愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY10: まさかの遭遇(脚本)

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〇アパートの台所
三澤梨々花「よし、掃除終わり!」
三澤梨々花「先生、少しは寝られたかなぁ? 本格的に休む前にお粥食べて薬飲んでもらわないとね・・・」
三澤梨々花(そういえば・・・ 彼女さん来てなかったな・・・ 顔合わせずにすんでよかったけど・・・)
三澤梨々花(こないだ私が見たこと 先生に言った方がいいのかな・・・)
三澤梨々花(でも二人は別れたんだし・・・ 知らないふりをすべき? こういう時ってどうすればいいんだろう)
三澤梨々花「そういえば・・・ ハイジ戻ってこないな・・・ まだ門のところにいるのかな?」
三澤梨々花「見に行ってみた方がいいよね・・・」
  アオーーーン!!
三澤梨々花「えっっ!!ハイジの声!?」

〇平屋の一戸建て
三澤梨々花「ハ、ハイジー!! 大丈夫!? どうかした!?」
三澤梨々花「きゃっ!! おおお大きな犬!!」
ハイジ「クゥーーン・・・」
三澤梨々花(はっ! ハイジが震えてる・・・!! まずい、噛みつかれでもしたら────)
????「ワフッ♡♡」
ハイジ「アオーーン♡♡」
三澤梨々花「え?」
ハイジ「アオアオーーン♡♡」
三澤梨々花(えええぇぇえええ!! イチャイチャしてる!?)
三澤梨々花(し、しかもその声色はイケメン限定にしか使わないやつ!! ま・・・まさか・・・!)
三澤梨々花「カ、カレシ!? カレシなの!?」
ハイジ「アウン♡」
三澤梨々花「マ、マジか!!!!」
  おーい、ペーター!
  ご主人様を置いて先に行くなよ~
三澤梨々花「えっ・・・・・・この声────」
貴島里見「まったく久しぶりにハイジに会うからって────」
貴島里見「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
貴島里見「・・・え!!??」
貴島里見「み、三澤ちゃん!? なんでここに!?」
三澤梨々花「そ、それはこっちのセリフだよ! 里見くんこそどうしてここに!?」

〇狭い畳部屋
三澤梨々花「お・・・・・・」
三澤梨々花「弟!? 里見くんが・・・先生の!?」
貴島里見「ハウスキーパー!? 三澤ちゃんが・・・アニキの!?」
三澤梨々花「どどどどどういうこと?💦 だって名字も違うよね??」
貴島里見「そそそそっちこそなんで!? なんでアニキの家でバイトなんて! 何この展開! 全然知らなかったんだけど────」
三澤梨々花「う、うーんと・・・」
三澤梨々花「い・・・いったん落ち着こっか 私たち・・・」
貴島里見「そ、そうだね・・・」
貴島里見「ええっと・・・オレから説明すると アニキがペンネームに使ってる『落合』は 死んだ母さんの旧姓なんだ」
貴島里見「本名は、貴島悠河(きじまはるか) 高校卒業してすぐ家を出てさ ずっと一人暮らししてるんだ」
三澤梨々花(きじまはるか・・・ そういえば紅さんが、名字は違うって言ってたっけ)
三澤梨々花「そうだったんだ・・・ でもまさか里見くんのお兄さんが 先生だったなんて」
三澤梨々花「里見くん、家の話とか全然しないから びっくりしたよ・・・」
貴島里見「うーん・・・ちょっとね うちのオヤジとアニキ、仲が悪くてさ・・・ 人には言いづらかったというか」
貴島里見「ところで、三澤ちゃんはなんで?? オレ、ちょくちょくここへは来てるけど アニキから何も聞いてなくて」
三澤梨々花「う、うん・・・ 私のお姉ちゃんが先生の編集者さんから 誰かお世話役がいないかって 頼まれたみたいで・・・」
三澤梨々花「それで私が引き受けて 週に二回ゴハン作りとお掃除に来てるの」
三澤梨々花「そうだ、先生ひどい熱なの! さっきお医者さんに来てもらったんだけど 疲労からくる風邪だろうって」
貴島里見「うん、知ってる 栄養ドリンク買ってこいって 連絡があったから、届けにきたんだよ」
三澤梨々花「ああ! じゃあ学校で言ってた「ウチのこと」って先生の用事のことだったんだ・・・」
貴島里見「うん ペーターがハイジに会いたそうだったから 連れていこうと思ったのもあったんだけど」
三澤梨々花「ペーター、大きい犬だね💦 まさかハイジにカレシがいるとは 思わなかったよ・・・」
貴島里見「あははは! もともと二匹ともウチで飼ってたんだけど アニキが家を出る時に ハイジが心配して付いて行ったんだ」
貴島里見「追いすがるペーターを涙ながらに振り切ってキャリーバッグに入っていった ハイジの凛々しい姿は今でも忘れられないよ」
三澤梨々花(ハ、ハイジにそんな過去が!!)
貴島里見「てか、それよりアニキだよ!」
貴島里見「まったく、ただでさえ執筆中は 引きこもりで不摂生なんだから 気をつけろっていつも言ってるのに どうしようもないなぁ!」
貴島里見「ねえ、もしかして 三澤ちゃんが看病してくれてんの!?」
三澤梨々花「看病ってほどのものじゃないよ お医者さん呼んでお粥作っただけ」
貴島里見「おかゆ・・・・・・!!!」
貴島里見「まさか「あーん」とかしちゃったり!?」
三澤梨々花「してないから💦 里見くん、妄想強すぎだよ💦」
貴島里見「そんなことない! なんて日だっっ!! 一言文句言ってやらなきゃ気が済まない!! アニキのところ行ってくる!!」
三澤梨々花「あっ、里見くん💦」

