樹の狂奏曲(脚本)
〇埋立地
メノウ「この向こうがサティの森」
ミリン「メノウ」
ミリン「本当にあの娘と城に行くの?」
メノウ「大丈夫よ」
メノウ「相手は「樹の守護者」」
メノウ「と言っても彼女はまだ見習いだもんね」
メノウ「私、絶対負けない」
ミリン「ま、せいぜい森に癒されて来てね」
ミリン「戦の風を吹かせているメノウには」
ミリン「協奏曲のような風が必要でしょ?」
メノウ「違うわ。狂奏曲よ」
大きな空を一閃に突き退けて
飛ぶ鳥はやがて森の
木漏れ日が射す木々に留まりながら身を隠した
戦いに疲れた羽根も、此処では花の周りを蝶が舞い
風がそよいでくれる
〇森の中
メノウ「はぁいセルナ」
セルナ「おはよう」
セルナ「君が森に来るなんて珍しいね」
メノウ「城からの命令だからよ」
メノウ「セルナも連れて来てって言うから」
メノウ「解ったらさっさと行くよ!」
セルナ「じゃあ今から支度する」
セルナ「ちょっと待ってね」
メノウ「もう、先に行くからぁ」
メノウ「遅れないでよ!」
セルナ「・・・」
セルナ「行っちゃった」
セルナ「おっかないね」
〇荒廃した国会議事堂の広間
サティの国の王女「サティは隣国イオズルの攻撃により侵略されつつある」
サティの国の王女「そこで我等は神森の力を借りる事にした」
サティの国の王女「神森の力を宿した秘宝「封樹」の使い手を」
サティの国の王女「審議した結果」
サティの国の王女「セルナとメノウの何れかを選ぶ事となった」
メノウ「姫様」
メノウ「私は幾度も過酷な戦い切り抜けてきたわ」
メノウ「私なら、軍の勢力も増す事間違いなし!」
サティの国の王女「セルナ、そちはどうだ」
セルナ「私は、森の者建の心を鎮める事しか出来ません」
メノウ「ふふっ、セルナじゃ役不足よ」
サティの国の王女「ならば、先代の秘宝「封樹の剣」に聞いてみよう」
サティの国の王女「これで決まりだ」
サティの国の王女「封樹の使い手はセルナ!」
メノウ「そんな」
サティの国の王女「あ、メノウは使い手であるセルナの護衛を命じる」
サティの国の王女「二人供、頼むぞ」
〇華やかな広場
メノウ(何でこうなるの)
メノウ(それに屋上庭園に呼び出すって一体)
屋上庭園の管理人「君たちか。選ばれし者は」
メノウ「そうよ」
メノウ「それで例の秘宝は?どうせ剣とかでしょ?」
屋上庭園の管理人「勿論」
屋上庭園の管理人「ちゃんと手の中だよ」
メノウ「手?」
屋上庭園の管理人「これは封樹の種」
屋上庭園の管理人「君たちはそれを植えて育てるんだ」
「ど、どゆ事!?」
屋上庭園の管理人「いいかい、失敗は許されない」
屋上庭園の管理人「しっかり育ててるんだよ!」
〇華やかな広場
メノウ「それ、ちゃんと育ってきてるわね」
セルナ「せっかくの晴れた日」
セルナ「光合成の邪魔をしないで」
メノウ「能天気ね」
メノウ「私は戦いの事を考えてるってのに」
メノウ「戦に出ないセルナには解らないだろうけど」
メノウ「もっと水とかバンバンやって早く育ててよ」
セルナ「ダメ」
セルナ「水も肥料もやり過ぎたら枯れるし」
セルナ「害虫にも気を付けないと」
メノウ「あー調子狂う!」
メノウ「一緒に居ると息が詰まるわよ」
セルナ「ひどい」
サティの国の貴女「あら、ご機嫌麗しゅう」
サティの国の貴女「秘宝の使い手、と護衛のメノウ」
サティの国の貴女「予想外でしたが貴女様こそ」
サティの国の貴女「選ばれし者に相応しいと思いましてよ」
サティの国の貴女「オーホホ」
サティの国の貴女「今度是非お茶でもご一緒に」
サティの国の貴女「ではご機嫌よう」
メノウ「何よ」
メノウ「私の方が使い手になれるって言われてたのに」
メノウ「樹を育てるあんたを見守るだけ」
メノウ「冗談じゃない!」
セルナ「あの人、私を利用するだけよ」
セルナ「私はここに居ても一人」
メノウ「うるさい!」
メノウ「いい気にならないでね!」
〇西洋の街並み
メノウ「言い過ぎたかな」
メノウ「今から戻っても気まずいし」
街の娘2「さっきのスィーツ、美味しかったね!」
街の娘1「ねー」
メノウ「こんな時は甘いものよ」
メノウ「食べに行こう!」
マルン「フフフ」
マルン「何処かに秘宝が使える者が居ると聞く」
マルン「探し出すぞ」
マルン「お前達は攻撃開始だ!」
メノウ「あー美味しかった」
メノウ「ん?」
〇ヨーロッパの街並み
メノウ「何なの!?」
イオズルの部下1「フフフ、サティはイオズルが占領した」
