大決戦!永遠に輝けタイツマン!(後編)(脚本)
〇テントの中
新人D「な、なんか表がとんでもない騒ぎになってんですけど!」
ヴェテランD「ドッキリだよ。さすが陣さん、ギリギリの演出だな」
新人D「スタッフまで騙すなんてやりすぎです」
ヴェテランD「やりすぎなければテレビじゃない!」
ヴェテランD「これくらい攻めないとネットに取って変わられるぞ」
新人D「か、活動家の登場か・・・ぶっ飛んでるな」
新人D(転職しよっと・・・)
〇中庭のステージ
男「我々は西國憂国連合協議会である!」
男「昨今の乱痴気騒ぎとそれにともなう風紀の乱れ、観客のゴミ放置の問題、違法駐車、その全てに抗議をすべく来場した!」
男「特に、地方を玩具にする東京のメディアに抗議すべき立場にありながら便乗し、静かに暮らす町民を蔑ろにした裏山町町長若竹たけし」
男「並びに、市役所職員たちの軽率さは許されるものではない」
男「この場で釈明と謝罪を要求する!」
遠藤「よし!こうなったら」
映見「逃げる気でしょ」
遠藤「それ以外道はない」
映見「カッコつけて言うことか」
エンドー・F・ファルシオン3世「では聞こう!ならば他にどんな道があるというのだーッ!」
映見「うるさい黙って座ってろ。女房子供に醜態チクるわよ」
遠藤「はい」
男「市役所職員卜部だな」
不敗郎「は、はい」
男「血税を使い、大層立派な着ぐるみを作って遊んでいるな」
男「子育て世代や介護福祉の関係者に、申し訳ないとは思わんのか?」
不敗郎「い、いえ。これは私が個人的に給料から」
男「他に仕事はごまんとあるだろう!そういう話をしているんだ!」
不敗郎「・・・」
男「恥を知れ、税金泥棒」
ユウト「ボス~こんな演出聞いてねえよ」
けんけん「お客さんも引いてますよ」
陣原「チッ、しょうもない仕込み入れやがって」
ナオキ「陣原さんの指示じゃないんですか?」
陣原「チンピラとかチーマーはともかく、こういう政治的なもんはバラエティのご法度なんだよ」
陣原「放送は編集でどうにでもなるが、これ考えたバカは反省会でぶっ殺してやる」
陣原「しょうがねえ。尻拭いといくか」
陣原「まあ、アクシデント系もサクッと成立させてやるよ」
ユウト「さすがボス!一生ついてきます!」
陣原「よく見て勉強しとけ」
陣原「あ、じんばらあああああああああああ!」
陣原「陣原百太郎見参!」
陣原「違うか!」
男「・・・」
男「責任者を出しなさい。プロデューサーというヤツですかな?」
陣原「この番組の殿様はワシである!ワシがその方と語ろうではないか!」
男「お遊びじゃない。タレントさんは下がりなさい」
陣原「え~腕ずく?怖い怖い怖い・・・」
陣原(・・・おい、どこの事務所だ?)
陣原(誰の指示だ?作家のいっすんか?それともチーフの坂田?)
