まずは1人目(脚本)
〇ラブホテルの部屋
ヒカリ「今日は大丈夫なの?」
修「大丈夫だよ。 残業で遅くなるって言ってるから」
ヒカリ「かれこれ1年だけど、奥さんと別れてくれるの?」
修「もう少し待てって」
ヒカリ「はいはい、もう聞き飽きたわよ」
修「お前はどうなんだ?」
ヒカリ「私はいつでと別れる気、満々よ」
〇明るいリビング
「今日も遅い」
「私が気づいていないと思ってるのかしら」
華「夫は浮気をしている。 かれこれ1年くらいだろうか」
華「急に帰りが遅くなったから 気になって探偵に調べてもらった」
華「簡単に浮気の証拠はあがった」
華「相手も既婚者」
華「絶対に許さない・・・ 夫も、あいつも、あいつの周り全員・・・」
〇ラブホテルの部屋
修「いつでも別れるって?」
ヒカリ「あいつにもう恋愛感情はないわよ」
ヒカリ「いちいちうるさいし」
ヒカリ「もう、こりごり」
修「そうか、まぁもう少し待ってよ」
修「再婚の資金がそろそろ溜まるからさ」
〇おしゃれなリビングダイニング
達也「ふぅ〜今日も飲み過ぎだ」
達也「・・・」
達也「相変わらず今日も留守か」
ヒカリ「ただいま」
達也「んだよ!こんな時間に帰ってきやがって」
ヒカリ「それはお互い様でしょ」
達也「はぁ?俺は仕事で遅くなったんだよ」
ヒカリ「そんなに酔っ払って何言ってるの」
達也「うるせえな!関係ねえだろ!」
ヒカリ「うるさいのはどっちよ!」
〇明るいリビング
華「私を裏切ったら、どうなるか」
修「ただいま」
華「おかえり、今日も遅かったわね」
修「あ、あぁ。残業があってね」
華「そう、いつもお疲れさま」
修「もう遅いから寝るわ」
華「おやすみなさい」
〇明るいリビング
修「お前を一生愛するからな」
華「うん!」
修「愛してるよ」
華「私も!」
〇明るいリビング
華「さて、そろそろ決行ね」
〇川沿いの公園
ヒカリ「今日も会えるの?」
もちろんだよ
ヒカリ「嬉しい!」
華「あの?」
華「植山ヒカリさん?」
ヒカリ「はい、そうですけど・・・なにか?」
華「私、ニコニコ生命の立花と申します」
ヒカリ「生命保険の人がなにか?」
華「植山達也ってあなたの」
ヒカリ「夫ですが」
華「何か伺ってませんか?」
ヒカリ「え?特に」
華「やっぱり・・・」
ヒカリ「やっぱり?」
華「何も聞いてないのね」
ヒカリ「何かあるんですか?」
華「実は・・・癌なんです」
ヒカリ「癌!?」
華「私は達也さんからお願いをされてまして」
ヒカリ「お願い?」
華「仲があまりよろしくないと伺ってますが」
ヒカリ「・・・えぇ、そうね」
華「それを気にしてるみたいで」
ヒカリ「あの人が?」
華「死ぬ前にきちんと仲直りしたいんじゃないですか?」
ヒカリ「そんなこと」
華「で、これを」
ヒカリ「生命保険?」
華「もちろん、直接書いてくれ、そんな話しできないでしょ」
ヒカリ「それは」
華「達也さん、素直になれないんじゃ」
ヒカリ「・・・」
華「この書類をさりげなく置いておいてください」
ヒカリ「さりげなく」
華「本当は書いてあなたに渡したいんですよ」
ヒカリ「あの人が」
華「それがあなたから達也さんへの最後の愛情で」
華「達也さんからあなたへの最後の愛情」
ヒカリ「・・・」
華「最後くらい仲直りしたらどうですか?」
華「手作りの料理とか作ったのは、いつですか?」
ヒカリ「・・・」
〇オフィスのフロア
修「ん?ヒカリから?」
ごめん、今日は会えなくなった
修「え?まぁいいか」
〇おしゃれなリビングダイニング
達也「ふぅ〜。今日も疲れたな」
ヒカリ「お、おかえり」
達也「なんだ?今日はいるのか」
ヒカリ「ご飯、食べる?」
達也「どうした?ここ何年そんなことしたことないだろ」
ヒカリ「たまには、さ」
達也「なんだ、気持ち悪いな」
ヒカリ「少しだけでも、ね」
達也「わかった、わかったよ」
