Pain(脚本)
〇街中の道路
運転手「着きました」
マリア「あの・・・すみません。中まで運ぶの手伝ってもらえませんか?」
運転手「いや、次の手配がありまして」
マリア「お釣りはいいんで」
運転手「了解しました!」
〇雑居ビルの一室
「こっちです!」
運転手「いや~結構重いなあ~」
毒取「診察台まで頼む」
運転手「ええ~っ?」
〇病院の診察室
毒取「心配いらん。単に寝とるだけだ」
毒取「何だそれは?」
マリア「今、持ち合わせがないので」
毒取「こいつだって健康保険くらい払っとる」
マリア「え?」
毒取「あんたは私を何だと思ってるんだ?」
マリア「法の目を盗んで営業している・・・」
毒取「誰が闇医者だ!滅茶苦茶健全なクリニックだ!」
毒取「口コミレビューも概ね好評である」
マリア「『担当医の口の悪さが珠に傷なので今回は星四つ』」
毒取「夜間診療専門だから、多少ガラが悪くなるのも仕方なかろう」
毒取「同じ夜の街で働く人間なら分かるだろう。シスターマリア」
マリア「ご愛顧有難うございまーす!うっふーん!」
毒取「行ったことなどないわ!」
マリア(は、初めてのファンサだったのに・・・)
毒取「こいつは普通の男だ。赤の他人に施されるいわれなどない」
マリア「・・・そうですね」
マリア「普通じゃないのは私の方です」
毒取「・・・?」
マリア「ずっとこの人のこと、化け物に見えてたんですから」
マリア「いえ、この人に対してだけじゃない」
毒取「まあ脳味噌も体の一部だ。色々ガタがくる時もある」
毒取「化け物に見えるのなら、さしずめこいつは生きる屍ってところか?」
マリア「え?何で分かったんです?」
毒取「・・・!」
毒取「なるほどな、そういう縁もあるか。神様のお導きというわけか」
マリア「・・・?」
毒取「武藤行人(ゆきひと)。私の患者だ」
マリア「患者って・・・」
毒取「後天性痛覚脱失症。無痛症というヤツだ」
マリア「無痛症」
毒取「早い話、痛みを感じない病気だ」
毒取「以上、説明終わり。付き添いの方は帰って貰って構いません」
マリア「・・・」
〇荒れた公園
武藤「叩いて下さい・・・」
武藤「叩いて下さい・・・」
〇病院の診察室
マリア「・・・」
マリア「・・・ごめんなさい」
マリア「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
毒取「・・・」
マリア「せめて目が覚めるまでここに」
毒取「帰ってくれ。ヤクザの女になど関わらせたくない」
マリア「・・・」
毒取「塚越がアンタに入れあげてるという話は、裏街道に知れ渡っている」
毒取「こいつを巻き込むな」
毒取「いや、関わったのはこいつの方か」
マリア「・・・分かりました」
マリア「失礼します」
「毒取医院。担当医の性格最悪。星ひとつ」
毒取「書きこむな!」
武藤「・・・なにも追い返さなくても」
毒取「だったら、目を開けて止めればよかっただろう」
武藤「え?あ、開けてたけど?」
毒取「今、開けたろう。分かりにくい顔しおって」
毒取「まあ一服しろ」
武藤「どうも・・・」
毒取「止めておけ。場末の人気ナンバーワンストリッパーだ。海千山千。ストーカーの一人や二人屁とも思っとらん」
武藤「いただきます」
毒取「お、おい!まだ熱いぞ!」
武藤「ぷはあ!」
毒取「コーヒーをポ○リみたいに飲むな!」
毒取「口の中見せろ」
武藤「あーん」
毒取「口内炎ばかりじゃないか。飲み食いの時は熱さ冷たさ、あと舌を噛み切らんよう気を付けろ」
武藤「はいはい・・・」
武藤「・・・あ!」
武藤「誰がストーカーだよ!」
毒取「遅いわ不感症!」
武藤「無痛症!」
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