ネクタイリング

サトJun(サトウ純子)

33才の冬(脚本)

ネクタイリング

サトJun(サトウ純子)

今すぐ読む

ネクタイリング
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇モヤモヤ
  私が他の人と幸せになる事が
  涼太への最大の復讐
  ──そう、思っていた。

〇テーブル席
  ──なぜだろう。
  モヤモヤする──。
河村杏奈「で、たぶん、その頃は安定期だから行けると思う!」
河村杏奈「今は悪阻でさっぱりしたものしか食べたくないけど」
河村杏奈「真也の時も、安定期にはめっちゃたべてたから、きっと大丈夫!」
岩本玲菜「来てくれてるのは嬉しいけど、 くれぐれも無理しないようにね。 大事な時なんだから」
河村杏奈「だって、玲菜の晴れ姿見たいもーん」
岩本玲菜「ありがとう! 料理にリクエストがあったら言ってね」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「杏奈、強いね」
河村杏奈「だって、離婚とか、一人で働きながら子育てするとか。無理だもん」
河村杏奈「旦那とあの女、二人から慰謝料ガッポリもらったから、もう、充分かなって」
河村杏奈「それにね。お義父さん、お義母さんが、ものすごく良くしてくれるの!真也の面倒も見てくれるし。旦那よりよっぽど良いわ!」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「・・・なーんてね」
河村杏奈「あの一件があった時に、旦那から「合わせる顔がない。離婚してくれ」って言われたんだけど」
河村杏奈「「それでも、私はあなたが大好きだから」って、可愛らしく繋ぎ止めたのよ」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「私、気付いてたのよね」
河村杏奈「「部長にはいつもお世話になっています」って、部下ヅラして挨拶して来る度に 「この女か」って」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「その時から、「何があっても絶対離婚しない」って決めたの」
河村杏奈「だって、このまま離婚したら、あの女の思うツボじゃない」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「「あなたは単なる通りすがりの人なのよ」って思い知らせてやるわ」
河村杏奈「だって、こっちはその後に子供つくってるんだから、そう思うでしょ?」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「あの人、既に「結婚も子供も難しい」って年齢になっちゃってるからね」
河村杏奈「仕事も失ったし、 これからどうするのかしらね」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「なーんちゃって!」
河村杏奈「昼ドラだったら、そんな展開? 面倒だから、私には無理無理ー!」
岩本玲菜「ビックリしたー」
岩本玲菜「でも、その気持ち。私はわかるんだけどなぁ」
河村杏奈「ひ、人の心配している場合じゃないわよ!」
河村杏奈「玲菜も早めに頑張るのよ! あまり歳を取ると、いろいろ大変になるから」
岩本玲菜「はーい!」
河村杏奈「若い頃は「若い」ってだけで、スッピンだろうが、ジャージだろうが「若いお母さん」で許されるけど」
河村杏奈「歳とってからのお母さんは、身だしなみしっかりしてないと「お孫さんですか?」とか言われちゃうからね!」
岩本玲菜「なんかシビアねー」
河村杏奈「お母さま方より、子供の方がシビアだからね!」
河村杏奈「ま、玲菜は綺麗だし、仕事もバリバリだし。なにより「あの社長の奥さん」ってだけで大丈夫そうだけどね!」
岩本玲菜「なに、それー」
河村杏奈「あっ!学校からだ! ちょっとごめん!」
河村杏奈「もしもし! ・・・はい。・・・はい。 そうですか。わかりました!」
河村杏奈「真也が熱が出ちゃったみたいで。 迎えに行ってくるわ! 急にごめん!」
岩本玲菜「それは大変! 気をつけて行って来てね!」
岩本玲菜「走っちゃダメ!」
岩本玲菜「・・・」
  子供・・・か。

〇テーブル席
  ──涼太と付き合う前
岩本玲菜「えー。そんなにあちらのご両親に邪魔されるなら、既成事実つくっちゃえばよかったのに」
足立涼太「言うなぁー」
岩本玲菜「だって、芸能人とか多いじゃない。 そういう切っ掛けでもないと、難しくない?」
足立涼太「いや、実は、そのぉ・・・」
足立涼太「・・・」
足立涼太「実は俺、二年前におたふく風邪で死にそうになって、入院した事があるんだ」
足立涼太「だから、多分。 その作戦は使えない」
岩本玲菜「そうなんだ。 なんか・・・ごめん」
足立涼太「いやいや。 そもそも、俺、子供苦手だからさー」
足立涼太「いちいち説明するのも面倒だから、彼女には「子供はいなくていいかなー」って言ってたんだ」
  そうだ。あの時、
  『子供はいらない』って言っていたのは
  そういう理由だった。

