9.罠(脚本)
〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美「拓海くん、私ゴミを集めて倉庫に持って行くから」
前嶋琴美「紙ナプキンの補充とかお願いできる?」
鷲尾拓海「はい、わかりました!」
鷲尾拓海(・・・よし、今のうちに)
〇舞台下の奈落
拓海は床に這いつくばって、机の裏や椅子の裏を見て回った
鷲尾拓海(絶対・・・アイツが・・・)
鷲尾拓海(なにか・・・仕掛けてるはず)
鷲尾拓海「・・・」
鷲尾拓海(あれー? ないなぁ、絶対にあると思ったのにな)
拓海は、すべての机と椅子の裏を確認した
鷲尾拓海(・・・おかしいなぁ。 早くしないと)
鷲尾拓海(あぁ! これ!?)
鷲尾拓海(・・・隠す気なしか。 こんな、堂々と)
拓海は、コンセントタップを取り外した
〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美「拓海くん、そっちは終わった~?」
前嶋琴美「あれ? いない」
〇舞台下の奈落
鷲尾拓海「いったぁ!」
〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美「わ! どうしたの!? 机の下なんかに潜り込んで!」
鷲尾拓海「いたた・・・すみません・・・ 紙ナプキンを落としちゃって」
前嶋琴美「そうなの? も~、気をつけてね!」
鷲尾拓海「・・・はい」
前嶋琴美「ん? 誰だろ?」
白鳥勇次「こんばんは~♪」
前嶋琴美「! ・・・勇次さん」
白鳥勇次「琴はいつも可愛いなぁ」
白鳥勇次「今日ランチ食べに来たときに、忘れ物してさ・・・な? 鷲尾くん」
前嶋琴美「え? そうなの? 拓海くん」
鷲尾拓海「あ、ええ! そうなんですよ。 僕、店長から預かってて!」
白鳥勇次「・・・」
鷲尾拓海「本人のものか確認したいので、ちょっと外で話をしてきますね」
前嶋琴美「え? ・・・うん」
〇古本屋
外に出ると、拓海は勇次にコンセントタップを差し出した
鷲尾拓海「忘れ物は、こちら・・・ですよね?」
鷲尾拓海「コンセントタップが外される音を聞いて、店に来た・・・ってところですかね?」
白鳥勇次「・・・お前、ホンット邪魔!」
鷲尾拓海「その盗聴器で得た情報で、この1年、琴美さんの恋愛を邪魔してきたんですね」
白鳥勇次「別にいいだろ? そのくらい」
白鳥勇次「琴美に変な虫がつかないようにしただけだし♪」
鷲尾拓海「はぁ、ホント呆れますね」
白鳥勇次「なぁ、お願いだからさ、余計なことするなよ」
鷲尾拓海「余計なことだと、思ってませんので」
白鳥勇次「おーおー、話にならねーな」
白鳥勇次「ま、いっけど♪」
鷲尾拓海「僕がいる限り、同じことはできないと思ってください」
白鳥勇次「へいへい♪」
鷲尾拓海「あと!」
鷲尾拓海「・・・南に近づくの、やめてください」
白鳥勇次「・・・南? 誰それ?」
鷲尾拓海「しらばっくれ──」
白鳥勇次「ああ! この前ナンパした子のことかなぁ?」
白鳥勇次「ナンパした子の名前なんて、いちいち覚えてねーし」
白鳥勇次「じゃ、そーいうことだから」
鷲尾拓海「あ! ちょ! 待──」
鷲尾拓海(ただの、見間違いだったのかな・・・)
〇繁華な通り
白鳥勇次「・・・」
〇黒
― 6月上旬 ―
〇中規模マンション
― 店休日 ―
〇おしゃれなキッチン
前嶋琴美「じゃあ、今日はチーズインハンバーグを作るよ~」
鷲尾拓海「やった♪ チーズの入ったハンバーグ、大好きです!」
前嶋琴美「今日は、拓海くんも作るんだからね?」
鷲尾拓海「わかってますよ~」
前嶋琴美「じゃあ、玉葱みじん切りにしてもらおうかな?」
鷲尾拓海「頑張ります!」
鷲尾拓海「こうやって、切込みを入れて・・・ 横も・・・」
前嶋琴美「うんうん♪ そうそう!」
鷲尾拓海「で、切る!」
前嶋琴美「あ、上手♪」
鷲尾拓海「こ、琴美さん・・・」
前嶋琴美「んー?」
鷲尾拓海「玉葱が目に沁みて・・・」
鷲尾拓海「涙が止まりません~」
前嶋琴美「あららら・・・ティッシュティッシュ!」
琴美は拓海の涙を拭きとった
前嶋琴美「どう?」
鷲尾拓海「大丈夫そうです」
前嶋琴美「良かった♪」
前嶋琴美「チーズを入れて、小判型にしたら、焼くよ!」
鷲尾拓海「はい!」
前嶋琴美「フライパン、熱いから気をつけてね~」
鷲尾拓海「は、はい・・・えいっ」
前嶋琴美「で、焼き目がついたら、ひっくり返そ!」
鷲尾拓海「・・・せーの!」
前嶋琴美「うん、いいんじゃない?」
前嶋琴美(そういえば、誰かと一緒に料理するのって初めてかも・・・)
前嶋琴美(・・・楽しい)
前嶋琴美(こんな気持ち、何年振りだろ?)
