10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在ミグ

第15話 大気津アメタによるレポート(脚本)

10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在ミグ

今すぐ読む

10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇飛行機の座席
ウリコ「おじさん、お仕事?」
アメタ「ああ、そうだよ」
ムルア「空中キーボード出せば良いのに」
ムルア「インストールしてないのか?」
アメタ「物理キーの方が楽なんだよ」
ムルア「フリック入力出来ないオヤジ」
アメタ「うるさいよ」
ウリコ「何を書いてるの?」
アメタ「レポート。報告書だよ」
ウリコ「・・・・・・日直なの?」
アメタ「学級日誌じゃないけど・・・・・・」
アメタ「似たようなもんかな?」
ムルア「ちょっと見せろよ」
アメタ「書いてる途中なんだけど・・・・・・」
ウリコ「私も見た〜い」
アメタ「えぇ・・・・・・」

〇渋谷の雑踏
アメタ「地球の総人口が百億人を突破していた」
アメタ「食糧は足りなくなり、」
アメタ「その結果、食欲と性欲が逆転した」
アメタ「勿論、話はそこまで単純じゃない」
アメタ「これには複雑な背景がある」

〇原っぱ
アメタ「発端となったのは、日本の劣悪な食糧事情だ」
アメタ「効率を重視した生産を繰り返す事で、環境を汚染し、」
アメタ「そこから未知のウイルスが誕生した」
アメタ「このウイルス自体に危険性はなかったが、」
アメタ「情報は中国に漏れ、」
アメタ「後にLLPAWMと呼ばれるナノマシンへと改良された」

〇繁華な通り
アメタ「LLPAWMは信仰心の様なものを持っていれば、誰でも感染する」
アメタ「これは特定の宗教を持っていないくても、だ」
アメタ「民族、国家、仕事、学歴、カネ、恋愛、結婚・・・・・・」
アメタ「絶対的に信じられる『何か』」
アメタ「それさえあれば誰でも感染してしまう」
アメタ「人口を把握するのに、これ程都合の良いものはないだろう」

〇荒廃した国会議事堂
アメタ「当然の様に、各国の政府がこれを利用した」
アメタ「配給品である食糧にLLPAWMを添加し、」
アメタ「国民の胃袋を掴むと同時に、人口の管理、制御を始めた」
アメタ「また、徹底したプロパガンダにより、」
アメタ「食欲はいやらしく、淫らなものへ、」
アメタ「性欲は開放的な文化へと価値観を変えていった」
アメタ「オーウェルもびっくりの管理社会だ」

〇宝石店
アメタ「勿論、ウイルスだけで人間の管理は出来ない」
アメタ「食糧なんて尚更だ」
アメタ「そこで僕等の出番となる」
アメタ「国連食糧農業機関(FAO) 第壱級食糧監察官(1st hood Inspector)」
アメタ「それが僕、大気津アメタの肩書だ」
アメタ「不正に入手された食材、食糧の不法取引の取締などを行う」
アメタ「とてもやりがいのあるしごとであり、ぼくはすごくねっしんにはたらいている」
アメタ「そんな折だ、或る事件が起きたのは・・・・・・」

〇劇場の座席
アメタ「世界同時多発幼児退行化現象」
アメタ「母が危篤という知らせを受け、」
アメタ「帰国した僕を待っていたのは、不可解な事件だった」
アメタ「事件当時、僕は学生時代に交際していた女性、」
アメタ「保食ウカと、その娘ウリコと共に、事件に遭遇した」

