パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第十四話 教えて!パンツくん!(脚本)

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紅月桜

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〇城門の下(ログスポットあり)
会長「作戦を説明する!」
会長「最終目標は最下層に眠る邪神の黄金!」
会長「余計な戦闘を避けるため 出発前に姿消しの秘薬を使う」
会長「ゲートをくぐったら 四、五階層は騎馬で走破する」
ケンイチ「う、馬!?」
ケンイチ「俺【騎乗】スキル持ってないけど」
会長「安心しろ、よく訓練された軍馬だ。 君達はただ跨っていればいい」
弓兵「乗りこなそうなんて思うな。 馬にすべて委ねろ」
ケンイチ「でも溶岩地帯も沼地も 馬なんてとても走れないんじゃ・・・」
会長「道を選べば問題ない。 連合の人海戦術により五階層までは 最適ルートをマッピング済みだ」
ケンイチ「五階層はなぜか人が消えるって聞いたよ」
会長「下手人はヒカリンだ。 ブラックリストに載らないよう 裏で殺しをくり返していた」
弓兵「人が少なくて視界のきかない五階層は 奴の狩り場だったってわけだ」
ケンイチ「なんて奴だ・・・! 隠れて人を殺したり 俺に服を着せたり・・・!」
(服は当然では)
弓兵「三天の出発は正午。 先に五階層を抜けちまおう」
会長「警戒すべきはむしろ六階層。 レベル七、八の魔物がうようよいる。 過去の遠征では多数の犠牲者を出した」
会長「連合はこれまで二回だけ六階層に 足を踏み入れている」
会長「六階層は広大な海原エリアだ。 一回目の探索でははるか遠くに 島らしき影を発見した」
会長「しかし方舟を用いた二回目の探索では その海域に島など存在しなかった」

〇闘技場
ニュクス「次に島が現れる三日後の正午に 地上を発つ」

〇城門の下(ログスポットあり)
会長「現れたり消えたりするその島こそ 前人未到の七階層への入り口に違いない」
会長「黄金を獲得するには、邪神、 そして三天が障害となる。 三天の戦力は連合を大きく上回る」
会長「我々は先行して潜伏し、 邪神と三天との戦闘中に 不意を突いて漁夫の利を得る!」
ケンイチ(都合良すぎる気がするけど)
会長「出発前に姿消しの秘薬だ。 一定時間、魔物から知覚されづらくなる」
会長「総員、準備はいいな?」
ケンイチ「ああ!」
会長「いざ往かん! ――【開門】!」

〇炎
  第十四話 教えて!パンツくん!
  四階層
会長「知覚されにくいだけで絶対ではない、 気取られないうちに突っ切れ!」
(乗馬は股が擦れる・・・!)

〇黒
  五階層
会長「止まれ、夜目を利かす。 灯りを掲げれば流石に見つかるからな」
会長「この花で自分と馬のまぶたを一回撫でろ。 馬は両目を、人は右目か左目か片方だ」
オータ「毒草か」
ケンイチ「毒!?」
会長「弱い麻痺毒で瞳孔を開くのだ」

〇森の中の沼
ケンイチ「見える・・・見えるぞ!」
スノー「茂みに人が倒れてるよ!」
ケンイチ「気をつけて、ゾンビかも」
スノー「でもケガしてるプレイヤーかも」
会長「聖水をかけるぞ。 人間には無害だがアンデッドには効く」
ゾンビ「ギャアアア!?」
スノー「ゾンビだったね・・・」
会長「さぁ行くぞ。 姿消しの効果が切れる前に突破せねば」

〇森の中の沼
ケンイチ「待って!この先は沼だ! あの灯りは罠だ!」
会長「わかっている。 沼を突っ切るのが最適ルートだ」
ケンイチ「沼に野菜を!?」
ケンイチ「陸地がせりあがってきた!?」
会長「沼地のヌシ、ベヒモスだ。 この背を渡って対岸へ行く」
槍兵「トップランカーはベヒモスを狩って レベルを上げたらしいが 我々の手には余る強大な魔物だ」
会長「急げ! 潜る前に渡りきれ!」

〇海辺
  六階層
スノー「海だー!」
スノー「イカーー!?」
会長「総員退避!レベル七のクラーケンだ!」

〇断崖絶壁
槍兵「あ、危なかった・・・」
弓兵「六階層にはあのレベルがゴロゴロいる」
ケンイチ「姿消しの秘薬は?」
槍兵「残り一回分だけ。 レアアイテムだからな」
弓兵「そいつは嬢ちゃんに持たせとくか。 一番レベル低いからな」
スノー「すみません」
ケンイチ「ヒカリンは透明マント持ってたけど」
弓兵「あれはGF内に一つきりのユニーク装備だ」
会長「なぁに、我ら連合には方舟がある!」

