愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY9: 素直じゃないっ!(脚本)

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〇平屋の一戸建て
三澤梨々花「・・・・・・あれ? ハイジ!?」
三澤梨々花「家から抜け出して何やってるの!? まさか、私を待っててくれたとか」
ハイジ「ヴゥーー・・・」
三澤梨々花「ないよねー・・・ うん、そうだよねー」
ハイジ「クアッ! アァアアアアアン!!!」
ハイジ「ヴゥーー・・・・・・」
ハイジ「クゥ、クゥーー・・・」
三澤梨々花「なんだろ?」
三澤梨々花「あっ、ハイジ! 足ふかないで家に入ったら怒られるよ!」

〇部屋の前
ハイジ「クゥ〜〜・・・」
三澤梨々花「あ、いたいた どうしたのよ~」
三澤梨々花「あ・・・また行っちゃった! ちょっとハイジ、足!!」
三澤梨々花「もう~足跡が廊下に・・・って あ、あそこは・・・!」

〇部屋の扉
三澤梨々花((こ、ここは先生の書斎 通称・開かずの間!! 絶対お掃除させてくれない部屋!))
三澤梨々花「えっ・・・いま中で大きな音が・・・」
三澤梨々花「あ、あの、すみません・・・先生?」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
三澤梨々花「せんせ・・・あれ、ドア・・・開いてる・・・・・・」
三澤梨々花((ど、どうしよう・・・ 入っちゃいけないって言われてるけど・・・))
三澤梨々花「でも心配だし・・・よし!!」

〇怪しい部屋
三澤梨々花「し、失礼しま~す・・・」
三澤梨々花「く、暗い・・・それに本がたくさん・・・」
三澤梨々花「わっ!! こっちの棚には、なんかよくわからないサプリのビンがいっぱいある・・・!」
ハイジ「アン!!!! アンアン!!」
三澤梨々花「せ、先生!?」
三澤梨々花((うそ・・・! た、倒れてる! しかも原稿まみれで・・・!))
三澤梨々花「せ、先生! 大丈夫ですか!?」
落合はるか「・・・・・・う・・・・・・」
三澤梨々花(あ、熱い・・・! すごい熱! どうしよう!)
三澤梨々花「先生、先生、しっかり! し、し、死んじゃダメ!!!!」
落合はるか「・・・うっ・・・ ゆ、揺らすな・・・ 頭が割れる・・・・・・」
三澤梨々花「意識ある! よかったぁ~ 今お医者さん呼びます! あと緑川さんに連絡────」
落合はるか「いい・・・誰も呼ぶな ていうか、来るなっていったろ・・・」
三澤梨々花「はぁ!? 何言ってるんですか、こんな状態で! バカですか!!」
落合はるか「・・・あぁ? バカっつったか、今・・・」
三澤梨々花「とにかくベッドいきましょう! 立てますか?」
落合はるか「いい・・・さわんな たいしたことない、ただの風邪だ・・・」
三澤梨々花「いいわけないです! ものすごい熱があるのに──── 季節外れのインフルエンザとかかも」
落合はるか「ああ・・・そうかもしれないから帰れ うつるぞ・・・」
落合はるか「てかこのくらい大丈夫なんだよ・・・ だからほっとけ 世話はいらねー」
三澤梨々花「大丈夫なわけないでしょ! 悪化したらどうするんですか!!」
三澤梨々花「しのごの言わずに、ベッドに行く!! いいわね!?」
落合はるか「え・・・・・・」
三澤梨々花「ほら、肩貸しますからつかまって! 頑張って立って!いきますよ!!」
三澤梨々花「ハイジも行くよ!」
ハイジ「ア、アンッ・・・・・・💦」

〇木造の一人部屋
三澤梨々花「じゃあ、寝てて下さいね とりあえず冷やすもの持ってきますから」
三澤梨々花「その後、往診に来てくれる お医者さん呼びます」
落合はるか「あのな・・・」
三澤梨々花「子供みたいな強がりはは聞きませんっ この先は勝手にやらせてもらいますから! 文句は治ったら聞きます」
三澤梨々花「ハイジ、いーい?  ちゃんと動かないよう見張っててね!  頼んだわよ!」
ハイジ「ア、アンッ!!」
落合はるか「なんだ、アイツ・・・・・・ まるでオカンだな・・・・・・」

