この世の女は俺のママ!

危機綺羅

15.このママではいられない。その5(脚本)

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〇車内
ソウガ「・・・」
シタラ「・・・」
「うぷっ・・・」
シタラ「なんでこんなに、 乗り心地が悪いんですか?」
ソウガ「この乗り物は、聖女様の言葉を頼りに 作った試作品でね・・・」
ソウガ「まだまだ改善の余地が残っているのさ」
シタラ「まずはエチケット袋を 用意するべきですね・・・」
ソウガ「・・・ずいぶん余裕のようだね? もっと取り乱すと思っていたけど」
シタラ「気持ち悪くて、元気がないだけですよ」
シタラ(アル・・・大丈夫なんだよね・・・?)

〇荒地
シタラ「──アル? 起きてよ、返事をして!」
シタラ(え・・・!?)
シタラ「大丈夫なんだよね? アルっ!?」

〇車内
シタラ(なにか考えがある・・・よね?)
ソウガ「──さあ、この吐き気ともおさらばだ」

〇レンガ造りの家
ソウガ「ここが我々の本拠地、 ”シェルターガーデン”だ」
シタラ(森の中に、こんな立派な建物が・・・)
部下「隊長、聖女様には・・・?」
ソウガ「この件は伝えないようにしろ 通常任務に戻れ」
部下「了解しました」
ソウガ「──さあ、行こうか?」
シタラ「・・・私を、どうするつもりですか?」
ソウガ「その話は部屋でしようか? こっちだよ」
シタラ(抵抗は・・・しない方が良いよね)

〇城の客室
ソウガ「──ここが、きみの部屋だよ」
シタラ「私の部屋・・・?」
ソウガ「これから一生──ではなくとも、 長い間過ごすことになるだろうね」
シタラ「ど、どういうことですか!?」
ソウガ「きみは我々に協力しない そう言ったよね?」
ソウガ「だとすれば、きみの存在は危険なんだ」
シタラ「危険って・・・」
ソウガ「降物に悩む人々を導くのは、 聖女様の役割なんだ」
ソウガ「けど、きみもそれができてしまう 聖女様と同じ”降人”のきみには・・・」
シタラ「は、はい? なんですか? ”こうびと”・・・?」
ソウガ「”降物”と同じだよ 降って来た人と書いて”降人”──」
ソウガ「聖女様もきみも、 降物のように降って来た人間なのさ」

〇城の客室
シタラ「私が、降って来た・・・? 降物みたいに・・・?」
ソウガ「きみが見つかった場所、 その近くには出来立てのスポットがあった」
ソウガ「そのスポットの発生に 立ち会った者がいたんだよ」

〇黒背景
隊員「降物が降るのを遠巻きに見ていると、 気のせいか、風に飛ばされる影があった」
隊員「遠目で見たのではっきりはしないが、 それは人影のようだった」

〇森の中
「報告を受け、我々が向かった時には──」
アルバス「──ママっ!?」

〇城の客室
ソウガ「──すでにマザコン・マントコートに 確保されていた」
ソウガ「あとはきみの知る通りさ こうして今に至り、お話している」
シタラ「私が・・・降物と一緒に・・・」
シタラ「そうだったんですね・・・ 私は降人・・・」
シタラ「──いや、それがなんなんですか?」
シタラ「私のことはわかりましたけど、 こんなことになる理由には・・・」
ソウガ「ことの重大さがわかってないようだね」
ソウガ「我々の知る限り、 降人は聖女様ときみしかいない」
ソウガ「そして共通するのは、 降物の使い方がわかること・・・」
ソウガ「きみは聖女様の立場を奪える、 唯一の存在なのさ」
シタラ「い、いや、奪いませんけど・・・」
ソウガ「それはどうだろうね?」
ソウガ「きみが今後、 その能力で人助けをするかもしれない」
ソウガ「そうしていくうちに、 能力の噂が広まっていったら?」
ソウガ「きみの意思など関係なく、 聖女様の立場を脅かすことになるだろう」
シタラ「待ってください! じゃあここに一生いるっていうのは──」
ソウガ「ああ、考えてる通りだと思うよ」
ソウガ「聖女様の安寧のためにも、 きみを一生、ここに閉じ込めておく」
シタラ「そ、そんなの横暴でしょ!?」
ソウガ「もちろん、きみが協力してくれるなら、 ある程度の自由は保障しよう」
ソウガ「そうでないなら──」
シタラ「あ、ち、ちょっと!?」
ソウガ「きみは一生、この部屋から出られない」
シタラ「そんなぁ・・・」

〇城の客室
シタラ(降人・・・私の正体・・・)

〇空

〇城の客室
シタラ(私の故郷は空にあるの? でも、空の上に人がいるなんて・・・)
シタラ(じゃあ、クロシカさんから聞いた、 死の国とかいう所・・・?)
シタラ(人がいつか行きつく先──だったよね)
シタラ(それって、死んだ後のこと? じゃあ私ってあの世の人?)
シタラ「──わかんないことが増えただけじゃん!」
シタラ「はぁ・・・」
シタラ(──アル、大丈夫かな?)
シタラ(いやいや、大丈夫じゃないよね あんな、車に轢かれて・・・)
シタラ(なんとか確認できれば──)
シタラ「そうだ、トランシーバー!」
シタラ(今回は取られてない!  これなら・・・!)
シタラ(あ、でも・・・助けを呼んで、 またアルになにかあったら・・・)
シタラ「・・・」
シタラ(呼ばなくても来るよね、アルは)
シタラ(ならせめて、無事なことだけでも 伝えないと──)
シタラ「へ? なんの音・・・」

〇空

〇城の客室
シタラ「あ、アルっ!?」
シタラ(な、なんで窓の外にアルが? というか、開けてあげないと・・・!)
シタラ「この窓・・・はめ殺しだ・・・」

〇空

〇城の客室
シタラ(えっと・・・なんだろ・・・?)
シタラ(待ってればいい? もしかして、この部屋に来る気?)

〇空

〇城の客室
シタラ(あ、行っちゃった・・・)
シタラ(色々疑問はあるけど・・・)
シタラ(アル・・・無事でよかった・・・!)
シタラ「あれ、アル? もう来れたの──」
シタラ「あ、その・・・どちら様で・・・?」
聖女「アル・・・? 今、アルって・・・!?」
聖女「もしかして、あなたアルなの!?」
シタラ「はい? いやいや、違います──」
聖女「ようやく会えたわ! 私、あなたをずっと探してたの・・・!」
シタラ「ちょっと、苦しいですよ! 私はアルじゃないですって!」
隊員「──お、お待ちください。聖女様!」
シタラ「せ、聖女? この人が!?」
シタラ(この人が、アルを探してる・・・? どういうこと・・・!?)

次のエピソード:16.このママではいられない。その6

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