あなたの特別

羽遊ゆん

5.大好きですよ(脚本)

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〇おしゃれなレストラン
前嶋琴美「・・・痛っ」
白鳥勇次「ごめん、琴! お前が中に入れようとしないからだぞ」
白鳥勇次「あれ? 今日は、あの口うるさい店長いないんだ!」
前嶋琴美「真樹さんのこと、そんな風に言わないで」
白鳥勇次「琴~、そんなに怒るなよ~」
白鳥勇次「なぁ、琴の料理食わせろって言わないから、この後、晩飯付き合ってよ」
前嶋琴美「・・・なんで私が? 行きません!」
鷲尾拓海「琴美先生! 大丈夫ですか!?」
白鳥勇次「あ? 誰?」
前嶋琴美「・・・バイトの子よ」
白鳥勇次「なぁ、君・・・名前は?」
鷲尾拓海「え? あ・・・鷲尾です。 鷲尾拓海、です」
白鳥勇次(・・・やっぱり鷲尾)
白鳥勇次(・・・ふぅん)
白鳥勇次「へー♪ そうなんだ。 俺、白鳥勇次。琴美の元カレ♪」
前嶋琴美「ちょっと! なに言ってるの!?」
前嶋琴美「本当に・・・勇次さん帰ってちょうだい」
白鳥勇次「おー怖! わかったよ。帰りますー! じゃあまたな、琴」
前嶋琴美「まったく、もう」

〇ビルの裏通り
前嶋琴美「拓海くん、お疲れさま! 私、こっちだから」
鷲尾拓海「あ、僕もそっちなんです」
前嶋琴美「あ! そうなんだ。 どこに住んでるの?」
鷲尾拓海「今日から、琴美先生の部屋の隣です」
前嶋琴美「え? ・・・ええ~~!?」
前嶋琴美「たしかに隣の部屋、空いてたけど・・・ まさか拓海くんが引っ越してきてたなんて」
前嶋琴美(そっかぁ・・・隣に・・・)
前嶋琴美「ねぇ拓海くん、お酒飲める?」
鷲尾拓海「ビールくらいしか飲んだことないですけど」
前嶋琴美「明日、休みだし・・・再会祝いしない?」
前嶋琴美「・・・勇次さんのせいで、ムカムカしてるし。飲みたい気分なの」
鷲尾拓海「あはは! いいですよ!」
前嶋琴美「あ、でも・・・彼女が嫌がるかな?」
鷲尾拓海「・・・彼女?」
前嶋琴美「え? 今日一緒に来てた女の子 ・・・彼女でしょ?」
鷲尾拓海「違いますよ~! あの子はただの友達です」
前嶋琴美(う~ん。あの子は拓海くんのこと、絶対好きだろうけど・・・)
前嶋琴美(付き合ってるわけじゃないなら、いっか♪)

