夜にさまよう Ⅴ(脚本)
〇古い洋館
ついに、ああついに、この日が来てしまった!!
森の奥深くへ踏み行った彼は、そこで屋敷を発見します
彼の日記にはその屋敷の写真がございました
それは・・・
その写真に映っていたのは、紛れもなく、わたくしがいるこの家だったのでございます
しかし、おかしなことがございました
彼は、荒れ果てた庭と錆びついた門、真っ暗な廃墟のような屋敷と書いております
それはおかしい
ここにはわたくしがいるのございます
窓から見下ろす庭は荒れてなどおりません
門に鎖などあるはずが・・・
ああ、なにか忘れているような・・・
わたくしはなにか大切なことを忘れている
それが何なのか思い出せない
でも、でも彼がここへやって来ると思ったら、どうでもよくなりました
ついに、彼に会える
思い焦がれた彼に会える
そう思ったら、居ても立っても居られない
彼に会ったらなんと言おう
なにを話そう
わたくしの彼への気持ちを伝えねば・・・