〇地球
アメタ「極めて謎の多い現象、事件だ」
アメタ「詳細については未だ不明」
アメタ「わかっている事は、突如、何の前触れもなく、人が精神的な幼児退行を起こしてしまう、という事だけだ」
アメタ「その先にどうなるのかは、誰にも、まったく予想がつかない」
アメタ「発生条件についても謎が多い」
アメタ「誰でも発症する訳ではなく、」
アメタ「1 先進国の人間に目立って多い」
アメタ「2 取り分け、飢渇至上主義者に多く見られる」
アメタ「3 子供の発症は極めて稀なのか、或いは発症しないのか、今のところ確認されていない」
アメタ「という事がわかっている」
アメタ「また、飢渇至上主義者、即ちハングリストは、」
アメタ「その教義に反して、政府が支給している人工肉を食べていた事が判明している」
アメタ「しかし人工肉は我々食糧監察官にも支給されている為、」
アメタ「幼児退行の条件と関係しているかは不明である」

〇モヤモヤ
アメタ「事件の黒幕は誰なのか?」
アメタ「またその目的は?」
アメタ「今のところ何の確証も得られていない」
アメタ「怪しいとすれば・・・・・・」
アメタ「僕と同じ食糧監察官である」
アメタ「豊受シンノウ」
アメタ「『岩戸隠れの解放者』(アメノウズメ)とか言う革命組織の一員らしい」
アメタ「何を企んでいるのかはわからない」
アメタ「恐らく放っておいても問題ないだろう」
アメタ「このご時世で革命など出来る訳がない」
アメタ「もし本当に目的が革命ならば、だが」
アメタ「次に僕の上官である」
アメタ「ケレス・デメテル」
アメタ「LLPAWMの開発者」
アメタ「ハイヌヴェレ博士によると、」
アメタ「政府の有力者、食糧関係者のトップ、一部の科学者から成る秘密結社」
アメタ「『かまどの番人』(ウェスタ)の一員らしい」
アメタ「現在、最も疑わしい人物である」

〇飛行機の座席
ウリコ「う〜ん・・・・・・」
ウリコ「わからない!」
アメタ「ウリコにはちょっと難しいね」
ムルア「マザーは?」
アメタ「うん?」
ムルア「マスター・マザーは黒幕候補に入ってないのか?」

〇電脳空間
アメタ「マザーは実在しないだろ」
ムルア「そうなのか?」
アメタ「あれはイコン、偶像みたいなもので」
アメタ「モデルになった人物くらいはいるんだろうけど・・・・・・」
ムルア「だって飢渇至上主義の教祖様なんだろ?」
ムルア「私はてっきり・・・・・・」
アメタ「・・・・・・」

〇飛行機の座席
アメタ「・・・・・・」
ムルア「アメタ?」
ムルア「どうした?」
ウリコ「おなか痛いの?」
アメタ「あ、いや、何でもない・・・・・・」
  今のは何だろう?
  妙な違和感? 閃き?
  何かが引っ掛かっている。
  まあ、今は考えても仕方がないだろう。

〇空
  僕らはイタリアへと向かう。

次のエピソード:第16話 ハングリィ計劃

コメント

  • 最新話に追いついちゃった……続きはいつですか!
    なんと、バッドエンドのはずが、反応で育ってるんですね😆頑張ってください✨️
    アメタのひらがなセリフ笑いましたwいけしゃあしゃあw
    女性陣がみんな魅力的なので、恋愛方面も予測つきませんね。応援したいのはムルアちゃんかな~

  • 少しうろ覚えになっていた部分もあったので、アメタレポートのおかげで改めて理解できました!
    ただの総集編と思いきや、マザーに関する気になる引き。最初はアメタの〇〇が正体だと思っていたのですが、そうでないようなあるような…まだ予想がつかないですね。
    次回からの新章、ローマは一度だけ行ったことがるのでなおさら楽しみです^^

  • 読者の反応をストーリーに組み込んでいくからこそ、きっとミグランス様のストーリーは多くの方に愛されるのだと思います👍
    もちろん、面白いのも大前提で✨

    途中のアメタのセリフで全部平仮名の所があったんですが、仕様でしょうか?
    また次回も楽しみにしております!

コメントをもっと見る(12件)

成分キーワード

ページTOPへ