〇警察署の食堂
カヲリ「社食って、すっごい久しぶりかも～。折角だからＡランチ頼んじゃった♪」
ひかる「カヲリはいつも、外で男子社員達と食べてるものね」
カヲリ「あっちから誘ってくるんだもーん」
カヲリ「でも、今日の奴はなかったな～。昼以外も付き合えって言うんだもん～」
綾香（ひかる先輩が福山さんみたいなタイプの人と仲が良いって意外だな・・・）
綾香（もしかしたら、ひかる先輩は福山さんの不倫のこと、知らないのかな・・・？）
カヲリ「愛は欲しいけど、しつこいのはちょっとね～」
ひかる「不倫よりは健全だと思うけど？」
綾香（あ、知ってたんだ・・・！ っていうか、やっぱりひかる先輩の言い方キツイなあ～。 険悪なムードにならなきゃいいけど・・・）
カヲリ「やっだ～ひかるったら！ 相変わらずズバズバ言うよね～♪ なんかご意見番って感じ！」
ひかる「何よ、ご意見番って」
綾香（・・・これはこれで仲が良いのかな？）
カヲリ「それよりも・・・綾香ちゃんだっけ？ ひかると仲が良い後輩なんて初めて見た～。 これからも、ひかるのことよろしくね♪」
綾香「は、はい。もちろんです！」
綾香「というか、私の方が、ひかる先輩にはとても良くしてもらってて・・・」
ひかる「別に、普通よ、普通」
綾香「そんなことないですよ！」
綾香「元々、営業部のミスをフォローしてもらったのが、こうやって一緒にお昼する仲になったきっかけですし・・・！」
カヲリ「そうそう、ひかるってば超キビシーけど、面倒見はいいのよね～」
ひかる「・・・そ、それより、バンドの話に戻すけど、カヲリも、何か楽器してたわけ？」
カヲリ「アタシはね～高校の時に吹奏楽で、コントラバスだったんだ～」
綾香「わあ、そうだったんですね」
ひかる「ふーん。初耳だわ」
カヲリ「ふふーん。こう見えても、音楽にはちょっぴり詳しいんだから！」
ひかる「コントラバスなら、ベースが良いかもね。ちょうど、使ってないのがあるから、貸してあげる」
カヲリ「やった～♪ ありがと、ひかる！」
カヲリ「それじゃ、これからよろしくね～」
綾香「は、はい！ こちらこそ、よろしくお願いします、福山さん」
カヲリ「やーだ～。これからバンド仲間になるんだから、カヲリって呼んでよ」
綾香「えっと、それじゃあ・・・カヲリ先輩で」
綾香（よかった。不倫はともかく、カヲリ先輩自身は、すごく良い人みたい。 これなら、うまくやっていけるかな）
ひかる「・・・それよりも、なんでバンドする気になったわけ？」
ひかる「私達は、賞金目当てなわけだけど・・・アンタも、お金に困ってたっけ？」
カヲリ「うん！ ホスト通いで貯金食いつぶしちゃって☆」
ひかる「はあっ!? アンタ馬鹿なの!?」
カヲリ「だって～。愛が欲しいんだもん～」
綾香「・・・やっぱり、ちょっと不安かも・・・」

〇音楽スタジオ
　　後日、早速スタジオを借りて集まった綾香達は、それぞれの楽器の腕前を確かめ合った。
綾香「さすがひかる先輩！ ドラム、すっごく格好良かったです！」
ひかる「そういう綾香もなかなか悪くなかったわよ」
綾香「本当ですか？ 久しぶりだったから、ちょっと不安だったんですけど」
カヲリ「そうなの～？ ちょっとかじっただけのレベルじゃないと思うけど～」
綾香「えへへ・・・。実は、元カレとバンドするんだって、割と真剣にやってたんです・・・」
カヲリ「あら～綾香ちゃんも、なかなか情熱的な歴史をお持ちだったのね♪」
綾香「く、黒歴史です・・・」
ひかる「カヲリも筋はいいわね。これなら、本当に優勝狙えるかもしれない」
綾香「わっ！ 本当ですか？」
カヲリ「やった～☆」
ひかる「そのかわり、ビシバシいくわよ！」
「はーい！」
ひかる「選曲だけど、私が昔やってたバンドの曲でもいい？ その方が、私もフォローしやすいし」
カヲリ「もっちろん♪ で、どの曲にするの？ アタシはやっぱ『星屑に叫ぶ』かな～」
　　そう言い、カヲリはスマホの音楽プレイヤーのアプリを立ち上げる。
　　流れてきたのはアップテンポでノリのいい曲だった。
綾香「わあ、かっこいい曲ですね！ タイトルも素敵・・・！」
ひかる「な、なんでカヲリがこれを・・・!?」
カヲリ「あれ？ 言ってなかったっけ～？ アタシ、ひかるのバンドのファンだったんだよ～♪」
カヲリ「今でも、スマホに入れて聴いてるくらいなんだから♪」
ひかる「そ、そうなの・・・」
綾香（ふふ。ひかる先輩、照れてる）
ひかる「まあ、これならそんなに難しい曲じゃないし・・・いいかもね」
綾香「私も、この曲やってみたいです！」
カヲリ「それなら、決まりだね～♪」
ひかる「後は・・・バンド名ね。これを決めないことには、コンテストの応募もできないし」
綾香「うーん。どんなのがいいですかね・・・」
カヲリ「『爆裂★乙女組』とかどう～？」
ひかる「乙女って歳？ 却下」