〇古いアパート
　　第十三話　大丈夫？おっぱい揉む？

〇古いアパートの部屋
朝日ケンイチ「母さん何その恰好!?」
母「だって今日はケンイチのお友達が 来るっていうからー♡」
朝日ケンイチ「気合入り過ぎだろ!?」
朝日ケンイチ「GFに集中するから放っといてくれよ!?」
母「一時間ルール破っておいてその態度!? 救急車まで呼ばれてみんなに心配かけて！ 一年間ゲーム禁止にしたっていいんだから！」
朝日ケンイチ「そ、それはホントごめん・・・！ ちゃんと反省してるから！」
　　（呼び鈴）ピンポーン
母「あら来たわね？ はぁーい♡」
朝日ケンイチ「いや俺が出るから！」
小枝ゆき「おはようございます」
母「はぁっ!?雌ぅ!?」
小枝ゆき「め・・・す・・・？」
朝日ケンイチ「ゆきちゃん！ そんなの放っといていいから！」
小枝ゆき「ダメだよちゃんとご挨拶しないと」
小枝ゆき「初めまして。 ケンイチ君のクラスメートの 小枝ゆきと申します」
母「嘘・・・ てっきりショタが来るものとばかり」
小枝ゆき「しょた・・・？」
母「どういうことなの・・・ こんなどこの馬の骨ともわからない メスガキを連れてくるなんて」
朝日ケンイチ「その態度こそどういうことだよ!? お願いだからあっち行ってて！」
朝日ケンイチ「ごめんねゆきちゃん！ 今まで友達が来たことなくて・・・」
小枝ゆき「面白いお母さんだね」
朝日ケンイチ「こういう面白さは要らない」
小枝ゆき「それと──」
小枝ゆき「私も男の子の家に来るの初めてだよ」
朝日ケンイチ「ゆきちゃん・・・」
朝日ケンイチ「俺、ずっと前から──」
母「ケ・ン・イ・チ♡」
朝日ケンイチ「オゲェッ!?何脱いでんの!?」
母「見て見て♡まだまだイケるわよね？ ちんちくりんなJSより魅力的でしょ♡」
朝日ケンイチ「服を着ろ」
母「何よ！ケンイチなんてパンイチで 登校したくせに！」
朝日ケンイチ「息子のトラウマを掘り返すな！」
母「大丈夫？おっぱい揉む？」
朝日ケンイチ「大丈夫じゃねぇし揉まねぇよ！」
母「昔は私のおっぱいに夢中だったのに！」
朝日ケンイチ「赤ん坊の頃だろ！」
朝日ケンイチ「今の俺は母さんよりも──」
朝日ケンイチ「ゆきちゃんのおっぱいに興味がある！」
母「ケンイチ・・・！」
母「あなた・・・大人になったのね・・・」
小枝ゆき「・・・!?」
母「いいわ・・・ 行きなさい、あなたはあなたの選んだ道を」
朝日ケンイチ「母さん・・・！」
小枝ゆき「二人ともそこに正座してください」
「・・・!?」

〇古いアパート
　　説教中・・・

〇古いアパートの部屋
母「うぅ・・・まさか初対面のJSに わりとガチめの説教されるとは 思わなかった・・・」
小枝ゆき「こちらのセリフです」
朝日ケンイチ「母さんは自業自得だろ」
小枝ゆき「ケンイチ君もだよ」
朝日ケンイチ「はい・・・」

〇数字
朝日ケンイチ「ついに最終決戦だぜ！」
小枝ゆき「いよいよだね」
朝日ケンイチ「三天に勝つ！ ダンジョンクリア！ 三億円ゲット！」
朝日ケンイチ「そして・・・！」
朝日ケンイチ（ゆきちゃんのハートをゲット！）
小枝ゆき「シン君の目を覚ます！」
朝日ケンイチ「そう！それ!!」
朝日ケンイチ「行こう──最後の冒険へ」

〇児童養護施設
スノー「ケンイチ君が騎士っぽい！」
ケンイチ「そっか、この恰好のままだった」
ケンイチ「準備完了！」
スノー「えっ!?」
スノー「最下層にその恰好で大丈夫!?」
ケンイチ「ゆきちゃん──」

〇児童養護施設
スノー「始めたばかりの方ですよね？ そんな恰好じゃ危ないですよ」

〇児童養護施設
ケンイチ「────」
ケンイチ「パンツ一枚、あればいい」
スノー「ケンイチ君・・・」
オータ「グンマァ」
ケンイチ「オータ！」
スノー「おはようオータ君」
ケンイチ「よし、行こう！」

〇城門の下（ログスポットあり）
スノー「居た！ あそこで演説してるのが会長さんだよ」
会長「来たれ冒険者よ！我らは三天を倒し迷宮を 制覇する！今こそ冒険の時だ！我こそは という者はここに集え！共に戦おう！」
会長（ダメか・・・？）
槍兵「会長・・・ もうやめましょう、我々の負けだ」
槍兵「こんなやり方で三天に勝とうなんて 土台無理な話だったんだ。 私が代わりに会長になりますから」
弓兵「なにぃ？もういっぺん言ってみろや！」
槍兵「掲示板を見てくださいよ」

