P18・終焉(脚本)
〇洋館の玄関ホール
ヴィエリゼ(ルカード!!)
ラフェル「おや、勇者様じゃないか」
ラフェル「遅かったね」
ラフェル「きみも魔獣狩りを楽しんできたの?」
ヴィエリゼ「・・・!?」
ラフェル「ああ、きみには話してなかったけど、僕が連れて来たのは護衛の二人だけじゃないんだ」
ラフェル「今頃、領内で傭兵たちが 狩猟を楽しんでいると思うよ」
ヴィエリゼ(そんな・・・)
ヴィエリゼ(許せない──)
ラフェル「あははっ、怒った顔も可愛いね」
ラフェル「大丈夫、きみ以外の魔族は 全て滅ぼしてあげるから」
ラフェル「みんな一緒なら寂しくないでしょう?」
ヴィエリゼ「・・・っ」
ルカード「エリゼ、大丈夫だから」
ルカード「魔獣たちのことは、 キオルとミアが守ってくれてる」
ラフェル「エリゼだなんて呼ばれてるの?」
ラフェル「うーん」
ラフェル「それなら、僕はヴィーとでも呼ぼうかな」
ラフェル「ねぇ、ヴィー」
ラフェル「〝勇者を殺して〟」
ヴィエリゼ「い・・・ゃ・・・」
ルカード「・・・っ」
ルカード「くっ・・・」
ルカード「エリゼ・・・」
ヴィエリゼ「・・・ッ」
ルカード「その首飾り・・・」
ラフェル「いい品だろう?」
ラフェル「彼女に相応しい首輪だ」
ルカード「貴様・・・ッ」
ラフェル「魔王は手中に収めた」
ラフェル「勇者はもう、要らない」
ラフェル「ギルドには殉職したと伝えるよ」
ラフェル「ヴィー!」
ルカード「うっ・・・」
ダーリナ「私たちの力ではヴィエリゼ様を 抑えることはできません」
ローレット「目くらましだけで精一杯!」
ルカード「充分だよ、ありがとう」
ローレット「あれよ!」
ローレット「あのチョーカーをつけてから エリゼの様子がおかしいの」
ルカード「あれは身につけた対象を操る魔導具だ」
ラフェル「そう」
ラフェル「本来なら自我をも奪えるはずなんだけど、 さすが魔王だ。容易にはいかないね」
ラフェル「でも──」
ラフェル「心は奪えなくても 身体はもう思いのままさ」
ラフェル「ヴィー!」
ラフェル「奴らを〝殺せ〟」
ローレット「うぅっ・・・」
ダーリナ「ローレット!」
ダーリナ「怪我してるんだから、無理しないで」
ローレット「分かってる!」
ローレット「いま私が倒れたら、 エリゼがもっと傷付く」
ローレット「それだけは嫌」
ローレット「もうっ! エリゼの魔力は無尽蔵なの!?」
ダーリナ「いったいどうしたら・・・」
ルカード「ラフェル!」
ラフェル「おっと、危ない」
ルカード「あの首飾りを外せ!!」
ラフェル「残念だけど、あれは一度つけたら 外せないように出来ているんだ」
ルカード「何っ!?」
ラフェル「ついでに言っておくと──」
ラフェル「僕を倒してもヴィーの洗脳は解けないよ」
ルカード「くっ・・・」
ラフェル「だから、早く死んで?」
ラフェル「強いね。さすが勇者様だ」
ルカード「お褒めに預かりましてどーも!」
ラフェル「ねぇ、その強さを僕の下で活かしてよ」
ルカード「は・・・?」
ラフェル「僕は国王になりたいんだ。そのためには 兄たちを始末しないといけない」
ルカード「何を言って・・・」
ラフェル「だから、手伝って?」
ラフェル「兄の補佐で終わるなんて僕は御免だ」
