いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

18話 三つ巴(脚本)

いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

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〇断崖絶壁
白崎蓮「もう逃げ場はないぞ。 宿利、何か俺に言うことがあるよな?」
  ・・・落ち着いて考えろ。
  白崎の装備は、素人目にも上物だとわかる。おそらくレベルも高いだろう。
  どれほど強力なスキルを持っているか、予想もつかない。
  正面からぶつかり合ったら、勝ち目はないと思うべきだ。
  なら、僕が取るべき行動は・・・
白崎蓮「無視かよ。まぁいいけどさ」
宿利ユウ「うぐっ」
  ただのパンチだよな? 
  なんでこんなに重いんだ・・・
白崎蓮「この感じ──」
白崎蓮「まさかお前、レベルを上げてるのか!?」
白崎蓮「だよな。 そうじゃなきゃ、一発で吹っ飛ぶよな!」
宿利ユウ「ッ──」
  ・・・耐えろ。
  どれだけ殴られても、平気な振りをするんだ。
  そうすれば、白崎はきっと──
白崎蓮「全然手ごたえがねぇな。 だったら、これはどうだ!?」
  殺さない程度にスキルを使ってくる!

〇壁

〇断崖絶壁
白崎蓮「何!?」
白崎蓮「ぐぎゃああああ!」
  やっ、た・・・?
  僕が、白崎に勝ったのか・・・?
白崎蓮「はぁ、はぁ・・・うぐっ──」
宿利ユウ「・・・」
宿利ユウ「――白崎、ここまでだ」
宿利ユウ「今までのこと、全部謝れよッ!」
白崎蓮「ッ──」
白崎蓮「・・・ヤ」
白崎蓮「キョウヤ!」
宿利ユウ「わっ!?」
市沢恭也「おい、どうなってる!? なんでレンが怪我してんだ!?」
南井芽久「嘘でしょ、レンくん!?」
ダンカン「勇者様、ご無事ですか!? 今すぐ治癒師をお呼びします!」
ダンカン「おのれ、貴様! 勇者様に傷を負わせるとは、何事か!」
  こいつら全員、人間軍――僕たちの敵なのか!?
白崎蓮「クソッ! ぶっ殺す!」
白崎蓮「次は手加減なしだ! そのスキルごと、破壊してやる!」
ダンカン「落ち着いてください、勇者様! そのお怪我で動かれては危険です!」
市沢恭也「レン、忘れたのか!? あいつを殺したら、俺たちが元の世界に帰れなくなるんだぞ!」
  こいつら、やっぱり僕を生贄にするつもりなんだ・・・!
白崎蓮「そんなこと知るか! 宿利ユウ、舐めた真似しやがって! 絶対に許さねぇぞ!」
宿利ユウ「他に、言うことはないのかよ!?」
宿利ユウ「くっ・・・」
  この数は相手にできない。
  何とか、逃げる方法を考えないと。

〇断崖絶壁
宿利ユウ「嵐!?」
ダンカン「これは──」
  くそ、こんなときに・・・
ダンカン「あれが、魔石の魔物か・・・!?」
市沢恭也「おい、どうすんだよ!?」
ダンカン「あの魔物は、勇者様のスキルがなければ倒せません!」
ダンカン「今回は撤退するしか・・・」
白崎蓮「ふざけるな! 宿利を取り逃すつもりか!?」
ダンカン「しかし・・・」
  前には人間軍、後ろには海竜──
  どうする? 判断を間違えたら終わりだ。
  今の盾は──
リーナ「ユウ、ごめん! 手間取ってて・・・」
リーナ「あいつらは!?」
宿利ユウ「人間軍と、異世界の勇者だ」
リーナ「あれが──」
ダンカン「あの白い翼は・・・滅ぼしたはずの魔物の一族か!?」
ダンカン「なぜ生贄と魔物が行動を共にしている!?」
白崎蓮「理由はどうでもいい! だが、これでわかっただろ! 宿利は討伐対象だ!」
白崎蓮「殺せ! 撤退は許さん!」
ダンカン「──承知しました」
南井芽久「きゃああっ!?」
市沢恭也「まさかあいつ、攻撃を跳ね返すスキル持ちか!?」
市沢恭也「おいメグ! 攻撃を防げよッ!」
南井芽久「だって、急に・・・!」
ダンカン「メグ様、防壁をお願いします! 魔導部隊はその後ろから攻撃を!」
ダンカン「奴らのMPが尽きるまで畳み掛けるのだ! 撃て!」
宿利ユウ「くっ──」
  ダメだ。これだけの猛攻を受けたら、身が持たない!
リーナ「ユウ、飛ぶよ!」
馬田「く、食らえっ・・・!」
馬田「わっ!?」
市沢恭也「チッ。補助スキルも効かねぇのかよ・・・」
高城星来「宿利は狙うな! 魔物の方を撃つ!」
リーナ「逃げる隙がない・・・」
  このままじゃ、押し切られる!
  何か、方法はないのか!?
  電話が、鳴ってる!?

