DAY2: アルバイトは前途多難!(脚本)
〇狭い畳部屋
ーー土曜日
三澤梨々花「よーし、掃除おわりっ! カンペキ!」
三澤梨々花「フフン♪ ボロ家でもこのりりか棒があれば スミズミまでピカピカになっちゃうんだから♪」
三澤梨々花「ええと次はなんだっけ・・・」
三澤梨々花「あのセンセ 忙しいっていうわりに 毎回こんな細かくメニュー作るなんて マメすぎない?」
三澤梨々花「ほんとはヒマなんじゃ・・・?」
ハイジ「ウゥ~・・・ アンッッ!!!」
三澤梨々花「・・・ああ、そうね あなたのおやつね、はいはい」
〇アパートの台所
三澤梨々花「ええと、おやつはこの棚に・・・ あった、あった」
三澤梨々花「有機野菜ボーロ スイスチーズスティック 比内地鶏ササミジャーキー?」
三澤梨々花「贅沢すぎる!!! たしかドッグフードも国産素材の超高級品だったよね・・・ なんなのこのセレブ扱いは」
ハイジ「ウーーーー・・・!」
三澤梨々花「はいはい、今あげるわよ さあ、どうぞ」
三澤梨々花「一応女の子なんだから、がっつかないの」
三澤梨々花「ていうか なんで私にはそんなに悪態つくわけ? ご主人様に代わってお世話してあげてるのに」
三澤梨々花「見た目はせっかくフワモコなのに その性格の悪さで全部台無しよ、あなた」
ハイジ「ウゥ~アアンッ! アワン、アン、アン!ガルルル!」
三澤梨々花(・・・なんでかな 言葉は通じなくても 罵られてるっていうのはワカル・・・)
三澤梨々花(あの飼い主にして、この犬あり・・・)
三澤梨々花「はいはい、おやつ食べててね 私、夕飯の献立決めなきゃならないの」
三澤梨々花「わ、今日も冷蔵庫の中充実してる~」
三澤梨々花(初日も食材たくさんあったけど まさかあのセンセが用意してくれたの?)
三澤梨々花(そんな気が利くようには 見えないんだけどなぁ・・・)
三澤梨々花「・・・・・・ん?」
落合はるか「ーーおい」
三澤梨々花「わっ!?💦」
落合はるか「コーヒー落としてくれ モンスーンとロブスタの苦味ブレンド ウルトラ濃くな」
三澤梨々花「は、はい・・・💦」
三澤梨々花(う、うわ~すっごいクマ! ヒゲも伸びてるし、ジャージよれよれだし 髪もボサボサ・・・・・・)
三澤梨々花(これが人気恋愛小説家って・・・・・・ ・・・・・・サギだ)
落合はるか「なんだよ」
三澤梨々花「あ、いえ、その 顔色悪いな~と思って 寝てないんですか?」
落合はるか「・・・・・・うちの編集担当は鬼なんだ」
落合はるか「今、『寝る』っていう単語を使うな・・・ 殺意を覚える・・・・・・」
三澤梨々花「ひ、ひえっ! ごめんなさい💦」
三澤梨々花「すぐ用意しま~す!💦」
三澤梨々花「あ。そうだ、あの!」
落合はるか「あ?」
三澤梨々花「きょ、今日のお夕飯のリクエストとかー・・・・・・」
三澤梨々花「って、それどころじゃないですよね ごめんなさい、なんでもないです」
落合はるか「・・・・・・この前の」
三澤梨々花「この前・・・? あ、豚のはちみつしょうが焼きですか?」
落合はるか「あのタレは・・・悪くなかった」
三澤梨々花「あ、おいしかったですか!?」
三澤梨々花「よかった! あれ、お姉ちゃんも好きなんです うちの秘伝のタレなんですよ♪」
三澤梨々花「じゃあ今日も同じものにしますか? 豚肉はビタミンB1が豊富だから 疲労回復にもいいんですよ」
三澤梨々花「パッと食べられるように 今日はキャベツ敷いて、丼にしますね!」
落合はるか「・・・ん じゃあコーヒー早くな・・・」
三澤梨々花(へえ、意外・・・・・・ 「どうでもいい」とか言われると思った)
三澤梨々花(しかも私の料理、気に入ってくれると思わなかった ちょっと・・・うれしいかも)
三澤梨々花「これでも料理にはちょっと自信あるし♪ よーし、じゃあまずおいしいコーヒーを・・・・・」
ぴんぽーん
三澤梨々花「あ、もしかして編集さんかな? 今日来るって言ってたし」
三澤梨々花「はーい!」
三澤梨々花(鬼編集って・・・・・・ どんな人なんだろ?)
