いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

16話 魔石狩り(脚本)

いじめられっこ、魔王軍に転生する

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〇貴族の応接間
白崎蓮「宿利ユウが見つかった!?」
白崎蓮「でかしたぞ、ダンカン。 やっとあいつに会えるってわけか」
ダンカン「しかし、勇者様。宿利ユウを捕まえたはずの魔物からの連絡が途絶えました」
ダンカン「奴ら、裏切ったのでしょう。 やはり邪悪な蛮族だ・・・」
白崎蓮「宿利はどこにいる!?」
ダンカン「最後に確認されたのは、幻影の森という場所です」
白崎蓮「ならば、今からそこに総攻撃をかける」
ダンカン「お待ちください! なぜ宿利ユウという人間にこだわるのですか!?」
白崎蓮「――あいつは、俺が唯一壊せなかった人間だからだ」
ダンカン「はぁ・・・」
ダンカン「しかし、勇者様。首領クラスの魔物に挑むには、まだレベルが足りません」
白崎蓮「なら、手っ取り早いレベル上げの方法を教えろ。最近、レベルの伸び方が鈍ってきた」
ダンカン「はい。そろそろ、その時期かと思っておりました」
ダンカン「勇者様、魔石狩りをするのです」
白崎蓮「魔石狩り?」

〇闇の要塞

〇城壁
  トゥルカナに騙されはしたけど、魔石を飲み込むと強くなるというのは本当らしい。
  もし、白崎が僕を狙っているなら──
ヴィオ「何を考えておる?」
宿利ユウ「わ、ヴィオ!?」
宿利ユウ「・・・魔石のこと、トゥルカナに聞いたんだ」
宿利ユウ「どうして教えてくれなかったんだよ?」
ヴィオ「貴様にはまだ早い」
ヴィオ「貴様は強すぎるスキルによって、格上の相手を倒しておるのだ」
ヴィオ「せめて同格でなければ、魔石を取り込んでも自我を失うだけであろう」
宿利ユウ「そんなの、やってみないとわからないじゃないか」
ヴィオ「ユウ、それはただの無謀というものだ」
ヴィオ「何を焦っておるのか知らぬが、無茶をしても身を亡ぼすだけだぞ」
宿利ユウ「・・・」
ヴィオ「――まぁしかし、貴様も少しは強くなった」
ヴィオ「やってみるか? 魔石狩りというものを」

〇滝つぼ
  魔石を取り込んだ魔獣は、経験値の源なのだという。
  それを狩って大幅なレベルアップを狙うことを、『魔石狩り』と呼ぶらしい。

〇魔王城の部屋
トゥルカナ「ふうん、ユウが魔石狩りね」
トゥルカナ「いいんじゃない。ちょうどボクも、魔石のありかを探ってたところだ」
トゥルカナ「この前のお詫びに、ひとつ教えてあげるよ」
ヴィオ「貴様、ユウに魔石を取ってこさせて楽をするつもりだな」
トゥルカナ「あ、バレた?」
  この人、反省してないなぁ。
トゥルカナ「魔石狩りなら、今が好機だよ」
トゥルカナ「勇者召喚に使われる魔石に、各地の魔石が共鳴するっていうからね」
宿利ユウ「召喚に、魔石が!?」
トゥルカナ「うん。王国が大きいのを持ってるんだって」
  そういうことだったのか。
  だから、あの炎の魔獣が暴れ出したんだ。
トゥルカナ「魔石の魔獣は、勇者のレベル上げにも使われるって聞くよ」
トゥルカナ「シラサキに倒される前に、こっちで処理した方がよさそうだね」
  白崎・・・。今、どれくらいレベルが上がってるんだろう。
  ステータスは、たぶん僕より高い・・・
トゥルカナ「不安かい?」
宿利ユウ「そ、そんなことっ」
トゥルカナ「顔に出てるよ。素直だなぁ。 まぁ、実力者として助言をするなら・・・」
トゥルカナ「キミの場合は、たくさん傷ついて、血を流すといい」
宿利ユウ「え・・・?」
トゥルカナ「これも知らなかった? ステータスは、使ったものほど伸びやすいんだ」
トゥルカナ「たくさん攻撃すれば攻撃面が伸びるし、たくさん攻撃を受ければHPや防御が伸びる」
トゥルカナ「キミの攻撃力は相手に依存するようだから、防御面を伸ばすのがいいよね」
トゥルカナ「ちなみに、より強い相手を倒した方が、自分も強くなりやすいよ」
宿利ユウ「・・・」
宿利ユウ「ヴィオ、なんで教えてくれなかったんだよ!」
ヴィオ「訓練で振り回してやっただろう」
  そうか。だからヴィオはあんなに僕を攻撃してきてたのか。
宿利ユウ「~~~っ」
トゥルカナ「耐久型は大変だな。 たくさん痛い思いをしなくちゃならなくて」
宿利ユウ「――いい」
宿利ユウ「つらくてもいい。僕の強みを活かすためなら」
ヴィオ「・・・ただのひよっ子だと思っておったが」
トゥルカナ「じゃあ、がんばってね」
トゥルカナ「東の海で、魔石の魔獣が暴れてるって情報があるよ」

