DAY7: カホゴな探偵(脚本)
〇学園内のベンチ
吉沢美森「あー今日はいい汗かいたー やっぱり部活はこうでなくっちゃ!」
三澤梨々花「い、生き生きしてるね美森 しごかれた一年生はへとへとだったけど・・・」
吉沢美森「サーブ50本くらいしごきに入んないわよ でもホント、今日は里見と上杉がいなくて ラッキーだったわ」
吉沢美森「充実した部活動への貢献のために たまーに今日みたいにどっか行っててくれると助かるんだけど♪」
三澤梨々花「そう? 今日里見くんたちがOBのいる大学へ行くって聞いた時、美森がっかりしてなかった?」
吉沢美森「し、してないわよ! 気のせいよ!!」
吉沢美森「あれでしょ? 今日あいつら、そのOBにコーチ頼みに行ったんでしょ?」
三澤梨々花「うん、今大学2年生の先輩だって ウチの学校のテニス部で初めてインターハイに出場した人で」
三澤梨々花「大学のテニス部でも活躍してる人だって 里見くんのお兄さんが同じ大学で そのツテで会えることになったらしいよ」
吉沢美森「里見ってお兄さんと仲いいんだね 全然その話しないから 仲悪いのかと思ってたけど」
三澤梨々花「確かに・・・ 里見くんて人懐こくて話しやすいけど 自分のことあんまり話さないよね 家のこととか」
吉沢美森「・・・・・・あのさ、梨々花」
吉沢美森「あんた、里見のことって どう思ってる?」
三澤梨々花「え? いい友達だと思ってるけど」
吉沢美森「うーん・・・そうじゃなくて・・・ 友達以上に好きになる可能性、とか」
三澤梨々花「ないけど」
吉沢美森「即答かい!」
吉沢美森「聞いてもムダか・・・ 恋愛オンチだもんね・・・」
三澤梨々花「な、何よ〜その憐れむような目!!」
吉沢美森「だってそうでしょ~ あんたいつもわかんない、わかんない 言うじゃない」
三澤梨々花「そうだけど・・・ じゃあ美森は恋愛マスターだとでも 言うわけ!?」
吉沢美森「そ、そんなんじゃないけど 自分の中に「恋」がどんなものかっていう定義くらいあるわよ」
三澤梨々花「定義?」
吉沢美森「あたしにとって恋は 身体中がその人のことでスキマなくいっぱいになる幸せな気持ち、かな♡」
三澤梨々花「・・・美森って 意外と乙女思考だよね」
吉沢美森「意外って何よ! どっからどーみても乙女じゃないの!」
三澤梨々花「ごめん、ごめん💦 そうだね〜〜」
三澤梨々花(・・・そういえば 先生は昨日の夜、あの彼女とずっと一緒にいたのかなぁ・・・)
吉沢美森「・・・ねえ なんか校門の方騒がしくない?」
〇学校の校舎
九堂修也「だーかーらー 怪しい者じゃないんですってば!!」
先生「じゃあここで何をしてるんだね! 校門のあたりをウロつく怪しい男がいると 生徒から通報があったんだ まさしくアンタだろう!」
九堂修也「違いますって! 説明したでしょう ここに通う姪を待っているって──」
三澤梨々花「あれ!? 修兄ちゃん!?」
九堂修也「ああっ♡ りーちゃん!!!」
九堂修也「この子です、この子! 僕が待ってたの!!」
先生「ん? 三澤? 本当に知り合いなのか?」
三澤梨々花「はっはい! あの、母方の叔父なんです!」
三澤梨々花「だからあの、 一見怪しく見えるけど 怪しい者じゃないです!!」
先生「・・・本当か? 何かトラブルに巻き込まれているんじゃ──」
三澤梨々花「本当に私の叔父さんです! これでもこの人、元警察官で・・・ なんなら姉に電話して証言してもらいますけど──」
先生「警察官? そうか、本当ならいいが・・・」
先生「今後は誤解されないよう 気をつけて下さいよ! いい大人なんだから」
三澤梨々花「す、すみませ〜ん!!」
九堂修也「助かった〜 ありがとう、りーちゃん ナイスフォロー♡」
三澤梨々花「ナイスフォローじゃないよ! なんで不審者扱いされてるの💦 ていうかどうしてここにいるの!?」
九堂修也「えっ!NINEでメッセージ送ったよ!? 仕事で近くに行くから 部活終わる頃迎えに行くって──」
三澤梨々花「あ、ほんとだ ごめん、今気づいた」
九堂修也「がーん・・・!! どうりで返事がないと思った(´༎ຶོρ༎ຶོ`)」
九堂修也「だからもう心配で!! つい周囲を調べたり、生徒に聞き込みしたりしていたら ヘンタイさんに間違えられてしまったよ」
三澤梨々花「修兄、仮にも探偵でしょ? そんなんでちゃんと仕事できてるの?」
九堂修也「うぅ、面目ない・・・💦」
九堂修也「でも大丈夫! 仕事の時はちゃんとしてるから!! 今日はりーちゃんを思う気持ちが 前に出過ぎちゃっただけで」
九堂修也「ていうか、りーちゃん なんで数回に一回しかNINEの返信くれないの!?」
九堂修也「乃梨子は「ウザい」しか返さねぇし・・・ 既読スルーばっかりって ツラいんだぞ!?」
三澤梨々花「だって、修兄 大量にメッセージ送ってくるんだもん💦 あんなの見きれないし、全部返信するの 無理だから!」
