なら・・・)
七海、私、話したいことが──
〇豪華なリビングダイニング
玲未「ごめんね、急に押しかけちゃって」
七海「ううん、全然」
七海「芽依は旦那が連れ出してくれたし・・・」
玲未「気使わせちゃったね、旦那さん」
玲未(この世界のパパは、優しいまんまなんだな・・・)
七海「それで、話したいことって?」
玲未「ああ、昨日のこと。蒔田くんって──」
七海「蒔田くん、来てたの?」
七海「いなかったから、てっきり来てないものだと思ってたのに〜」
七海「蒔田くんってさ、ものすごく愛妻家なんだって!」
玲未(え・・・?)
七海「羨ましいよね。あんなにイケメンなうえに、奥さんを大事にしてるって」
七海「玲未って蒔田くん好きだったよね? めっちゃ見る目あるじゃーん!」
玲未「う、うん・・・」
玲未(昨日のこと話せる雰囲気じゃないよね、これ)
玲未(愛妻家って・・・ 確かに、家族を大事にしてそうだったけど)
玲未(私との一夜は、何だったの・・・?)
七海「それで、蒔田くんがどうした──?」
玲未「あー、えーっと・・・」
芽依「ただいまー!」
克彦「七海、悪い! タオル持ってきてくれ!」
七海「え、雨!? ちょっと待ってて!」
七海「玲未、ちょっとゴメン・・・」
玲未「ううん、お構いなく」
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克彦側にも何か恨みがあるようですね。玲未は克彦に何をしたの……?
どっちを向いても絶望が口を開けててつらいですが、この研究を完成させて実行に移す執念は並大抵ではありませんよね。
七海はそんなになるまで何を抱えているのか、彼女の視点に興味が湧きます。
20人目の読者でした。
鬱展開……最後の望みの娘のお絵描きも不穏!
これは続きが気になる展開で面白いです。
ツライです〜。
やっぱり主人公に感情移入しちゃいますね。
最後のカワイイスチルが…トドメって感じです。