終活魔王のエンディングノート

大河内 りさ

P17・枷(脚本)

終活魔王のエンディングノート

大河内 りさ

今すぐ読む

終活魔王のエンディングノート
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大樹の下
ルカード(早くエリゼのところに行かないと・・・!!)
ルカード「雷・・・!?」
キオル「四天王のあいつが来たか?」
門番「いえ、今のは城の方からです──」
門番「急ぎましょう!」
ルカード(エリゼ・・・)

〇古い洋館
  ──数刻前

〇貴族の部屋
ヴィエリゼ「ねぇ、グエル〜」
ヴィエリゼ「これ着ないとダメ?」
グエル「せっかく王子様と晩餐なんですから、 少しは着飾らないと!」
ヴィエリゼ「・・・何か楽しんでない?」
グエル「楽しんでます!!」
グエル「だって、王子様イケメンだったじゃないですか」
グエル「金糸のような美しい髪に 宝石のような碧い瞳・・・」
グエル「まるで童話に出てくる 王子様そのものでしたねぇ」
ヴィエリゼ「・・・私は銀糸のような髪の方が好きだもん」

〇王妃謁見の間
ラフェル「僕の、お嫁さんになって いただけませんか?」

〇貴族の部屋
ヴィエリゼ(あんなの、冗談に決まってる)
グエル「アクセサリーはこちらでよろしいですか?」
ヴィエリゼ「チョーカー?」
グエル「王子様からの贈り物です」
ヴィエリゼ「ペンダントではなくチョーカーを 贈ってくる人も珍しいわね」
ヴィエリゼ「・・・・・・」
ヴィエリゼ「アクセサリーは要らないわ」
グエル「ですが・・・」
ヴィエリゼ「つけたくない」
グエル「ヴィエリゼ様・・・」
ガスタイン「失礼いたします」
ガスタイン「少し早いのですが お食事の用意が整いました」
グエル「ガスタイン卿」
グエル「あなたからもヴィエリゼ様に 言ってくださらない?」
ヴィエリゼ「グエルってば」
ガスタイン「何の話です?」
グエル「王子様から戴いたネックレスを つけたくないと仰るんですよ」
ガスタイン「つけたくないのなら つけなくてもよろしいのでは?」
ヴィエリゼ「さすが、話が分かる!」
グエル「私は礼儀作法の話をしているのです!」
ガスタイン「つけた方がいいと思います!」
ヴィエリゼ「翻意が早い!!」

〇城の会議室
ラフェル「僕のためにドレスアップしてくださったのですか?」
ヴィエリゼ「そ、そういう訳じゃ・・・」
ラフェル「よくお似合いです」
ヴィエリゼ「ありがとう、ございます・・・」
ローレット「ねえ、あいつ無理なんだけど」
ローレット「ぶん殴っていい?」
ゲンティム「我慢しろ」
ローレット「てか、ダーちゃんたち 戻ってくんの遅くない?」
ゲンティム「飯でも食いに行ったんじゃないか?」
ヴィエリゼ「護衛の方たちは?」
ラフェル「あんななりをしているくせに疲れたようで、まだ休ませていただいています」
ヴィエリゼ「そうですか」
ラフェル「・・・ところで」
ラフェル「チョーカーはお気に召しませんでしたか?」
ヴィエリゼ「あのような高価なもの、 理由もなくいただけません」
ラフェル「理由があれば 受け取ってもらえるのですね?」
ヴィエリゼ「う・・・」
ラフェル「そうだなぁ」
ラフェル「お近づきの印、友好の証、愛情表現、 賄賂、貢ぎ物・・・」
ラフェル「どれがいいですか?」
ヴィエリゼ「ハァ・・・」
ヴィエリゼ「友好の証として、 受け取らせていただきます」
ラフェル「よかった」
ラフェル「今、つけさせていただいても?」
ヴィエリゼ「え、ええ・・・」
グエル「失礼いたします。どうぞ──」
ラフェル「ありがとう」
ヴィエリゼ「・・・・・・」
ラフェル「ふふ、そんなに緊張しないで」
ヴィエリゼ「緊張なんてしてません」
ラフェル「そう?」
ラフェル「では、失礼して──」
  ラフェル王子の手が首にふれる。
  少し冷たい感触がして、宝石の連なったチョーカーが私の首に巻かれた。
  その刹那──
ヴィエリゼ「・・・・・・?」
ラフェル「これできみは、僕のものだ──」
ヴィエリゼ「・・・ッ」
ヴィエリゼ(何・・・?)
ヴィエリゼ(身体が、言うことをきかない)
ヴィエリゼ(動けない!?)
ヴィエリゼ(どうして・・・)
ローレット「エリゼ・・・?」
ラフェル「まずは、邪魔者から排除しようか」
ローレット「あんた、何言って──」
ラフェル「〝殺せ〟」
ヴィエリゼ(身体が勝手に・・・!)
ヴィエリゼ(だめ・・・っ!!)
ヴィエリゼ(ローレット、逃げて・・・!!)
ローレット「エリゼ?」
ゲンティム「危ねえっ!!」
ゲンティム「くっ・・・」
ローレット「ゲンティム!?」
ローレット「うそ・・・ちょっと、しっかりして!!」
ヴィエリゼ(ゲンティム・・・!!)
ラフェル「はは、いい子だ。 ちゃんと僕の言うことをきいたね」
ラフェル「いいかい? 次は、きちんと仕留めるんだよ」
ローレット「あんた、エリゼに何したの!?」
ゲンティム「待て、ローレット・・・」
ゲンティム「嬢ちゃんは多分、あいつに操られてる。 下手に近付くと危険だ」
ローレット「でもっ」
グエル「私が余計な気を回したせいで・・・」
ローレット「・・・ゲンティムのことお願い」
グエル「ローレット様!?」
ゲンティム「おい、駄目だ動くな」
ローレット(エリゼの様子がおかしくなったのは、 あれを首につけてからだ・・・)
ローレット(あのチョーカーを外せば──)
ヴィエリゼ「──ッ」
ヴィエリゼ(来ては駄目・・・!)
ローレット「くっ・・・」
ローレット「ごめんエリゼ!」
ローレット「──ッ」
ローレット(チョーカーまで届かなかった・・・)
ローレット(もう一度──)
ラフェル「やれやれ・・・」
ラフェル「いつまでも遊んでいないで」
ラフェル「早くそいつらを殺して 僕の元へ戻っておいで?」
ヴィエリゼ「う・・・ぁ・・・」
ヴィエリゼ(止められない)
ヴィエリゼ(みんな、逃げて──)

