噂のタイツマン

山本律磨

大決戦!永遠に輝けタイツマン!(前編)(脚本)

噂のタイツマン

山本律磨

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〇空
若竹町長「いやー。いいお天気で何よりですなー」
大倉「今日のイベント、オニキングも出るそうですね。お金をかけて少しはマシな着ぐるみになったと聞いてますぞ」
若竹町長「まあ、全ては市民を巻き込む仕掛けというやつですな。フィッシュモブですよ」
大倉「フラッシュモブですか?」
若竹町長「そうそうフラッシュモブ」
遠藤「・・・」
遠藤(フラッシュ・・・)

〇中庭のステージ
ファン1「イエーイ!今日もセンターゲット!」
ファン2「始発で来た甲斐あったー!」
ファン3「てか超田舎すぎ!終わったら即帰ろー!」
「キャハハハハ!」
よいこ「人、おおいね~」
よいこ「タイツマン見えないかもね~」
めっちゃよいこ「しかたないよ~。都会の人がたくさんきてくれるおかげでまちのけいざいこうかが上がるんだからガマンしようよ~」

〇黒
  『陣原百太郎PRESENTS』
陣原「第一回じんばら祭り!イン西國市!」

〇中庭のステージ
陣原「あ!じんばら~あああああああああああ!」

〇店の休憩室
不敗郎「よし!そろそろ準備するか!」
映見「・・・ゴクリ」
不敗郎「なんだよ。あまりジロジロ見るなよ」
映見「ち、違うわよ!筋肉よ筋肉!」
映見「あくまでも筋肉にフォーカスを置いたある意味ボディメイキング的視線で観察しただけよ!」
遠藤「お前いつそんなムキムキになったんだよ。ちょっと引くわ~」
映見「メタボは黙ってて!」
不敗郎「だから二人とも凝視すんなって」
遠藤「おお!凄いコスチューム!」
不敗郎「やっぱりプロの業者が作ると違うな」
映見「いつもの全身タイツの上から、これを装着するみたいよ」
不敗郎「この上から装着だな」
映見「まだ脱いでてもいいわよ」
遠藤「何だ、そんなにこいつの乳首が見たいのか?」
映見「遠藤さん。次は法廷で会いましょうね」
遠藤「冗談だよ。乳首も含めて」
不敗郎「人の乳首をジョークに使わないで下さい」
遠藤「しかしあれだな。結局、夏のボーナス全部吹っ飛んだな卜部」
不敗郎「その話は今しないで下さいよ。テンション下がるんで」
映見「でも直ちゃん喜ぶよ。イラストそっくり」
不敗郎「シン・オニキングか・・・」
不敗郎「NAO先生、プロの仕事したよ」
不敗郎「次は俺の番だ」

〇黒
  『ねえ、いつまで目隠しするのよ?』
  『もうちょっともうちょっと』
  『っていうか。怖いんだけど』
  『ガマンガマン』
  『おっはよー直ちゃん!』
  『映見さんですか?折口達にこんなことさせてるの?』
  『準備オッケー!いいよ目隠し取って!』
  『3、2、1』

〇白
  『ジャーン!』

〇明るい廊下
直「・・・」
映見「どうかな?」
直「オニキング・・・」
映見「これでGOしちゃいますけど。いいですかNAO先生」
直「・・・」
直「目元に赤のラインがほしかったです」
映見「さ、流石クリエイター。ギリギリまでしつこい」
不敗郎「これがプロというやつか・・・」
直「でもそれ以外は完璧です」
直「すごくカッコいいです」
直「あ・・・」
直「あり・・・」
「蟻?」
直「ありがとうございました」
遠藤「いやいや!構わんよ!」
遠藤「市民の皆さんの力になるのが、我々の仕事だからね!」
映見「メタボは黙ってて」
不敗郎「じゃあ直ちゃん・・・」
不敗郎「いや、NAO先生」
不敗郎「行ってきます!」
直「宜しくお願いします!」

