魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第10章 告白(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

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〇噴水広場
ミモザ・クラリティ「みんな、行ってしまいましたね・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「わ、わたしたちも行きましょうか・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」

〇市場
ノエル・エンジェライト「食器を買い足しましょう スペサルタイトへ行くまでに野営をするでしょうから」
ミモザ・クラリティ「え、ええ・・・」
ノエル・エンジェライト「ぼくはナイフを新調します もう使い物にならないので ミモザさんはどうしますか」
ミモザ・クラリティ「わたしは、まだ・・・」
ミモザ・クラリティ(胸がざわざわして・・・ 逃げ出したくなる、この感覚・・・)
ミモザ・クラリティ(スペサルタイト城で・・・ ひとりでいたときと、同じ、ような・・・)
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさん」
ミモザ・クラリティ「は、はいっ・・・!」
ノエル・エンジェライト「・・・昨夜はすみませんでした」
ミモザ・クラリティ「え・・・?」
ノエル・エンジェライト「・・・あれほど感情が乱れたのは・・・ 子どもの頃以来です」

〇山中の川
ミモザ・クラリティ「ありがとう、ノエルさん あなたは優しい人ですね」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくはっ・・・ そんな人間じゃない!」
ミモザ・クラリティ「!」

〇市場
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエルさん・・・ 昨晩、わたしになにかを言いかけてませんでしたか?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・忘れてください たいしたことではありません」
ミモザ・クラリティ「いいえ!」
ミモザ・クラリティ「わたし・・・聞きたいです ノエルさんの話・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・今夜、時間を取れますか」
ノエル・エンジェライト「あまり・・・ 人に聞かれたくないので」
ミモザ・クラリティ「は、はい・・・!」
ノエル・エンジェライト「・・・では買い出しを再開しましょう」
ミモザ・クラリティ「そうですね・・・」
ミモザ・クラリティ(よかった、拒絶されなくて・・・)

〇山中の川
ノエル・エンジェライト「この身体は・・・ おびただしい血を浴びているのですから」

〇市場
ミモザ・クラリティ(血を浴びた身体・・・というのは どういう意味なのかしら)
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(わたし・・・ どうしてこんなにノエルさんが気になるのかしら・・・)

〇空

〇可愛らしいホテルの一室
デアネイ・フォン・スペサルト「ヴィオラさんは雷精術の使い手なんだね」
ヴィオラ・コーディエ「うん でも戦闘では剣で戦うことが多いかな」
デアネイ・フォン・スペサルト「え、どうして?」
デアネイ・フォン・スペサルト「雷精術を使える人って少ないのに 耐性を持つ魔物も少ないから、戦いでは有利でしょ?」
ヴィオラ・コーディエ「あたし、剣のほうが得意なんだ」
ヴィオラ・コーディエ「雷精術の成績はわりとよかったけど みんなほどうまく魔法は使えない」
ヴィオラ・コーディエ「それならあたしが敵の隙を作って、みんなは詠唱に集中してもらおうって」
デアネイ・フォン・スペサルト「そうなんだ でも義兄上に、魔法は使わなきゃ上達しないとか言われない?」
ヴィオラ・コーディエ「あー 言われた言われた」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクもよく言われたよ」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボク・・・ ほんとは光精術より風精術が得意なんだ」
ヴィオラ・コーディエ「風精術か ミスルトさんと同じだな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・あ あとレオナもか」
デアネイ・フォン・スペサルト「でもスペサルトは光精ストローの加護を受けてるから・・・」
ヴィオラ・コーディエ「そっか じゃあ光精術が得意じゃないとダメなんだ?」
デアネイ・フォン・スペサルト「うん・・・ ボクも姉上ぐらい光精術が使えればいいんだけど・・・」
ミモザ・クラリティ「えっ? ええ、そうね・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ミモザ? なんか、様子が変だよ?」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・ごめんなさい、ふたりとも 少し、外へ出てきます」
デアネイ・フォン・スペサルト「こんな時間に?」
ヴィオラ・コーディエ「なにか用があるの? ならあたしと一緒に・・・」
ミモザ・クラリティ「いえ・・・あの」
ミモザ・クラリティ「・・・ノエルさんと話があるのです」
ヴィオラ・コーディエ「ああ、昨日の話の続き?」
ミモザ・クラリティ「ええ・・・ 長くはかからないと思います ご心配なさらずに」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、外まで送るよ」
ミモザ・クラリティ「お言葉はありがたいのですが・・・ その・・・」
ヴィオラ・コーディエ「だいじょうぶ 待ち合わせ場所まで送ったら戻るから」
ミモザ・クラリティ「・・・ごめんなさい、ヴィオラさん」
ヴィオラ・コーディエ「いいって! じゃ、行こうか」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・姉上!」
デアネイ・フォン・スペサルト「えっと・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・帰りはノエルさんに部屋まで送ってもらってね」
ミモザ・クラリティ「ええ ありがとう、心配してくれて」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、行こっか」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・・・・」

〇豪華な部屋
キープレート学園長「・・・・・・」
キープレート学園長(天使を無力化させる術は・・・ わたしが一番知っている)
キープレート学園長(・・・だが、今のわたしにその力は残っていない)
キープレート学園長(ノエルであれば対処できるだろうが・・・)
キープレート学園長「・・・だが、それは最終手段だ」
バーバラ先生「失礼いたします、学園長!」
キープレート学園長「バーバラくん? そんなに慌てて、どうかしましたか」
バーバラ先生「至急、お耳に入れたいことが・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
ノエル・エンジェライト「・・・闇精よ かの者に深淵の眠りを」
ノエル・エンジェライト「・・・すみません、シグバートさん ・・・よい夢を」

