#6 処刑(脚本)
〇黒
4年前
〇大学の広場
夏、T芸術大学
〇学校の部室
薊 ヒメコ、大学2年生
「悪ィな、接着、剥がれちまって」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「外、蒸し暑かったですし 動き回ったから仕方ないですよ」
「ほらよ、溶けてねー奴」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯先輩って、 なんでいつも『飴』くれるんですか?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「出身大阪でしたっけ?」
「─────違ェよ」
〇田舎の教会
〇養護施設の庭
〇学校の部室
「まァ、『労い』みたいなモンさ」
「『汝、隣人を愛せよ』、って奴?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯」
「せめてリアクションしろや! フッたのお前ェだろが!!」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「すいません、なんかお話難しくて」
「マジで”血も涙も無ェ奴”だな!!」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「あっ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「あいたたっ」
「あっ」
「わ、悪ィ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「もー 裁縫中の台パンは禁止ですよ先輩」
〇黒
現在
11月23日
ぷりすの生誕祭、前日
〇総合病院
〇病院の待合室
参堂 芽依(さんどう めい)「待ちに待った退院ですよォ!!」
参堂 芽依(さんどう めい)「お祝いでラーメン食べに行きましょ!」
苧環 マキ(おだまき まき)(クソうるさっ)
苧環 マキ(おだまき まき)「⋯ち、ちょっとトイレ行ってきていい?」
参堂 芽依(さんどう めい)「わかりました!💪 手続き諸々、やっときます!👍」
〇女子トイレ
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「退院、おめでとうございます」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「『精神衛生上、しばらくの間は ネット環境から離れてください』 でしたっけ?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「コレでワイファイ取り上げられても、 暇つぶしには困らないと思います」
苧環 マキ(おだまき まき)「ほ、本当に助かるっ」
苧環 マキ(おだまき まき)「⋯でも」
苧環 マキ(おだまき まき)「な、なんで、こんな事してくれるの?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯『汝、隣人を愛せよ』でしたっけ?」
(?)
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「早い話、『労い』ですよ!」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「ねっ?」
〇黒
参道さんから聞きました
先輩から”強いあたり方”されてたって
だからきっと
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「私たち、『似た者同士』なんです」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「見捨てるなんて、出来ないです」
〇幻想空間
「ヒメちゃん⋯」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「私たちが、こんなに苦しんでるんです」
「だから」
【V】灰冠 ヒメ「あの人も 少し痛みを味わった方が」
【V】灰冠 ヒメ「───良いと、思いませんか?」
〇総合病院
〇バスの中
〇オフィスビル前の道
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「おい、出るぞ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「ちょっとツラ貸せ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)(⋯)
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「わかりました」
〇オフィスのフロア
風見 闘莉(かざみ とうり)「明日の『ぷりすの生誕祭』」
風見 闘莉(かざみ とうり)「当初は女性ライバー達で 3Dライブ企画を行う予定だったが───」
風見 闘莉(かざみ とうり)「今回はぷりすだけで 『プレゼント開封配信』を行うこととした」
風見 闘莉(かざみ とうり)「理由は数多あるが⋯」
風見 闘莉(かざみ とうり)「第一に、『ヒメの行動力の危うさ』」
風見 闘莉(かざみ とうり)「今回は鎮火出来たから良いが、 『再炎上リスク』があった事は否めない」
風見 闘莉(かざみ とうり)「瀬羽州はしっかり ヒメコの手綱を握って行動するように」
瀬羽州 千秋(せばす ちあき)「わかりました」
風見 闘莉(かざみ とうり)「ロビン────、イチカの方は 先程、体調不良の訴えがあったから静養」
風見 闘莉(かざみ とうり)「マキマキは言うまでもなく謹慎だ」
瀬羽州 千秋(せばす ちあき)(ヒメがトップに立つために 乗り越えるべき壁は、)
瀬羽州 千秋(せばす ちあき)(実質『癒野 ぷりす』だけになった)
〇幻想2
ヒメちゃん
俺が⋯
君を『お姫様』まで押し上げる
そしたら、俺と⋯
ふふっ⋯
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「セバスさん⋯」
「あの⋯」
〇黒
邪魔
貴族の娘「私に楯突くなんて」
貴族の娘「本当に生意気ね」
貧民の娘「り、領主様!」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
”生まれながらの身分はひっくり返せない”
”お前が私に勝つ為、死ぬ程努力した所で”
”それは実を結ばない”
”無意味で、無駄で、無惨なだけなの”
〇湖畔の自然公園
貴族の娘「『知恵をつけようとしたこと』が 『人類最初の罪』なら」
貴族の娘「その報い───、『罰』は 『死ぬまで苦しんで生き続けること』」
『追放』よ
お前をこの楽園から『追放』してやる
貧民の娘「そ、そんな⋯」
〇黒
苦しめ、苦しめ、『猫被り野郎』