ラフェル「何の力もない小国出身の第四王妃だからと母を不当に扱った奴らを、僕は絶対に許さない・・・」
ルカード「自分の復讐に、関係のない魔界を── 魔族を巻き込むなッ!!」
ラフェル「くっ・・・」
ラフェル「ヴィー、こちらに──」
ラフェル「がぁっ!!」
ゲンティム「おいおい、嬢ちゃんなんか呼ばず 俺たちだけで遊ぼうぜ」
ルカード「ゲンティムさん!」
ルカード「よかった、無事だったんだ・・・」
ゲンティム「ぶっちゃけ死にそう」
ゲンティム「だが──」
ゲンティム「ここでくたばったらフェゴールに「ヤツは四天王の中でも最弱」とか言ってネタにされちまうからな」
ゲンティム「どうする? あいつを足止めすればいいのか?」
ラフェル「ぐっ・・・このっ・・・」
ルカード「エリゼの洗脳を解くにはどうしたらいい?」
ルカード「答えろ!!」
ラフェル「・・・ふっ」
ラフェル「ふふっ」
ルカード「何がおかしい」
ラフェル「あははははははッ!!」
ラフェル「あの首枷は誰にも外せない」
ラフェル「そして、彼女は僕の言うことしか聞かない」
ラフェル「魔王、ヴィエリゼ・レイヤール・ヴァンダドラル!!」
ラフェル「ここにいる全員を──」
〇黒
ラフェル「──〝殺せ〟!!」
嫌・・・
もう嫌だ。もう誰も傷付けたくない。
誰か、助けて・・・
〇洋館の玄関ホール
ヴィエリゼ「ルカ・・・ド・・・」
ルカード「エリゼ・・・ッ」
〇洋館の玄関ホール
ラフェル「あははっ」
ラフェル「勇者よ!」
ラフェル「魔王を止めたければその首を刎ねろ!!」
ラフェル「そうすればきみたちは助かるだろう」
ローレット「そんなことできるわけないじゃない!!」
ダーリナ「なんとかヴィエリゼ様の動きを封じましょう!!」
ダーリナ「ハッ!」
ローレット「やあッ!!」
ヴィエリゼ(だめ・・・っ 二人とも逃げて!!)
ローレット/ダーリナ「きゃあああああっ!!」
ゲンティム「くそっ・・・ 嬢ちゃんには効かねえか」
ヴィエリゼ(ゲンティム・・・もうやめて! お願いだから逃げて!!)
ゲンティム「ぐっ・・・」
ヴィエリゼ(ゲンティム!!)
ヴィエリゼ「くっ・・・う・・・」
ヴィエリゼ(嫌・・・やめて・・・!!)
ゲンティム「────ッ!!」
ヴィエリゼ「・・・ぁ・・・あっ・・・」
ゲンティム「すまねえ、嬢ちゃん・・・」
ヴィエリゼ「ゲン・・・ い・・・ぁっ・・・」
ヴィエリゼ(嫌!! もう嫌!! もうやめて──)
ルカード「エリゼ!!」
〇黒
暖かい・・・
私、ルカードに抱きしめられてるの?
ルカード「ごめん、来るのが遅くなって・・・」
ヴィエリゼ(ううん、ルカードは悪くない・・・)
ルカード「ごめん、きみに剣を向けて・・・」
ヴィエリゼ(ううん、私が悪いの・・・)
ルカード「ごめん・・・」
ヴィエリゼ(そっか・・・)
ルカード「ごめん・・・っ」
ヴィエリゼ(終わらせてくれるんだね──)
ヴィエリゼ(あなたの手で)
せめて、ちゃんと好きだと伝えればよかった。
本当は・・・
子供の頃から
初めて会った時から
あなたに惹かれていたの
私の、勇者様──
エフェクトもりもり‼️それぞれの個性と属性にマッチした攻防の演出、見ていて楽しいです✨
王子も勇者とそこそこ渡り合えるとは相当な手練れ…
そして……最後は……
エンディングノートの願いが叶ってしまう…!?😭