いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

17話 邂逅(脚本)

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〇海岸の岩場
リーナ「いっけぇ!」
宿利ユウ「・・・本当に魔石の魔獣が釣れるの?」
リーナ「待ちなさい。釣りの極意は、待つことよ」
  ・・・
  何日もかかることを想定して、休憩中にできる仕事を持ってきてよかった。
リーナ「ユウ、それは?」
宿利ユウ「トゥルカナが人間との連絡に使ってたんだ。もちろん、今は繋がりを切ってある」
リーナ「・・・人間は変わったことを考えるのね」
宿利ユウ「これと同じものを、魔王軍にも作れないかと思ってさ」
リーナ「作るの!? そんな、見たこともない魔導具を!?」
宿利ユウ「魔族はこんな発明をしないの?」
リーナ「考えたこともなかった」
リーナ「フローラ島には魔王軍の転移陣があって、必要なところには行けたから」
宿利ユウ「そっか。やっぱり、発明はサピエンスの特技なんだ」
  うーん。試作品は失敗したんだよな。

〇闇の闘技場
宿利ユウ「ダメか・・・」
トゥルカナ「なになに? おもしろそうなことやってるね」

〇海岸の岩場
  金属の板に魔法陣を刻む。
  悪くないアイディアだと思ったんだけど。
  ・・・もう一度試してみるか。
  サピエンスだった頃の長所を活かして、僕も魔王軍に貢献するんだ!

〇海辺
白崎蓮「おい、ダンカン。 本当に魔石の魔獣がいるのか!?」
ダンカン「海にいるとの情報があったのですが・・・」
ダンカン「勇者様たちはここでお待ちください。 船を出して、人海戦術で──」
白崎蓮「ああ、まどろっこしいな。 それより手っ取り早い方法があるだろう」
ダンカン「と、言いますと?」
白崎蓮「この海に、毒をまけばいい」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「天気が崩れてきたな・・・」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「これじゃ、高波にさらわれかねない! いったん海から離れよう!」
宿利ユウ「・・・リーナ?」
リーナ「ユウは離れてて! 私は飛べるから!」
宿利ユウ「この嵐の中、釣りを続ける気!?」
リーナ「知ってる? この世には、嵐の日にしか釣れない幻の魚がいるのよ!」
宿利ユウ「・・・なんか、変なスイッチが入ってない?」
リーナ「きたぁッ!」
  ・・・まぁ、リーナの夕食にはなりそうだ。
リーナ「魔石の魔獣を吊り上げるなんて、無茶だったようね」
宿利ユウ「嵐が過ぎるのを待って、別の方法を考えよう」
宿利ユウ「何だ、あれ!?」
リーナ「あれは・・・海竜(かいりゅう)!?」
宿利ユウ「魔獣なの!?」
リーナ「違う! 竜と呼ばれるものは、みんな魔族よ!」
宿利ユウ「リーナ、下がって!」
  逃げていった・・・
宿利ユウ「あれが本当に魔族なの? とても話が通じるようには見えなかったけど」
リーナ「魔族は状況しだいで理性を失って魔獣になる」

〇海辺
リーナ「例えば魚竜なんかがそうよ。血の臭いを嗅ぐと、理性を失ってケダモノと化すの」
リーナ「あの人も、普段は気のいいお兄さんだった・・・」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「もしかして、さっきの海竜は魔石の取り込みに失敗した魔族?」
リーナ「その可能性はありそうね」
宿利ユウ「じゃあ、助けなきゃ」
リーナ「無理よ。ああなったら、もう元には戻らない」
リーナ「簡単に戻せるなら、誰もユウが魔石を取り込むのを止めないでしょ」
宿利ユウ「そっか・・・」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「あ。急に天気が良くなった」
リーナ「どうやら嵐を探した方が早そうね」
リーナ「手分けしましょ。私は空から沖の方を、ユウは海岸線をお願い」
宿利ユウ「わかった」

〇海辺
馬田「スキル、発動!」
馬田「やった! 毒が出た!」
馬田「ぐぇっ」
白崎蓮「休むな。さっさと次の毒を出せ」
馬田「は、はい。すみません・・・」
馬田「あ・・・」
馬田「げふっ」
白崎蓮「本当に使えないな、お前のスキルは」
市沢恭也「複数のデバフの中から、ランダム選択っていうのがな」
白崎蓮「チッ。次に毒が出なければ、お前を海に沈めるぞ」
馬田「ヒィッ」
馬田(畜生。宿利が・・・)
馬田(宿利ユウさえいれば、オレがターゲットになることはなかったのに──)