〇雲の上
  歩いたら何日かかるだろう。
  いつも思うけど、翼があるってすごい。
宿利ユウ「リーナ、重くない?」
リーナ「全然。島にいた頃は、ユウの倍くらいの獲物を運んでたもの」
  ・・・見かけによらずパワフルだ。
  ヴィオもトゥルカナも、もちろん魔王も、子供の頃に魔石を取り込んだらしい。
  魔石狩りにおいて、すでに魔石を取り込んでいる者の手は借りない決まりだとか。
宿利ユウ「危ないのに、無理して付いて来てくれなくてもよかったんだよ」
リーナ「無理なんかじゃない。私も魔石狩りをする」
宿利ユウ「そのせいで自我を失ってしまうかもしれないのに?」
リーナ「私にはもう、失うものなんてないよ」
宿利ユウ「・・・」
リーナ「もう、平和な暮らしには戻れない」
リーナ「あの日、島が襲われたのは、私のせいだから・・・」

〇海辺
リーナ「困ったわね。この島に来た人間を帰してはいけない決まりなのに・・・」
ミーア「海に帰すの? せっかく生き延びたのに、可哀想よ」
リーナ「そうね・・・」

〇雲の上
リーナ「いけないとわかっていながら、島の掟を破ってしまった」
リーナ「私には、島を滅亡に追い込んだ罪と責任がある」
宿利ユウ「・・・それは、リーナが優しかったから」
リーナ「優しさは隙になることもあるのよ」
リーナ「戦わなきゃ。 たとえ、自分を捨てることになっても──」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「静かなところだね。狂暴化した魔獣なんて、どこにもいそうにない」
リーナ「海の深いところにいるのかも。 ゴーストなら泳いで探せる?」
宿利ユウ「――いや、水の中での戦闘はちょっと」
リーナ「じゃあ、これの出番ね」
宿利ユウ「リーナ、釣りができるの?」
リーナ「もちろんよ。孤島の出身を舐めないで!」

〇海辺
ダンカン「勇者様。魔石の魔物は、私たちでは手が出せないほど強力です」
ダンカン「十分にお気を付けください」
ダンカン「もちろん、いざとなれば命を懸けてお守りします」
市沢恭也「だってさ、レン」
白崎蓮「フッ。俺はこの世界の人間とは違う」
白崎蓮「お前たち、さっさと魔石を探すぞ」
ダンカン「魔石狩りに選抜された、異世界人の中で最も有力な5人・・・」
ダンカン「どうか、魔王を倒す力を手に入れてください」

次のエピソード:17話 邂逅

コメント

  • ほほう。使えば使う程強くなる熟練度システムですな。(メガネクイっ)味方同士で殴り合いHPを上げるも回避率が低いままで後半の即(長くなるので割愛)

    しかしレベル上げしに行ったら魔王とバッティングて😆 滅多にないシチュエーション。逃げろ宿利君! いや腕試しには丁度いいイベント? いやワンチャンここで決着を……

  • でっかいリスクを伴なうパワーアップ…ワクワクするいい設定ですね〜。そして次回タイトル😂…どうなっちゃうんだ!

  • ついに2人が因縁の再開…!?
    次回のタイトルが気になりますが😂

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