プロローグ(脚本)
〇黒背景
・・・・・・好き、ってなに?
・・・・・・恋する、って?
いつか、わたしにもわかるかな?
愛しいっていう、気持ちのカタチが。
〇学校の校舎
放課後——
〇教室
三澤梨々花「ごめーん、美森(みもり)!」
三澤梨々花「今日部活休むね! 遅れそうなの」
吉沢美森「えっ? ちょっとどうしたのよ」
吉沢美森「遅れるってなにが??」
三澤梨々花「ほら、こないだ話したでしょ?」
三澤梨々花「例のアルバイト、今日からなの!」
―ーそう、事の起こりは
お姉ちゃんの一言からだった―ー
〇女の子の一人部屋
―ーコンコン(ノックの音)
「梨々花(りりか)~ ちょっと入るわよ」
三澤梨々花「お姉ちゃん、帰ってたんだ」
三澤梨々花「おかえりー、どうしたの?」
三澤乃梨子「ふっ、ふっ、ふ~♪」
三澤乃梨子「あのね! あんたにいいバイトの話があるのよ!」
三澤梨々花「はぁ? バイトぉ? いきなり何言ってるの」
三澤乃梨子「あんた、家事得意じゃない? ハウスキーパーのバイトしない?」
三澤梨々花「しない」
三澤梨々花「だってハウスキーパーなんて・・・ 私高校生だよ?」
三澤乃梨子「あー大丈夫、そのへんは話してあるから」
三澤乃梨子「頼まれたのは、よくバーで会う知り合いの編集者なんだけど」
三澤乃梨子「担当作家がこないだ不摂生で倒れかけて 危うく原稿落とすところだったらしいのよ」
三澤乃梨子「作家って言ってもまだ若造なんだけどね!」
三澤乃梨子「で、週に一、二回、短時間でいいから そいつの食事とか掃除の面倒見られる人いないかって探してて」
三澤乃梨子「なんと時給2000円! 交通費とまかない費も別途加算! いい条件じゃない??」
三澤梨々花「はぁ・・・・・・ だからってなんで私なの? 学校だって、部活だってあるんだけど」
三澤乃梨子「部活っていっても、テニス部のマネージャーでしょ? 美森ちゃんに話合わせてもらえばなんとかなるって 家庭の事情で、とか」
三澤梨々花「家庭の事情って・・・・・・」
三澤梨々花「まあ、私のせいで お姉ちゃんには負担かけてばっかりだから バイトしようかなとは思ってたけど」
三澤梨々花「でも前に反対したよね? 勉強を優先しなさいって」
三澤乃梨子「・・・・・・そうね 確かに言ったわね」
三澤乃梨子「でもあたしもまだ社会人2年目のぺーぺーじゃない? お給料もまだそれほどもらえないし」
三澤乃梨子「うちは両親いなくて、姉一人、妹一人 あんたのためにも頑張らなきゃって思ってるんだけど」
三澤乃梨子「正直、金銭的に ちょーっとキツイっていうか・・・ だからあんたがバイトしてもいいなら 甘えようかなって・・・」
三澤乃梨子「ぐす・・・・・・ ごめんね、ダメなお姉ちゃんで ほんとはあんたに言うつもり なかったんだけど」
三澤梨々花「そ、そっか・・・・・・ (あれ? なんか急に芝居がかった気がするけど・・・・・・)」
三澤梨々花「わかった やってもいいよ」
三澤乃梨子「ほんと!?」
三澤乃梨子「さっすがわが妹! サンキュー、助かるわ♪」
三澤乃梨子「まあ、そう言ってくれると思って もうOKの返事しちゃったんだけどね♪」
三澤梨々花「はぁー!? どういうこと? どんな人かもこっちは知らないのに!」
三澤乃梨子「平気平気♪ そいつとも飲み仲間でよく知ってるし 悪いヤツじゃないから」
三澤乃梨子「ちょっとクセ者だけど 21歳のイケメン男子よ♡」
三澤梨々花「ええっ! 男の人なの!?」
三澤乃梨子「しかもけっこう売れてる作家らしいから リッチだし、将来有望株♪」
三澤梨々花「そんなことはどうでもいい! やっぱりもう少し考え──」
三澤乃梨子「あーよかった! じゃあさっそく今週からお願いね 明後日の水曜日でいい?」
三澤乃梨子「担当者の緑川くんに連絡しとくから! ヨッロシクねぇ~~♡」
パタン・・・・・・
三澤梨々花「えぇぇぇぇえぇ~~!!」
〇教室
吉沢美森「ああー、乃梨子ねえさんに 押しつけられたヤツか」
吉沢美森「小説家ねえ・・・ なーんかネクラそう~ イケメンなんて想像つかないんだけど」
吉沢美森「でもホントにイケメンだったら 紹介しなさいよね!」
三澤梨々花「もう~面白がらないでよ! こっちはお姉ちゃんに振り回されて 大迷惑なんだから・・・」
三澤梨々花「ていうか、なーんかあやしいんだよね! この話、絶対何か裏があると思う」
三澤梨々花「でも引き受けちゃったし とりあえず今日は行ってくる」
三澤梨々花「ごめんね、大会前なのに部活休んで 部長には連絡してあるから、じゃあ──」
三澤梨々花「わっ!!」
貴島里見「ごめん! 大丈夫?三澤(みさわ)ちゃん」
三澤梨々花「こ、こっちこそごめんね、 里見(さとみ)くん! ちょっと急いでて」
貴島里見「ううん、ケガしてない? 美森と違って三澤ちゃんは華奢だからさー」
吉沢美森「おい! 失礼だろ!」
貴島里見「えーだって事実だしぃ あ、でも女子テニス部一、ガサツで剛腕の美森さんと三澤ちゃんとじゃ 比べるのも失礼だよね」
吉沢美森「そういう意味じゃなーい!!!」
吉沢美森「ちょーっと顔がよくてテニスも出来てモテるからって 調子に乗るんじゃないわよ、里見♪」
吉沢美森「今日こそ、ぐぅの根も出ないくらい 叩きのめしてやるわ! 覚悟しなさい!」
貴島里見「いいけど、ムダだと思うよ あ、負けたら帰りマックおごりね♪」
三澤梨々花(またやってる・・・・・・ いつもこの調子だけど、仲がいいのか悪いのか)
上杉睦「おい、貴島(きじま) そろそろ部室行くぞ」
貴島里見「あっ! むっちゃん、待って!!」
貴島里見「じゃあ、三澤ちゃんまたね!!」
吉沢美森「相変わらず愛想のないヤツ 上杉(うえすぎ)ってば 挨拶もなしかよっ」
三澤梨々花「上杉くんはいつもああじゃない でも真面目だし悪い人じゃないよ なんたって光葉高テニス部エースだし!」
吉沢美森「まあね でも何もかも正反対なのに、 アホの里見と親友っていうのが謎だわ」
吉沢美森「あたしも部活いこーっと・・・って梨々花 急いでるんじゃないの?」
三澤梨々花「そ、そうだった! 約束の時間に遅れる~~!!!」
教室でのわちゃわちゃとした会話、リアルな高校の様子が伝わってきます。キャラクターも個性的ですね。乃梨子ねえさんは特に際立ってw
主人公たちの教室でのリアルな会話に思わず引き込まれてしまいました🌟これからどういうお話が展開するのか、楽しみです☺️
冒頭シーンからとても勢いがあって、お話に引き込まれました。バイトの話、彼女も感じるように何か裏がありそうだけど、よい意味での裏だったらいいですね!