三澤梨々花「まさかそれで会いにきたの!? いつも「大丈夫」って言ってるじゃない ほら、この通り元気でしょ?」
九堂修也「うん、いつも通りかわいくて安心した♡」
九堂修也「もし会えなかったら事件性ありと判断して 機動隊の出動要請しようかと思ってたよ」
三澤梨々花「ダッ、ダメだから! 昔のコネとか使うの禁止だから!!」
三澤梨々花(ま、間に合ってよかった・・・ 修兄ほんとにやっちゃう人だからなぁ💦)
三澤梨々花「とにかく、ここじゃ目立つから離れよう! 行くよ、修兄!!」
三澤梨々花「美森、ごめん!! そゆわけでまた明日ね!!」
吉沢美森「う、うん・・・ また明日ね💦」
吉沢美森「・・・なんだったの、いったい・・・」
〇店の入口
〇テーブル席
九堂修也「はぁーうれしいなぁ♡ りーちゃんと二人でお茶できるなんて 来た甲斐があったなぁ」
三澤梨々花「修兄・・・💦 会いに来てくれるのはうれしいけど さっきみたいな誤解を招く行動はダメだよ 警察呼ばれたら大変でしょ」
九堂修也「ごめんごめん!次は気をつけるから あっりーちゃん この桃のケーキおいしそうだよ! デザートセット頼もうか♪」
三澤梨々花(こういうの、姪バカっていうのかな・・・ 修兄、黙ってればモテそうなタイプなのに・・・)
三澤梨々花(これで昔は優秀な刑事だったっていうけど 本当なのかなぁ💦)
三澤梨々花「ケーキもいいけど・・・ 修兄、仕事で来たって言ってたよね? のんびりお茶してて大丈夫なの?」
九堂修也「あーうん、昔の知り合いに 情報収集を頼まれててさ その資料を渡しに来ただけなんだけど」
三澤梨々花「昔の・・・って警察の人?」
九堂修也「うん、まあね 新米の頃お世話になった人」
九堂修也「ただ忙しい人でね いつあっちの体が空くかわからないから しばらくこっちで待機するかも」
三澤梨々花「じゃあうちに泊まる?」
九堂修也「いや、今回は先方がホテルの部屋を取ってくれててさ 山ほど資料も持ち込んでるし そっちへ泊ることにするよ」
三澤梨々花「ふぅーん 本当にちゃんと仕事はしてるんだ」
九堂修也「そりゃしてますよ これでもわりとクライアントは多いのよ」
九堂修也「そんなことより、りーちゃんの方は? とくに変わったことない? 変な男に絡まれたりとか、ナンパとか ナンパとか」
三澤梨々花「なんでナンパ2回?💦 ないよ~ 普通に学校行って部活行って・・・あ」
九堂修也「なに!!!???」
三澤梨々花「あー・・・あのね 週に2回だけバイトしてるの お姉ちゃんの紹介なんだけど」
九堂修也「バイト!?」
九堂修也「なぜだ!!!! おおおおこづかいが足りないのか!? だったらなんで僕に言わない──」
九堂修也「しかも乃梨子の紹介!? アイツに強要されたのか! いかがわしい場所じゃないだろうな!?」
三澤梨々花「え、えーと・・・」
三澤梨々花(やばい 男の人の家でハウスキーパーだなんて言ったら修兄、狙撃手とか呼ぶかも! ご、ごまかそう!!)
三澤梨々花「かっ、家庭教師・・・! お姉ちゃんの友達の妹の! しょ、小学生の女の子なんだ~~」
九堂修也「小学生・・・女の子の・・・ 家庭教師・・・」
九堂修也「そっか~ りーちゃん、成績優秀だもんねー♪」
九堂修也「でもどうして突然バイトを? そんな必要ないのに! もしやりくりが大変なら僕が──」
三澤梨々花「大丈夫! 修兄には十分助けてもらってるよ 今のアパートだって、安くて住みやすいところ見つけてくれたし」
三澤梨々花「引っ越し資金だって出してもらったし いつも気にかけてくれて 私もお姉ちゃんもいつも感謝してるよ」
九堂修也「当然だろ りーちゃんたちは姉さんと義兄さんが遺してくれた、大切な姪っ子なんだから」
九堂修也「僕にとって一番大事なのは──」
三澤梨々花「わかってるよ 「私が無事に元気で笑顔でいること」 でしょ?」
三澤梨々花「でも私はこの通り元気だし 修兄はもっと自分のこと気にかけてよ」
三澤梨々花「いつも私のこと優先するせいで 彼女出来てもフラれっぱなしでしょ?」
九堂修也「うぐっ・・・💦 い、いいんだよ! りーちゃんはそんなこと気にしなくて」
三澤梨々花「よくない! 修兄、もう30歳でしょ! 姪っ子の写真をスマホの待ち受けにするより、お嫁さん探さなきゃ!」
三澤梨々花「ていうか私の隠し撮りを待ち受けにするのもう禁止ね!! 女の子、絶対引くから! それこそヘンタイだから!」
九堂修也「なっ、なぜ知ってる! さては乃梨子だな──」
三澤梨々花「とにかく! 私は大丈夫 もう小さな子供じゃないんだから」
三澤梨々花「何かあったら 今まで通りちゃんと相談するし」
九堂修也「・・・りーちゃん」
いらっしゃいませー
三澤梨々花(あれ・・・あの人・・・)
今度は修也さん、、、毎回次々と濃ゆいキャラが登場しながらもストーリーが渋滞しない展開に、感服と爆笑です!そんな中での美森さんの乙女心にとっても癒されます!