〇黒
　　──あらすじ──
　　社のエースである陽花を裏切った大和は
　　社内で軽蔑されるようになる。

〇明るいリビング
陽花の父「葵の絵は迫力があるなぁ」
陽花の母「葵は走るのも早いのよね」
陽花の父「テストは85点か、なかなか頑張ってるな」
楠原葵（あおい）「えへへっ」
楠原陽花（はるか）（お兄ちゃんばかり褒められる・・・）
楠原陽花（はるか）「ねぇ、パパ、ママ！」
楠原陽花（はるか）「私も絵、頑張ったよ！ 廊下に貼りだされたの」
楠原陽花（はるか）「それに かけっこは男子にも勝ったんだよ！」
楠原陽花（はるか）「テストもまた100点で・・・」
楠原葵（あおい）「・・・・・・」
陽花の父「陽花、黙れ！」
楠原陽花（はるか）「!?」
陽花の父「女が男より目立とうとするな、生意気だ」
陽花の父「たとえ出来ても、 何も出来ませんという顔で 男を立てるのが女の役目なんだ」
陽花の父「兄に恥をかかせて、 なんて意地の悪い娘だ！」
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
陽花の父「さぁ、葵、陽花のことは気にするな。 何か買ってほしいものはあるか？」
陽花の母「夕飯は葵の好きなものにしましょうね」
楠原陽花（はるか）（どうして？）
楠原陽花（はるか）（いっぱい頑張れば、 私もパパやママに見てもらえると 思っていたのに）
楠原陽花（はるか）（どうして私は褒めてもらえないの？）
楠原陽花（はるか）（お願い誰か、私を褒めて、認めて・・・）
楠原陽花（はるか）（私だけを見て・・・！）

〇黒

〇本棚のある部屋
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
楠原陽花（はるか）（いやな夢・・・）
楠原陽花（はるか）（両親への期待なんて とっくの昔に消えてしまった）
楠原陽花（はるか）「私を見てくれない人間なんて、 いらない」

〇ビジネス街

〇休憩スペース
楠原陽花（はるか）（はぁ・・・）
桜川大和（やまと）「陽花！」
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
楠原陽花（はるか）「なに？」
桜川大和（やまと）「あのさ、この間のことだけど。 一応謝っておこうと思ってさ」
桜川大和（やまと）「ごめん！　本当にごめん！」
桜川大和（やまと）「つい魔が差したって言うか。 でも、田所とのことは ほんの気の迷いだから！」
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
桜川大和（やまと）「そんな嫌そうな顔するなよ。 俺だって反省してるんだし」
楠原陽花（はるか）「大和」
桜川大和（やまと）「なに？」
楠原陽花（はるか）「この際はっきりさせとくね。 もうあなたに愛情はない」
楠原陽花（はるか）「別れて」
桜川大和（やまと）「なんでだよ！」
楠原陽花（はるか）「無理なものは無理。 もう恋人として受け入れられないの」
楠原陽花（はるか）「あなたはあなたの選んだ人と 幸せになって」
桜川大和（やまと）「だから、オレが選ぶのは陽花で・・・！」
楠原陽花（はるか）「あんなの見たら、 生理的に受け付けない」
桜川大和（やまと）「生理的って！　それひどすぎないか!?」
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
楠原陽花（はるか）「ひどすぎる？」
桜川大和（やまと）「あ・・・、いや、だから・・・」
社員「よっ、桜川！　おっはよ！」
桜川大和（やまと）「あ、お、おはよう」
社員「あんま楠原さん困らせんなよ、残飯君」
桜川大和（やまと）「・・・・・・」
楠原陽花（はるか）「!?」
楠原陽花（はるか）（今のは・・・）

〇ビジネス街

〇オフィスのフロア
楠原陽花（はるか）「・・・・・・」
楠原陽花（はるか）（さっきのは聞き間違い？）
楠原陽花（はるか）（でも・・・）
紅林信吾（しんご）「難しい顔ですね」
楠原陽花（はるか）「えぇ」
楠原陽花（はるか）「この商品は、どの方向から アピールするのが効果的か・・・」
紅林信吾（しんご）「元カレのことが気になってるんでしょ？」
楠原陽花（はるか）「!!」
紅林信吾（しんご）「なんかひっかかる雰囲気でしたもんね」
楠原陽花（はるか）「・・・仕事中よ」
紅林信吾（しんご）「ま、不埒なことをやらかした 罰が当たったんでしょう」
紅林信吾（しんご）「自業自得ってやつです」