第5話(脚本)
〇ビルの裏
愛城しずく(お母さんへの仕送り?)
〇古いアパート
大家「親孝行なのはとってもいいと思うのだけど・・・そのために自分を犠牲にする必要はないんじゃない?」
大家「他人の私がここまで言うのはあれかもしれないけれど」
愛川菜々美「ご心配ありがとうございます でも、私が支えてあげないと・・・」
大家「そう・・・ でも無理はしないでね」
愛川菜々美「はい、ご心配ありがとうございます」
大家「愛川さんを支えてくれるような人がいればいいのだけれど・・・ごめんなさいね、私紹介できるような若い人がいなくて」
愛川菜々美「とんでもないです そのお気持ちだけで十分ですよ」
大家「それじゃ ゆっくり休んでね おやすみなさい」
愛川菜々美「はい、おやすみなさい」
〇ビルの裏
愛城しずく「そんな・・・」
〇シックなバー
週末
都内のレズビアンバー
マスター「懐かしい顔だね」
愛城しずく「マスター、久しぶり」
マスター「ここにはもう来ないんじゃなかったっけ?」
愛城しずく「そのつもりだったんだけど・・・」
マスター「私じゃないと話せない悩みができた・・・か」
しずくはマスターに話した
愛川との関係を
そして盗み聞きしてしまった事実も
マスター「またおっもい恋愛してるね」
マスター「しかもまだ気持ちも伝えてないんだろ?」
愛城しずく「それはそうだけど・・・」
マスター「ま、好きになっちゃったもんは仕方ないよね 難儀なもんだ」
愛城しずく「好きとは言ってないでしょ」
マスター「じゃあ何でうちに相談しにきたのかな?」
愛城しずく「それは・・・重くて普通の知り合いにこんな相談出来ないでしょ」
マスター「ふぅん でも、ま、どうしても助けてあげたいと その愛川さんって人を」
愛城しずく「うん・・・私に力になれることがあるなら助けてあげたいって思ってる」
マスター「ならもっと相手の懐に入らないとね 今の距離間じゃ相談してもらえないでしょ」
愛城しずく「それが出来たらやってるよ・・・」
マスター「怖いんでしょ? また傷つくのが」
愛城しずく「それは・・・」
マスター「一歩踏み出すのが怖いのなんて誰でも一緒 それはレズでもノーマルでも」
マスター「そこで一歩踏み出せる奴だけが何かを得ることができるんだよ」
愛城しずく「う・・・ん」
マスター「これはサービス 生き急げ若人よ、人生は待ってくれないんだぞ」
愛城しずく「ありがとう・・・それって誰かの格言?」
マスター「うん、偉人の格言」
マスター「私っていう偉人のね」
愛城しずく「ちょっと何それ」
マスター「人生の先輩なんだから十分偉人でしょ? 同じチャンスは二度と廻ってこないんだから、あんたが手を伸ばしてあげなよ」
愛城しずく「私の手なんかで・・・掴めるのかな?」
マスター「そんなのやってみてから考えなさい 案外何とかなるから」
愛城しずく「それも実体験?」
マスター「私の場合は半分くらい失敗してるね」
愛城しずく「なら無責任なこと言わないでよ!」
マスター「確かに失敗したこともあったよ でも、挑戦した全部後悔はしてない」
マスター「むしろやらずに終わったことの方が後悔してるから」
愛城しずく「そうは言われても・・・」
マスター「まぁ無理にとは言わないよ 私はしずくじゃない」
マスター「あんたの心の傷がどのくらいなのか どのくらい怖いのかなんてわからないんだから」
愛城しずく「うん・・・」
〇歌舞伎町
愛城しずく(相手の懐に・・・か 確かに怖がってるままじゃ何も始まらないよね)
モブ男「おねーちゃん、こんなところ一人で歩いててナンパ待ち? 俺声掛けちゃってOKかな?」
愛城しずく「え、いや私は近くのバーからの帰りで──」
モブ男「えー、こんなカワイイお姉ちゃんが一人でバーなんて寂しいことしないっしょ」
愛城しずく「ちょっ・・・いや本当なんです・・・触らないで」
愛川菜々美「おにーさん、ナンパするなら私にしてくださいよ」
愛城しずく「愛川さん!?」
モブ男「何? お姉さんキャバ嬢?」
愛川菜々美「ええ、そこのキャバクラです よかったらどうです? 一般の女の子よりも楽しませますよ」
愛城しずく(愛川さんが・・・キャバ嬢!?)
モブ男「普通キャッチって男がやるんじゃないの? それにおねーさん綺麗だから指名料高そうだなぁ」
愛川菜々美「出勤途中だったのですがイケメンが目に入ったのでつい声を掛けてしまいました 特別に指名料はいりませんよ」
モブ男「それなら誘いに乗っちゃおっかな」
愛城しずく「ちょっと待ってください愛川さん! キャバクラで働いてるって──」
愛川菜々美「私は愛川じゃない ナミっていうんだよ、カワイイお嬢さん」
愛川菜々美「夜の街は危ないから早く帰りなさい」
愛城しずく「え、いや・・・でも」
愛川菜々美「では行きましょうか」
愛城しずく「嘘・・・」
〇オフィスのフロア
週明けの会社
愛城しずく(ナミって名乗ってたけど、あれ絶対愛川さんだったよね)
愛川菜々美「あの・・・愛城さん」
愛城しずく「愛川さん! おはよう・・・ございます」
愛川菜々美「おはよう・・・ございます」
愛川菜々美「今日のお昼・・・よかったらご一緒にいかがですか?」
愛城しずく「はい、わかりました」
愛川菜々美「では、お昼になったら迎えに着ますね」
立花香里「おはよーしずく 愛川さんにお昼誘われたの?」
愛城しずく「おはよ、香里 うん、まぁね」
立花香里「最近仲いいよね 愛川さんって社内の誰とも仲良くしてるの見たことなかったから新鮮かも」
愛城しずく「うん、仲はいい・・・かな」
愛城しずく(いや、よかった・・・が正しいよね お昼に話す内容は、避けては通れないけれど、私たちの関係を絶対変えちゃう)
愛城しずく(だったら、一歩を踏み出すチャンスは今しかないよね)
〇ファミリーレストランの店内
そしてその日のお昼
愛城しずく「週末のこと・・・ですよね」
愛川菜々美「はい、バレバレでしたよね 私だって」
愛城しずく「えぇ、一瞬何が起きたのかわかりませんでしたけど」
愛川菜々美「言わないでいただけますか? 私があそこで働いてること」
愛城しずく「それは、お母さんへの仕送りのためですか?」
愛川菜々美「え? その話どこで?」
愛城しずく「すみません、私この間盗み聞きしちゃったんです 愛川さんが大家さんと話してるところ」
愛川菜々美「ってことは私のアパートを?」
愛城しずく「はい、着けていったんです 熱があるかもって言われた日に」
愛城しずく「謝ろうかと思って追いかけたら中々話しかけられなくて・・・結局ストーカーみたいなことしちゃいました」
愛城しずく「それに助けてもらった時は私、レズビアンバーに行った帰りだったんです」
愛川菜々美「レズビアン・・・?」
愛城しずく「はい、私女の人が好きなんです」
レズビアンバーのマスターの強キャラ感が凄まじいですねw 2人の関係に色々と影響を及ぼしそうなイベント満載の第5話ですね!