馬鈴

山縣将棋

瀬尾英作という男(脚本)

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〇古風な和室
  文代さ〜ん
吉川 文代 「あら?あの声は昇さん?」
  文代さ〜ん
吉川 文代 「昇さん!戻って来たのね!」

〇広い玄関
  文代さ〜ん
吉川 文代 「今開けますね!」
  戸を開ける文代
吉川 文代 「昇さん?どこですか?昇さ〜ん!」
吉川 文代 「あっ!昇さん!」

〇白
吉川 文代 「お帰りなさい!昇さん!」
引田 昇 「一目だけでも会えて嬉しいです!」
吉川 文代 「外は雨ですからずっと立ってたら風邪ひきますよ!」
引田 昇 「文代さん、並んで歩けなくてすいません!そして楽しい時間をありがとうございました!」
吉川 文代 「昇さん?早く家に入って下さい!」
引田 昇 「すいません、もう時間がきてるみたいです 文代さんいつまでも笑顔で明るくいて下さい それではお元気で!」
吉川 文代 「あれ?昇さん!・・・何処!昇さん!」
吉川 文代 「嫌、私を1人にしないで!昇さん!昇さん!」

〇古民家の居間
吉川 文代 「昇さん!はっ!夢?いつの間にか眠ってしまったのね」
  ドンドン
吉川 文代 「あれ?誰かしら?」
  ドンドン
吉川 文代 「は、はーい!お待ち下さい!」
吉川 文代 「あ、あのどちら様・・ですか?」
瀬尾 英作 「初めまして瀬尾と申します」
吉川 文代 「は、はぁ」
瀬尾 英作 「・・・引田昇さんからの言付けで文代さんを守って欲しいとの事でしたので、今日からお世話になります」
吉川 文代 「ちょ、ちょっと、いきなり何ですか?言付け?意味がわかりません!」
瀬尾 英作 「ハハッ広い家ですね!お掃除大変でしょ!」
吉川 文代 「ちょっと勝手に上がらないで下さい!」
瀬尾 英作 「何故ですか?」
吉川 文代 「とにかく出てって下さい!」
瀬尾 英作 「外は雨降ってますよ!こんな格好じゃ風邪ひいちゃいますよ!」
吉川 文代 「降ってません!何なんですか貴方!そんな格好で来てどういうつもりですか?」
瀬尾 英作 「えっ?ここに住むつもりだったんです!」
吉川 文代 「ちょっと!本当に失礼な人!」
瀬尾 英作 「怒らないで文代さん!」
吉川 文代 「はい?帰って下さい!」
瀬尾 英作 「えっ?ちょっと?」
吉川 文代 「なんなのもう!」
  おーい開けておくれー文代さん!
吉川 文代 「開けません!あと気安く名前を呼ばないで下さい!」

〇古民家の居間
吉川 文代 「・・・もう流石に帰った・・・かしら?」

〇大きな日本家屋
吉川 文代 「いない・・・──えっ?」
瀬尾 英作 「どうも!」
吉川 文代 「まだおられたのですか?」
瀬尾 英作 「いやぁ〜帰る銭がないもんで!」
吉川 文代 「そ、そうですか」
瀬尾 英作 「裏山に自然で出来たお風呂があるなんて最高ですね!」
吉川 文代 「えっ?この時間帯に行ったのですか?」
瀬尾 英作 「はい!汗かいたので、水浴び出来る場所さがしてたら偶然見つけたんですよ!」
吉川 文代 「女性は入られて無かったですか?」
瀬尾 英作 「はい!僕1人でしたよ!何かあるのですか?」
吉川 文代 「この時間は女性が入る時間帯なので・・・」
瀬尾 英作 「あ、惜しいことしました?」
吉川 文代 「最低ですね!」
瀬尾 英作 「ごめんなさい!冗談ですよ!」
吉川 文代 「・・・今日一日泊めてあげますので明日になったら帰って下さいね!」
瀬尾 英作 「えっ?ありがとうございます!実は歩き疲れてヘトヘトなんですよ!」
吉川 文代 「はぁ調子のいい人ですね」
瀬尾 英作 「ヘヘッ」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「すみませんけど居間で寝てもらいますね!」
瀬尾 英作 「大丈夫です!」
吉川 文代 「ちょっとお布団準備して来ますので!」
瀬尾 英作 「ありがとうございます!」

〇古民家の居間
吉川 文代 「ヨイショっと!瀬尾さん!準備できましたよ!瀬尾さん!」
吉川 文代 「返事がないわね!」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「瀬尾さん!って──」
吉川 文代 「寝てる・・・ハハッ自由な人」
瀬尾 英作 「菊枝・・・むにゃむにゃ・・・」
吉川 文代 「菊枝?・・・夢でも見てるのかしら」
吉川 文代 「何か久しぶりに肩の力が抜けた気がするわ」
吉川 文代 「私も、もう寝ましょう・・・おやすみなさい」
瀬尾 英作 「ぐがぁー」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「おはようございます!瀬尾さん!」
瀬尾 英作 「おはようございます!おかげで疲れがとれました、じゃあ僕は出ますね!」
吉川 文代 「は、はい、お身体に気をつけて下さい!」
瀬尾 英作 「ありがとうございます!では!」
吉川 文代 (何か変わった人だったけど、居なくなったら少しだけ寂しい気がする)
吉川 文代 「さて!お掃除しよ!」

〇古民家の居間
  4時間後
吉川 文代 「あっという間にお昼ね、昨日頂いた野菜でも頂こうかしら・・・」
吉川 文代 「あれっ?物音が?」
瀬尾 英作 「いやぁ〜お腹減りましたね!お昼ご飯食べましょう!」
吉川 文代 「瀬尾さん!お帰りになったのでは?」
瀬尾 英作 「はい?違いますよ!食糧の調達に行ってたんですよ!」
吉川 文代 「食糧!?」
瀬尾 英作 「はい!外にいますよ!」
吉川 文代 「えっ?外?」

