ミュゲの香りを感じながら

ぐらっぱ

第一話 再会(脚本)

ミュゲの香りを感じながら

ぐらっぱ

今すぐ読む

ミュゲの香りを感じながら
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇血しぶき
「許せない・・・」
「あの人との繋がりは切り離す・・・」
「あの人は私だけのモノ・・・ 誰にも渡さない」

〇黒

〇空

〇綺麗な教会
「結婚おめでとうー!」
夏菜「優香(ゆうか) 結婚おめでとう!」
優香「ありがとう夏菜(なつな)」
夏菜(いいなぁ・・・ 綺麗だなあ それに今日もいい香りがする)

〇ソーダ
  高校からの親友が今日結婚した
  それは嬉しくもあるが
  少し寂しくも感じる
  もう彼女とは今までのように
  毎日会えないだろうって
  それは仕方ない
  彼女は私の占有物ではないのだから
  ただ、もうこの彼女の香りを
  毎日感じる事ができない事が
  寂しいのだと思う
  そう、彼女がいつも身に付けている
  ミュゲの香り
  今日も彼女からその香りがした

〇黒
  彼女には色々お世話になった
  あの時も・・・

〇教室
高校時代の友人「夏菜ぁ、あんた最近どうなのよ?」
高校時代の夏菜「どうって?」
高校時代の友人「彼氏よ、彼氏! うまくいってるんでしょ?」
高校時代の夏菜「それが・・・ 昨日から連絡つかなくて」
高校時代の友人「え!?」
高校時代の夏菜「昨日から休んでるみたいなの」
高校時代の友人「彼って隣のクラスよね 帰りに直接家に行ってみたら?」
高校時代の夏菜「迷惑じゃない、かなぁ?」
高校時代の友人「なーにウジウジしてるのよ! 彼女なんでしょ」
高校時代の夏菜「それは、まぁ・・・」
高校時代の友人「じゃあ、今日の帰りに行って来なよ 具合悪いだけかもしれないし」
高校時代の夏菜「うん、そうするね」
高校時代の友人「ほんと、あんたってウジウジしすぎよ もうちょっと自分に自信持ちなよ」
高校時代の夏菜「それは、うーん・・・」
高校時代の友人「夏菜って大人しくて真面目だけど 悩みすぎて行動できない事多いのよねぇ ここはビシッと喝入れないとね」

〇街中の道路
ニュースキャスター「──昨夜18時頃から〇〇高校に通う 17歳の少年が帰って来ないと 家族から捜索願いが──」

〇黒
  連絡のつかない彼の家に
  私が向かった時にはもう
  警察の車が止まり
  泣きじゃくる彼の家族を見た時に
  彼が失踪したのだと気付き
  私はその場に立ち尽くすしかなかった
  その後、私の所へも警察が来て
  色々聞かれたが何も心当たりは無かった
  いなくなる前日まで
  私達の関係はずっと続くと信じていた
  それなのに・・・
  そんな時に私を励ましてくれたのが
  優香だった
  彼女にはとても感謝している
  当時の事はあまりにショックすぎて
  覚えていないのだが
  彼女が私を支えてくれたのは覚えている
  彼女からはいつもミュゲの香りがした
  優しい可憐な花の香り
  行方不明になってしまった彼は
  未だに見つかっていない

〇ソーダ
優香「大丈夫よ、夏菜 きっといつか彼は帰ってくるわ」
優香「それに、わたしもいるじゃない」
優香「だから、ほら 泣かないで?」

〇黒
  彼女の言葉にどれほど救われただろう
  絶望の淵にいた私に
  彼女は優しく手を差し伸べてくれた
  彼女がいなかったら
  自分は今こうしてここにいただろうか
  そう思うくらい
  彼女の存在は自分にとって大きかった
  だが彼女と知り合ったきっかけは
  よく覚えていない
  彼女はいつも明るく
  クラスの人気者だった
  それに引き換え私は何も取り柄がない
  地味で目立たない生徒だった
  そんな自分に何故彼女は
  気にかけてくれるようになったのだろう
  思えば最初の彼氏を紹介してくれたのも
  彼女だった
  何故こんなに優してくれるのかは
  分からない
  ただ
  彼女は自分にとって
  かけがえのない人なのだ
  だからなのか
  ミュゲの香りがすると
  とても心が満たされるような気がするのだ

〇カウンター席
「──って聞いてる?」
夏菜「わぁ! ごめん香澄 考え事してたわ」
香澄「どうしたの? ボーっとしちゃって」
夏菜「つい、優香の結婚式思い出しちゃって」
香澄「この前の優香綺麗だったもんね」
夏菜「うん・・・」
香澄「そういえば、 今は彼氏いないの?」
夏菜「今はいない、かなぁ・・・」
香澄「知り合いの男でも紹介しようかー?」
夏菜「いや、いいよ・・・」
香澄「もしかして気になってる人いるの?」
夏菜「それはいないんだけど 今付き合う気が無いし・・・」
香澄「えー? どうして?」
夏菜「実は・・・ 私と付き合った人達はみんな」
香澄「・・・」
夏菜「いつの間にか失踪してしまうの」
香澄「え・・・」
夏菜「みんな、いなくなるの みんな、みーんな・・・」

〇黒

〇玄関内
夏菜「ただいまー」
夏菜(今日はドン引きされちゃったかなぁ)
夏菜「ん? 電話かな ・・・美樹ちゃんって誰だっけ」
夏菜(高校の時の同級生だったかな 暫く連絡してなかったけど)

〇部屋のベッド
電話の声「夏菜! 今TV見た!?」
夏菜「TV?」
電話の声「見てないなら早く見て」
夏菜「え?」
電話の声「高校時代付き合ってた彼って 『真壁 金哉』(まかべかなや)君よね? 見つかったのよ」
夏菜「えぇ!?」
電話の声「早く見て それじゃ!」
夏菜「あの人が見つかった・・・? まさか」
  私はこの時嫌な予感しかしなかった
  震える手でTVの電源をつけ
  そして驚愕した

〇山中の坂道
ニュースキャスター「──先日の土砂崩れから発見された遺体を DNA鑑定した結果が出たとの事です この身元不明の遺体は──」
ニュースキャスター「11年前に行方不明になった 真壁金哉さんと判明しました」

次のエピソード:第二話 過去

コメント

  • スズランだったんですね。良い香りですよね。
    香りに結びつく親友の予告された裏切りの感じが凄くホラーです。どうせ全員殺してるだろうになぜ結婚?これは共依存な友情じゃないのかとか、色々考えさせられました。

  • 彼氏全員行方不明…穏やかではありませんね…。
    ミュゲの香りの意味合いが今後どう変わっていくか、大変気になりますね☺️
    面白かったです!

  • 素敵なウェディングのシーンと対照的な不穏な展開。付き合ったお相手が皆失踪してしまうなんて恐ろしすぎます。衝撃で引き付けられる第一話ですね!

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