②魔女、先生になる(脚本)
〇商業ビル
「間女!間女!魔女〜!!」
店長「まじょは、どこなのよぉぉぉ〜!?」
〇おしゃれな受付
夕梨花(ゆりか)「あれ? 間女ならさっきまでココに居ましたよ」
店長「ナゼなのぉ!?」
店長「アタシがお休みの日にばかり出勤しているから、あ・え・て休日出勤したのにィィ!」
店長「ナゼか、間女に会えない!!」
夕梨花(ゆりか)「それ、フツーに避けられているよね!」
店長「アンタ、ホント失礼! 物怖じしなさすぎ! アタシ、店長!」
店長「間女に頼みたい仕事があるのよォ」
店長「アタシの勘違いで、明日の専門学校の 卒業前実技試験の試験官と、」
店長「大御所演歌歌手のヘアメイクの日にち が見事にWブッキングしちゃってるの!」
夕梨花(ゆりか)「それな!」
夕梨花(ゆりか)「私も気づいてたけど、 どーすんのコレとしか思ってなかった!」
店長「アンタ、いい加減にしないと 受付嬢辞めさせるわよ!」
店長「アッ、雛子」
雛子(ひよこ)「エエッ!? 私と間女さんが、専門学校の卒業試験に行くんですか!?」
雛子(ひよこ)「しかも、明日!?」
店長「アタシもだけど、雛子ちゃんもあの専門学校のOBだから、丁度良いでしょ」
店長「明日の予約客は、成宮にでもお願いしておきなさい。一応ナンバー2だから、お客様も喜ぶでしょ」
店長「というわけでぇ、間女にもちゃんと伝えておくのよ!頼むわね!」
店長「あー忙しい☆忙しい!」
間女(まじょ)「相変わらずなポンコツっぷり・・・!」
間女(まじょ)「しかし、ヒョッコさんを巻き込んで強引にことを済ませる手腕は、流石と言わせていただこうかしら」
成宮(なるみや)「俺も巻き込まれていたが?」
雛子(ひよこ)「間女さん、成宮さん!」
夕梨花(ゆりか)「間女!どこに居たのよ!?」
間女(まじょ)「ワタクシ、受付カウンターの下に居ましたわよ!ポンコツさんの話は全て聞かせていただきましたわ」
夕梨花(ゆりか)(やっぱり店長、避けられてる!)
間女(まじょ)「ヒヨッコさん、 専門学校の試験官の依頼、ポンコツ店長の顔を立てて、お引き受け致しますわ」
間女(まじょ)「但し、時給はいつもの2倍頂きます! それでも、宜しくて?」
雛子(ひよこ)「たっ、たぶんそれで大丈夫だと思います! (知らんけど!)」
雛子(ひよこ)「店長には、私から伝えておきます!」
〇ハイテクな学校
〇校長室
校長「いやあ、ま、さ、か! あの間女さんに来て頂けるとは!」
間女(まじょ)「特に お茶や茶菓子などは、お構いなく!」
校長「アッ!」
校長「気が利かなくて、申し訳ございません!」
校長「砂糖先生! すぐにお茶と茶菓子をお出しして!」
間女(まじょ)「美味ですわ! ヒヨッコさん、ダイエット中ならワタクシが頂きましてよ!」
雛子(ひよこ)「欲しいなら、あげますから!」
校長「改めまして、本日はお二人に、 卒業前実技試験の試験官をお願いしたいのですが、」
校長「一ヶ月後に彼等は、国家試験も控えていまして・・・」
校長「今回はあまり厳しくない審査ということで、甘めにお願いしたいと思います」
雛子(ひよこ)(そうよね。 まだ美容師のタマゴたちに、最初から厳しい現実を見せるのも可哀想よね)
雛子(ひよこ)「シャンプーの実技試験の審査ですね。 承知しました!」
〇おしゃれな教室
「不合格!!」
「不合格!!」
「不合格!!」
「不合格!!アーンド、体脂肪も不合格!」
三郎「体脂肪はカンケーねぇだろ!?」
間女(まじょ)「皆さん、まとめて落第点〜!!」
砂糖先生(さとう)「まさかの全員不合格!?」
雛子(ひよこ)「まっ、間女さん! 甘い審査の予定では!?」
間女(まじょ)「モチロン、 甘く審査した上での評価ですわ!」
間女(まじょ)「学生の皆様、美容におけるシャンプーは、 日常生活における ある行為に類似しております」
間女(まじょ)「何かお分かり?」
美容学生「ん〜! 接客業だから、 おもてなしの心とか?」
間女(まじょ)「ノンです!」
間女(まじょ)「甘く優しく、時には力強く! 施術される相手の側になって、自分の独りよがりはNG!」
間女(まじょ)「美容におけるシャンプー施術とは、 それ即ち」
間女(まじょ)「性行為に等しいと覚えておきなさい!!」
砂糖先生(さとう)「ち、ちょっ!? 生徒に何を教えているんですかーッ!」
間女(まじょ)「アラ、先生もご存知ではなくて? まさかの生娘とか仰っしゃるつもり?」
砂糖先生(さとう)「ノーコメントですッ!」
珠子(たまこ)「良いんじゃない?」
珠子(たまこ)「役に立たないことばかり教えてくれる砂糖チャンより、面白いかもよ〜」