男「何の話をしている?」
陣原(お客引いてんだよ。失敗失敗。もうここ、カットだから空気読めよ)
男「・・・」
陣原「はいはい分かった分かった、いつものマジギレ路線ね」
〇炎
陣原「もういいよ!カメラ止めろカメラ!」
陣原「やんのかコラァーーーーーーーーーー!」
男「・・・」
〇テントの中
新人D「じ、陣原さん。のびちゃいましたけど」
ヴェテランD「バカ!これからGO3Qの見せ場作るための芝居だよ!」
ヴェテランD「これこれ!この緊張感!ヤバいぜ!」
新人D(田舎帰ろっと・・・)
〇中庭のステージ
大倉(お灸を続けろ)
男(分かってます)
男「テレビだか何だか知らんが悪ふざけもいい加減にしろ!」
男「ここは静かな町なんだよ!町興しも町長の若竹が人気取りでやってるだけだ!」
男「ローカルヒーローデザインだ?子供に賞を与えたら絵になる!ただそれだけの目的だろうが!」
男「出てこい町長!」
大倉「町長は逃げた!私が話をしよう!」
男「逃げただと?卑怯者め!」
男「あんたじゃ話にならん。おい、着ぐるみ」
ユウト「お、俺らはスーツなんで」
ナオキ「町の問題は町の皆さんで」
けんけん「袖で待ってます」
男「だとよ。お前も逃げるか?悪魔くん」
不敗郎「悪魔じゃなくて鬼です」
不敗郎「中学生の・・・いや」
不敗郎「プロのデザイナーが町の為に一生懸命考えたオニキングです」
不敗郎「子供じゃありません」
不敗郎「遊びじゃありません!」
団員「浮かれるのもいい加減にしろよコラ!」
不敗郎「浮かれてません!真剣です!」
団員「我々の税金で遊び呆けやげって!」
不敗郎「使ってなんかいません!趣味です!」
団員「ちょっとアンタね!開き直ってんじゃないわよ!」
『ウラちゃ~ん』
団員「公務員は暇でいいよな~!」
『ウラちゃ~ん』
団員「役人にこんな仕事ばかりさせてる町長は、次の選挙で落とすべし!」
『ウラちゃ~ん』
団員「改革よ改革!町政改革断行!」
『ウラちゃーーーーーーーーーーん!』
〇白
〇中庭のステージ
「・・・?」
不敗郎「・・・え?なに?」
不敗郎「ちょっと取り込んでんだけど」
オサエ「スマフォ―。ボタン長押しだっけ?」
不敗郎「はい」
オサエ「え?取り込み中?」
不敗郎「見て分かんないですか?」
オサエ「あっそう」
オサエ「あとアンタら。サングラスの。ヤクザ」
男「わ、我々はヤクザではない。西國憂国・・・」
オサエ「見た目がヤクザなの。人前ではサングラス取りなさい。子供も見てるのよ」
男「・・・」
オサエ「公務員が非番に自分の給料で遊んで一体何が悪いんだい?」
オサエ「ウラちゃんはちゃんと仕事しとる。たまの休みくらい歌って踊らせてあげな」
不敗郎「いや、別に歌いたいわけでも踊りたいわけでも・・・」
町民「おう!そうだぞ!好きにさせてやれよ!」
町民「役場はちゃんと仕事してくれとるぞ!」
町民「猫探してくれたぞ!」
町民「インコ見つけてくれたぞ!」
町民「電球取り替えてくれたぞ!」
団員「ど、どうします鮫島さん」
男「バカヤロウ!名前呼ぶんじゃねえ」
映見「何も知らない人たちが勝手に私達の代表を気取らないでもらえますか?」
遠藤「失礼ですが、皆さんは本当に裏山町の住民ですか?」
男「な、なんだと?」
映見「では是非そのサングラスもフードも取って取材させて下さい」
映見「この反骨のジャーナリスト澄川映見がじっくりたっぷりねぶり回すように主義主張とやらをお伺いします!」
(す、素敵・・・)
(お前じゃない)
直「卜部さん・・・いや、オニキング」
直「いつまでボーッと突っ立ってんのよ!この町のヒーローでしょ!」
直「闘え!オニキング!」
不敗郎「・・・!」
〇モヤモヤ
不敗郎「そうだな。キャラがブレてたよ」
不敗郎「ヒーローが素に戻っちゃダメだよな」
不敗郎「これは子供の楽しみ、みんなの楽しみ」
不敗郎「・・・いや、俺の楽しみだ!」
不敗郎「いくぞ!変身!」
〇白
不敗郎「裏山戦士オニキング!」
〇中庭のステージ
不敗郎「さあ、戦いの再開だ!」
男「おい!だからふざけるのも・・・」
不敗郎「今は命懸けの舞台、いや、闘いの最中だ」
不敗郎「雑魚は引っ込んでろ!」
男「クッ・・・」
不敗郎「どこに隠れている!」
不敗郎「ええと・・・何とかレスキュー」
けんけん「ローカルレスキューです」
不敗郎「ローカルレスキューGO3Qよ。町を盛り上げたければ今こそ歌の力でこの私を倒してみせろ!」
大倉(何をやっとる!舐められてんじゃねえぞ、鮫島!)