〇中庭のステージ
よいこ「タイツマンまだかな~」
よいこ「タイツマンいつ出て来るかな~」
「タイツマンじゃなくてオニキングだよ~」
シン・直「ちゃんとおぼえてくれないとおねえちゃんおこっちゃうぞ~」
(と、隣の人こわいよ~)

〇テントの中
陣原「いいか。これからステージで何が起こっても止めるな」
陣原「ガードマンにも指示しておけ」
陣原「これは全部俺の計画だ。何もかも、舞台上の演者とお客の反応に任せるんだ」
陣原「カメラ止めたらぶっ殺すぞ」
ヴェテランD「は、はい!何があっても止めません!」
陣原「じゃあ。そろそろお出ましいただこう」
陣原「田舎の鬼の大将様にな・・・」

〇中庭のステージ
「・・・!?」
けんけん「あれ?」
ユウト「音が止まったぞ?」
ナオキ「何のトラブルだ?」
  『茶番は終わりだ。GO3Q』

〇黒
不敗郎「我が名は隣町、裏山の地に居を構える鬼の頭領オニキング」

〇校長室
陣原「つまりはドッキリというやつです」
不敗郎「ドッキリ?」
陣原「オニキングにはGO3Qのステージに乱入して頂きます」
不敗郎「そんなこと・・・ファンの人に怒られないでしょうか?」
陣原「なに言ってるんですか。遠征しているのはこちらで、会場はそちらのホームでしょう」
陣原「むしろ最高にオイシイ登場じゃないですか」
不敗郎「そ、そういうものですかね」
陣原「無論ライブは続けますし、舞台に不慣れな卜部さんのフォローもちゃんと我々がいたします」
陣原「最終的にはGO3Qの歌の力でオニキングが善の心に目覚め、一緒に町を盛り上げようという筋立てになっています」
陣原「我々に任せて、町のシンボルとしてカッコよく決めて下さい!」
不敗郎「わ、分かりました!頑張ります!」

〇中庭のステージ
不敗郎「新たなる我が力、喰らえGO3Q!」
ユウト「ぐあっ!」
ナオキ「うおっ!」
けんけん「けんけーん!」
不敗郎「ふん・・・東の都の力などそんなものか」
不敗郎「さあ、お前達の歌の力を見せて見ろ!」
不敗郎「我もまたこの力を・・・」
「うわー。やーらーれーたー」
不敗郎「・・・え?」
不敗郎(退場するなんて聞いてないぞ)

〇テントの中
陣原「始めろ」
ヴェテランD「エキストラ!用意スタート!」

〇中庭のステージ
エキストラ1「え?何なのあのコスプレ?」
エキストラ2「ちょっと意味分かんないんだけど。これでおわりー?」
エキストラ3「は?GO3Q終わり~?」
エキストラ1「最悪!朝から並んでたったこれだけ?」
エキストラ3「ローカルヒーローとかいらないし!意味分かんないし!」
エキストラ2「マジ空気読んでよね!」
ファン3「そ、そうよ!引っ込んでよ!」
ファン1「GO3Q出して!」
エキストラ2「帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!」
大倉「これもフラッシュモブですかな?」
若竹町長「・・・」
  『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』
  『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』
  『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』

〇テントの中
陣原「くくくくく・・・」
陣原「ひゃははははは!ひゃははははは!」
陣原「腹痛い腹痛い腹痛い!」
陣原「寒い寒い寒い寒い!」
陣原「素人がよ!タレント気取りでよ!芸能界の真似事してよ!」
陣原「ほらほら!黙ってねえでちゃんと繋げよ!オニキングさんよ!」
陣原「ひゃははははは!腹痛い腹痛い!」
ヴェテランD「ハハハッ・・・ハハハッ・・・」
陣原「せっかく俺様が全国区で町おこしの手伝いしてやってるのによ!ド素人が横入りしやがってよ!」
陣原「調子こいてんじゃねえよ!プロ舐めんじゃねえよ!ひゃはははは!ひゃはははは!」
ヴェテランD「ハハハハッ・・・ハハハハッ・・・」
陣原「はあ~・・・しんど」
陣原「オッケー。もういいだろ。助けてやれ」
ヴェテランD「は、はい」
ヴェテランD「GO3Q、スタンバイ」
陣原「さてと。お仕事お仕事」
陣原「プロが楽しませちゃうぞ~」