砂糖先生(さとう)「・・・!」
雛子(ひよこ)(なんか担任の先生、かわいそう・・・)
〇学校の屋上
砂糖先生(さとう)「雛子さん、心配してくださって ありがとうございます・・・」
砂糖先生(さとう)「実はウチのクラス、学級崩壊していまして・・・」
砂糖先生(さとう)「お恥ずかしいトコロをお見せしちゃいました」
砂糖先生(さとう)「みんな、良い子たちなんですけど、国家試験に受かることだけにしか関心がないと言いますか・・・」
砂糖先生(さとう)「それで私の経験をもとにした、接客についての授業をしたことがあったのですが・・・」
〇おしゃれな教室
珠子(たまこ)「センセェ〜。 私たち、美容師の資格を取りに学校に来ているの」
珠子(たまこ)「『先輩』じゃなくて『先生』に教えてもらいたいの」
珠子(たまこ)「勘違いしないでね〜(笑)」
〇学校の屋上
砂糖先生(さとう)「その日以来、 珠子さんは授業中は寝てるし、 実技も質問をしなくなって」
砂糖先生(さとう)「いつの間にか、 クラス全員の態度が反抗状態に」
砂糖先生(さとう)「正直、 自分は教職は向いてないのかなって」
砂糖先生(さとう)「今年度の卒業生を送り出したら、 私も退職するつもりです」
雛子(ひよこ)(砂糖先生・・・! 昔の私みたいな、暗い顔してる)
雛子(ひよこ)(力になってあげたい。 でも、どうしたら・・・)
雛子(ひよこ)「午後、私も授業の大切さについて 生徒たちに話してみます」
雛子(ひよこ)「美容師が、 資格だけ、技術だけの世界じゃないこと、私も教えたいです!」
〇おしゃれな教室
砂糖先生(さとう)「みんな、これから再試験の前に、 この学校のOBでありサロンの先輩である雛子さんから、」
砂糖先生(さとう)「営業における接客についての お話があります」
???「そんなの、時間のムダです!」
美容学生「私たち、早くシャンプーの試験パスして、国家試験の練習がしたいんです!」
美容学生「そうよ、そうよ! シャンプーだって、お店によって違うんだから、コレが上手に出来ても意味ないし!」
美容学生「学校だって合格率上げた方が、 ブランドイメージを上げられるでしょ? 国家試験の勉強させてよ!」
珠子(たまこ)「というわけで悪いんだけど〜 試験官には審査だけしてほしいのよね」
珠子(たまこ)「だって、それが仕事でしょ?」
雛子(ひよこ)「ウウッ・・・」
「時間のムダ・・・ 果たしてそうかしら」
美容学生「ハア?」
間女(まじょ)「シャンプーをしていると、 頭皮の状態が一目で分かるのよ。 そして頭皮からの情報は接客に繋がるわ」
間女「カノジョは頭皮が黄色くってよ」
間女(まじょ)「頭皮が黄色いのは肝臓が悪い証拠! まさか、毎日お酒飲んでないわよね?」
間女(まじょ)「生活習慣の乱れも関係ありますわよ」
美容学生「いやっ、あの〜 ダイエットで無茶してるかも・・・」
間女(まじょ)「美しくなりたいなら、美しい食生活! 今日の食事が明日のカノジョを作るのよ。お気をつけあそばせ!」
美容学生「あ、ありがとうございます!」
間女「そこのキミ!」
間女(まじょ)「キミの頭皮は赤いわ。炎症ね。 ヘアカラーカブレは染料のジアミンかアルカリ剤のケミカルアレルギーよ」
美容学生「たっ、確かにカラーやパーマをすると熱くなったり、痒くなるんです!」
間女(まじょ)「ヘアカラー剤をマニキュアやヘナなどのノンジアミンカラーにしたらどう? パーマ液にも気をつけたほうが良いわね」
間女(まじょ)「我慢をし続けていたら、 アナフィラキシーショックを起こして 命に関わることになるわ」
美容学生「ヒィィィ! 命に!? ありがとうございます!」
間女(まじょ)「アラ、アナタの後頭部の髪についた白い粒は・・・」
間女「虱のタマゴよ! 頭を洗った後、 髪を乾かさないで寝ていないかしら?」
三郎「ゲエッ!?」
三郎「虱って、血を吸う寄生虫の!? ど、どうしたら良いんですかっ!?」
間女(まじょ)「自分で丸坊主にするのが手っ取り早いですわ」
間女(まじょ)「お店に行くのはノンです。 伝染病なので、お店での施術は 公衆衛生法で禁止されているの」
間女(まじょ)「髪を残したいなら、薬局に虱用のシャンプーが売っているわ。 何ヶ月かかかるけど、やり続けることね」
間女(まじょ)「成虫一匹で一晩に百個は産むから、諸悪の根源になっているであろう、枕と枕カバーも処分することをオススメするわ」
三郎「全身痒くなってきた〜!! 教えてくれて、ありがとうございます!! 今すぐに坊主にします!!」
雛子(ひよこ)(間女さんスゴイ! 学生たちの皮膚状態や健康状態を次々に言い当てている!)