〇中規模マンション

〇玄関内
前嶋琴美「どうぞ~♪ 上がって~」
鷲尾拓海「おじゃま、します」

〇綺麗な部屋
前嶋琴美「適当に座ってね♪」
鷲尾拓海「はい」
前嶋琴美「まずは~、ビール!」
前嶋琴美「それから~、おつまみ~♪」
前嶋琴美「スナック菓子も食べたくなるよね!」
前嶋琴美「では~、再会を祝して~♪」
「かんぱぁい!」
前嶋琴美「はー! 美味し~い♡」
前嶋琴美「ねえ、拓海くんのこと教えて? 今まで楽しく過ごせてた?」
鷲尾拓海「う~ん、そうですね。 いろいろ・・・ありました」
鷲尾拓海「・・・EgL(イーグル)ホールディングスって知ってますか?」
前嶋琴美「もちろん! 有名な大きい会社じゃん! 知らない人いないんじゃない?」
鷲尾拓海「僕の父親・・・EgLホールディングスの社長だったんです」
前嶋琴美「ええ!? 嘘!」
鷲尾拓海「ホントです。びっくりですよね」
前嶋琴美「う、うん・・・」
鷲尾拓海「あの人、あっちこっちに子供がいるみたいだけど、男は僕だけで──」
前嶋琴美「あ! それであの時、急に呼び戻されたの?」
鷲尾拓海「そうみたいです」
前嶋琴美「それで? 良くはしてもらえたの?」
鷲尾拓海「お金の面では困ることはなかったかな」
鷲尾拓海「僕は、後継者になるべく、呼び戻されたから、捨てられないよう、頑張った」
前嶋琴美「後を継ぐつもりなんだ?」
鷲尾拓海「後を継いでも、向こうの思い通りにさせるつもりはないよ」
鷲尾拓海「利用できるものは利用してやろうと思って」
鷲尾拓海「あの人、もうかなり年だし、死んだら僕の好きにできるでしょ?」
前嶋琴美(拓海くん、笑ってるけど 父親への憎しみが・・・伝わってくる)
前嶋琴美(私と・・・同じだ)
鷲尾拓海「まぁ、大学に通えて、こうして琴美先生に会えたから、頑張った甲斐があった」
鷲尾拓海「僕、ずっと琴美先生のことを探してたんです」
鷲尾拓海「琴美先生のこと、見つけ出すって言ったでしょ?」
鷲尾拓海「カフェをするって聞いてたから、カフェのバイトをしたし」
鷲尾拓海「いろんなカフェを巡って、探してた」
前嶋琴美「拓海くん、ずっと忘れないでいてくれて・・・ありがとう」
鷲尾拓海「隣に引っ越してきたのも、実は僕から店長に提案したんです」
鷲尾拓海「店長、琴美先生が心配だって言うから」
鷲尾拓海「ストーカー・・・のせいで、9年前、引っ越してきてたんですよね?」
前嶋琴美「・・・真樹さんから、聞いたの?」
鷲尾拓海「琴美先生と9年前に出会って、知り合いだって話したら、教えてくれました」
鷲尾拓海「僕が隣に引っ越せば、琴美先生をストーカーから守れるから」
前嶋琴美(拓海くん、そこまで気にかけてくれてたんだ)
鷲尾拓海「ストーカー・・・あの人ですよね? 今日、押し入ってきた元カレ」
前嶋琴美「・・・」
前嶋琴美「・・・」
前嶋琴美「・・・うん、そうだよ」
鷲尾拓海「それから・・・琴美先生が特別になりたかったって言ってた人、ですね?」
前嶋琴美「・・・うん」
前嶋琴美「なんか、恥ずかしい・・・あの頃は、若かったんだよね」
前嶋琴美「勇次さんと結婚するものだと思ってたけど」
前嶋琴美「・・・彼は結婚してた。 私、知らずに不倫してたんだ」
前嶋琴美「私、不倫した父親に捨てられたから、不倫なんて大嫌いなの」
前嶋琴美「別れを切り出したら、ストーカーし始めて・・・」
前嶋琴美「もー! 見る目ないよね、私って」
鷲尾拓海「・・・琴美先生」
前嶋琴美「あ、拓海くん。もう先生じゃないから・・・私のこと、琴美さんでいいよ?」
鷲尾拓海「あ・・・はい」
前嶋琴美「ここでカフェを始めて、平和な毎日が続いてたんだけど」
前嶋琴美「1年前──」

〇おしゃれなレストラン
  ― 1年前 ―
前嶋琴美「真樹さ~ん! 鍵、閉めときますね~!」
  琴美は、店の奥にいる真樹に声をかけた
前嶋琴美「よし、オッケー♪」
前嶋琴美「ノックの音? ・・・誰?」
白鳥勇次「琴・・・久しぶり」
前嶋琴美「・・・勇次さん、なんで」
白鳥勇次「この近くの支店の支店長になったんだ、俺」
白鳥勇次「すごいだろ?」
白鳥勇次「で、偶然このカフェで琴を見かけて・・・」
白鳥勇次「そんな顔するなよ~。 もう琴の嫌がることはしないからさ」
白鳥勇次「せめてもの罪滅ぼしに、新規のお客さん、いっぱい連れてくるから」
前嶋琴美「そんなこと言われても・・・」
白鳥勇次「・・・信用できない、か」
白鳥勇次「俺、これからは琴と友人として付き合っていきたいんだ」

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コメント

  • 隣の部屋!😱と一瞬怖かったですが、ど、どうやら拓海くんはまともに育ってそう……?でも店長~!ほうれんそうお願いします~!
    琴美が好意を素直に受け取れないのは、恋愛がうまくいかずに自己肯定感も下がっているんでしょうね……

  • 一途な拓海君の思いが伝わらず……心からの言葉だとい言うのが伝わると信じてる😉😉😉

  • 一途な年下、可愛いですね。そして報われなさが余計にいじらしい……w
    血縁関係が今後どのように解明されていくのか楽しみです。

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