メノウ「いつの間に!?」
メノウ「はぁあっ!」
イオズルの部下1「くっ!」
メノウ「メノウ!」
〇華やかな広場
セルナ「街が」
セルナ「私、どうしたらいいの?」
セルナ「えっ?」
セルナ「樹が成長した」
セルナ「花の中に光るこれ」
サティの国の貴女「あら、お一人かしら」
サティの国の貴女「ホホ、捕まえた」
セルナ「!?」
マルン「お初にお目にかかるわ」
マルン「私の名はマルン」
セルナ「な、何の御用です」
マルン「貴女は樹の使い手、だから来た」
マルン「これが秘宝?」
マルン「まあいい。利用させて貰うよ」
セルナ「放して!」
セルナ「ううっ」
サティの国の貴女「メノウが居ないと役立たずのくせに」
サティの国の貴女「お前に味方なんて居ないんだよ!」
サティの国の貴女「マルン様」
サティの国の貴女「ワタクシ、貴女に付きます故何卒ご贔屓に」
マルン「ふん!」
〇荒廃した教会
ミリン「城がイオズルの手に渡ったわ」
ミリン「姫は何処かに匿われたけど、セルナが」
〇西洋の城
〇荒廃した教会
メノウ「私、セルナを守らないといけなかったのに」
メノウ「ちゃんと謝ればよかった」
ミリン「街も攻撃されて多くの人が死んだ」
ミリン「私達」
ミリン「もう終わりなのかな?」
メノウ「・・・」
メノウ「諦めるのはまだ早い」
メノウ「ミリンは仲間を集めて、反撃の準備よ」
ミリン「メノウはどうするの」
メノウ「私はセルナの所に行く!」
〇西洋の城
イオンズルの部下2「ここはイオズルの占領地」
イオンズルの部下2「城の中には通さないよ」
メノウ「え?」
メノウ「やだー!」
イオンズルの部下2「あ、おい!」
メノウ「なんだ、通れるじゃない!」
〇洋館の玄関ホール
イオズルの部下3「何者だ!」
メノウ「どいて!」
イオズルの部下4「貴様!」
メノウ「はっ、はあっ、はっ」
メノウ「セルナ!」
〇城壁
メノウ「助けに来たわよ」
セルナ「・・・」
セルナ「メノウは私の事否定した」
セルナ「そんなの上手くいかないよね」
メノウ「な、何言ってんの」
メノウ「森を守る為に使い手になったんでしょ」
メノウ「このまま後悔していいの?」
マルン「フフフ」
マルン「こやつは我の手の中」
マルン「樹の使い手の支えになる者はお前じゃ無くて」
マルン「ワ・」
マルン「タ・」
マルン「シ❤️」
メノウ「掃溜めしか創れない侵略者のくせに」
メノウ「汚れた手でセルナに触らないで」
メノウ「はぁっ!」
メノウ「セルナ、これは取り返したよ」
マルン「ううっ、おのれ」
マルン「舐めるな!」
メノウ「う、あぁ」
セルナ「メ、ノウ」
メノウ「悪いけど、セルナは自分の為に多くの血が流れるのを望んでいないわ」
マルン「黙れ、勝利を手に入れるには多少の犠牲も必要だ」
マルン「ここから落ちろ!」
マルン「な、何?」
メノウ「まさか、セルナ!?」
マルン「大人しくしていれば良いものを」
マルン「報復だ、やれ!」
マルン「う、うそっ」
セルナ「メノウは私を助けに来てくれた」
セルナ「私、このまま全てを失いたくない!」
マルン「きゃぁあーー!!」
その後サティの反撃により捕えられたイオズル軍は降伏した。
〇大樹の下
セルナ「やっぱり森は落ち着くな」
メノウ「まだよ」
メノウ「また何時奴等が襲って来るか判らない」
メノウ「だからセルナの傍に居ないと」
メノウ「・・・私のせいでゴメンね」
セルナ「ううん」
セルナ「君が居てくれたから、国と森を守れたのよ」
メノウ「バカ」
メノウ「だったら今度一緒にスィーツ食べよ」
メノウ「ねっ」
セルナ「もう、サボるつもり?」
セルナ「でもちょっと食べたいな」
止まり木の鳥に風がそよぐ
たとえ報われない日々でも傍に花が咲けば微笑むよ
四季の風はまた君にそよいでくれるから─
戦いに勝利するにはメノウのように武器を操ることも重要だけど、最後には人智を超えたパワーが必要な時もありますね。「樹の使い手」として選ばれたセルナは、自然が生み出す「気の使い手」とも言えるのかな。神秘的ですね。
友情と思いやる気持ちがすごく伝わってきました!
確かにこの世界では木を育てるといったことに何の意味があるのだろう?と思ってしまいそうですね。
百聞は一見にしかずとはまさにこのこと?
乙玉藺杞ことicoです!
私の描いたキャラをふんだんに使っていただき、本当にありがとうございました‼︎バトルありからの二人の友情に嬉しくなりました😊