Cross the line(一線を越える)

鷹志

第1話 Cross the line(一線を越える)(脚本)

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鷹志

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〇豪華なリビングダイニング
沙羅「お兄ちゃん、起きてよ」
沙羅「今日は一緒に買い物に行くって言ったでしょ」
直樹「わかってるよ」
直樹「休みの日くらいゆっくり寝ていたいなあ」
直樹「おはよう、沙羅」
沙羅「おはよう、お兄ちゃん」
沙羅「ご飯用意しておいたから、顔洗ってきなよ」
直樹「お、おいしそうだな」
直樹「沙羅は料理が上手だよなあ」
沙羅「えへへ」
沙羅「こんなにおいしい料理を毎日食べられて、お兄ちゃんは幸せ者だね」
直樹「はいはい。顔を洗ってくるよ」
  直樹と沙羅は兄妹。
  しかし、血はつながっていない。
  直樹の母親は、直樹が小さいときに病気で亡くなった。
  沙羅の父親は、沙羅が生まれて数年後に離婚して家を出ていった。
  その後、直樹の父親と沙羅の母親が結婚した。
  2人はもともと仕事のパートナーで、主に海外でビジネスを行っている。
  そのため、結婚後もほとんどの期間を海外で過ごしている。
  家に帰ってくるのは、一年に一回あるかどうかくらい。
  そのため、直樹と沙羅は、両親が結婚してからほぼずっと2人きりで暮らしている。
沙羅「全く、お兄ちゃんは私がいないと全然ダメなんだから」

〇テーブル席
沙羅「ショッピング、楽しかったね」
直樹「俺は疲れたよ」
沙羅「こうしてると、何か2人でデートしてるみたいだね」
直樹「は? 変なこと言うなよ」
沙羅「えへへ」
沙羅(お兄ちゃんは私がいないと何もできないんだから)
沙羅(困ったもんだ)
沙羅(もう27歳になるのに、彼女もいたことないし)
沙羅(仕方ないから、毎年クリスマスや誕生日は一緒に過ごしてあげてる)
沙羅(バレンタインもチョコ0個じゃかわいそうだから、毎年あげてるけど)
沙羅(本当、もっとしっかりしてもらわないと)
沙羅(でも・・・)
沙羅(お兄ちゃんは誰よりも私にやさしい)
  お兄ちゃんは私がいないとダメなんだ。
  ずっとそう思っていた・・・

〇豪華なリビングダイニング
沙羅「お兄ちゃん」
沙羅「来週のお兄ちゃんの誕生日祝い、今年もまた家でやろうね」
直樹「う、うん」
沙羅「どうしたの?」
直樹「実は沙羅に話があるんだ」
沙羅「話って?」
直樹「誕生日に沙羅に会ってほしい人がいるんだ」
沙羅「会ってほしい人?」
直樹「実は、その、今付き合っている人がいて・・・」
沙羅「えっ・・・」
直樹「「うちは両親がほとんど家にいないから妹と2人で暮らしている」って話をしたら、彼女がぜひ沙羅に会いたいって」
沙羅「彼女・・・」
直樹「嫌か?」
直樹「嫌ならいいんだ。今の話は忘れてくれ」
沙羅「お兄ちゃん、彼女ができたんだ」
沙羅「おめでとう!」
沙羅「私も会ってみたい」
直樹「そうか。よかった」
沙羅「でもお兄ちゃん。できたばかりの彼女をいきなり家族に会わせるなんて、大胆だね」
直樹「実は付き合ってもうすぐ一年なんだ」
沙羅「えっ・・・」
直樹「おっと、そろそろ会社に行く時間だ」
直樹「行ってくるよ」
沙羅「行ってらっしゃい・・・」
沙羅(お兄ちゃんに一年前から彼女がいた)
沙羅(私、ぜんぜん気づかなかった・・・)

