御野町0丁目に御案内

萩野 須郷

エピソード8〜不気味な前触れ〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇川に架かる橋
  ──ああ、何だか全てが
  どうでもよくなっちゃったなあ・・・
男「っ痛ェーな! おい、なにぼさっと歩いてんだよ!!」
「・・・っさいわね」
男「あ? なんだお前 俺に舐めた口利きやが──」
  タカダヤマトをこの手にかけてから、
  私の心の中で、
  何かが砕けた音がした
男2「おっ、君かわいいねえ どう、これから俺とイイこと、しない?」
「イイこと・・・そうねえ」
「じゃあ、心臓潰しゲームでもする?」
男2「え?」
男2「アがっ!? ひぎゃあああああッ!!」
「はは、人間って、脆いわねえ」
「でも、その悲鳴は素敵よ ねえお願い、もっと、もっと聴かせて・・・」
  あの日以来、
  とうとう私は姿だけではなく
  心も化け物になっちゃったみたい
  でも、もう良いの
  私が愛した男は、
  もうこの世にいないから
  私を受け入れてくれないこの世界、
  存在するだけ無駄だから
  それに、私が何をしようと、
アオバレイコ「・・・私を止められる者は誰もいない そうでしょ? ヤマトくん・・・」

〇地下の部屋
アオバレイコ「ただいま帰ったわ」
「・・・おかえりなさい」
ヒラギノカオル「もう朝の4時ですよ どんだけ遊び歩いてるんですか」
アオバレイコ「良いじゃない それが私の生きがいなんだから」
ヒラギノカオル「しかも、スマートウォッチ、 最近つけてませんよね?」
アオバレイコ「だってあれ、 バッテリーが短いんだもの」
アオバレイコ「いちいち充電するのも面倒だし ──それに」
アオバレイコ「私がアオバレイコだとバレて、 不都合なことなんて、もうないから」
アオバレイコ「今の私なら、警察でも自衛隊でも 返り討ちにできる」
アオバレイコ「・・・それは、私を”整形”したアナタが 一番わかってるんじゃなくて?」
ヒラギノカオル「・・・ま、そうですけどね」
ヒラギノカオル「でも、スマートウォッチにはもう一つ、 機能があるでしょう?」
アオバレイコ「・・・ああ、そうだったわね」
アオバレイコ「復讐したい相手を 引き寄せる・・・ってヤツよね」
アオバレイコ「でも、どうせ全部私の手で ぶっ壊すんだし」
アオバレイコ「わざわざ復讐相手を判別する必要もないから 別に良いのよ」
ヒラギノカオル「ふうん・・・ 果たして本当にそうですかねえ」
アオバレイコ「・・・何よ、私に歯向かうつもり?」
ヒラギノカオル「いえいえ、決して そういう訳ではないんですがね」
ヒラギノカオル「・・・ただ、 あと一人、いるじゃないですか」
ヒラギノカオル「あなたが復讐したい相手が・・・ね」
アオバレイコ「うーん、そうだったかしら」
アオバレイコ「最近ぼーっとすることが増えたから、 思い出せないわ」
ヒラギノカオル「・・・無差別に人を潰してるからですよ」
ヒラギノカオル「では、思い出させてあげましょう」
ヒラギノカオル「あなたの整形を失敗した、 あなたの不幸の元凶」
ヒラギノカオル「・・・外科医、ですよ」
アオバレイコ「──!!」

〇病院の診察室
  ・・・そうだったわ・・・
  そもそもどうして、
  私が復讐する道を選んだのか・・・
外科医「おめでとうございます とっても素敵な顔になりました」
  アイツは・・・アイツだけは・・・
アオバレイコ「何が何でも許さない 私がこの手で・・・ヤるのよ!!」