〇建物の裏手
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさん」
ミモザ・クラリティ「あ・・・ ノエルさん・・・」
ヴィオラ・コーディエ「お、来たか」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、あたしは行くよ ノエル、ミモザのことよろしくな」
ノエル・エンジェライト「・・・はい」
ノエル・エンジェライト「すみません 待たせてしまいましたか」
ミモザ・クラリティ「いえ・・・ わたしも来たばかりですから」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエルさん!? なにを・・・!?」
ノエル・エンジェライト「・・・手が冷えています ずっと外にいたのではないですか」
ミモザ・クラリティ「あ、あの・・・っ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノ、ノエルさん・・・ あの・・・手を・・・」
ノエル・エンジェライト「あ・・・ ・・・すみません」
ノエル・エンジェライト「昔のことを・・・ ・・・思い出してしまって」
ミモザ・クラリティ「昔・・・ですか?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上・・・ ノエルさんとなに話してるんだろ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「気になる?」
デアネイ・フォン・スペサルト「当たり前じゃない! ヴィオラさんは気にならないの!?」
ヴィオラ・コーディエ「うーん あたしは全然ならない・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・って言ったら嘘になるけど ノエルのことだからだいじょうぶだよ、きっと」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルはいつも冷静なんだ あたしとシグバートがケンカしても中立的な意見を・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「もう! ヴィオラさん、知らないの!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「恋は人を狂わせるの! いつも冷静な人だって、普通じゃいられなくなるんだから!」
ヴィオラ・コーディエ「こっ・・・恋!?」

〇建物の裏手
ノエル・エンジェライト「・・・この前のこと 謝らせてください」
ミモザ・クラリティ「この前って・・・?」
ノエル・エンジェライト「・・・ヴィオラさんに聞きました」
ノエル・エンジェライト「気絶したぼくが・・・その・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・あなたの膝を借りたと」
ミモザ・クラリティ「あっ・・・!」
ミモザ・クラリティ「いえ、あれは・・・ ノエルさんのせいではありませんから」
ミモザ・クラリティ「あれほど魔力を使ったのですもの 倒れてしまったのも無理はありません」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ありがとう」
ノエル・エンジェライト「昨夜、貴方はぼくを優しいと評しましたが・・・ 貴方のほうが優しいと思います」
ミモザ・クラリティ「いえ、そんな・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・ ・・・あの、ノエルさん」
ノエル・エンジェライト「はい」
ミモザ・クラリティ「それを聞いたとき・・・ どう・・・思いましたか?」
ノエル・エンジェライト「・・・どう、とは」
ミモザ・クラリティ「その・・・」
ミモザ・クラリティ「恋人でもない方に、膝を貸すなんて・・・ はしたない・・・とか・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・いえ」
ノエル・エンジェライト「これは推測ですが ヴィオラさんが言い出したのではないですか」

〇島
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ、膝貸してやれば?」
ミモザ・クラリティ「わっ・・・わたしがですか!?」
ヴィオラ・コーディエ「あたしらは交代で船まで漕ぐからさ」

〇建物の裏手
ミモザ・クラリティ「え、ええ ヴィオラさんたちはイカダを漕いでいましたから・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエルさんはすごいです まさか火山を凍らせるなんて・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくの魔力 普通の人間ではないと思いますか」
ミモザ・クラリティ「いえ、そんなことは・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・いいのです 事実ですから」
ノエル・エンジェライト「ミモザさんは・・・ クルラナ村をご存じでしょうか」

〇山間の集落
ミモザ・クラリティ「ええ、確か・・・ ディアマンテ北部にある小さな村でしたよね」
ミモザ・クラリティ「でも、クルラナ村って・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」

〇建物の裏手
ノエル・エンジェライト「悪魔に滅ぼされた村・・・ ぼくはクルラナの出身です」

〇可愛らしいホテルの一室
ヴィオラ・コーディエ「・・・なんで急に恋の話になるんだ?」
デアネイ・フォン・スペサルト「えっ!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「だ、だって・・・ どう見てもノエルさんは姉上を意識してるでしょ?」
ヴィオラ・コーディエ「そういうんじゃないと思うけど・・・」
ヴィオラ・コーディエ「この前失敗して迷惑かけた相手だから、どうしても気になるんじゃないかって」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・その失敗って?」
ヴィオラ・コーディエ「失敗ってほど失敗じゃないと思うけど 名誉の負傷っていうか・・・」
ヴィオラ・コーディエ「けど・・・ 人の失敗をしゃべっていいのかな ミモザも恥ずかしいって・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「お願い! 誰にも言わないから、教えて!」
ヴィオラ・コーディエ「うーん・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上にも関係あるんでしょ? ボク、どうしても知りたい!」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上とは2年前に会ったばかりで・・・ ボク、姉上のこと、なにも知らないから」
ヴィオラ・コーディエ「・・・しょうがないな あたしが言ったって絶対言うなよ?」

〇建物の裏手
ミモザ・クラリティ「クルラナ村・・・」
ミモザ・クラリティ「村人たちは、決して溶けることのない氷に閉ざされて・・・ 村は永遠に冬のまま・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエルさんは・・・ クルラナ村の生き残りなのですか?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「村人を凍らせ、村を冬に閉ざした悪魔・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくが、その悪魔です」
ミモザ・クラリティ「・・・!?」

次のエピソード:第11章 交錯する想い

コメント

  • え?待って待って、ノエルの正体って一体!?
    めっちゃ気になるじゃないですかっ!!
    デアネイは鋭い子なのですね。ヴィオラの能天気な所と対照的でこちらはこちらでいいコンビですね😊

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