〇中庭のステージ
  『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』
  『そこまでだ!オニキング!』
ユウト「WOLF!」
ナオキ「APE!」
けんけん「KENKEN!」
「ローカルレスキュー!GO3Q!」
「来い!これが俺達のライブパワーだ!」
「ゴー!サンキュー!」

〇モヤモヤ
不敗郎「・・・」

〇中庭のステージ
不敗郎「・・・」
陣原「いやいやいやいや~」
陣原「すみませんね~卜部さん。ちょっと機材トラブルの関係で一人ぼっちにしちゃって~」
ナオキ「名前言っちゃダメっしょ!」
ユウト「ごめんなさいね。陣原さんも早く出て来てくれないと。MCでしょ」
陣原「いや~彼が繋いでくれるかなと思って」
けんけん「繋ぐとかないから。鬼の化身だから」
ユウト「僕達もオニさんに倣って、一回だけ変身してみたんですけど」
ユウト「キツイっすね~色々と」
ナオキ「マジキツイよ。一回で十分だよ」
  『ナオキ~似合ってる~♪』
ナオキ「うれしくねーから!うれしくねーから!」
けんけん「初コスプレでーす!浮かれてまーす!」
ユウト「もう無理!キツイキツイキツイ!」
陣原「ひゃはははは!」
「あははははははは!」
  『はははははは!はははははは!』
不敗郎「・・・」
不敗郎(俺、何やってんだろ)
  『ゴメンな・・・折角の衣装なのに・・・カッコ悪くて』
  『スイマセン・・・ダサい後輩で』
  『ゴメンね。タイツマン見たかったよね』
  『沢山応援してくれたのに。ゴメン』
  『直ちゃん・・・ゴメン』
  『傷つけてばっかりで』
  『嫌な思いさせてばっかりで』
  『ゴメン』
不敗郎(本当、上手く出来なくて・・・カッコ悪いヒーローで・・・)
不敗郎「ゴメン・・・みんな、ゴメン」
  『おいコラァ!いい加減にしろよ!』
不敗郎「・・・え?」
団員「これ以上我々の町を辱めるな!」
団員「ふざけてんじゃねえぞこの野郎!」
団員「おいカメラ止めろカメラ!」
男「すみませんね~責任者とお話できますかね」
男「市長でも町長でもいいですよ~」
男「町を笑いものにするような町興しなんて、認めるわけにはいかんのです」
男「我々は西國憂国連合協議会である!」
男「これまでのヤマトテレビの放送、ならびにオニキングの乱恥気騒ぎに対して徹底抗議に来た!」
団員「責任者出てこい!」
団員「町長出てこい!」
若竹町長「ひ、ひいっ!」
大倉「裏に止めてある軽トラ、使って下さい」
若竹町長「わ、悪いね・・・それじゃ」
大倉「・・・さてと」
大倉「本当のお祭りといこうか」
陣原(何だこいつらは?)
陣原(俺の演出にこんな奴らは・・・)
「・・・?」
不敗郎「・・・」

〇モヤモヤ
不敗郎「一体、何が起こってるんだ?」
不敗郎「もう・・・メチャクチャだ」
  『踊れ』
不敗郎「え?」
  『踊れ』
不敗郎「・・・」
  『マックも踊れ』

次のエピソード:大決戦!永遠に輝けタイツマン!(後編)

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