夕顔

笑門亭来福

第一話(発端)(脚本)

夕顔

笑門亭来福

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〇水族館・トンネル型水槽(魚なし)

〇壁
鈴木さくら「・・・」
鈴木さくら「絶対に」
鈴木さくら「絶対に!」

〇壁
鈴木さくら「絶対に!!」
鈴木さくら「絶対に殺・・・」
鈴木さくら「絶対に殺されてやる!」

〇壁
佐藤 愛「さくらちゃん・・・」
佐藤 愛「・・・もう、充分」
佐藤 愛「・・・私がやらなきゃ」
佐藤 愛「私がやってやる!」

〇駅のホーム
鈴木さくら「バイバイ・・・」
鈴木さくら「・・・お母さん」
佐藤 愛「私がやる」
佐藤 愛「私が断つ!」

〇外国の駅のホーム
  今日・・・時頃
  ・・・線、・・・駅で
  女子高校生18歳が
  近くにいた女性に
  背後から押され
  ホームに転落
  救急搬送されましたが
  間もなく死亡しました
  警察では、突き落とした女性の
  詳しい動機を調べています

〇たこ焼き屋の店内
客1「なんで殺すかねぇ」
客2「よっぽどよねー」
客1「「殺してやる」は、あるんだけどねぇ」
客2「「殺してやる」と「殺す」は、別モノでしょ」
客1「別モノだよなー」

〇らせん階段
  1年前

〇綺麗な一人部屋
佐藤 愛「おはよう、夕ちゃん」
  おはよう
佐藤 愛「いってきます」
佐藤 愛「今日、ちょっと遅くなりそう」
  いってらっしゃい
  あ、大丈夫、幻聴じゃないです
  私が「夕ちゃん」なんで
  分かりにくいですよね
  ちょっと精霊に着替えてきます
夕ちゃん「お待たせしてしまいました」
夕ちゃん「夕顔の精霊、夕ちゃんです」
夕ちゃん「こんな感じで、やってます」
夕ちゃん「さっきお仕事に行ったのは、「愛ちゃん」」
夕ちゃん「そんで、私は愛ちゃんが昔」
夕ちゃん「小学校の頃、観察日記で書いた夕顔」
夕ちゃん「の、精霊ってことで、やらしてもらってます」
夕ちゃん「愛ちゃんに最初に書かれてから」
夕ちゃん「早いもんで、四半世紀が過ぎちゃいました」
夕ちゃん「ちょくちょく来ますんで、よろしゅう」
夕ちゃん「ほな、さいなら」

〇外国の駅のホーム
佐藤 愛「あー、休み明けは、体がダルオモ」
佐藤 愛「休日が、本気で体を休めて終わり・・・」
佐藤 愛「悲しすぎるでしょ」
佐藤 愛「やっぱ、職場近くに引っ越すかなー」
佐藤 愛「なんか、同じことばっか呟いてない?」
佐藤 愛「やっぱ、合コン、行ってみよっかなぁ・・・」

