1話 出会い(脚本)
〇川沿いの公園
なぁ。いったい何をそんなにビビってんだ?
内藤要(ないとうかなめ)「・・・」
──ったく。安心しろよ、別にこれは浮気なんかじゃないだろ?
だって俺達は”男同士”で会ってるだけなんだから。
そう言って彼──もとい武雄は僕に言い放った。
武雄(タケオ)「なぁ、今日はどこにデートに行く?」
内藤要(ないとうかなめ)「デート?」
内藤要(ないとうかなめ)「さっきはこれは浮気じゃないと言ったじゃないか!」
武雄(タケオ)「・・・」
武雄(タケオ)「冗談だから、そんなにムキになるなよ」
武雄(タケオ)「だからさ・・・。まだ家に帰んないで俺と夜の街で遊ぼうぜ? な?」
内藤要(ないとうかなめ)「・・・」
武雄(タケオ)「・・・だめ、か?」
武雄(タケオ)「ごめん」
武雄(タケオ)「まだ、お前と離れたくない」
武雄(タケオ)「もう少しだけ・・・俺と居てくれよ」
内藤要(ないとうかなめ)(駄目だ。これは甘い誘惑だ。僕には愛する妻がいるんだ)
武雄(タケオ)「なぁ、頼む・・・。俺、寂しいんだ」
内藤要(ないとうかなめ)「わかった。けどその代わり少しだけだ」
内藤要(ないとうかなめ)「必ず終電には乗って帰るからな?」
武雄(タケオ)「ふふ、そうこなくちゃな」
〇モヤモヤ
僕は妻へと電話をかけた。
けど、心の中でこのかけた電話に妻が出て欲しくないと願った。
内藤要(ないとうかなめ)(多分、もう寝てる時間だよな)
内藤理沙(ないとうりさ)「あっ、もしもしカナメっち?」
──どうやら僕の願いは通じなかったようだ。
内藤理沙(ないとうりさ)「今日はどうしたん? 残業?」
内藤要(ないとうかなめ)「う、うん」
内藤理沙(ないとうりさ)「そっか~・・・」
内藤理沙(ないとうりさ)「あんね・・・。構ってあげられなくてごめんね。ウチ反省しとるんよ」
内藤理沙(ないとうりさ)「じゃけえ今日は久しぶりに料理を作って待っとるんよ」
内藤理沙(ないとうりさ)「ほいで失敗したりしたけど。なんとか頑張ったんよ」
内藤理沙(ないとうりさ)「なんか・・・カナメっちと夫婦であることを久しぶりに感じたくなったけえ・・・」
内藤理沙(ないとうりさ)「じゃけえ──待っとるね」
〇川沿いの公園
武雄(タケオ)「なぁ・・・カナメ?」
内藤要(ないとうかなめ)(あぁ・・・僕は──)
〇アパートの玄関前
〇アパートのダイニング
内藤要(ないとうかなめ)「んー。起きて準備しないと」
内藤要(ないとうかなめ)「よし、あとはリサちゃんを起こさないと」
〇本棚のある部屋
内藤理沙(ないとうりさ)「ムニャムニャ・・・」
内藤要(ないとうかなめ)(リサちゃん、またそんな格好で仕事して寝ちゃったのか)
内藤要(ないとうかなめ)「起きて、朝食冷めちゃうよ?」
内藤理沙(ないとうりさ)「うぅ・・・ごめーんカナメっち・・・。深夜まで漫画の原稿描いとったけえ起きれーん」
内藤要(ないとうかなめ)「そっか、お疲れ様」
内藤要(ないとうかなめ)「それじゃラップして置いとくから好きな時に食べてね」
内藤要(ないとうかなめ)「僕は会社に行ってくるから」
内藤理沙(ないとうりさ)「・・・」
〇電車の中
内藤要(ないとうかなめ)(最近ずっとリサちゃんと会話してないな)
内藤要(ないとうかなめ)(まぁ、今は漫画の締め切り間近でとっても忙しいんだけど)
内藤要(ないとうかなめ)(それでも・・・なんか寂しいな)
次は〇〇駅。乗車するお客様の為に奥に詰めてご乗車ください
内藤要(ないとうかなめ)(うわぁ。まだ人が乗るのか・・・狭い)
〇オフィスのフロア
佐伯部長(さえきぶちょう)「テメえはよぉ! 何べん言ったら分かるんだオラ! ほんと無能だなオイ!」
内藤要(ないとうかなめ)「すみません!」
内藤要(ないとうかなめ)(また部長に怒られてしまった)
内藤要(ないとうかなめ)(けど、こんな理不尽に暴力を奮う事はない筈だ!)