〇地下の部屋
ヒラギノカオル「・・・おやおや、 やっと思い出したみたいですねえ」
アオバレイコ「ええ、おかげさまで」
アオバレイコ「でも私・・・もう アイツの顔とか名前、覚えてないのよねえ」
ヒラギノカオル「・・・いやいや、 一番因縁の相手なのに、ですか?」
アオバレイコ「だって、整形前はまさか、 失敗するなんて思ってもみなかったからねえ」
アオバレイコ「こうなったら、全国の形成外科 しらみ潰しに・・・」
ヒラギノカオル「・・・随分手間のかかる復讐ですねえ」
ヒラギノカオル「ちなみにその形成外科って、 どこにあるんです?」
アオバレイコ「ええっと確か・・・ 御野町6丁目の、路地裏よ」
ヒラギノカオル「なら、再びそこに 行ってみてはどうです?」
アオバレイコ「無駄よ あの日以降、あそこはもぬけの殻なの」
アオバレイコ「今行っても仕方がないわ」
ヒラギノカオル「いやあ、どうですかね」
ヒラギノカオル「犯人は現場に戻ってくる って言うじゃないですか」
ヒラギノカオル「それに、あなたが スマートウォッチをつけてれば、」
ヒラギノカオル「ひょっとしたら 顔を出すかもしれませんよ?」
アオバレイコ「・・・なるほど それは一理あるわね」
アオバレイコ「確かに、アイツの手がかりと言ったら もうあの場所しかないんだし」
アオバレイコ「わかった ・・・早速明日、行ってみるわ」
ヒラギノカオル「・・・あの、そこで お願いがあるのですが」
ヒラギノカオル「もし良ければ、私も ついて行って良いですか?」
アオバレイコ「・・・はあ? なんでアンタまで来るのよ」
ヒラギノカオル「だって、同業者としては 気になるじゃないですか」
ヒラギノカオル「こォんな醜い顔に整形しちゃう 腕の無い外科医なんて」
ヒラギノカオル「一体どんな顔してるのかなーってね ッハハッ!!」
アオバレイコ「・・・」
ヒラギノカオル「・・・というのは冗談で」
ヒラギノカオル「まあ、社会科見学みたいなもんですよ」
ヒラギノカオル「他の形成外科、行ったことないんでね」
アオバレイコ「・・・まあ、別に敵わないわ」
アオバレイコ「ただ、私の復讐の邪魔だけは しないで頂戴」
アオバレイコ「もし邪魔したら──」
ヒラギノカオル「ハイハイ、わかってますよ いちいち怖いなあ」
ヒラギノカオル「では、明日の夜7時に出発 ということで」
アオバレイコ「わかったわ」
アオバレイコ「ふああ・・・ じゃあ私はお手洗いに行って、そのまま寝るわね」
ヒラギノカオル「・・・整形の「失敗」、ねェ・・・」

〇公衆トイレ
アオバレイコ「はあ、このトイレ本当 きったないわねえ」
アオバレイコ「改修とかしないのかしら まあ、あのヤブ医者にそんな金無いか」
アオバレイコ(あら・・・? 私の他に誰かトイレに入ってたみたいね)
アオバレイコ「──ッ!!」
アオバレイコ(わっ私が御野町0丁目に来る時に見た ・・・化け物!!)
アオバレイコ「・・・あ、あれ? アタラシミサコ、さん?」
アタラシミサコ「あら、アオバレイコ様」
アタラシミサコ「・・・どうしたのですか? お顔が真っ青ですが・・・」
アオバレイコ「い、今アナタが緑の化け物に・・・ いえ、何でも無いわ」
アオバレイコ「私、ちょっと疲れてるのかもしれない ごめんなさい、気にしないで」
アタラシミサコ「そ、そうですか・・・ かしこまりました・・・」
アタラシミサコ「・・・・・・」
アオバレイコ「何あの女・・・ 一瞬すごい険しい顔してたけど」
アオバレイコ「化け物呼ばわりされたのが 癇に障ったのかしら」
アオバレイコ「まあ良いわ 私はさっさと寝──」
アオバレイコ「──!!」
アオバレイコ「えっ!! どうして私、今、こんな姿に・・・」
アオバレイコ「あ、あら? すぐに元の姿に戻ったわ」
アオバレイコ「確か、あの化け物姿になるのは、 殺意を感じた時限定のはずなんだけど」

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コメント

  • レイコさんの心情、イライラと虚無感が同居して如何ともしがたい感じですね。まさに「化け物」のようで……
    そして、ヒラギノカオル先生の「実験」についても明らかになりつつありますね。アタラシミサコさんの過去についても気になります!

  • 完全に闇落ちした主人公はいいですね! いっそすがすがしい気がします!
    ヒラギノカオルからだいぶ怪しいにおいがしていて、次回も楽しみです!

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