〇田舎の線路
「やっぱ、職場近くに引っ越すかなー」

〇らせん階段
  ある日の夜

〇綺麗な一人部屋
佐藤 愛「ぐふぅーっ、家飲みも」
佐藤 愛「ナカナカ染みますなー」
佐藤 愛「そりゃぁーっ、ぐい飲み、バク食べやぁ!」
佐藤 愛「・・・はぁーっ」
夕ちゃん「えーっ? 情緒がサーファー・・・」
佐藤 愛「なんだかねぇ、生命を維持してるのみ」
佐藤 愛「・・・って感じなのよ、毎日」
佐藤 愛「分かってくれる? この感じ・・・」
夕ちゃん「私の場合、基本、花なんで・・・」
佐藤 愛「そうよねー」
佐藤 愛「花だもんねー」
夕ちゃん(おっ、からみ酒の予感)
夕ちゃん「そうそう、なんか趣味とか」
夕ちゃん「時間忘れちゃうみたいなものが、あればね」
佐藤 愛「そうやって、はや36年」
佐藤 愛「人生設計を思うと、酒が進む日々」
佐藤 愛「昔、人生ゲームってのがあってさ」
佐藤 愛「今時、ボードゲームなんか知らんかぁ」
佐藤 愛「あれ、ルーレットで進む」
佐藤 愛「すごろく、みたいなもんでさ・・・」
佐藤 愛「進学して、就職して・・・」
佐藤 愛「結婚して、出産して・・・」
佐藤 愛「億万長者になって、ゴール!」
佐藤 愛「って、おぃっ、誰の人生やねん!」
夕ちゃん「これは、マジやばい」
夕ちゃん「あー、そう言えば、この前始めた」
夕ちゃん「なんだっけ?」
夕ちゃん「なんとか、リーフ、なんとか・・・」
佐藤 愛「何とかしか、わからんよ」
夕ちゃん「ほら、葉っぱに色塗る感じの・・・」
佐藤 愛「あー、ロータスリーフペインティング」
夕ちゃん「あー、それそれ!」
夕ちゃん「どうなの?」
佐藤 愛「ざっくり感想求めすぎダッチューの!」
夕ちゃん(出来上がりペースが、早くない?)
佐藤 愛「まぁねぇ、あれは、あれでイイ!」
佐藤 愛「葉脈が、男の腕の血管みたくて、イイ」
佐藤 愛「作品抱きしめて、寝落ちしたなぁ・・・」
佐藤 愛「包まれる夢を見て・・・アレはイイ」
夕ちゃん「あ、崩壊した!」
夕ちゃん「シャワーどうすんの? もう、愛ちゃん!」
夕ちゃん「・・・合コン・・・行ってみたらぁ」

〇綺麗な一人部屋
佐藤 愛「おはよう・・・」
  おはよう
佐藤 愛「ビールなのに、残ってるーぅぅぅ」
佐藤 愛「電車の振動に耐えられるか?」
  シャワー、シャワー
  速攻、速攻
佐藤 愛「じゃ、いってきます」
夕ちゃん「いってらっしゃい」

〇外国の駅のホーム
佐藤 愛「あー、血管の浮いた男の話なんかするから」
佐藤 愛「ボディペインティングを」
佐藤 愛「あらゆるとこに、塗りつ塗られつ」
佐藤 愛「ぐちょぐちょな夢に・・・なっちゃった」
佐藤 愛「はーっ・・・もぉ、バカバカ・・・」
佐藤 愛「あっ! 丸校3年B組、バスケ部」
佐藤 愛「鈴木さくらちゃん!」
佐藤 愛「きゃぁぁぁぁーっ」
佐藤 愛「ビンゴ! 本日の星占い第一位!」
佐藤 愛「貴女に 会える 今日の 幸せ ♥️」
佐藤 愛「今日も一段とかわゆいっ!」
鈴木さくら「あ、おはよう」
「高橋くんっっっ!」
高橋 蓮「おぅ、おはよ」
佐藤 愛「も・・・も。ん。ぜ。つ。・・・悶絶ぅ」
佐藤 愛「高橋くんと、さくらちゃん」
佐藤 愛「鬼に金棒、チーズケーキにチョコミント!」
佐藤 愛「あー、もっと形容したいのに」
佐藤 愛「言葉が追いつかない!」
佐藤 愛「頑張れ、私の海馬!」
鈴木さくら「昨日の試合、角校に勝ったんだって?」
鈴木さくら「すごいね」
高橋 蓮「おぅ、おれ、神だった、昨日」
高橋 蓮「俺一人で50点って、どうよ」
佐藤 愛「そっか、バスケ部だもんね、二人とも」
佐藤 愛「あぁ、可憐なさくらちゃん」
佐藤 愛「細マッチョの高橋 蓮君」
佐藤 愛「あ、やだ、見つめ合ってるぅ、相思相愛!」
佐藤 愛「いつ見ても、相思相愛」

〇幻想空間
佐藤 愛「あぁ、そう、わかってる」
佐藤 愛「私が欲しいのは、相思相愛」
佐藤 愛「私の人生で欠けているピース」
佐藤 愛「それは、相思相愛!」
佐藤 愛「人生、1度でいいから、相思相愛」