佐伯部長(さえきぶちょう)「なんだその目は? テメエの代わりはいくらでもいるんだから辞表書いて提出してもいいんだぞ?」
内藤要(ないとうかなめ)(く・・・ここで感情に身をまかせたらダメだ)
内藤要(ないとうかなめ)(リサちゃんを養えなくなってしまう)
内藤要(ないとうかなめ)「なんでも・・・ありません。すぐ仕事に戻ります」
佐伯部長(さえきぶちょう)「あっそ」
佐伯部長(さえきぶちょう)「それと今日の夜飲みに行くから付き合えよ」
内藤要(ないとうかなめ)「はい・・・わかりました」
内藤要(ないとうかなめ)(リサちゃんに遅くなるって連絡しとこう)
おかけになった電話は──
内藤要(ないとうかなめ)(まだ寝てるのか・・・)
〇ネオン街
佐伯部長(さえきぶちょう)「よーし、今日は俺の奢りだ。ハメをはずすぞ」
内藤要(ないとうかなめ)「ありがとうございます」
内藤要(ないとうかなめ)(あぁ、どうせまた無理やり吐くまで酒を飲まされるのか)
〇スナック
内藤要(ないとうかなめ)「えっ? キャバクラ!?」
内藤要(ないとうかなめ)「まずいですよ部長。こんなところに来てるのがバレたら妻に怒られます!」
佐伯部長(さえきぶちょう)「あ? うっせーな。独身の俺に対する当てつけか?」
佐伯部長(さえきぶちょう)「あと安心しろよ、別にここなら浮気になんてなんねーよ」
内藤要(ないとうかなめ)「えっと・・・どういう──」
???「んっふ~ん♡」
三浦マリン(みうらまりん)「いらっしゃーい♡」
内藤要(ないとうかなめ)(なんか出た!?)
三浦マリン(みうらまりん)「あら? お客さん初めて見る顔ね」
内藤要(ないとうかなめ)「えーと、ここは一体なんのお店なんですか?」
三浦マリン(みうらまりん)「良い質問ね。所謂ここは『オカマバー』よ」
三浦マリン(みうらまりん)「そして私がこのお店『オカマバー♡マリンキャンプ』のママ(店長)よ」
佐伯部長(さえきぶちょう)「ママ、今日はコイツ初めてだからサービスしてやってよ」
三浦マリン(みうらまりん)「りょーかーい♪ いつも佐伯ちゃんにはウチの店の常連でよくしてもらってるからサービスするわ!」
内藤要(ないとうかなめ)(なんか変な所につれてこられちゃったな)
〇スナック
「どうも~、よろチ〇ビ~☆彡」
佐伯部長(さえきぶちょう)「おいおいバケモノしかいねえじゃねえか! どうなってんだよママ!」
まる♡ちゃん「ああ!? 誰がバケモンじゃこら!」
ガリ子「シバキ回すぞオラ!」
内藤要(ないとうかなめ)(うぅ・・・地獄だ)
三浦マリン(みうらまりん)「ごめんなさーい、もう少ししたらウチのかわいい子が入ってくるからそれまで私達で盛り上がりましょう」
「あ、ソレソレソレソレ! ソレソレソレソレ!」
「グイ、グイ、ぐっぐーぐぐい♫」
「漢(オトコ)は黙ってハイボール!」
「一気に飲んで良い漢(オトコ)〜♫ キャー♡」
佐伯部長(さえきぶちょう)「おい、ここはお前が飲め。命令だ」
内藤要(ないとうかなめ)(ええー! 無理だよ)
内藤要(ないとうかなめ)(けど、断ったら部長、明日ずっと今日の事で不機嫌になるだろうな)
内藤要(ないとうかなめ)「そ、それじゃあ僕が行かせてもらいます」
三浦マリン(みうらまりん)「キャー! いいオトコ〜♡」
佐伯部長(さえきぶちょう)「ガハハハ! 良いぞ良いぞ!」
内藤要(ないとうかなめ)(うぅ、気持ち悪い)
その後、部長だけ盛り上がった。
〇スナック
内藤要(ないとうかなめ)「・・・」
内藤要(ないとうかなめ)「あ、アレ? 今何時!? ここは──」
???「ふふ。お兄さんやっと目覚めたね」
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表紙に惹かれて読みました。面白かったです。
奥さんがBL作家ということは、この浮気をむしろ喜んだりは、しなさそうですね;
続き楽しみにしています。
面白い角度からの物語展開で、読んでいくにつれてどんどん興味がそそられました!今後のストーリーが気になります。それと、マリンママのお店に行ってみたくなりますねw
妻が広島弁?かな、めちゃめちゃ訛ってたのがリアルでした。何描いてるのでしょうか。まさか男×男の薄い本だったりして。だとすると皮肉ですね。