〇木造の一人部屋
貴島里見「アニキ!! 入るよっ!!」
落合はるか「・・・なんだよ ああ、里見か・・・」
落合はるか「でかい声出すな 頭が痛ぇんだよ・・・ なんの用だよ・・・」
貴島里見「はぁ!? 自分で呼び出したくせに何だよそれ! ていうか倒れてんじゃねーよ! 三澤ちゃんにも迷惑かけて────」
貴島里見「自己管理って言葉知ってる!? それが出来ない人がよく一人暮らししようと思ったよね!!」
貴島里見「その上、お粥「あーん」とかさせたら 承知しねえからな!!」
落合はるか「あーん・・・? 何言ってんだ、お前・・・」
三澤梨々花「里見くーん、あまり大声は・・・って あ、目覚めたんですね! 寝られました?」
落合はるか「おー・・・ コイツに起こされたけどな」
落合はるか「思い出した、買い物頼んでたな・・・ そのへんに置いて帰っていーぞ」
貴島里見「つめたっ!! それが一か月ぶりに会った 実の弟への態度!?」
貴島里見「今日はお手伝いのタキさんの 特製カレーも持ってきてやったのに!!」
落合はるか「タキさんのカレー? おー・・・もうずいぶん食ってねぇな・・・」
貴島里見「わざわざブイヨン?から6時間煮込んで 作ってくれたんだよ! アニキが唯一おかわりして食べてくれた料理だからって」
三澤梨々花「ブ、ブイヨンから6時間!? すごい!! それはかなり手間ひまかけた こだわりのカレーだね!」
貴島里見「タキさんのカレーは最高においしいんだよ 海保のシェフだったお父さん仕込みなんだって!!」
貴島里見「あれを食べたら 他のカレーはカレーのニセモノにしか 思えないよね!」
三澤梨々花「そ、そんなにすごいカレーがこの世に!? わあぁ、レシピ知りたい・・・! ぜひ習得したい!」
落合はるか「たしかにアレはうまいが 今はさすがに無理だ・・・ バイト、お前食っていいぞ」
三澤梨々花「えっっ!本当ですか!?」
落合はるか「無駄にしたらもったいないしな・・・」
三澤梨々花(意外・・・ 食事にはあまり興味なさそうなのに もったいないとか思うんだ・・・)
貴島里見「じゃあ、オレも一緒に食ってこー🎵 ちょうど腹減ったし」
落合はるか「はぁ・・・? お前は家で食えるだろ さっさと帰れ」
貴島里見「いーじゃん! 誰かと一緒に食べた方がゴハンおいしいし オヤジはいつも帰り超遅いし オレ、一人メシもう飽きちゃって」
貴島里見「それにペーターとハイジをもう少し 遊ばせてあげたいし ね、三澤ちゃん! いい?」
三澤梨々花「うん、もちろんだよ」
三澤梨々花「あ、先生 またお休みになる前にお粥食べられます? 少しでもいいので 薬も飲んでもらいたいし」
落合はるか「あー・・・食欲はねえけど わかった・・・そこに置いておいてくれ」
三澤梨々花「・・・ほんとに食べてくれます? 嘘ついたららしたら、めっですよ!」
落合はるか「めって・・・オレは小学生かよ・・・」
三澤梨々花「そ、そうですよね! ごめんなさい、なんかつい💦」
落合はるか「・・・それくらいの約束は守る 食えば明日には治るんだろ?」
貴島里見「えっ! アニキが素直に言うこと聞くなんて・・・ どうしちゃったの!?」
落合はるか「うるせえな 用がないならさっさと向こう行って メシでも食え」
三澤梨々花(・・・ふふっ)
貴島里見「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

次のエピソード:DAY11: 弱点

コメント

  • ハ、ハイジにカレシが、、、!!笑
    という衝撃的事実もですが、はるか先生と貴島くんのまさかの関係性が!それによる三角関係(当事者の2/3は無自覚)の空気感は楽しいですね!
    タキさんの海保仕込みの特製カレーがとっても気になりますね。梨々花ちゃん同様にw

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