前嶋琴美(・・・拓海くんと一緒、だから?)
前嶋琴美(あ、そーだ!)
前嶋琴美「ねえ拓海くん、今度は──」
前嶋琴美(はっ! 私ってば調子乗って、買い物も一緒に行こうなんて言うところだった・・・)
前嶋琴美「・・・ごめん、なんでもない」
鷲尾拓海「・・・琴美さん」
前嶋琴美「うん?」
鷲尾拓海「やっぱり琴美さんと一緒に料理するの、すっごく楽しい!」
前嶋琴美(・・・拓海くん)
鷲尾拓海「今度は・・・一緒に買い物にも行きたいんですけど、どうですか?」
前嶋琴美「あ! うん・・・そう、だね」
前嶋琴美「じ、じゃあ、荷物持ってもらっちゃお~♪」
鷲尾拓海「いくらでも持ちますよ!」
前嶋琴美(考えてることが同じって・・・ こんなに嬉しかったっけ)
〇黒
― 6月中旬 ―
〇おしゃれなレストラン
― 閉店後 ―
鷲尾拓海(ん?)
鷲尾拓海(南?)
鷲尾拓海(琴美さん、着替え中だし 少しなら大丈夫かな)
鷲尾拓海「琴美さん、すみません! 少しだけ外に出てくるので」
鷲尾拓海「着替え終わったら、ここで待っていてもらえますかー?」
前嶋琴美「あ、はーい! わかったー!」
鷲尾拓海(・・・よし)
〇ビルの裏通り
鷲尾拓海(あ、南・・・ と、誰か一緒にいる?)
鷲尾拓海(──アイツ!)
鷲尾拓海「南! さっきのヤツ!」
南「あ、拓~♪」
南「どうしたの? 怖い顔して」
鷲尾拓海「さっき一緒にいた人・・・」
南「え? 道を聞かれただけだよ~?」
鷲尾拓海「ホント? 前にも会ってたよね?」
南「ええ~? 会ってないよぉ」
鷲尾拓海「いや、この前、カフェの前で・・・」
南「う~ん、誰かと勘違いしてるんじゃない?」
鷲尾拓海「・・・いや、でも」
南「あ! 拓~私が変な男の人についていきそうで心配してくれてるの~?」
鷲尾拓海「え!」
南「拓が私のこと、気にかけてくれるなんて、嬉しい!」
〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美「拓海くん、まだかなぁ」
前嶋琴美「こっちにいないってことは、裏口かなぁ?」
〇ビルの裏通り
前嶋琴美(あ・・・拓海くん?)
???「──嬉しい!」
前嶋琴美(・・・え?)
前嶋琴美(! 南さん・・・)
〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美(南さんと会ってたんだ・・・)
前嶋琴美(ハグ、してた・・・)
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ハンバーグ美味しそう💕😆
一緒にお料理して可愛い雰囲気だったのに、邪魔男くんめ……馬に蹴られろ!
んも〜❤ さっさと結婚しちゃえば良いのに😆 とか思っていたら一気に不穏な空気に…… こじれさせんといて〜
(関係ないけどスチルのハンバーグ、メチャクチャ美味しそうでした❤)
甘ーいお料理シーンからの、どす黒い嫉妬の感情、落差が大きすぎて心にきますね。勇次の執着というか執念というか、とにかく恐ろしすぎます