#3 お局は辛いよ(脚本)
〇オフィスのフロア
綾香(よし、今日も定時であがれそう)
後輩A「綾香せんぱーい、ちょっとエクセルのことで聞きたいことがあるんですけど」
綾香「うん、いいよ」
後輩A「えっと、ここなんですけど・・・」
〇オフィスのフロア
後輩A「ありがとうございました! さすが綾香先輩♪」
後輩A「わからないことがあったら、先輩に聞くと言いってみんな言ってますよ♪」
綾香「アハハ・・・ありがと」
綾香(何でも・・・か。裏で『生きた社史』とか言われてそうだな・・・)
綾香(まあ、今のは私が独学で覚えたエクセルの裏技だからね・・・褒められて悪い気はしないかな)
綾香(・・・教えてたら、遅くなっちゃった。早く帰ろ・・・)
〇オフィスのフロア
綾香(あれ・・・? 経理部、まだ人が残ってる。この時期ってそんなに忙しくないはずだよね?)
ひかる「・・・・・・」
綾香(って、ひかる先輩ひとりだけ? どうしたんだろう・・・)
綾香(それにしても、すごいタイピングスピード・・・!)
綾香(集中しているみたいだし、邪魔しちゃ悪いよね)
〇更衣室
カヲリ「綾香ちゃん♪ お疲れ~」
綾香「あ、カヲリ先輩・・・。お疲れさまです」
綾香「カヲリ先輩がこの時間まで残ってるのって、珍しいですね」
カヲリ「ふふっ、さっきまで部長とちょっとね~」
綾香「は、はあ・・・」
綾香(部長とちょっとってどういうこと!? でも、あまり突っ込んで聞くのもなあ・・・)
カヲリ「それよりもさ~聞いてよ、この間のしつこい奴がまた来てさ~」
綾香がカヲリの話に相槌を打っていると、経理部の女子社員達がぞろぞろと更衣室に入ってきた。
真希「大丈夫、気にすることないって!」
恵奈「でも・・・大切な領収書を失くしちゃうなんて・・・」
真希「みんなで探して見つかったじゃん! だから、もういいんだって!」
恵奈「だけど・・・」
綾香(あ、あの子お昼に泣いてた子だ・・・。 あの時、ひかる先輩に領収書を失くしちゃったこと、報告してたんだ)
綾香(たしかに、仕事でミスすると心細いよね。そんな時、さらに厳しい言葉で怒られちゃったら・・・)
真希「あとの処理はあのお局に任せておけばいいんだって!」
真希「っていうか、本当はお局が、嫌がらせで隠したんじゃない?」
綾香(・・・なっ!?)
綾香(お局って、ひかる先輩のことだよね!?)
綾香(確かに、先輩の言い方はキツイよ。だけど・・・!)
綾香「ちょっと、今の取り消して!」
恵奈「・・・!」
真希「はあ? 何ですか、いきなり」
綾香「だから、さっきの言葉、取り消してって言ってるの!」
綾香「ひかる先輩がそんな嫌がらせ、するわけないでしょ?」
綾香「ひかる先輩ほど、面倒見が良くて、仕事熱心な人いないよ? 分かってるの?」
真希「って、よその部署の人にそんなこと言われてもね~」
綾香「なっ・・・!」
恵奈「ねえ、もう止めようよ・・・」
真希「でも、このままじゃアンタが悪者になっちゃうよ!」
カヲリ「はいはい、みんな熱くならない~♪」
綾香・恵奈・真希「・・・!」
カヲリ「いや~。アナタたちの気持ち、すっごく分かるよ~」
カヲリ「ひかるって、ホント口悪いし、怖いし、マジでありえないよね~」
真希「・・・そ、そうですよね。本当、ありえないですよ!」
カヲリ「だよね~☆ ホント、経理部の子達はあんな怖いお局と仕事して、マジで偉いって~!」
恵奈「そ、そんなことは・・・」
カヲリ「・・・でもさ、ひかるがあんな風に厳しいのには、ちょっと理由があるんだよね」
恵奈「え・・・?」
カヲリ「ひかるの前任の先輩、すごく優しい人で。ミスしてもすぐに自分がやるからってフォローしてくれる人だったの」
カヲリ「でも・・・その人、寿退社する時にちゃんと引き継ぎしないまま辞めちゃって」
カヲリ「しかも、普段から指導もまともにしてくれてなかったから、ひかる、かなり困ったらしいのよね」
恵奈「そんな・・・」
カヲリ「だから、自分の後輩達には同じ思いをさせたくないって、ついつい指導に熱が入っちゃうみたいなの」
真希「・・・・・・」
カヲリ「・・・てなわけだから、あんまりひかるの事、責めないでやって欲しいな~♪」
綾香「そんなことがあったんですね・・・」
恵奈「・・・私、やっぱり嵐山先輩のとこに戻ります!」
真希「嵐山先輩にそんなことがあったなんて、私、知らなかった・・・」
カヲリ「でも、ひかるの言い方がキツイのは事実だから☆ アタシも何回泣かされたことやら~♪」
カヲリ「泣かせるほど怖いのはNGだよね~。ちゃんと注意しとく~♪」
真希「は、はあ・・・でも・・・」
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