〇部屋の前
三澤梨々花「今いきまーす・・・あっ」
緑川「こんにちは 三澤梨々花さんですよね?」
緑川「はじめまして 落合先生の担当の、緑川(みどりかわ)と申します」
緑川「乃梨子さん経由で アルバイトをお願いした者です こちら名刺です どうぞよろしくお願いします」
三澤梨々花「は、はじめまして! こちらこそよろしくお願いします!」
三澤梨々花(悠英出版 文芸編集部 緑川千里(みどりかわ せんり)・・・)
三澤梨々花(担当さんてもっとオジサンかと思ってた💦 すごくキレイな男の人・・・!)
三澤梨々花(この人が鬼???)
緑川「先生はご在宅ですか?」
三澤梨々花「あ、はい、書斎に・・・・・・」
三澤梨々花「ハイジ!!」
三澤梨々花(も、もしかして飛びかかる気!?)
三澤梨々花「ダ、ダメ──」
ハイジ「アウーーン♡♡」
緑川「やあ、ハイジ 今日も美人さんですね」
ハイジ「ハゥ~~♡ハッハッ」
緑川「相変わらず人懐こいなぁ 今日もフワフワですね」
三澤梨々花(あれぇーーー!? 態度悪いの私にだけ!?)
三澤梨々花(しかもなんか、先生の時とも違う! 目が完全にハートに!!!!)
緑川「あ、梨々花さん、すみません これ預かってもらっていいですか? 先生に頼まれたハイジのおやつです」
緑川「食材は、昨日適当に買って冷蔵庫に入れておきましたけど、足りそうですか?」
三澤梨々花「あっ、緑川さんが補充してくれたんですね!! ありがとうございます、十分です!」
三澤梨々花「でも担当さんて、雑用とかもしなきゃならないんですか? 大変なんですね・・・」
緑川「まあ、原稿頂くのに必要であれば」
緑川「僕の場合は勝手にやらせてもらってますけどね 個人的にも落合先生の大ファンなので」
緑川「それに好きなんですよね ああいう面倒くさいタイプ♡」
三澤梨々花「は、はあ・・・」
三澤梨々花(ちょっと変わってる・・・かな?)
緑川「それで、先生は書斎でしたっけ」
三澤梨々花「あ、はい コーヒー持っていくついでに呼びましょうか?」
緑川「僕が行きますよ 渡すものもありますし」
緑川「それに〆切前で先生、ちょっとピリピリして怖いでしょう? そういう顔もかわいいんですけど」
三澤梨々花「えっと・・・💦 じゃあお願いできますか? そろそろコーヒー落ちてる頃なので」
緑川「わかりました。 ハイジも連れていきますね 離れそうもないので」
ハイジ「ハッ、ハッ、ハッ♡」
三澤梨々花(カブトムシみたいに張りついてる・・・)
三澤梨々花「はい、じゃあお願いします・・・」
三澤梨々花「・・・あの人が緑川さんかぁ」
三澤梨々花「マニアックな趣味がありそうだけど・・・ 先生も整った顔立ちしてるし お姉ちゃんの知り合い、顔面偏差値高!」
三澤梨々花「じゃあ私も休憩しよっかな♪ 掃除も早く終わったし お茶淹れようっと」
はるか先生のちょいデレとか、初登場の緑川さんとか、見どころいっぱいなはずなのに何故かハイジばかり追ってしまいますw 絶対に私よりイイものを食べてますしw
あの飼い主にして、この犬あり...ワンコは飼い主に似るって本当かもしれませんね🤣