〇魔王城の部屋
トゥルカナ「あ、つながったみたい!」
ヴィオ「いったい何なのだ、その板は?」
トゥルカナ「ユウに人間軍の水晶玉をあげたら、代わりに『試作品』ってのをくれたんだよね」
トゥルカナ「遠くの味方と会話できる魔導具を作りたがってるみたいだけど・・・」
トゥルカナ「よく聞こえないな」
トゥルカナ「ねぇ、アマデウス。 雷霆(らいてい)撃ってみてよ!」
トゥルカナ「ユウのところまで届くかもしれない!」
ヴィオ「おやめください、魔王様。 何が起きるかわかりませぬぞ」
アマデウス「おもしろそうじゃないか。ためしてみよう」
ヴィオ「なっ!?」

〇断崖絶壁
  『試作品』から何か聞こえてくる!?
リーナ「ユウ、危ない! あっちに向けて!」
宿利ユウ「え、うん──」
市沢恭也「おい、防御!」
南井芽久「わかってるって!」
宿利ユウ「今のって、アマデウスさんの雷!?」
トゥルカナ「おーい、ユウー! 聞こえてる?」
宿利ユウ「トゥルカナ!?」
アマデウス「すごいぞ! 本当につながったのか!」
リーナ「魔王様!?」
ヴィオ「何やら、ものすごい悲鳴が聞こえましたが・・・」
宿利ユウ「ヴィオ!」
トゥルカナ「魔石狩りはどう? うまくいってるの?」
宿利ユウ「それが、魔石の魔獣を探してたら、勇者たちと鉢合わせして・・・」
アマデウス「何!? それは大変だ。 こちらからできることはあるか?」
宿利ユウ「アマデウスさん、さっきの、もう一度お願いします!」
宿利ユウ「リーナは魔獣を頼む!」
リーナ「わかった! そっちはお願い!」

〇海岸の岩場
南井芽久「無理無理無理。あたし、帰るっ!」
市沢恭也「おい、逃げるな!」
市沢恭也「――クソッ! 賢者、前線はまかせた!」
ダンカン「どういうことだ!? なぜ異世界人の貴様が、魔王の力を使っている!?」
宿利ユウ「僕を生贄にしたのはお前たちか?」
ダンカン「そ、それは・・・」
宿利ユウ「異世界の人間を争いに巻き込んで、戦えない魔族まで虐殺して──」
宿利ユウ「それがお前たち人間のやることなのか!?」
宿利ユウ「魔王は言ってた。『人と魔族が手を取り合える世界を作りたい』って」
宿利ユウ「どちらが正しいかなんて、子どもでもわかる!」
宿利ユウ「僕は魔王軍の宿利ユウ!」
宿利ユウ「お前たちが作った残酷な世界は、僕たち魔王軍が打ち砕く!」
ダンカン「来るぞ! 守りを固めろ!」
アマデウス「その声、ダンカンか・・・?」
  壊れた!?
  2発が限度なのか。
  ・・・僕のMPも、ほとんど残っていない。
「賢者様、援軍が到着しました!」
  まだ、これだけの敵が・・・!?
ダンカン「どんな理屈を並べようと、魔王に付く者はすべて悪だ!」
ダンカン「魔物とは、邪悪そのもの! 神のご加護を受けた我々人間とは違うのだ!」
ダンカン「撃てぇぇ!!」

〇断崖絶壁
リーナ「うっ──」
リーナ(ダメ・・・。力で負けてる・・・)
リーナ(HPが・・・)
  ユウ、助けて──

〇海岸の岩場
  もうMPが尽きる。
  これが、最後の・・・

次のエピソード:19話 闇に飲まれて……

コメント

  • おおーーエフェクトの使い方すごい😆⤴️手に汗握りましたよ❗すごい戦いです😆
    白崎にギャフンと言わせてスッキリしました✨ピンチはまだまだ続きそうですが……きっとユウなら乗り越えられるはず❗
    そして『試作品』使えますね😍

  • 白崎が油断していたとはいえ、一矢報いましたね!
    でも、逆鱗に触れてもっとピンチに?😨
    何とか危機から脱出できるか!?

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