ヒカリ「味噌汁、温めてくる」
達也「急になんだ?」
達也「ん?」
〇商店街
達也「パチンコでも行くか」
華「あなた植山達也さんね」
達也「ん?なんだあんた?」
華「あなたの奥さん、浮気してるわよ」
達也「なに?」
華「この写真が証拠ね」
達也「やっぱりか」
華「やっぱり?」
達也「こんなことだろうと思った」
達也「前々から帰りが遅いから気になってたけど」
華「調べたところによると1年みたいよ」
達也「1年、そうか。どうでもいいことだ」
華「ところで最近、変わったことなかった?」
達也「変わったこと?」
華「えぇ」
達也「なんかあるかな?」
華「急に優しくなったり」
達也「あ、料理」
華「料理?」
達也「昨日、急に料理を作り出した」
達也「ここ最近、そんなことなかったのに」
華「ちなみに味付けは?」
達也「味付け?」
華「例えば、濃かったとか?」
達也「濃かった?」
華「えぇ、例えば塩分の多い料理とか 味噌汁とか濃くなかったですか?」
達也「そういわれてみれば」
華「濃かった?」
達也「かもしれない」
華「それってどういうことか、わかります?」
達也「どういうことか?」
華「他には何か変わったこと、変わったものとか ありませんでした?」
達也「あ、保険!」
華「保険?」
達也「生命保険の書類が」
華「・・・」
達也「は!もしかして」
達也「おい!ちょっと!」
達也「・・・まさか」
〇おしゃれなリビングダイニング
達也「た、ただいま」
ヒカリ「おかえり、味噌汁、温めるわね」
達也「・・・」
ヒカリ「今日は焼魚よ。スーパーで塩鮭が安かったの」
ヒカリ「それとお漬物も買ってきたの」
達也「塩鮭に漬物」
ヒカリ「お味噌汁も入れてくるわね」
達也「味噌汁?」
ヒカリ「えぇ」
達也「いらない」
ヒカリ「え?」
達也「いるか!こんなもの!」
ヒカリ「ちょっとどうしたの?」
達也「やっぱりか!」
ヒカリ「落ち着いて!どうしたの?」
ヒカリ「もしかして病院で何かあったの?」
達也「はぁ?何言ってるんだ?」
達也「今日は外で食ってくるから、いらない!」
ヒカリ「もしかして、悪化して・・・」
〇川沿いの公園
修「やっと会えた」
ヒカリ「急になに?」
修「え?いや、最近どうしたんだよ?」
ヒカリ「しばらく会うのやめない?」
修「急にどうしたんだよ?」
ヒカリ「夫が、癌らしいの」
修「え?」
ヒカリ「ずーっとケンカしてたけど」
ヒカリ「いざ、癌って聞いたら、気になっちゃって」
修「なんだよ、すぐにでも別れるんじゃなかったのかよ」
ヒカリ「ごめんなさい」
修「おい!」
〇レトロ喫茶
華「そうですか」
ヒカリ「なかなか書いてくれないんです」
華「急に書くと、それはそれで変でしょ」
ヒカリ「そうですが」
華「向こうもタイミングをみてるのよ」
華「他に変わったことは?」
ヒカリ「あ、最近、様子がおかしいの」
ヒカリ「ぜんぜん手料理も食べてくれないんです」
ヒカリ「もしかしたら、ステージが悪化して」
華「だったら、早く書いてもらわないと」
華「ステージが悪化した後だと、書いても遅くなってしまいます」
ヒカリ「別に、そんなのどうでもいいのに」
華「今日はいいお知らせがあるの」
ヒカリ「いい知らせ?」
華「癌を治せる医者がいるの」
ヒカリ「医者?」
華「えぇ、でも」
ヒカリ「でも?」
華「保険が適応されないから」
華「手術に500万かかるの」
ヒカリ「500万!」
ヒカリ「そんなお金・・・」
華「旦那さんの為、なんとしてでも作らないと」
華「なんとしてでも」
ヒカリ「なんとしてでも・・・」
〇ラブホテルの部屋
修「どうかしたの?」
ヒカリ「え?」
修「急に会いたいっていうから」
ヒカリ「え、ちょっと」
修「それに、なんかずーっと上の空だったし」
ヒカリ「そ、そうかな」
修「なんかあった?」
ヒカリ「前に、再婚の資金が貯まってきたって言ってたわよね?」
