愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY8:彼女の本性(脚本)

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〇テーブル席
キリエ「あーあ あの映画、全然面白くなかったわね 時間をムダにしたわ」
「まあまあ、せっかく小林さんが チケット譲ってくれたんだから あんまり言うなよ」
キリエ「だってあんなに退屈とは思わなくてぇ」
キリエ「小林さん本当は あたしと一緒に行きたかったみたい 「扇谷くんと観る約束してる」って 言ったらチケットくれたんだけどね」
キリエ「まあ小林さんとだったら ソッコー途中で帰ってたわね 扇谷くんとだったから我慢したけど」
三澤梨々花(そうだ、たしか”キリエ”さん 先生の・・・元カノ!)
扇谷「俺は悪くなかったと思うけどね 原作に忠実な脚本だったし ワンカット撮りのカメラワークも印象的だったしね」
扇谷「でも原作の方がより面白かったな よかったら読む?」
キリエ「ううん、いいわ あたし、字ばっかりの本て苦手なの」
キリエ「ねえ、それよりこの後クラブ行かない? 駅前の『ウォークス』にサークルの子たち 集まってるって」
扇谷「ごめん、今夜はレポート仕上げないと 明日が期限なんだ」
扇谷「キリエも明日一限からだろ? 週末につきあうから、今日は帰ろう 送っていくから」
キリエ「・・・そうね わかった、じゃあまた今度って みんなには連絡しておくわ」
扇谷「ああ じゃあちょっとトイレに行ってくる 先にメニュー見てて」
キリエ「うん」
キリエ「・・・・・・つまんない男」
キリエ「もしもし、ケンジー? あんたも『ウォークス』にいるの?」
キリエ「あたしもこれからそっち行くから え? カレシ? あー、今日はレポートあるから帰るって クソマジメでしょ?」
キリエ「まあスポーツマンだし、頭もいいし 家もお金持ちらしくて 見た目もソコソコだけど ノリが悪くってさ~」
キリエ「正直、ちょっと合わなくて 飽きてきちゃったカンジ えー? 早い? だってしょうがないじゃない」
キリエ「とにかくー 帰るフリして向かうから 途中まで迎えに来てよ うん、じゃあよろしくね♪」
扇谷「ごめん、お待たせ」
キリエ「ううん、全然大丈夫」
キリエ「でもごめーん、扇谷くん 実はこれからお母さんの買い物に つきあう約束してたの忘れてたの」
キリエ「だからもう行かなきゃ」
扇谷「そっか、わかった どこで待ち合わせ? そこまで送るよ」
キリエ「駅前よ でも大丈夫、まだ明るいし一人で行くわ 扇谷くんは早く帰ってレポート頑張って」
扇谷「気を遣わなくていいのに でもありがとう じゃあお言葉に甘えるよ」
キリエ「いいのよ じゃあ出ましょ」
三澤梨々花(・・・・・・す)
三澤梨々花(すごいナチュラルにウソついた!! 一緒にいたの、恋人だよね? でもつまんないとか・・・ 他の男の人とも電話してたし・・・)
三澤梨々花(まるで悪女・・・・・・!!)
九堂修也「りーちゃん? どうしたの? ケーキきたよ?」
三澤梨々花(先生は知ってるの? あんな人だって・・・・・・)
三澤梨々花(それともあの男の人みたいに ウソでだまされて・・・・・・?)
三澤梨々花(そんなの・・・・・・)
九堂修也「りーちゃん?」
三澤梨々花「そんなのサイッテーだよ!!」
九堂修也「えぇっ!? サイッテーって僕のこと!?」
九堂修也「か、勝手に桃のチーズケーキにしたから!? モンブラン?  モンブランがよかった!?」
九堂修也「それともティラミス!? ごごごごごめん! あっ! もういっこ頼もうか!?」
三澤梨々花(はっ・・・・・・)
三澤梨々花「ごめん、修兄 なんでもないから!」
三澤梨々花(なんだろう・・・モヤモヤする 別にあんな嫌〜な家主の心配なんて する必要はないんだけど・・・)
三澤梨々花「あっケーキきたんだ! おいしそうだね🎵 食べよ、食べよ」
九堂修也「・・・あ、うん 食べよーか・・・」
九堂修也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
九堂修也「・・・・・・??」