〇飛空戦艦
ケンイチ「なんじゃこりゃあ!?」
スノー「飛んでる・・・!」
会長「わはは!どうだすごいだろう? 連合の所有する唯一の聖遺物だ」
ケンイチ「こんなのどうやって手に入れたの!?」
会長「一年前に寄贈された。 国境を越えて多様な人材が集まる、 最大派閥の強みだな」
オータ「ゲーム内通貨を介した海外マネーの 資金洗浄、その副産物といったところカ」
ケンイチ「違法ってこと?」
会長「船に罪はない! あと違法ではなく脱法だ!」
ケンイチ(大人は汚い・・・)
会長「海の魔物に襲われる心配はない。 島に着くまで英気を養ってくれ」
弓兵「氷系の嬢ちゃんは四階層で 特に消耗しただろ? 今のうちに魔素を蓄えるといい」
弓兵「六階層は水と風の魔素が濃い。 水を風で冷やすイメージで 雪の魔素を合成できる」
スノー「やってみます!」
ケンイチ(・・・ニュクスの聖剣はすごい威力だった)
ケンイチ(何か対策はないか・・・)
ケンイチ(そうだ!)
  パンパンパン!(パンツを叩く音)
ケンイチ「教えて!パンツくん!」
パンツくん「三日ぶりじゃのうケンイチ」
ケンイチ「すごく久しぶりな気がする」
パンツくん「儂はずっとおぬしを見とったがの。 五階層で迷子になっとるところも」
ケンイチ「見てたなら助けてよ」
パンツくん「自動応答機能オフと言ったじゃろ」
パンツくん「さて、何を知りたいのじゃ?」
ケンイチ「聖剣の弱点を教えてくれ」
パンツくん「聖剣について詳しい知識を得るには 司教や聖騎士といった聖光教会の上位職に 就かねばならん」
ケンイチ「お客様の中に聖職者は いらっしゃいませんかー!?」
ケンイチ「ダメか・・・」
パンツくん「聖職者以外じゃと【考古学】スキルなら 聖遺物の情報を取得できるぞい」
弓兵「会長の【考古学】はトップクラスだぞ」
会長「使用機会の乏しい不人気スキルだからな」
パンツくん「ではスキル相応の情報を開示しよう」

〇魔法陣
パンツくん「聖光教の成立は今から八百年前じゃ」
パンツくん「長きにわたり他の宗教に圧されていたが 四百年前に聖遺物を発掘し、 その威光を以って一気に勢力を拡げた」
ケンイチ「そういう設定ってだけでしょ? ホントに昔の時代があったわけじゃなくて」
パンツくん「それは違うぞい」
パンツくん「GFでは十万年前から今この瞬間まで 等しくシミュレーションされておる」
ケンイチ「でもGFのリリースが二年前でしょ?」
パンツくん「一般ユーザーなき時代も 超高速演算によってこの世界は続いてきた」
パンツくん「例えば樹齢千年の大木は 大木としてモデリングされたのではない」
パンツくん「千年前に風に吹かれて種が蒔かれ 小さく芽吹いたときから成長の日々があり その跡が年輪に刻まれておる」
パンツくん「遥か太古からの積み重ねが フルダイブの観測にも耐える 重厚な世界の礎となっておるのじゃ」
ケンイチ「それで聖剣の話は?」
パンツくん「聖剣もこの方舟も聖遺物と呼ばれる、 一万年前に栄えた古代文明の遺産じゃ」
パンツくん「聖遺物の力は絶大で、その威光を以って 教会は中央大陸全土を平らげた」
パンツくん「聖剣もそうした古代兵器の一つ。 正邪を切り分ける裁定の剣」
パンツくん「聖光教会の崇める唯一神も 古代に造られた機械神じゃ」

〇飛空戦艦
ケンイチ「オーバーテクノロジーってやつ? わりとSFっぽい世界観なんだね」
ケンイチ「本物の神様はいない設定なのかな」
オータ「カミ、どこにでもイル」
オータ「精霊、自然霊、土着のカミ。 火、水、空、大地――信仰さえあれば それがカタチをもってカミとなる」
スノー「私の魔法も魔素を差し出して 精霊にお願いしてるんだよ」
ケンイチ「なら邪神ってさ、」
ケンイチ「!! この風切り音は?」
ケンイチ「話の途中でまたワイバーン!?」
槍兵「ワイバーンは六階層にも生息してるのか?」
ケンイチ「三頭とも人が乗ってる!」
オータ「ヴォロドィームィルの召喚獣・・・!」
槍兵「そんな・・・・・・三天が!?」
槍兵「早過ぎる! まだ正午になったばかりなのに!」
ケンイチ「ニュクス・・・!」
ニュクス「・・・・・・」
ヒカリン「ケンイチ君やないか? なんでまたパンイチなんや」
ケンイチ「ヒカリン! 何が謎のアバターロスト事件だ!」
ヒカリン「君を巻き込まんよう 忠告してやったんやで?」
ヒカリン「ワイが君を応援したんは 君が弱者やったからやのに」
ヒカリン「頂上決戦の舞台に上がってもうたら もはや弱者とちゃう」
ヒカリン「ーーワイの敵や」

次のエピソード:第十五話 元気もりもりバナナパワー

コメント

  • 細かい設定描写が、連合と組んでいるから攻略出来ている事に説得力を持たせていますね!

  • クッソシリアス(💩と尻とアスという意味では無い)な展開なクセに次回予告の『バナナパワー』のお陰で雰囲気中和されてやがるからちくしょう!!
    邪神…邪神…邪神の…🤔

  • リアルで決意を新たに結束を強めたケンイチ、ユキちゃん、オータの心…乗馬による股擦れで再び今1つに…!
    GFでの時間は実際に演算され経過した結果として世界がある、という設定。なかなかドラマが生まれそうでいいですね…

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