修「あぁ、再婚はもうちょい待って」
ヒカリ「貸してほしいの!」
修「え?」
ヒカリ「夫の癌が治るかもしれないの」
修「はぁ?」
ヒカリ「それには手術に500万かかるの!」
修「俺に出せっていうのか?」
ヒカリ「お願い!絶対にきちんと返すから!」
修「いやだよ!なんで俺が!」
ヒカリ「お願い!」
修「絶対に嫌」
修「なんだよ、久々に会うって言うからなんだと思ったら」
修「金の話か」
ヒカリ「・・・奥さんに言うわよ」
修「え?」
ヒカリ「だったら、この事奥さんに言うわよ!」
ヒカリ「私たちの関係がバレたら、離婚、会社もクビ」
修「お前、俺を脅すのか」
ヒカリ「違うわよ、交換条件よ」
修「ヒカリ・・・」
ヒカリ「500万か、バラされるか」
ヒカリ「1日考えて」
〇おしゃれなリビングダイニング
達也「た、ただいま」
達也「ふぅ〜いない、ん?」
達也「ったく懲りずに」
達也「ん?なんだ」
公園で待ってる、ヒカリ
達也「こんな時間に?」
達也「よし」
〇川沿いの公園
話したい事がある、公園で待ってる
ヒカリ「もしかして、癌の話」
ヒカリ「でもなんで公園?」
達也「ヒカリ」
ヒカリ「急に呼び出して何?」
達也「はぁ?呼び出したのはお前だろ」
ヒカリ「え、何言ってるの」
達也「おかしいと思ったんだ」
達也「急に味付けの濃い料理作ったり」
ヒカリ「え、そんなつもりは」
達也「俺知ってんだぞ、そうやって少しずつ塩分を多くして殺すんだろ」
ヒカリ「え、そんなわけないじゃない!」
達也「生命保険の書類が証拠だよ」
ヒカリ「違う、それはあなたが」
達也「誰がやられるか」
ヒカリ「え?」
達也「誰がやられるかよ」
ヒカリ「ちょっとあなた!」
達也「殺られる前に殺ってやるよ!」
ヒカリ「あなた、落ち着いて!」
達也「これが落ち着けるかよ」
達也「殺ってやるよ」
ヒカリ「た、助けて」
〇川沿いの公園
ヒカリ「どうなってるの」
修「ヒカリ」
ヒカリ「あ、修!助けて」
修「500万にするか、バラされるか、決めたよ」
ヒカリ「え?」
修「どっちも嫌だね」
修「だったら、なかった事にしてやるよ」
ヒカリ「ちょっと待って」
修「ヒカリ、お前が悪いんだからな」
ヒカリ「どうなってるの」
修「お前が俺を脅すから」
達也「ヒカリ、逃げんじゃねえよ」
ヒカリ「2人とも落ち着いて」
修「ん?お前は」
達也「あ、お前は浮気相手!」
修「え、なんでわかった」
修「お前言ったのか!」
ヒカリ「知らないわよ」
修「って事はお前か、癌だというヒカリの旦那か」
達也「は?何言ってんだ」
達也「誰が癌だって?」
ヒカリ「え、どういうこと?」
修「ヒカリ、お前俺を騙して500万取ろうとしたのか」
ヒカリ「知らないわよ・・・」
達也「ヒカリ、許さん!」
修「ヒカリ、お前ってやつは」
ヒカリ「どうなってるの!」
達也「自分の性格を恨むんだな」
修「お前が悪いんだからな」
ヒカリ「そ、そんな。私が何を・・・」
「はぁはぁ」
華「ゲット!」
達也「おい、やっちまったよ」
修「どうする?」
達也「とりあえず、家に連れて帰る」
達也「大丈夫だ、こいつは両親も死んで、専業主婦だからバレないって」
修「わ、わかった」
華「まずは1人目」
華「後は、この二人だけね」
浮気は怖いのに、魅力的なのは、何故でしょう? 何を求めるのでしょう? そして、復讐も、達成感の後の、虚無は、どうするのでしょう? それでも、ブレーキが効かないのは、何のDNAなんだろう?
脚本が緻密に練られていて、ドキドキしながらタップしていました☺️さすがの構成力!スゴイです🙌
こんばんは!華さんの手のひらの中でキャラクター達が転がされてあれよあれよという間に華さんの思惑通りになってしまいました😱💦
だめ〜!と思いながらも今後の展開にドキドキしながら流れるように読めました👍