〇大きな日本家屋
「・・・コッコッコッコッ!」
吉川 文代 「なっ!ニワトリ?」
瀬尾 英作 「はい!2羽で卵を産んでもらいましょう」
吉川 文代 「ど、何処で手に入れたのですか?」
瀬尾 英作 「買って来たんですよ!ニワトリを飼育している家から。その為、銭がほとんど残って無いですけど・・・」
瀬尾 英作 「後これも!」
吉川 文代 「あっ!マッチ!中々手に入らなくて困ってたんです!」
瀬尾 英作 「見つけて来ましたよ!切らしてたでしょ?」
吉川 文代 「はい!ありがとうございます!」
瀬尾 英作 「ヘヘッちゃんと見てるんですよ!それでは、お昼ごはんにしましょう」
吉川 文代 「もう・・・しょうがないですね」
瀬尾 英作 「やった!」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「今から作って来ますのでお待ち下さいね」
瀬尾 英作 (・・・あの事を話すべきか・・・悩むなぁ もう少しだけ様子を伺ってからにしよう・・)
吉川 文代 「はい!どうぞ!」
瀬尾 英作 「うどん!美味しそう!」
吉川 文代 「フフッさぁ頂きましょう!」
瀬尾 英作 「いただきます!・・うーん良い味!ハハッ!」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・瀬尾さん宜しかったら、瀬尾さんの事伺いたいです、それと・・・昇さんの事も」
瀬尾 英作 「分かりました・・・俺はここより少し離れた村で育ち家族は母と弟2人がいました」

〇山間の集落
  ・・・2年前

〇集落の入口
瀬尾 宏太 「次は英作兄ちゃんが鬼!」
瀬尾 英作 「よし!すぐ捕まえてやるからな!」
瀬尾 小太郎 「宏太はやく遠くに行かないと捕まっちゃう!」
「ハハハッ逃げろ〜!」
瀬尾 英作 「よ〜し待ってろよ!」
畑中 菊枝 「英作!弟と遊んでるの?」
瀬尾 英作 「菊枝!お前も一緒に遊ぶか?」
畑中 菊枝 「私はいいわよ!それより・・・」
瀬尾 宏太 「あっ!菊枝ちゃんだ!」
畑中 菊枝 「こんにちは宏太君!」
瀬尾 英作 「あっ!宏太ごめん!ちょっと菊枝と話しがあるから2人で遊んどいてくれよ!」
瀬尾 宏太 「えっ〜!」
瀬尾 英作 「な、頼むよ!今度また遊んでやるから!」
瀬尾 宏太 「分かったよ!小太郎と2人で遊んでる!」
瀬尾 英作 「悪いな」
瀬尾 宏太 「小太郎〜違う遊びしようぜ〜!」
瀬尾 英作 「もう少し広い所で話そう」
畑中 菊枝 「うん」

〇大樹の下
瀬尾 英作 「俺のお気に入りの場所!」
畑中 菊枝 「こんな場所あったんだ!初めて知った!」
瀬尾 英作 「それで話って?」
畑中 菊枝 「あ、・・・とその・・・」
瀬尾 英作 「ん?」
畑中 菊枝 「英作・・・令状、来たんだって?」
瀬尾 英作 「おう!皆おめでとうって言ってくれてさ!」
瀬尾 英作 「まさか、それを言いに来てくれたのか?」
畑中 菊枝 「・・・・・・違うよ・・・」
瀬尾 英作 「何だよ、選ばれたのは名誉な事で──」
畑中 菊枝 「・・・そんな訳ないでしょ・・・もう二度会えなくなると思う」
瀬尾 英作 「・・・・・・菊枝・・・・・お前・・・・・」
畑中 菊枝 「・・・全然名誉でもないし、めでたくもないよ!・・・皆そうでも言わないと気がおかしくなるのが分かってるのよ」
瀬尾 英作 「・・・・・・なぁ菊枝・・・・・・・・・」
畑中 菊枝 「・・・・・・なに・・・・・・・・・・・・」
瀬尾 英作 「俺さ絶対どんな事があっても帰ってくるよ!約束する!」
畑中 菊枝 「・・・・・みんなそう言って帰ってこなかった!」
瀬尾 英作 「俺はそんな事はない!絶対に帰って来る!そしたら俺たち夫婦になろう!」
畑中 菊枝 「・・うん、いいよ、必ず帰ってきなさいよ!」
瀬尾 英作 「じゃあさこの木の根本にこれ埋めよう!帰ってきたら一緒に取り出そうぜ!」
畑中 菊枝 「ビー玉!?それって私が子供の頃英作にあげたやつ!?」
瀬尾 英作 「ああ!よく覚えてるな!」
畑中 菊枝 「だって欲しい欲しいってしつこかったから!」
瀬尾 英作 「そうだったかな?」
畑中 菊枝 「ハハッそうだよ!お気に入りだったんだからね!それ!」
瀬尾 英作 「ハハッ!埋めるのやめようか?」
畑中 菊枝 「やめなくていいよ!一緒に埋めよう!」
瀬尾 英作 「ハハッ掘り返すときも一緒に掘ろうな!」
畑中 菊枝 「うん!」

〇白

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コメント

  • つかみどころがない瀬尾英作さんの登場で作中の空気もがらりと変わりましたね。不審者っぽくも善良な人っぽくもあり、文代さん同様に読んでいて戸惑いますね。 「瀬尾」姓ってことは・・・

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