雛子(ひよこ)(今がチャンスだ!)
雛子(ひよこ)「これは、サロンでは教えてくれません!」
雛子(ひよこ)「専門学校の皮膚化学の教科書の内容が、看護師と同じレベルなんです」
珠子(たまこ)「そうなの!?」
雛子(ひよこ)「確かに美容師の仕事はサロンワークが大半で、学校で教えてくれる知識が、役に立たないこともあるかもしれません」
雛子(ひよこ)「でもプロとしてお客様をお迎えする以上、お客様と長い間、良好な関係を続けたいなら」
雛子(ひよこ)「何でも吸収できる今のうちに、できるだけ沢山の知識を身に着けて下さい!」
雛子(ひよこ)「因みに、お客様からよくある質問です」
雛子(ひよこ)「『髪の毛がよく抜けて心配』と言われたら、何てお答えしますか?」
雛子(ひよこ)「珠子さん!」
珠子(たまこ)(えっと・・・ あれ、季節の生え変わりは動物だけ?)
珠子(たまこ)(確か、砂糖チャンのサロンの体験談で・・・)
砂糖先生(さとう)「珠子さん! 人間の頭髪は約10万本よ!」
珠子(たまこ)「そ、そうだ」
珠子(たまこ)「10万本の内、1日に100本くらいは抜けるから、10本くらい抜けたとしても、気にしなくてもイイんだ!」
珠子(たまこ)「しかも、次の髪の毛も生えてきているから、いきなりハゲたりはしません!」
砂糖先生(さとう)「正解!」
砂糖先生(さとう)「私の話、覚えていてくれたんだね!」
珠子(たまこ)「砂糖先生・・・ 今までゴメンね」
珠子(たまこ)「美容師免許が取れたとしても、お客様の健康状態や気持ちに寄り添えなかったら」
珠子(たまこ)「プロとしては失格だね」
砂糖先生(さとう)「大丈夫! 私も昔は生意気でね!」
砂糖先生(さとう)「よくお客様に怒られて、裏でティーカップを壁に投げつけて、割っていたものよ!」
雛子(ひよこ)「それ、片付けるのも自分なのにね!」
校長「ブラーボ!」
校長「間女さん、雛子さん! 試験官以上の仕事をして頂いたようですね!」
校長「さすが名店『シルバーフレーム』! 雛子さん、貴女がウチの卒業生だなんて、私も鼻が高いですよ」
雛子(ひよこ)「あ、でもこれからクラス全員再試験でして・・・」
校長「さ、再試験!?」
間女(まじょ)「髪の生え際は鈍感なので、指の腹で、強く大きく指を動かして・・・」
美容学生「アアッ! 何これ!? ヤバ、気持ちイイ!!」
間女(まじょ)「敏感な頭の頂点に向けて、きめ細かく力をを抜いて速く擦り上げ、反復しながら徐々に徐々にクライマックスへと誘うのよ!」
美容学生「もっ、もうダメェー! クライマックス〜♡♡♡」
美容学生「シャンプーは 性行為に等しい!!!!」
校長「きっ、君たちィィ!? 一体、何を教えられてるの!?」
間女(まじょ)「あ、追加の時給と課外授業代も請求させて頂きましてよ!」
校長「アワワワ!? 高いよ! わし・・・もう、ハゲそォォォー!!!!」
珠子(たまこ)「校長チャン、安心して! 頭毛は平均10万本あって・・・」
砂糖先生(さとう)「たた、珠子さん それは一般的なお話で、 男性ホルモン過多の人の話は別よ!!」
間女(まじょ)「良ければ育毛のご相談も承りましてよ!」
間女(まじょ)「別料金ですけども、宜しくて?」
私が床屋で一番好きなのがシャンプーなのですが……俺、おっさんとの疑似○交渉を……!?!!?
今度からシャンプーではおネイサンを指名います……
間女さん、再来!
三郎、友情出演(違)!
スキンヘッドのままの成宮さんから、感動(?)のラストまで笑いっぱなしでした。学校・先生が直面する問題を克服していく感動ストーリーが、間女さんにかかれば^^;
そして今回も名言が!「シャンプーは性行為に等しい!」心に刻まれました! こんな間女さんと一緒で、雛子さんは主人公を務めきることができるのか注目ですね。