〇テーブル席
岩本玲菜「何が「子供は苦手」よ」
岩本玲菜「この人は一生子供が出来ない人だと思っていた」
岩本玲菜「そもそも、それを望んでない人だと思いこんでいた」
岩本玲菜「だから、私もどこかで諦めていたのに・・・」
岩本玲菜「いきなり「小学生の娘さんがいる」って聞いたら、そりゃ、ビックリするでしょ!」
  『・・・怖い夢見たの?
  わかった、わかった。
  ママと一緒に絵本読んであげるから』
岩本玲菜「・・・おまけに、 すっかり親バカ全開じゃない!」
  ・・・あれ。もしかして。
  過去に縛られているのは
  私の方?
倉島昇「あっ!玲菜さーん! お一人ですかー?」
足立涼太「おっ!玲菜。久しぶり!」
岩本玲菜「・・・」
岩本玲菜「あらあら。 お仕事熱心な昇さんと、親バカ全開のパパ。 ごきげんよう」
倉島昇「なんすか、その棒読み。 機嫌悪いんすか?」
足立涼太「親バカ全開って」
岩本玲菜「なんとなく、ムカついてたんで」
倉島昇「もー、八つ当たりはやめてくださいよー」
足立涼太「ま、わかりやすくて良いけどな」
倉島昇「そうなんですよ。 玲菜さんのそういうところ、僕、好きです!」
足立涼太「だろ?俺もそうだったんだよ」
倉島昇「部長!気が合いますねー」
岩本玲菜「はぁ? 調子の良いこと言わないでよ!」
岩本玲菜「今日は結婚指輪だけで、ネクタイリングしていないじゃない!」
足立涼太「おー、こわっ!」
倉島昇「もしかして、マリッジブルーってヤツですか?」
岩本玲菜「さぁ、どうなんでしょうねぇ」
  どうして、ネクタイリングしてないのよ
  どうして、ネクタイリングしてないのよ
足立涼太「文彦は優しいヤツだから、お手柔らかに頼むよ」
倉島昇「えっ?部長、あの社長の事、知ってるんすか?」
  もう、ネクタイリングは必要ないの?
  もう、私も必要ないの?
足立涼太「うん。昔の同期だよ。 だから、昇から結婚の話しを聞いてビックリした!」
倉島昇「知らなかったー! 部長に、あんな凄い同期がいただなんて」
倉島昇「・・・あ、すんません」
岩本玲菜「そうなのね! お知り合いだったなんて、知らなかった!」
足立涼太「あいつ、優しすぎるところがあるから・・・大丈夫か?」
岩本玲菜「大丈夫! 私が全力で支えてあげるから!」
倉島昇「なんだー。 ラブラブじゃないっすか!」
岩本玲菜「当たり前じゃない」
足立涼太「・・・」
岩本玲菜「・・・」
  もちろん、知っていたわよ。
  文彦さんと涼太が同期だったってこと
  N社を辞めて、途方に暮れていた文彦さんを
  救ったのは私だから。
  覚えてるわよね?
  彼が会社を辞めた理由

次のエピソード:ある嵐の日

コメント

  • あ、紆余曲折的な感じなんですね。リアルタイムで読んでいたら、違う意味でハラハラしてたんじゃないかなぁ。次読んでみまーす。

  • また新たな謎がっ・・・! 続きお待ちしております

  • 待ってました!
    まだ玲菜の苛立ちが消えない様子。
    しかもそれを隠さないのに男たちには逆に好感度あがるなんて、美人は得!
    みんなドMなの?(僻み)
    涼太の子供の件!お〜、そうだったのかあ。
    確かに子を作れないかもとか、説明するのは面倒くさいですよね。
    今回はなんだか涼太に感情移入してしまいました。

コメントをもっと見る(8件)

成分キーワード

ページTOPへ