〇学校の校舎
  ーー水曜日、放課後

〇学校の下駄箱
三澤梨々花「わ〜もうこんな時間! バイト遅れる!」
三澤梨々花「こんな時に限って HR長いんだから──」
  ピロロン🎵
三澤梨々花「NINEメッセージ? HKって誰?これ・・・」
  きょうはクルな おT合
三澤梨々花「おT合・・・・・・・・・? ・・・・・・・・・あっ!」
三澤梨々花「落合! 先生から!?」
三澤梨々花「あははっ 小説家なのに変換ミスって」
三澤梨々花「でも来るなってどういうこと・・・? 言葉足らなすぎるよ💦」
三澤梨々花(もしかして・・・・・・ キリエさんが来てるとか?)
三澤梨々花(うーん・・・ そうだとしたら・・・ ちょっと会いたくないかも・・・)
貴島里見「あれ、三澤ちゃんも今帰り?」
三澤梨々花「里見くん うん、これからバイトで」
三澤梨々花「里見くんも今日は部活休むの?」
貴島里見「うん、ちょっとウチの用事でね〜 てか三澤ちゃんバイト始めたの?」
三澤梨々花「うん、お姉ちゃんの知り合いの家で 家事手伝いをすることになって 週に2回なんだけど」
貴島里見「へぇ〜〜 それって掃除したりゴハン作ったりするってこと? メイドみたいに?」
貴島里見「あっ!! もしかしてメイド服で!?」
三澤梨々花「着ないから! 1〜2時間だけちょっとお手伝いして 帰るだけだよ〜」
貴島里見「そうなんだ でもなんか大変そー」
三澤梨々花「そんなことないんだ 家事は私の趣味みたいなものだから」
三澤梨々花「ただ家主がちょっと変わってて そこだけが大変かな」
貴島里見「いいなー 三澤ちゃんの手作りゴハンが食べられるなんて!!」
貴島里見「うちもお手伝いさんいるけど 年季入ったオバちゃんだもん」
三澤梨々花「里見くんちお手伝いさんいるの!? もしやすごいおぼっちゃま!?」
貴島里見「お手伝いさんと庭師がいるけど オヤジの家系がちょっとセレブなだけで オレはメチャクチャ庶民派だよー」
貴島里見「うち、オヤジと二人暮らしなんだけど 家も広すぎるとさー どうしていいかわかんなくて 逆に窮屈なんだよね」
三澤梨々花(こ、これは相当な豪邸だ! なるほど、里見くんがおおらかで余裕に満ちあふれているのは 高貴な生まれのせいなのか・・・!)
貴島里見「じゃあ今日はそのバイトなんだ」
三澤梨々花「うん、でもさっき 来なくていいって急にメッセージが来て・・・」
  プルルル・・・・・・
貴島里見「あっ電話? じゃあオレ先に行くね! また明日ね、バイバーイ!!」
三澤梨々花「うん、また明日ね」
三澤梨々花「ーーはい、もしもし?」
  梨々花さん? 緑川です
  突然連絡してすみません
  今日は先生のお宅に行く日ですよね?
三澤梨々花「緑川さん、こんにちは! はい、そのつもりだったんですが・・・」
三澤梨々花「さっき「来るな」って メッセージがきたんです あの、何かあったんですか?」
  それが、昨日から連絡が取れなくて
  執筆中は電源がオフになってるのは
  よくあることなんですけど
  いつも一言事前連絡をくれる人なので
  ちょっと心配で・・・
  すみませんが、様子を見て来てもらえませんか?
  あいにく僕は出張で関西にいまして
  戻るのは明日なんです
三澤梨々花「いいですよ 私も気になっていたので」
三澤梨々花「じゃあまた後で連絡しますね お仕事頑張って下さい」
三澤梨々花「元カノさんと鉢合わせするのは嫌だけど・・・ でも気になるし 緑川さんも心配してるし」
三澤梨々花「ーーよし 行ってみますか」

次のエピソード:DAY9: 素直じゃないっ!

コメント

  • キリエさん、悪女……
    恋愛初心者の梨々花ちゃんがあの言動を見たら、ショックが大きくて不穏になりますよね。巻き込まれる格好となった修也さんのオロオロする様子、何だか可愛らしくて好きですw

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