3 色恋という仮相(脚本)
〇豪華なベッドルーム
七海(玲未・・・)
七海(幸せになるなんて、許さないよ)
ガチャリ──
克彦「七海先生」
七海「芽依ちゃん、もう寝ちゃったんだ?」
克彦「ああ・・・」
七海「続き、見る?」
七海「きっとまだ、ホテルだけど・・・」
克彦「いや、いいよ」
克彦「こんなヤツのラブシーン見るより、七海先生見てる方がずっといいからね」
ギュッ──
克彦「ほら、こっち向いて・・・」
七海「克彦さん・・・」
克彦「ところで・・・」
克彦「七海先生は本当に凄いよ。 夢の中身を見れるようにしてしまうなんて」
七海「うーん、夢とはちょっと違うんだよなぁ」
七海「彼女が見ているのは、私の作った世界 ──いわゆる、バーチャル・リアリティーの世界なの」
克彦「VRってやつ?」
七海「そう」
〇黒
七海「VRっていうと、ゴーグルをつけて見せるのが一般的だけど──」
七海「視覚や嗅覚とかの、人間の感じる全ての感覚は、脳の信号を受けて感じているの」
七海「どんな感覚も、脳に直接与えられれば、脳は錯覚を起こしてその世界が本当だと信じる・・・」
七海「それを逆手に取って、脳の細胞に直接電気信号を送ることで──」
七海「見たり触れたりしなくても、その世界を直接感じさせることができるの」
〇豪華なベッドルーム
七海「私が作った世界を彼女がどう見ているか──」
七海「私たちは、その一部を脳に送る信号を介して、ちょっと覗かせてもらってる感じ」
克彦「さすが、新鋭の女性脳外科医は凄いな」
七海「ただ、脳の動きを読むのに特殊な薬を脳細胞に組み込む必要があったから──」
七海「──克彦さんの、あの協力が必要だったの」
克彦「ああ、アレ、な」
克彦「それにしても、作った世界がこんな現実に酷似していて──」
克彦「玲未を苦しめるなんて、七海先生も性格悪いなぁ」
七海「だって、私たちが一緒になるには──」
七海「私たちが幸せになっている所を、見せつけないと」
克彦「フフ、そうだね」
克彦「七海先生が頑張ってここまで筋書きしてくれたんだ」
七海「克彦さんの協力あってですよ、フフッ」
チュッ
七海「克彦さん・・・」
七海「・・・奥さんの前ですよ?」
克彦「いいんだ・・・こいつだって、シたんだから」
七海「克彦、さん・・・」
〇黒
克彦「七海先生・・・キレイだ」
七海「うん・・・あ・・・」
全部、壊れろ。
お前の好きなものも、大事なものも。
お前の持ってる幸せは、
お前が持ってていいものじゃないんだよ。
克彦「なぁ、玲未はこの後、どうなるんだい?」
七海「やっぱり奥さん、心配?」
克彦「そんなんじゃないよ。ただの興味さ」
克彦「キミ以外の女なんて、僕には・・・」
七海「ふふっ。安心して」
七海「奥さんにも、少し夢を見せてあげたいの──」
──悪夢を、ね。
〇教室の外
七海「玲未、やっぱり先生に・・・」
玲未「ううん、私は平気」
玲未「せっかく内申稼いだんだもん。 1つも下げたくないの」
玲未「あの高校、落ちちゃうからさ」
七海「内申なんて、そんなの・・・」
玲未「ううん、内申大事だよ!」
玲未「七海とは離れ離れになっちゃうけど──」
玲未「どうしても、あの高校に入りたいからさ!」
玲未「じゃあ、また明日!」
七海「玲未・・・」
七海(玲未がいなくなったら・・・)
七海(私が、標的にされるんだよ・・・)
七海「くそっ」
自分だけいい子ぶって、逃げるなんて──
──絶対に、許さない。
〇黒
七海(許さない)
七海(許さない、ゆるさない、ユルサナイ)
七海(幸せになるなんて──)
七海(──絶対に、ユルサナイ)
〇ラブホテルの部屋
玲未「あれ、蒔田くん・・・?」
久嗣「あ、おはよ」
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七海が玲未を憎んでいることは分かりましたが、旦那さんの真意がまだまだわかりませんね…。ただの不倫じゃないような気がします。
あっという間の1話でした😆
服を着てた時点で、あれ、そういえば玲未の未婚は確認してたけど、蒔田くんの未婚は確認してな……と震えていたら、やっぱりそうですかー!😂
1話の登場は記憶がありますが、現実だったっけ?偽世界後だっけ?どちらにしろ、戻って再読したらあああってなる仕込みですね😳
仮面の男が旦那さんだったのひどすぎますね。サイテー男たちにフルスイングかましたい!
おお…いろいろと謎が解き明かされていく😳
七海が、怖いです~😭