鏡にねがいを

Moka

契約(脚本)

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〇荒れた公衆トイレ
結衣「──これでほんとに・・・・・・。 ほんとに響と付き合えるの?」
  ──もちろんだよ。
  私と結衣は、もう友達でしょ?
結衣「・・・・・・。」
  ──さ、かえろ?
  帰って結衣のこと、いっぱいきかせて。

〇黒背景

〇黒背景
  ──いやあああああああ!!!!!!!!

〇おしゃれなキッチン
千尋「・・・!!」
千尋「なにがあったの・・・・・・!?」
千尋「──おとうさん!! おかあさん!!! なにがあったの!!!」
  ──私の目の前には、泣き叫ぶ妹。
  うずくまる父。
  ・・・そして、包丁を握った母の姿があった。

〇黒背景
  ──この時、私はまだ何も知らなかった。
  ──家族を襲ったこの惨劇の裏に、なにか大きな力が動いているということを。

〇ゴシック
  エピソード1:「 契 約 」

〇アパレルショップ
「このハンドクリームの秋の新作って、もうないのかしら?」
千尋「申し訳ございません。 つい先程、品切れになってしまいまして・・・・・・。」
千尋「もしよろしければ、入荷が決まり次第こちらからご連絡差し上げることもできますが・・・・・・。」
「じゃあ、今回はこれだけ買わせてもらおうかしら。」
千尋「ありがとうございます。」
「おはよー!!」
千尋「おはようございます!」
店長「午前中、どうだったー?」
千尋「新作が飛ぶように売れてます。」
店長「昨日さ、テレビで今人気の女優が愛用品だって紹介したらしいんだよねー。」
店長「いやー、本部から電話が鳴りっぱなしよ・・・・・・。 そろそろ出てやるかー。」
店長「ま、とりあえず休憩行ってきなよ。 一人でいると電話も切りやすいしさー。」
千尋「ありがとうございます。 これ、引出しの鍵です。」
千尋「それじゃ、お昼行かせていただきますね。」
店長「いってらー。」

〇テーブル席
  私はいつものように、食堂の隅の席に座る。
  いつも決まってこの席で弁当を食べるのには理由がある。
  弁当を食べ終わり、そろそろという時・・・・・・
「おつかれさまです!」
千尋「芥川(あくたがわ)さん。」
  そう、彼が来るのを待っていたのだ。
芥川「谷崎の新刊、午前中に入ったので午後から並べるみたいですよ。」
千尋「え、もう入ったんですか!?」
芥川「本当は明日来る予定だったのが、間違えて今日入ったみたいです。」
千尋「売っちゃうんですね!! 仕事終わったら買いに行きます。」
芥川「おまちしています。」
千尋「じゃ、私はそろそろ戻りますね。」
  こんな一瞬の会話が毎日の楽しみになっている。

〇アパレルショップ
  ──18時
  午後も客足は多く、あっという間に夕方だ。
店長「ちひろ、おつかれー。 今日はもう上がりな。」
千尋「ありがとうございます。 では、お先に失礼しますね。」
  電車の時間までまだ余裕があるし、新刊を買いに行けそうだ。

〇大きいデパート
  無事に新刊を確保し、電車に向かう。

〇駅のホーム

〇線路沿いの道

〇シックな玄関
千尋「ただいまー。」
「おかえんなさーい。」

〇明るいリビング
結衣「はやかったねー。」
千尋「いつもと変わらないよー。」
結衣「そうだっけ!?」
千尋「最近、なんかご機嫌じゃん。」
結衣「そ、そうかな!?」
千尋「ふんふん、彼氏でもできたかな。」
結衣「!!」
千尋「図星か!?」
結衣「うん、響くんに告られた。」
千尋「ああ、前からよく電話したり、皆でカラオケ行ったりしてた?」
結衣「そうだよ。」
千尋「やっぱり結衣のこと好きだったかー。」
結衣「そうなのかな・・・・・・!? 友達が、おまじないしてくれたんだよ。」
千尋「アハハ、私の頃にもあったなー。」
千尋「よし、部屋に荷物置いてくる。」
  キッチンの父と母にも帰りを告げ、私は二階の自室へと向かった。

〇本棚のある部屋
千尋「ふー、つかれたなあ。」
千尋(響くんって、よく本屋で見かける子だったよな・・・・・・。)
千尋(あの子なら、安心かな・・・・・・。)

〇黒背景
  ──いやあああああああ!!!!!!

〇おしゃれなキッチン
千尋「・・・!!」
千尋「なにがあったの・・・・・・!?」
千尋「──おとうさん!! おかあさん!!! なにがあったの!!!」
  ──私の目の前には、泣き叫ぶ妹。
  うずくまる父。
  ・・・そして、包丁を握った母の姿があった。
結衣「なんで・・・・・・。 なんで・・・・・・。」
千尋「結衣!! なにがあったの!!」
結衣「ちがうの、ちがうの・・・・・・。 わたし、めぐみに・・・・・・。」
千尋「めぐみ!? とにかく救急車呼ばなきゃ!!」
  結衣のスマホで救急車を呼ぶ。
千尋「おとうさん!! おとうさん!!!!」
「──千尋、お母さんは手が滑っただけだ。 救急車が来たら、そう言いなさい。」
「──私が後ろから、驚かしてしまったんだ・・・・・・。」
  次第に、外のサイレンが大きくなってくる。
  救急車が来るまでの間、私は何もできなかった・・・・・・。
  ただただ、涙を流す母と妹、そして血まみれの父を呆然と見ていた。

次のエピソード:エピソード2:「めぐみ」

コメント

  • 見えないところ、知らないところで何かが起こってるのが恐いですね。続きが気になります。

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