パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第十七話 パンツ一枚、あればいい(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

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〇骸骨
ヒカリン「二人が邪神の気をひいてくれたおかげで あっさり金塊に辿り着けたなぁ」
ヒカリン「もらえるもんはもろとくか?」
ヒカリン「!?」
ヒカリン「速っ・・・!?」
ヒカリン「――ざっけんなや!! ・・・魔力が練れん!! ドブカス・・・がぁ!!」

〇骸骨
  第十七話 パンツ一枚、あればいい
ケンイチ「今のうちに傷の手当を」
ニュクス「ありがとうケンイチ君」
ニュクス「ごめん・・・僕は君達にひどいことを」
ケンイチ「俺は自分を見失って五階層をさまよったけど」
ケンイチ「シンは最下層まで迷いこんで ようやく目が覚めたんだな」
ケンイチ「五階層で助けてくれたんだろ?」
ニュクス「あ、ああ」
ケンイチ「ありがとう。これでチャラってことで」
ケンイチ「ただし!あとでゆきちゃんに謝れよ!」
ニュクス「ああ・・・わかった」
ケンイチ「ヴォロえもんが倒れてる!」
ケンイチ「・・・まだ息がある」
ニュクス「トドメを?」
ケンイチ「いいや。こいつもみんなに謝らせる」
ヴォロディームィル「ん・・・」
ヴォロディームィル「あ?何だこの苦ぇのは・・・」
ヴォロディームィル「薬草?これ最低ランクじゃねぇか。 こんなん気休めにもなんねぇぞ」
ケンイチ「みんなが集めてくれたんだ」
ヴォロディームィル「こんなのしか採れねぇザコ共かよ」
ケンイチ「おまえより弱い冒険者達が頑張ったんだ、 ありがたく頂戴しろ」
ヴォロディームィル「ブリ太のクセに生意気だぞ」
ケンイチ「ブリ太?」
ヴォロディームィル「ブリーフ太郎の略だ」
ヴォロディームィル「オイさっきの草もっとよこせ」
ヴォロディームィル「テメェ・・・今どっから取り出しやがった?」
ケンイチ「? パンツの中から」
ヴォロディームィル(イカれてやがる・・・!!)
ニュクス「これからどうする? 僕もヴォロドィームィルも死に体だが・・・」
ヴォロディームィル「試しに殺してみるか? 一気にレベルアップかもしれねぇぞ?」
ニュクス「半死人にトドメを刺しても 金星とは認められないだろう」
ケンイチ「・・・・・・」
ケンイチ「これが・・・聖剣」
ニュクス「聖剣の強度は使い手の魔力量に比例する。 魔力のないケンイチ君では──」
ヴォロディームィル「来やがったぞ!邪神だ!」
邪神「■■■■■■■■・・・」
ケンイチ「俺に任せろ」
ニュクス(聖剣を・・・何か策があるんだな?)
ニュクス(ケンイチ君を信じる!)
ニュクス「行け――ぶちかませ!」
ケンイチ「オラァッ!!」
ニュクス「聖剣を叩き折ったぁ!?」
ケンイチ「聖剣なんて要らない」
ケンイチ「パンツ一枚あればいい!!」
邪神「何ダ・・・オマエハ・・・」
邪神「オマエノ・・・ソノ姿ハ・・・マルデ」
邪神「私ノ・・・」

〇岩山の崖
  ずっとずっと昔──

〇火山の噴火
  古き獣達が闊歩していた頃から

〇火山のある島
  私は彼らとともにあった

〇岩穴の出口
  彼らは自然の岩穴に住んでいた

〇密林の中
  木の実をもいで食べ

〇菜の花畑
  死者に花を添えて弔った

〇雪洞
  いついつまでも巡りゆく
  素朴な暮らし

〇火山のある島
  そんな彼らが愛おしかった
  彼らも私を言祝いでくれた

〇岩山
  それなのに──
  山脈を越えて奴らがやってきた

〇黒
  私達がそれまで見たこともないもの――
  「鎧」に身を固め、「剣」を振るった
  奴らはずる賢く、したたかで、
  人を殺すすべに長けていた
  牧歌的な岩穴人に勝ち目はなかった
  私の力を以ってしても
  あの裁定の剣には――
  聖剣には敵わなかった

〇黒
  何もかも失った。樹々も、花も、大地も、
  鳥も、獣も、人も、生き方も、すべてを
  剣に串刺しにされたまま
  長い年月を過ごした
  私を貫く剣の刃が、その痛みが
  何度でも思い出させてくれた
  四百年のあいだ、何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも
  悲しみを、嘆きを、悔しさを、惨めさを、
  惨たらしさを、辱めを、怒りを、憤りを、
  憎しみを、恨みを、呪いを、宿怨を
  独りきりで苦しみもだえる日々が
  私を強くした
  次こそ奴らを皆殺しにできるように
  鎧に身を固め、剣を手にした奴らが
  再び私の前に現れたそのときこそ──
「・・・・・・」
「ナゼ・・・ナゼオマエハ・・・ ソンナ姿デ・・・ 鎧モ着ケズ・・・剣モ持タズ・・・」
ケンイチ「要らないよ」
ケンイチ「パンツ一枚、あればいい」
「ソレデハマルデ・・・コノ地ノ・・・」
ケンイチ「この土地で起きたことは聞いた」
ケンイチ「何が裁定の剣だよ」
ケンイチ「正邪を切り分ける? 頭ごなしに決めつけただけじゃないか」
ケンイチ「そうでしょ?カミさま」

〇菜の花畑
「カミさま」

〇白
邪神「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
カミ「ああ・・・」
カミ「懐かしい響きだ・・・ かつて私は・・・そう呼ばれていた・・・」
カミ「おまえは・・・・・・名を何という?」
ケンイチ「俺はケンイチ」
ケンイチ「パンイチ冒険者ケンイチだ」
カミ「パンイチ・・・」
カミ「・・・ありがとう。 パンイチ冒険者ケンイチ──」
カミ「私を・・・ 邪神の名から解き放ってくれた者よ・・・」

〇骸骨
ヴォロディームィル「き、消えた!?」
ケンイチ「この揺れは!?」
ニュクス「ラスボスをクリアしたことで ダンジョンの崩壊が始まったんだ」
ヴォロディームィル「バトルなしでクリアなんてアリかよ!?」
ケンイチ「急いで脱出しよう!」
  パチパチ(拍手)
ヒカリン「ラスボスクリアおめでとさん」
ケンイチ「その声はヒカリン・・・!」
ヒカリン「あとは脱出すればハッピーエンドやけど バッドエンドのほうが心に残るやろ?」
ヒカリン「――【泥沼】【恐怖】【腐蝕】」

〇手
ヴォロディームィル「今の俺ら相手に搦め手使うってこたぁ テメェも無傷とはほど遠いようだな」
ヒカリン「君らと比べたら千倍マシや」
ヒカリン「勝ちを確信した強者に絶望を。 それがワイの信条や」
ヒカリン「君ら全員ここで死んでくれ」

次のエピソード:最終話 パンイチ冒険者ケンイチ

コメント

  • カミさまの回想シーンでうるうるしてたら、カミさまが真面目な顔(?)して「パンイチ冒険者……」って言いだすものだからふいてしまったww

  • ヒカリン、ラスボスでしたか!
    呆気ないラストかと思ってました。
    イイ意味で裏切られたぜ!

  • 二回前からデュクシがずっと脳内汚染してる。もう今回出てないのに。デュクシ!

    ヴォロえもんのコメントが一番まともなのがいいですね。さて、金塊は…?

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