〇黒

〇巨大な城門
ゲイダル「ぐあッ」
ダーリナ「ゲイダルさんっ・・・」
従者1「残り一人だ」
従者2「チッ、手こずらせやがって」
従者2「これで終いだ──」
ダーリナ(ここまでか──)
従者2「うっ・・・」
ミア「大丈夫!?」
ダーリナ「ミアさん・・・どうして・・・」
キオル「おいおい、四天王が情けねーなぁ」
フェゴール「・・・ッ」
フェゴール「面目ありません」
ルカード「キオル、回復を」
キオル「応急処置しかできねーぞ」
従者2「ハンッ」
従者2「遅かったなァ、勇者サマ」
従者1「今頃ラフェル殿下が 魔王サマを落としてるだろうよ」
ルカード「くっ・・・」
ミア「ルカード」
ミア「ダーリナちゃんと先に行って」
ルカード「ミア!?」
ミア「ここは任せて、ね?」
ルカード「・・・ありがとう」
ミア「さあ、お姉さんが相手になるわよ!」
キオル「お姉さんがんばれー」
ミア「キオルも戦うのっ!」

〇要塞の回廊
ダーリナ「念のため確認しておきますが──」
ルカード「エリゼと戦うつもりはない」
ルカード「オークションの時は、人間や建物に被害が出ていたから剣を向けてしまったけど・・・」
ルカード「きちんと、話し合いたいと思ってる」
ダーリナ「・・・そうですか」
ダーリナ「それなら構いません」
ダーリナ「急ぎましょう」

〇神殿の門

〇洋館の玄関ホール
ダーリナ「灯りが・・・」

〇洋館の玄関ホール
ダーリナ「これで見えますね」
グエル「・・・・・・うっ・・・」
ガスタイン「ダーリナ、様・・・」
ダーリナ「お二人とも、大丈夫ですか!?」
ダーリナ「何があったのです!?」
グエル「私のせいで、ヴィエリゼ様が・・・っ」
ダーリナ「動かないで。傷に障るわ」
ダーリナ「いったい誰がこんなことを──」
ガスタイン「・・・・・・魔王様です」
「えっ・・・?」
ルカード「それは、どういう・・・」
グエル「贈り物のチョーカーをつけた途端」
グエル「ヴィエリゼ様の様子が おかしくなって・・・」
ルカード「くそっ、遅かったか・・・」
ダーリナ「何か知ってるんですか!?」
ルカード「ラフェル王子が──」
ダーリナ「何・・・?」
ダーリナ「ローレット!?」
ローレット「・・・っ、あ」
ローレット「ダーちゃん」
ダーリナ「何があったの!? ヴィエリゼ様はどこに──」
ルカード「ゲンティムさん!?」
ルカード「ひどい怪我だ。早く回復しないと・・・」
ラフェル「おやおや、また心臓を外してしまったね」
ヴィエリゼ「・・・っ」
ラフェル「それとも、わざと苦しめて遊んでいるのかな?」
ルカード「エリゼ・・・!?」

次のエピソード:P18・終焉

コメント

  • 待望の続編✨
    そのチョーカー絶対つけちゃアカンやつや…😱💦
    やっと到着したルカード!なんとかして!
    でも…エンディングノートの最後の願いが叶う状況に近づいてる…?😨

成分キーワード

ページTOPへ