〇豪華なリビングダイニング
直樹「沙羅、紹介するよ」
直樹「美由紀さんだ」
美由紀「はじめまして、沙羅ちゃん。美由紀です」
沙羅「は、はじめまして。沙羅です」
直樹「沙羅、緊張してるのか? 珍しいな」
美由紀「沙羅ちゃん、かわいい。直樹さんの言った通りね」
美由紀「直樹さん、デート中も沙羅ちゃんの話するのよ」
直樹「おいおい、美由紀さん」
美由紀「最初は「この人大丈夫かな?」って思ったけど」
美由紀「沙羅ちゃんを見てわかったわ」
美由紀「こんなかわいい妹さんだったら、いろいろ心配になるわよね」
直樹「美由紀さん、やめてくれよ」
美由紀「沙羅ちゃん、よろしくね」
沙羅「はい!」
沙羅「こんな素敵な人、お兄ちゃんにはもったいないよ」
美由紀「まあ」
直樹「おいおい、お前まで」
沙羅「えへへ」
沙羅「そうだ! 記念に3人で写真を撮ろうよ」
沙羅「ほら、タイマーセットしたよ」
沙羅「2人とも笑って。ハイチーズ!」

〇綺麗な部屋
沙羅(美由紀さん、素敵な人だったな)
沙羅(美人でやさしくて)
沙羅(それに・・・)
沙羅(美由紀さんといるお兄ちゃん、とっても楽しそうだった)
沙羅(幸せそうだった)
沙羅(あんな顔してるお兄ちゃん、はじめて見た)
沙羅(お兄ちゃんが幸せになれてうれしい)
沙羅(うれしいはずなのに・・・)
沙羅(とても辛い。さびしい)
沙羅(お兄ちゃんは私がいないと何もできない、じゃなかったんだ)
沙羅(私のほうが、お兄ちゃんがいないと何もできなかったんだ・・・)
沙羅(お兄ちゃん・・・)

〇豪華なリビングダイニング
  それからしばらくして、再び美由紀がやって来た。
沙羅「美由紀さん、この間撮った写真あげる」
美由紀「ありがとう」
沙羅「美由紀さん、写真でも美人だね」
美由紀「あら、沙羅ちゃんもとってもかわいいわよ」
沙羅「それに比べて、お兄ちゃんはパッとしないなあ」
直樹「そんな言い方はないだろ」
沙羅「えへへ」
美由紀「2人は本当に仲がいいわね」
直樹「まあ、2人きりの兄妹だし」
美由紀「あら、世の中には身内でも仲の悪い人はたくさんいるわよ」
沙羅「そうなの?」
美由紀「ええ。私の叔父さんや叔母さんもいつも喧嘩してるし」
美由紀「夫婦や親子の間でも仲が悪いなんて話はたくさんあるわよ」
沙羅「ふーん、そうなんだ」
美由紀「結局、愛情とか好きっていうのは、家族だとか血のつながりがあるだとかは関係ないものなのよ、きっと」
美由紀「そんな枠にとらわれない、自由なものなのよ」
沙羅「!!」
沙羅「愛情や好きは自由・・・」
沙羅「・・・」

〇綺麗な部屋
  数日後・・・
沙羅「愛情や好きは自由・・・」
沙羅「好きなら、兄妹であるとかそんなことは関係ない・・・か」

〇本棚のある部屋
直樹「そろそろ寝るか」
沙羅「お兄ちゃん」
直樹「沙羅、どうしたこんな遅くに?」
沙羅「うん・・・」
直樹「どこか調子が悪いのか? 病院に連れて行くぞ」
沙羅「お兄ちゃんは本当にやさしいね」
  沙羅が部屋の電気を消す・・・

〇本棚のある部屋
直樹「おい、沙羅。何してんだ」
  沙羅が直樹に抱きつく・・・
沙羅「お兄ちゃん・・・」
直樹「おい沙羅、どうしたんだ」
沙羅「お兄ちゃん・・・好き」
直樹「沙羅・・・」
直樹「沙羅、やめろ」
沙羅「お兄ちゃん・・・」

〇黒
沙羅「お兄ちゃん・・・」
直樹「沙羅、お前自分が何してるかわかっているのか」
沙羅「お兄ちゃん、私のほうがいいでしょ」
直樹「沙羅、馬鹿なことはやめろ」
沙羅「お兄ちゃん・・・」
直樹「沙羅・・・」
「・・・・・・」