〇理科室
馬田(こんなことなら・・・)
馬田(宿利を空き教室に呼び出したり、水をぶっかけたりする仕事の方がマシだった──)

〇海辺
馬田「ぐえっ」
白崎蓮「何、ボーッとしてるんだよ」
馬田「すみませんでした・・・」
南井芽久「きゃははは。男子たちウケる! ねー、セイラちゃん」
高城星来「軟弱者は嫌いだ。見ているだけで腹が立つ」
ダンカン「・・・」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「平和だな・・・」
  嵐どころか、雨雲もない。
  僕の速度じゃ、走っても遠くには行けない。
  ・・・少し潜ってみるか?
  流されないように、リーナから借りた釣り竿の糸を体に結んで──
  あとは岩の隙間に差して固定すれば・・・
  これでよし。

〇アクアリウム
  わあ! アクアリウムみたいだ!
  あの海竜、普段は海の中にいるのかな。
  水中戦になったら、おそらく厳しい。
  地底湖のときは苦労したしな・・・
宿利ユウ「ん?」

〇アクアリウム
宿利ユウ「こ、これは・・・?」
宿利ユウ「毒!?」
  まずい。これじゃ、跳ね返しようがない!

〇海岸の岩場
白崎蓮「近くに魔獣がいれば、毒にやられて上がってくるだろうが・・・」
白崎蓮「ん?」
市沢恭也「レン、どうした?」
白崎蓮「釣り竿が固定してある」
白崎蓮「何かかかってるようだな」
市沢恭也「引いてみるか? 魔石の魔獣が釣れるかもしれないぜ」
白崎蓮「ハッ。釣り竿にかかるような雑魚なら、一撃で狩りが終わるぞ」
白崎蓮「大物だ──」

〇アクアリウム
  早く釣り糸をたぐって浮上しよう。
宿利ユウ「え――?」

〇海岸の岩場
宿利ユウ「え・・・?」
白崎蓮「は・・・?」
市沢恭也「おい、今、何が起こったんだ・・・?」

〇海岸の岩場
  なぜだ!? どういうことだ!?
  どうしてここに白崎がいる!?
  僕の居場所がわかってたのか!?
  助けて! 誰か・・・
  ・・・リーナ!

〇沖合
リーナ(この場所だけ、天気が荒れてる・・・)
リーナ(海の中に、海竜がいるのね!)
リーナ「はあっ!」

〇海岸の岩場
白崎蓮(なぜ宿利ユウが釣れたのか・・・。 まったく意味がわからん)
白崎蓮(だが、理由などどうでもいい)
白崎蓮(やはり速度は遅い。追いつくなら簡単だ)
宿利ユウ「はぁ、はぁ」
  なんで僕は、逃げてるんだ?
  白崎を倒すんじゃなかったのかよ!
  僕はなんて臆病で、弱虫なんだッ──

〇断崖絶壁
宿利ユウ「うわっ」
白崎蓮「おっと。 鬼ごっこはここまでのようだな、宿利ユウ」
宿利ユウ「くっ──」
  飛び込むか? 毒の海に・・・
  『システム外スキルに新たな効果を検出しました』
  『解析中・・・』
  『新たな効果は、解毒です』
  ああ、体が楽になっていく・・・

〇暗い洞窟
  見ず知らずの世界に飛ばされて
  たったひとりで、生き抜いた──

〇海辺
  悲しいこともたくさんあった
  何度も死にそうになったけれど

〇滝つぼ
  全部乗り越えて、ここまできた

〇闇の要塞
「ユウ!」
二宮叶恵「宿利くん!」
トゥルカナ「ユウ」
リーナ「ユウ!」

〇断崖絶壁
  そうだ。もう今までの僕じゃない。
  たとえ白崎が相手でも──
  僕ならやれる!

次のエピソード:18話 三つ巴

コメント

  • ついに邂逅…!!まさかすぎる形で😅
    ステータス的には敵う相手ではなさそうですが…どうなる?😳

  • 邂逅――確かに。中学生位で覚えて、やたらと使いたくなる(むしろ使った)言葉でした😆
    そして対決、どうなる!?まだまだステータス的には立ち打ちできる気はしないけどユウには一矢報いてほしい!

  • 釣りのシーンでの出会い!どちらもビックリしたでしょう😅
    そして運命の戦いが始まりますね、次回を楽しみにしています!

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