サンビタリア症候群

香久乃このみ

第七話 紅林信吾(脚本)

サンビタリア症候群

香久乃このみ

今すぐ読む

サンビタリア症候群
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  ──あらすじ──
  合コンでいじられてた真希也を
  フォローした陽花。
  真希也は有頂天になっていた。

〇清潔な浴室
紅林信吾(しんご「・・・・・・」

〇古い倉庫の中
  一年前 町工場
メーカー社長「いやぁ、篤嶋電機さんほどの大企業が ウチのような小さな工場に 目をかけてくださるなんて」
メーカー社長「ありがたいことで」
紅林信吾(しんご)「いえ」
紅林信吾(しんご)「規模は小さくともこちらで作られる部品はとても丁寧で質が良いと伺っています」
メーカー社長「ありがとうございます」
メーカー社長「では説明は 担当の者からさせていただきます」
メーカー社長「浅上君!」
浅上和人(かずと)「はい」
メーカー社長「こちらの方に詳しい話を。 失礼のないようにね」
浅上和人(かずと)「わかりました」
浅上和人(かずと)「よろしくお願いします、 担当の浅上と申します」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「どうも、紅林信吾と申します。 昔は菊川慎吾と名乗っておりました」
浅上和人(かずと)「え・・・、菊川信吾、って・・・。 まさか・・・」
浅上和人(かずと)「あの菊川!? すんげぇ痩せたな、お前!」
浅上和人(かずと)「ははは、懐かしいな! 久しぶり!!」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
浅上和人(かずと)「なんだよ、篤嶋の人って聞いてたから 緊張してたのに、お前かよ」
浅上和人(かずと)「ビビらせんなって!」
紅林信吾(しんご)「申し訳ないが、説明は結構です。 今回の話はなかったことに」
紅林信吾(しんご)「・・・では」
浅上和人(かずと)「え? 待てよ!!」
浅上和人(かずと)「なかったことに、って、 ウチへの大量発注の件は?」
紅林信吾(しんご)「だから、なしですよ」
浅上和人(かずと)「それは困る!」
浅上和人(かずと)「その話がなくなったら、 この工場ヤバいんだ!」
紅林信吾(しんご)「・・・仕事は 信頼できる相手としたいからね」
紅林信吾(しんご)「君のような不愉快な人間と 手を組みたくない」
紅林信吾(しんご)「カズくん」
浅上和人(かずと)「まさか昔のこと恨んでるのか!?」
浅上和人(かずと)「あんな子どもの頃のことを 今ごろむしかえすのか!?」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
浅上和人(かずと)「わかった、謝る! あれは俺が悪かった!」
浅上和人(かずと)「悪かったから、なぁ! なぁって!」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
浅上和人(かずと)「・・・・・・」
  和人は這いつくばると、
  汚れた床に額をこすりつけた。
浅上和人(かずと)「っ! も、申し訳ございませんでしたっ! 許してください! どうか、この通り!」
浅上和人(かずと)「あの時の俺は本当にバカでした! すみませんでした!」
浅上和人(かずと)「おま・・・あなたに見捨てられたら、 従業員みんな困ってしまいます!」
浅上和人(かずと)「だから、だから・・・っ」
浅上和人(かずと)「お願いしますっ! 発注の件、思い直してください!!」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「ま、いいよ。 工場のみなさんに恨みはない」
浅上和人(かずと)「!!」
紅林信吾(しんご)「予定通り、 こちらの工場に部品は発注する」
紅林信吾(しんご)「だし、僕の胸三寸でいつでも止められる ってこと、覚えておいてね」
紅林信吾(しんご)「・・・君の態度次第だよ、カズくん」
浅上和人(かずと)「・・・・・・」

〇清潔な浴室
紅林信吾(しんご)(結局、篤嶋電機を離れることになって、 別の人間に引継いだけど)
紅林信吾(しんご)(それまでの一年間、カズが怯えた顔で 必死にご機嫌取りをしてくるのは なかなか笑えたな)
紅林信吾(しんご)(僕に縋り付かなくては 明日の生活すら危うい)
紅林信吾(しんご)(あの一年、間違いなく僕は あのカズの命を握っていたんだ)

〇おしゃれなリビング
紅林信吾(しんご)(そして僕は本来の目的である 楠原陽花の所へ来た)
紅林信吾(しんご)(カズ同様、僕の正体を伝えた時に、 どんな顔をするか見たかった)
紅林信吾(しんご)(なのに・・・)

〇レストランの個室
楠原陽花(はるか)「私の言葉で、 そんなことになってたなんて」

〇おしゃれなリビング
紅林信吾(しんご)(彼女は僕がいじめられていたことすら 気づいてなかった)
紅林信吾(しんご)(中途半端に手を差し伸べ、 そして気まぐれに見捨てれば 相手がひどい目に遭う)
紅林信吾(しんご)(彼女がそれをわかってて あんな行動を取っていたのなら)
紅林信吾(しんご)(僕が名乗り出ることで 動揺すると思ったんだが・・・)

〇レストランの個室

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第八話 崩壊の足音

コメント

  • しんちゃん、恨み持っていながらも絶対陽花のこと好きだろう!と思ってしまいます😆

  • シンちゃんの狂気が渦巻いていますね!
    陽花さんが無自覚に敵(?)を作っていますが、怨恨の念はシンちゃんが一番のようですね。静かなる狂気が一番恐ろしいです。。。

  • シンちゃん、かなしい……
    どんな手を使ってくるんでしょうね。
    しかし陽花サイドが気になって仕方ありません💦
    彼氏面している彼の約束されし転落が怖い😂
    次回の展開を楽しみにしてます!

コメントをもっと見る(4件)

ページTOPへ