男「・・・」
男「悪ふざけはやめろ!町民の意見を無視するのか!」
不敗郎「我が聖なる体に触れるでない!」
男「うおっ!」
〇空
男「うひゃあああっ!」
〇中庭のステージ
不敗郎「必殺!大裏山落とし!」
よいこ「ぶん投げちゃった・・・」
「カッコイーーーーーーーーーーーーッ!」
団員「おい何やってんだ!」
団員「暴力!暴力!」
団員「いくぞ!正当防衛だコラァ!」
〇黒
『ちょ、ちょっと待って引っ張らないで』
『うるせえ!やっちまえ!』
『なにがゆるキャラだコラァ!』
『痛い痛い痛い!』
『触られたわ!痴漢よ!』
『だから衣装破らないで!』
『暴力反対!暴力反対!』
『みんな、次の選挙には絶対行こう!』
『男の人呼んで―!』
『やっちまえ!やっちまえ!』
『ああっ!衣装が!オニキングの衣装が!』
『おのれえええええ!』
『うおおおおおおおおおおおおお!』
〇空
「うわーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
〇中庭のステージ
「・・・」
「・・・」
大倉「・・・」
「・・・」
めっちゃよいこ「・・・タイツマンだ」
「タイツマンだーーーーーーーーーーー!」
不敗郎「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
不敗郎「そう・・・オニキングとは仮の姿」
不敗郎「私こそ裏山町を守るヒーロー・・・」
不敗郎「ザ・タイツマン!」
「タイツタイツ!タイツタイツ!」
不敗郎「タイツタイツ!タイツタイツ!」
〇テントの中
ヴェテランD「お、おい!エキストラ!サボってんじゃねえよ!」
ヴェテランD「『は?』じゃねえよ!GO3Qコールだ! ローカルヒーローに負けんな!」
〇中庭のステージ
「GO3Q!GO3Q!GO3Q!」
「GO3Q!GO3Q!GO3Q!」
ナオキ「最高だ・・・最高のステージだ」
ユウト「こうしちゃいられねえ!俺達も行くぜ!」
ナオキ「桃栗三年俺一秒!」
けんけん「陣原さん、まだのびてるけど」
「ほっとけ!」
〇黒
「ローカルレスキューGO3Q!」
「俺達の歌とお前のアクション、どっちが町を盛り上げられるか勝負だ!」
不敗郎「望むところだ・・・いくぞ!」
〇中庭のステージ
『マックも踊れ』
不敗郎(ああ、踊ってるよ。親父・・・)
「タイツタイツ!タイツタイツ!」
「タイツタイツ!タイツタイツ!」
「タイツタイツ!タイツタイツ!」
不敗郎「タイツパーーーーーーーーーーーーンチ!」
直「・・・」
直「だから・・・タイツっていうな」
直「Fo○koffだっ!」
おしまい!
〇田舎の役場
役場職員『卜部不敗郎/オニキング』
黒雲の鬼皇子『ジーク・デーモン』
最終フォーム『シン・オニキング』
裏山戦士『タイツマン』
〇スーパーマーケット
令和を生きる中高年の星『遠藤浩志』
〇綺麗なコンサートホール
町長『若竹たけし』次期落選
町議『大倉広務』次期落選
〇テレビスタジオ
パワハラタレント『陣原百太郎』
絶賛炎上中
〇コンサート会場
ほどなく解散『GO3Q』
新たな夢にゴー!サンキュー!
〇山間の田舎道
ご存じ反骨のジャーナリスト『澄川映見』
未来へ飛び立つ腐女子三銃士
『折口しのぶ』
『榊かのん』
『滝沢直』
改め
高校生絵師『NAO』
〇古びた神社
いぬまろ「へっへっへっへっ」
いぬまろ「へっへっへっつへっ」
不敗郎「ハッ!」
不敗郎「どうかな?次のローカルヒーローのヒントになるかな?」
直「もっと派手なアクション下さい」
不敗郎「はいはい・・・」
不敗郎「トウッ!」
不敗郎「タイツパン・・・」
直「タイツパンチなしで」
不敗郎「はい」
不敗郎「おりゃあああ!」
直「・・・」
直「・・・ま、こんなもんか」
〇裁きの門
噂のタイツマン