〇豪華なリビングダイニング
  翌日・・・
直樹「・・・」
沙羅「お兄ちゃん、おはよう!」
直樹「沙羅・・・」
沙羅「昨日はよく眠れた?」
直樹「・・・」
直樹「沙羅、お前・・・」
沙羅「もう、こんな時間!」
沙羅「私、先に行くね。行ってきまーす」
直樹「沙羅・・・」

〇大企業のオフィスビル
沙羅「美由紀さん!」
美由紀「沙羅ちゃん」
沙羅「これからお仕事ですか?」
美由紀「ええ。沙羅ちゃんは大学?」
沙羅「はい」
沙羅「そうだ!」
沙羅「私、今日は友だちの家に泊まるんです」
美由紀「?」
沙羅「兄が寂しがるんで、美由紀さん、うちに泊まりに来ませんか?」
沙羅「2人で兄の部屋のベッドで朝まで楽しく過ごしてください」
美由紀「えっ!?」
沙羅「えへへ」
美由紀「もう、沙羅ちゃんったら」
沙羅「じゃあ、失礼しまーす」
美由紀「何なの、一体?」

〇豪華なリビングダイニング
  その日の仕事帰り、美由紀は直樹の家に行く・・・
直樹「どうしたの、急に?」
美由紀「直樹さんに今すぐ会いたくて。ダメ?」
直樹「いや、そんなことは・・・」
美由紀(沙羅ちゃんの話を聞いて、つい来ちゃった)
美由紀(朝の沙羅ちゃんの様子、どこかいつもと違ってた気がする)
直樹「えっと、美由紀さん」
直樹「あの、その・・・」
美由紀「?」
美由紀(直樹さんの様子もどこかおかしい)
美由紀「そういえば、今日沙羅ちゃんに会って・・・」
直樹「えっ!」
直樹「い、いや何でもない」
美由紀(やっぱり何かおかしい)
美由紀「ちょっと家に電話してくるね」
直樹「は、はい」
  美由紀はこっそり直樹の部屋に行く・・・

〇本棚のある部屋
美由紀(ここが直樹さんの部屋)
美由紀(女性の香水の匂いがする!?)
美由紀(この匂いは沙羅ちゃんがよくつけているもの!?)
沙羅「2人で兄の部屋のベッドで朝まで楽しく過ごしてください」
  美由紀がベッドに近づく。
美由紀(ここにも香水の匂い)
美由紀(髪の毛が落ちている)
美由紀(えっ! 2種類の髪の毛がある。しかも男と女の分・・・)
美由紀(この髪は直樹さんと・・・沙羅ちゃん)
美由紀(どういうこと?)
美由紀(まさか!)
美由紀(あの2人が!?)

〇川沿いの公園
美由紀(どういうこと?)
美由紀(訳がわからない)
美由紀(でも、沙羅ちゃんが朝私に会ったのは、おそらく偶然じゃない)
美由紀(あの子はあそこで私を待っていた)
美由紀(わざとあのベッドを見せるために)
美由紀(2人であそこで過ごしたことを見せつけるために・・・)
美由紀(あの小娘、どういうつもり?)
女の子「お兄ちゃん、大好き!」
女の子「私大きくなったらお兄ちゃんと結婚する!」
男の子「わかったよ。お前をお嫁さんにしてやる」
女の子「約束だよ!」
美由紀「お兄ちゃん・・・」
  美由紀が沙羅の家で3人で撮った写真を見る・・・
美由紀「こんな写真・・・」
  美由紀は写真を破り
  火をつけて燃やし
  燃え尽きて残った灰を踏み潰した・・・
美由紀「あの女・・・」

次のエピソード:第2話 依存、執着…愛

コメント

  • 美由紀さんがヒートアップする展開っ!
    お兄さん、優柔不断そうだから、今後更にもつれそうで楽しみです❗️

  • こんばんは!最初は妹のほうが復讐するのかな、と思ったら彼女さんのほうだったんですね!
    彼氏が妹とできてたら衝撃すぎますね😂😱
    嫌な予感しかしないのに気になります!あとは本当は何があったのか…見どころたくさんですね!

  • 10代同士の衝動的な性愛ではないところが、怖かったです。
    兄貴の胸中が気になるところですが

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