〇SNSの画面
中年男「最強派閥が虐殺されたのに 暇人グループが勝てるわけねーだろｗ」
中年男「他のトップランカーもすでに五階層で ヒカリンに処されてんじゃねーかｗ」
中年男「決死隊乙ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

〇城門の下（ログスポットあり）
槍兵「会員は軒並み遠征を辞退しました。 死ぬのが目に見えてるから」
会長「五階層の件は調査を進めていたが まさかヒカリンのしわざだったとはな」
会長「三天は三人とも規格外の猛者だ」
弓兵「だが我らには切り札が！ 伝説の果実がある！ 勝率はゼロじゃない！」
槍兵「そんなまぐれに期待するより 今回は見送るほうが無難ですよ」
槍兵「三天にクリアされても今後アップデートで 新ダンジョンが追加されるはず。 次に向けて力を蓄えましょうよ」
会長「新ダンジョン追加はありうるだろう。 GFの売上は右肩上がりだ。 次の賞金はさらに高額やもしれん」
弓兵「会長まで何を!?」
会長「だが―― それは本当に我々の望む世界だろうか？」
会長「GFには戦いと無縁のプレイヤーも多い。 農家、大工、鍛冶屋、薬師、芸人・・・」
会長「リアルではすれ違うだけの他人同士が GFでそれぞれの居場所を見つけて 互いに支え合って暮らしている」
会長「GFの特徴に「四十九日」がある。 すぐ復帰できないクソ仕様として有名だ」
会長「だが――だからこそ、命は重い」
会長「心ある者ならよほどの事情がない限り相手の命までは奪わん。戦闘狂の闘奴組でさえデスマッチは原則禁じていた」
会長「三天はその一線を平気で踏み越える」
会長「彼らが覇権を握れば、ユーザー全体が 殺しの価値観に支配されてしまうのでは ないか？」
会長「そんな殺伐とした世界にしてはならない」
会長「我々のGFを守るには、今戦うしかないのだ」
「会長・・・！」
ケンイチ（何かいい感じの雰囲気!?）
ケンイチ（コミュ障の俺でも今なら加われそう！）
ケンイチ（行け！行くんだ！）
ケンイチ（「会長さん！俺達も共に戦わせてくれ！」 って言うんだ！）
スノー「私達も参加します！」
オータ「グンマァの戦士オータ。 参戦スル」
ケンイチ（先を越された!?）
弓兵「君達はたしか・・・」
弓兵「ヴォロドィームィルに仲間を 殺されたのだったな」
ケンイチ「お、俺も行きましゅ！」
ケンイチ（噛んだ・・・）
「パンイチのケンイチ!?」
ケンイチ「え？俺って有名人？」
弓兵「狼藉者め！成敗する！」
ケンイチ「ええー!?」
弓兵「おまえみたいな露出狂がいるから GFの風紀が乱れるんだ！」
ケンイチ「俺は友達を取り戻しに行くんだ」
弓兵「まず羞恥心を取り戻せ。 親御さん泣いてるぞ」
ケンイチ「あいつが俺をどう思ってるかは わからない・・・それを確かめるためにも 最下層へ挑まなきゃいけない」
弓兵（なんか語り始めたぞこいつ）
弓兵「それは服を着てからではいけないのか？」
ケンイチ「トランクス派になったつもりで ずっと止まっていた俺の時間が 今ようやく動き出したんだ！」
弓兵（意味がわからん。コミュ障か？）
槍兵「会長、掲示板に別の動きが」
会長「ん？」

〇SNSの画面
女子A「パンイチ君がんばって！」
女子B「パンイチ君！応援してるからね！」
戦士A「オマエ達、グンマァの誇り！」
戦士B「ガンバレ！グンマァの戦士達！」

〇城門の下（ログスポットあり）
会長「これは・・・」
男子A「パンイチ！」
ケンイチ「君達は──」
男子A「これやるよ」
ケンイチ「薬草・・・？」
男子C「アイテム買う金はないから みんなで採集したんだ」
男子B「僕ら一階層どまりだからゲートを くぐれなくて同行はできないけど・・・」
男子A「パンイチに託した！ 頼んだぞ！」
ケンイチ「任せてくれ！」
槍兵「まだパンイチの同行を認めたわけでは」
会長「認める」
弓兵「会長!?」
会長「自分以外のだれかに薬草を──」
会長「そんなささやかな日々を守ることこそ 我ら有志連合会の存在意義だ」
「会長・・・！」
会長「アーチャー！」
弓兵「おう！」
会長「ランサー！」
槍兵「はっ！」
会長「スノー！」
スノー「はい！」
会長「オータ！」
オータ「グンマァ」
会長「パンイチ！」
ケンイチ「ケンイチです！今さらだけど！」
会長「有志連合会の名のもとに ここに遠征隊を結成する！」

〇タワーマンション

〇整頓された部屋（ハット、靴無し）
十七夜月シン（ケンイチ君達が遠征隊に・・・）
十七夜月シン（交通事故と聞いたけど平気のようだね）
十七夜月シン「あくまで僕の邪魔をするのなら──」

〇黒
ニュクス「──斬る」