〇雪山
佐藤 愛「そう、今の私に必要なのは、相思相愛」
佐藤 愛「だけど、その道は、高く、険しく、命懸け」
佐藤 愛「酒で、うやむやにした人生設計」
佐藤 愛「人生ゲームの俵に、足がかかってる」
佐藤 愛「母性が少ない訳じゃないんだから!」
佐藤 愛「色んなことを諦めてきただけ」
佐藤 愛「いやだ、いやだ、いやだ」
佐藤 愛「まわりまわって、反抗期で、思春期だ」
佐藤 愛「相思相愛になる!」
佐藤 愛「憧れの、鈴木さくらちゃんになる!」
佐藤 愛「なりたい、いや、絶対なってやる!」
佐藤 愛「待ってて、私の、さわやか王子!」
佐藤 愛「高橋 蓮くんっ!」

〇駅のホーム
佐藤 愛「最後にして、最大の」
佐藤 愛「思春期、反抗期から始まった」
佐藤 愛「私のストーカー人生」
佐藤 愛「毎日、鈴木さくらちゃんが降りる駅で」
佐藤 愛「一緒に降りて」

〇学校の校舎
佐藤 愛「徒歩で高校まで行き」
佐藤 愛「正門の前で、引き返す」
佐藤 愛「途中のコンビニで、コーヒーを飲んで出社」
佐藤 愛「特に進展はなく、先も見えない」

〇学校の体育館
佐藤 愛「ある日、気づいたら、体育館で」
佐藤 愛「バスケの試合を見ていた」
愛ちゃん必死のパッチ「服や髪型を高校生に寄せていた・・・」

〇田舎の線路
佐藤 愛「そう、これが、私の・・・」
佐藤 愛「ストーカー人生」
佐藤 愛「昔からイノシシ的なところは」
佐藤 愛「あったのよ・・・」
佐藤 愛「夏休みの宿題で始めた、観察日記」
佐藤 愛「お母さんが、朝顔と間違えて」
佐藤 愛「夕顔買ってきたから・・・」
佐藤 愛「夜遅くまで起きて、観察した」
佐藤 愛「結局、いまだに続けちゃってるなぁ」
佐藤 愛「観察日記・・・」
佐藤 愛「あーあ、でも、何で、こんなに、」
佐藤 愛「相思相愛を求めるんだろう・・・」
夕ちゃん「そりゃ、一方的に」
夕ちゃん「好きになるだけじゃねぇ・・・」
夕ちゃん「・・・好きになられて、必要とされたら」
夕ちゃん「私が今、ここにいるって、実感できて」
夕ちゃん「生きていいんだって、安心できて」
夕ちゃん「生存本能も、納得しちゃうのよね」
夕ちゃん「一人より二人でいると」
夕ちゃん「危機回避できて、生存率も上がるし・・・」
夕ちゃん「子孫繁栄の、確率もあがるし」
佐藤 愛「私の中の原始人が、叫んでる感じ?」
佐藤 愛「うーむ、孕むタイムリミットも近い!」
佐藤 愛「でも、まずは、大恋愛!」
佐藤 愛「一度でいいから、相思相愛!」
夕ちゃん「よしっ! 愛ちゃんの猪突を応援するっ!」
夕ちゃん「これ、使って!」
佐藤 愛「えー、何コレ?」
夕ちゃん「いいから、いいから」
夕ちゃん「騙されたと思って、飲んじゃって」
佐藤 愛「えっ? 飲む感じ? 大丈夫?」
夕ちゃん「うん、大丈夫」
佐藤 愛「・・・じゃ、いただきます」
佐藤 愛「あぁ、あぁぁ、あぁぁぁ」

〇可愛らしい部屋
「翌朝、気づいたら、私は」
「鈴木さくらちゃんの、お臍に寄生する」
「夕顔になっていました」

次のエピソード:第二話(有頂天)

コメント

  • 愛ちゃんと夕ちゃんの会話のまるでドラマのに出てきそうな、人間味あふれるところが好きです!(夕ちゃんの場合は人間ではありませんが)これから、どんな風に冒頭シーンへ繋がるのか、楽しみです!

  • 冒頭はショッキングですが、考えていることは共感できるところもあって、読んでいて安心する会話でした。スチルが和っぽくてきれいです。夕顔の精になるとストーキングでは見えなかった部分も見えてくるのでしょうか。冒頭の「殺されてやる」が一番気になりました。

  • 愛ちゃんと夕ちゃんのまったりトークを見ていると、冒頭の恐ろしいシーンと結びつかずに??となりつつ、結びついてほしくないとも願ってしまいました。愛ちゃんは36年の人生で拗らせ歪みまくっちゃいましたねw

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