あなたの声が聴きたくて

すぎやま

エピソード1(脚本)

あなたの声が聴きたくて

すぎやま

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〇中規模マンション

〇システムキッチン
  今日もまた憂鬱な朝が始まる。
  私の毎日は同じことの繰り返しだった。

〇部屋の扉
小網圭太「・・・・・・(不機嫌)」

〇システムキッチン
小網けい「おはよう」

〇部屋の扉
小網圭太「・・・・・・」

〇システムキッチン
小網けい「・・・・・・」
  夫との会話は、ほとんどない。
  これが私の日常で、朝のはじまり。
  なんで、結婚生活を続けているのか分からなくなってきていた。
  私は憂鬱な毎日を過ごしていた。
  あの人と出会うまでは・・・・・・。
  っていけない!私も仕事行く準備しなきゃ!!

〇駅のホーム

〇電車の中
小網けい「ふふふ」
  私の人生を変えたあの人とは・・・・・・

〇大教室
  私が推しているアニメのイケメンキャラクター。

〇幻想2
  の中の人!!

〇電車の中
  声が好き。
  この人の声を聞くことが唯一の私の癒しであり、辛い現実から救ってくれる。

〇幻想2
  彼の名前は佐藤直哉、年齢は不明。
  おそらく名前も芸名。
  実は彼は顔出しNGの声優だ。
  宣材写真もなし。
  もちろん、ネット上にも一切、画像はない。

〇電車の中
  私が知っているのは声だけ。
  声だけなのにこの魅力。
  私は出勤前いつも彼の声を聞いている。

〇セルリアンタワー東急ホテル

〇ホテルの部屋
六条直之「ZZZ・・・・・・」
六条直之「ZZZ・・・・・・」

〇白いバスルーム
足立萌美「ん?着信音?」

〇ホテルの部屋
足立萌美「???」
  着信中
六条直之「ZZZ・・・・・・」
足立萌美「六条さん!」
六条直之「ん・・・・・・」
足立萌美「電話だよ」
六条直之「ん?電話?」
足立萌美「ずっと鳴ってるから出た方が良いんじゃない?」
六条直之「え?・・・・・・」
六条直之「あ、やべ!!」
六条直之「www」
足立萌美「???」
六条直之「あーーーー」
足立萌美「!?」
六条直之「(子供の声で)もしもしぃ?」

〇ラジオの収録ブース
村田剛「え?」
村田剛「もしもし?右京さんの携帯じゃ?」

〇ホテルの部屋
六条直之「(子供の声で)今、おじちゃん、手が離せなくて、僕が代わりに出たの!!」

〇ラジオの収録ブース
村田剛「えっと・・・・・・君は?」

〇ホテルの部屋
六条直之「(子供の声で)甥っ子!!」
足立萌美「www」

〇ラジオの収録ブース
村田剛「あ、そうなんだ」
村田剛「で、おじちゃんは何をやってるのかな?」
村田剛「出られないの?」

〇ホテルの部屋
六条直之「(子供の声で)うん、今、僕の先生とお話してる」
六条直之「あ、でもすぐ行くって!!」

〇ラジオの収録ブース
村田剛「先生?わ、わかった」
村田剛「とりあえず、おじちゃんにタクシー使って良いからすぐ来てって言っといて」

〇ホテルの部屋
六条直之「(元気いっぱいの子供の声で)わかった!」
  ピッ!!
六条直之「うまくいった」

〇ラジオの収録ブース
村田剛「え!?もしもし!?もしもし!?」
  ツゥーツゥー・・・・・・
村田剛「!!」

〇ホテルの部屋
足立萌美「すごい!何?今の!」
六条直之「俺、子供の真似得意なの」
足立萌美「・・・・・・もう行くの?」
六条直之「呼ばれちゃったからね」
足立萌美「仕事?」
六条直之「まぁ、そんなとこ」
足立萌美「何の仕事してるの?」
六条直之「・・・・・・」
足立萌美「・・・・・・」
六条直之「じゃあ、俺は出るから」
六条直之「好きな時に出ていいよ」
六条直之「なんか食べたかったら、適当に注文して良いから」
足立萌美「また会える?」
六条直之「・・・・・・」

〇セルリアンタワー東急ホテル

〇大きい交差点
六条直之「くそっ なんで、タクシーいないんだよ!!」

〇大きい交差点
小網けい「♪」
小網けい「きゃ!!」
六条直之「うわっ!!」

〇大きい交差点
  私は誰かにぶつかって、尻もちをついてしまった。
  すると目の前にすっと手が出てくる。
  男の声『ごめん、大丈夫?』
小網けい「!!!!」
  (この声・・・・・・)

〇幻想2
佐藤直哉「大丈夫?怪我してない?」

〇大きい交差点
  (この声・・・・・・佐藤直哉?)
六条直之「大丈夫?」
小網けい「あ、はい」
  (まさかね・・・・・・)
  私は男性が差し伸べる手をつかむと、引き上げてもらった。
小網けい「いたっ!!」
  私は足をくじいていたようで、男性の胸に手をついてしまう。

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 男性の声に魅了されるってすごくわかります!さらに外見もよければ、女性ならメロメロになってしまうものですよね。主人公の彼女がなるべく傷つかなければいいなあ。

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