〇平屋の一戸建て
医者「安静にして無理をしなければ すぐに熱は引くと思うよ」
医者「薬は3日分出しておくから 食後に飲ませるように じゃあ、失礼するよ」
三澤梨々花「ありがとうございました!」
三澤梨々花「ただの風邪でよかった でも疲労からくる熱って・・・」
三澤梨々花「小説家って大変なんだな でもずっとパソコンの前に座りっぱなしじゃ、具合悪くもなるよね・・・」
三澤梨々花「まさか、そのうち血を吐いたりしないよね・・・??」
三澤梨々花「や、やめよう、やめよう! とにかく! しっかり休んで早く治してもらわないと」
三澤梨々花「まずは消化にいいものを食べさせて 薬も飲ませないと!」
三澤梨々花「・・・・・・ん? あれ、ハイジ 先生のところにいたんじゃないの?」
ハイジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花(門の向こうをじっと見つめてる・・・ 今度はなんだろ・・・)
三澤梨々花「何かあるの? 私、中に戻るけどまだここにいるの?」
ハイジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花「・・・ま、いっか 危ないから外に出ちゃダメだよ? 玄関開けとくから 黄昏れ終わったら戻ってきてね」
ハイジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〇木造の一人部屋
  コン、コン(ノックの音)
三澤梨々花「先生、入りますよ〜 玉子粥作ったので・・・・・・」
  カタカタカタカタ・・・・・・
三澤梨々花「・・・って 何してるんですかぁ!!」
落合はるか「うるせーな・・・ 頭に響くから大声出すなよ・・・」
落合はるか「後回しにしてた大学のレポートが 溜まってんだよ 今週提出分は書き上げねーと・・・ ああ、次の雑誌連載用のプロットも・・・」
三澤梨々花「ダメですよー! 熱が39度もあるんですから!」
三澤梨々花「起きてるのも辛いくせに! ほら、手震えてるじゃないですか!! もう、パソコン没収!!」
落合はるか「ああっ! 何しやがる!」
落合はるか「ふざけんな、返せ! バイトの分際で!!!」
三澤梨々花「イ・ヤです! そうですよ、バイトですけど 私は緑川さんから、先生の健康管理 頼まれてるんです」
三澤梨々花「今日は勉強も仕事もお休みです 緑川さんも『心配しないで休んでください』って言ってたじゃないですか」
三澤梨々花「パソコンは私が預かります!」
落合はるか「雇い主はオレだぞ クビになりたくなきゃよこせ」
三澤梨々花「脅してもムダです だって、わたしのお給料とか 諸々の経費管理してるのって緑川さんですよね?」
三澤梨々花「『全部任せる』って先生に言われて 通帳も預かってるって聞きましたよ」
三澤梨々花「緑川さんが用意してくれた契約書、 先生目も通してないでしょ」
三澤梨々花「健康管理のこととか、代理人を通さないでの 不当解雇は認めないって書いてあります だから先生にクビにする権利はありません」
落合はるか「緑川のヤツ・・・ マジでオレに不利な条件にしやがったな」
三澤梨々花「緑川さんは悪くないです。 むしろあんなに親身になってくれる人 なかなかいないと思います」
三澤梨々花「先生は贅沢です!! なのに悪態ついたり、無理したり────」
落合はるか「────うるさい」
落合はるか「お前に何がわかるんだよ、ガキのくせに 自分の力で生きるのはな、甘くねーんだよ」
落合はるか「こっちは大学の費用も生活費も 自分でまかなってんだ。 仕事だって、多少無理ができなきゃ 維持できねぇ。必死なんだ」
落合はるか「いつもまわりにいつも守られて なんの苦労も知らねーガキが、口出しすんな!」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・なんだよ」
三澤梨々花「・・・守ってもらってることくらい ちゃんとわかってる」
三澤梨々花「自分が弱くて何もできないことも でもまわりの人たちのやさしさとかありがたさは、先生よりずっと知ってるつもりです!」
三澤梨々花「でもわたしを怒鳴るなら 先生はどうなんですか」
三澤梨々花「ちょっと売れっ子作家だからって 自活してるからって、 偉そうなこと言う権利がどこにあるんですか」
三澤梨々花「そういうのはそもそも 自己管理がちゃんとできる人が言うセリフですよ!!」
三澤梨々花「人に口出しされたくないなら 心配かけないようになってからに して下さい! わ、わたしより大人なんだからっ!!」
落合はるか「お、おい・・・」
三澤梨々花「だって体壊したら 小説だって書けなくなるんですよ! だったら一日休む方がマシでしょ!?」
三澤梨々花「明日よくなるように 栄養あるゴハン作りますから だから・・・」
落合はるか「わかった わかったから・・・泣くなよ・・・」
三澤梨々花「え?? 泣いてなんか・・・」
三澤梨々花「あ、あれ? なんか目から謎の水が・・・」
落合はるか「コントかよ」
落合はるか「なんか気ぃ抜けたわ・・・ ・・・・・・っ・・・」
三澤梨々花「わっっ! せ、先生、大丈夫ですか! 大きい声出すからですよ」
落合はるか「あー・・・目ぇ回る・・・ しばらく寝るわ・・・・・・」
三澤梨々花「そうして下さい じゃあお粥はまた後で持ってきますね」
落合はるか「‥‥悪かった」
落合はるか「さっき・・・言いすぎた」
三澤梨々花「い、いえ・・・私も生意気なこと言いました ごめんなさい」
三澤梨々花「パソコンは机に置いておきますから ゆっくり休んで下さいね また様子見にきます」
落合はるか「ああ・・・・・・」

次のエピソード:DAY10: まさかの遭遇

コメント

  • 梨々花ちゃんとはるか先生の本音のぶつけ合い、すごい見応え!梨々花ちゃんのオカンモードは最強ですね!
    再登場のハイジ、やっぱり表情変化がドンピシャで見ていて楽しいです。

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