白の都

アシア

城下町編 女王即位記念式典(脚本)

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〇西洋の城

〇城壁
ルセラン「・・・親愛なる王国の皆様へ」

〇西洋の住宅街
ルセラン女王「皆さんと再び今日この日を迎える事が出来た事、私はいくつ月日が流れようと嬉しく思います」
ダフィー「み、見えない・・・」
キリエ「さすが女王様のスピーチ・・・」
キリエ「毎年の事だけど凄い人気だね」
ルセラン女王「・・・私の女王としての役割とは何なのか」
ルセラン女王「国の、そして国民のために心身を捧げること」
ルセラン女王「それはもちろんの事です」
ルセラン女王「けれど近頃、我が皇太女であるミケラノヴァが大きくなるにつれて、こうも思うようになりました」
ルセラン女王「この子達、次の世代の子供達に誇れる事を成そうと」
ルセラン女王「しかし困ったことがあります」
ルセラン女王「実は私は、料理ができません」
ルセラン女王「パンすら焼けないのです」
ルセラン女王「また私は洗濯も出来ません」
ルセラン女王「実は掃除だけは少しだけ得意なのですが、機会はありませんね」
ルセラン女王「困りましたね」
ルセラン女王「私に出来ることは限られています」
ルセラン女王「・・・だからせめて、自分に出来ることを必死に成そうと思います」
ルセラン女王「それが私にとっての女王という職務であり」
ルセラン女王「皆様のそれぞれの職務だと思います」
ルセラン女王「何も恥じることはありません」
ルセラン女王「女王とて同じなのです」
ルセラン女王「子供達に胸をはれるよう、出来ることを精一杯やりましょう」
ルセラン女王「また、これを聞いている子供達よ」
ルセラン女王「貴方達はこれから悩み、苦しみ、失敗し、そして自らの将来への選択を迫られるでしょう」
ルセラン女王「今できる事を精一杯やりなさい」
ルセラン「何が出来るのか、何がしたいのか、何をすべきなのか」
ルセラン女王「悩み、苦しみ、失敗して、それらが貴方という人間を作り出すでしょう」
ルセラン女王「数年前設立した学園もそのような思いで作りました」
ルセラン女王「子供達のさらに子供達へ、僅かでも未来への1歩とする事ができるなら、と」
ルセラン女王「ゆえ、来年度学園に入学する予定のミケラノヴァにも存分に悩み、苦しみ、失敗をしてほしいと思っています」
ルセラン女王「それがきっと、新たな女王を生み出すことでしょう」
ルセラン女王「・・・話が長くなりましたね」
ルセラン女王「では、これにて我が即位23周年記念式典のスピーチを終了します」
ルセラン女王「この1年の僥倖と、そしてさき1年の希望に感謝と祈りを」
ルセラン女王「どうかこれからも、皆様と王国の発展を歩んでいける事を願っています」

〇西洋の住宅街
ダフィー「・・・あれがルセラン女王かぁ」
ダフィー「なんというか、凄いね」
キリエ「祖父のレオフォルディーネ殿下の助けを借りながらとはいえ、15歳で即位」
キリエ「そこから22年女王をしてらっしゃるからね」
ダフィー「私達が生まれる前から女王を・・・」
ダフィー「1度でいいからどんな人なのかお目にかかりたいね」
キリエ「そうだねぇ」
キリエ「まぁ、毎年王城周囲は大混雑」
キリエ「人気すぎてなかなか直接会える機会も無いから、本当に一握りの人間しか会えないんだけどね」
ダフィー「・・・凄かったもんね、人混み」
キリエ「王城周囲に行くなら死を覚悟する事」
ダフィー「え、そんなに?」
キリエ「そんな言葉が言われるくらいには人気って事だよ」
キリエ「・・・さて、私はスピーチも聞いたし帰るとするかなぁ」
キリエ「ダフィーはこれからケルと会うんだっけ?」
ダフィー「うん、まだ少し後だけど」
キリエ「行ってらっしゃーい」
ダフィー「行ってくるね」

〇海沿いの街
ダフィー「~♪~~♪」
ケル「ご、ごめん、ダフィー!?」
ケル「待たせちゃった!?」
ダフィー「あ、ケル」
ダフィー「そんな事無いよ」
ダフィー「時間には間に合ってるし」
ケル「け、けどずっとここに居たんじゃ・・・?」
ダフィー「それはそうだけど・・・」
ダフィー「色々考える事があったからね」
ケル「考え事?」
ダフィー「・・・うん、今日の女王様の言葉」
ダフィー「いやー、本当凄い方だね」
ケル「・・・そう、だね」
ダフィー「私はとりあえず学園に入学したからね」
ダフィー「・・・これからどうしようかなー、って」
ケル「決めたの?」
ダフィー「いや、何も思いつかなかった」
ケル「え!?」
ダフィー「だから、とりあえず勉強を頑張って」
ダフィー「・・・何も思い付かないなら、お母さんのように先生になろうかなって」
ダフィー「今日のスピーチであの学園には色々な思いが込められてるのが分かったから」
ケル「・・・ダフィー」
ケル「・・・うん」
ケル「実はね、ダフィー」
ケル「私、来年から学園に入学する事が決まったよ」
ダフィー「本当に、ケル!?」
ダフィー「おめでとう!!」
ケル「・・・それで」
ダフィー「うん?」
ケル「たぶん色々迷惑をかけると思うけど、宜しくね」
ケル「ダフネ先輩」
ダフィー「うん!!」

〇西洋の城

〇城の客室
ローディア「それでミケラノヴァ様、ダフネ様には?」
ケル「・・・言えなかった」
ローディア「さようですか」
ケル「だから、そう!!」
ローディア「・・・?」
ケル「さ、サプライズだよ!!」
ローディア「はぁ・・・?」
ケル「ダフィーを驚かせよう!!」
ローディア「・・・ミケラノヴァ様」
ローディア「入学式、問題を起こさないでくださいね?」

次のエピソード:エピローグ 国家機密

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