LivingDead(脚本)
〇大衆居酒屋
ホームラン健「しァわせ(いらっしゃいませ)ーーッ!」
カップル「唐揚げ定食ふたつ」
ホームラン健「すいません番号でお願いします!」
カップル「なんで?」
ホームラン健「効率化のためです!」
カップル「え?今、頼んでるの俺らだけじゃね?」
ホームラン健「働き方改革です!」
カップル「・・・6番」
ホームラン健「6番~ショート~唐揚げ~」
カップル「そのアナウンスやりたいだけだろ?」
カップル「じゃあピッチャーは?」
ホームラン健「ビールです」
ホームラン健「『ピッチャー』だけに」
カップル「うるせーよ」
カップル「じゃあビールもふたつ。グラスで」
ホームラン健「番号でお願いします!」
カップル「1番!」
ホームラン健「1番ピッチャ~ビール~グラス~」
「ややこしいわ!」
マリア「いただきまーす」
ホームラン健「お!打った!」
ホームラン健「回れ回れ回れ!」
カップル「ナイターじゃん」
カップル「録画だろこれ」
ホームラン健「名勝負は何回見ても面白いんです!」
カップル「意味わかんない」
ホームラン健「8対7が一番面白いって言ったの誰だっけなあ~?」
カップル「ノムさんとか?」
ホームラン健「いや確か政治家」
カップル「どうでもいいから早く作ってよ」
ホームラン健「ねーマリアちゃーん」
マリア「知らない」
ホームラン健「何点対何点が好き?」
マリア「そっちかよ」
マリア「考えた事もないし。てかそもそも野球興味ないし。この時間食べられる所ここしかないから来てるだけだし。ニュースにしてほしいし」
ホームラン健「ダメ!今いい所なの!」
カップル「だから録画だろ」
ホームラン健「だから名勝負は何度見ても・・・」
ホームラン健「あ!」
ホームラン健「ルーズベルト!」
カップル「いいからとっとと唐揚げあげろ!」
『・・・新たに開業した竹尾御光間を結ぶ新幹線はこの3日間で三万人が利用し経済効果は・・・』
マリア「・・・♪」
カップル「ねえ、あの奥に座ってる人」
カップル「裏町のストリップの看板に出てる・・・」
カップル「かでとらるナンバーワンのマリアだっけ」
カップル「誰それ?知らね~」
カップル「嘘だ~。結構有名じゃん」
カップル「見にいったことあるんでしょ~怒らないから正直に言え~」
カップル「知らね~よバーカ」
マリア「・・・」
マリア「・・・」
マリア「マスター。お勘定」
「監督って呼んで~!」
マリア「それも効率化なの?」
「趣味!」
〇原宿の通り(看板無し)
マリア「・・・」
奏太「・・・」
マリア「・・・」
奏太「ちょ、ちょっとゴメン」
奏太「あの!」
マリア「え?」
奏太「時々、聴きに来てくれてますね」
マリア「あ、いや、あの、その」
マリア「いい歌だな~って思って」
奏太「ペラいでしょ」
マリア「そ、そんなことないです!直球なところが凄くいいです!」
向こう側の女「ねえ、もう上がり?」
奏太「うん」
向こう側の女「じゃ、行こ。いつもの居酒屋だけど」
奏太「あそこのテレビ野球ばっかなんだよな~」
向こう側の女「安いんだから文句言わない~」
向こう側の女「なんてところが、いい奥さんになれそうでしょ」
奏太「なんの話だよ」
マリア「・・・」
マリア「さて・・・お仕事お仕事」
「い~つくしみふか~き~♪ふ~ふふふふふふ~ん♪」
〇狭い裏通り
リーマン「クッソ。なかなか倒れねーな」
リーマン「課長!ここは一発オネしゃっす!」
リーマン「やっぱ男は守るもんができねーと強くなれねーんだよ」
リーマン「見てろ~」
リーマン「パパ、パーンチ!」
リーマン「さっすが一家の主!」
リーマン「俺も早く結婚しよ~っと」
リーマン「ほらよ。お前らのパンチ代もおごりだ」
「あざーっす!」
Z「あいあおう・・・おあいあいあ・・・」
『この、ばかもん!』
〇病院の診察室
毒取「いつまでこんなことを続けるつもりだ!」
毒取「自分をどう考えとるのか知らんが、お前はただの人間なんだぞ」
Z「ああ・・・あああ」
毒取「また行くのか・・・」
毒取「あの教会には神様なんぞおらん」
Z「あああ・・・ああ」
毒取「もういい。好きにしろ」
〇時計台の中
マリア「・・・!」
マリア(来てる・・・)
Z「・・・」
マリア(照れてる・・・)
Z「・・・!」
マリア(な、何故帰る!?)
〇ライブハウスの控室
シスター「あれ~?」
シスター「マリアさん、これからジムですか~?」
マリア「ううん。家まで走ろうかなと思って」
シスター「なんだ~。ついに御光町にもオールナイトのジムが出来たのかって思っちゃった」
ジャンヌ「この田舎にそんなもん出来る訳ないじゃん」
シスター「でも凄いですね~さすがナンバーワン」
シスター「アタシなんてもう仕事終わったら踊りたくも脱ぎたくも動きたくもないって感じで、速攻寝るみたいな~」
ジャンヌ「別にそれでいいんじゃない」
ジャンヌ「あまりシェイプしすぎるのもどうかと思うしね」
ジャンヌ「もっとも・・・」
ジャンヌ「男受けなんて下劣な考えはしない、生粋のダンサー様にとってはトレーニングは大事でしょうけど」
ジャンヌ「所詮場末のストリップなんて踏み台っしょ」
マリア「そんなことないよ」
ジャンヌ「じゃあ、ファンサくらいちゃんとすれば?」
ジャンヌ「あんた、この街のこと見下してるでしょ」
マリア「見下してなんて・・・生まれ育った町だよ」
ジャンヌ「だからよ」
マリア「・・・」
マリア「お疲れ様」
ジャンヌ「・・・」
シスター「お、おトイレいってきまーす」
ジャンヌ「ちょっと」
シスター「な、なんですか?」
ジャンヌ「舞台袖まで運んでくれない?」
シスター「なんで人魚やろうと思ったんですか?歩けないじゃないですか」
ジャンヌ「表現の開拓よ!」
シスター(そりゃナンバーワン奪われるわ・・・)
〇海岸線の道路
「すっすっ、はっは。すっすっ、はっは」
マリア「すっすっ、はっは。すっすっ、はっは」
マリア「・・・!?」
マリア「・・・」
マリア「・・・」
マリア「はっはっ!はっはっ!はっはっ!」
マリア「はあっ、はあっ!はあっ、はあっ! はあっ、はあっ!はあっ、はあっ!」
〇荒れた公園
マリア「お、いい風」
マリア「からの~」
マリア「ぷは~っ」
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