〇水中
全部、アイツのせいだ
アイツの⋯
アイツを
〇浴場
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯なんで銭湯で2人きりなんですか?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「穴場だからゆっくり話出来るだろ?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)(お前の方の録音対策も兼ねてな)
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯また化粧したくないんですけど」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「配信で出社する訳でもねーし、 どーせ糸目と方針相談だろ?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「電話(リモート)で十分だろーが」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「⋯それとも」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「”そんなに糸目に会いたいか?”」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「”いえ?”」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「”別に”」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「⋯その顔だよ、ムカつくのはよぉ」
〇黒
【V】癒野 ぷりす「無表情の『メンタル不感症野郎』が」
【V】癒野 ぷりす「最近、笑うようになってるけどよぉ」
【V】癒野 ぷりす「『シゾイド』克服出来て ”やっと人間らしくなったか?”」
【V】灰冠 ヒメ「”先輩のお陰ですよ”」
【V】灰冠 ヒメ「私いま、今までの人生の中で すごく『生きてる感じ』がするんです」
【V】灰冠 ヒメ「だから、目を覚ましてくれた先輩に たくさん『お礼』したいんです!」
【V】灰冠 ヒメ「明日の生誕祭で、 とびきりの『プレゼント』、あげますね!」
【V】癒野 ぷりす「いらねーよ、クソが」
【V】癒野 ぷりす「私の配信荒らすのは もう分かってるンだよ」
【V】癒野 ぷりす「”黙ってろ”」
『警告』、だぞ?
【V】癒野 ぷりす「⋯」
そ っ か
〇公園のベンチ
昔から、気に食わなかったよ
そこにいるだけで
〇学校の部室
『話題の中心』
〇大きい展示場
『主役』
〇黒
「次は『お姫様』か?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「ムカつくんだよ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「底辺から這い上がろうとしないクズ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「実らない努力を諦められない馬鹿」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「そんな奴らより、1番許せない『人間』」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『自分を持ってない人形』の癖に」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『全部かっさらう才能の塊』」
「”私がいなきゃ”」
「”何も自分で決められなかったクセに”」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「⋯」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「ふふっ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「先輩って」
ほんとうに
〇幻想空間
「ほんとうに 私の事」
”大好きなんですね”
〇ハート
「んふ♡」
「────!!?!?!?」
〇幻想空間
「し、死ねッッッ!!」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「イカレてんのか!! 女同士で───ッ!!」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「『百合営業』、もっと稼げますよ?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『営業』だけだろ!!」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「混同すんな、変態が!!」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)(⋯)
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)(明日、潰してあげますね)
先 輩
〇銭湯の脱衣所
なんだよなんだよ
なんだよなんだよ
〇昔ながらの銭湯
いきなり舌入れてきやがってっ
頭沸いてんのかよっっ
〇黒
⋯なんだよ?
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「なごみん〜なごみん〜」
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「明日の生誕祭さぁ〜」
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「やっぱウチも出たいなぁって思ってさぁ〜」
⋯
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「後輩ちゃん、 一緒に痛い目合わせちゃおうよ〜」
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「この業界から『追放』させよ?」
⋯お前ってさ、
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「プライド高いわりに ホント発想がガキ臭いよな」
牡丹 イチカ(ぼたん いちか)「え?」
〇モヤモヤ
お前さぁ、普段から何の為に
ボイトレとか演技研究してたの?
『表現の幅』増やすためだろ?
【V】癒野 ぷりす「それがアイツを追放させる事に なんの関係性あるの?」
⋯
【V】癒野 ぷりす「努力の方向性、 ヒン曲がり過ぎて『論外の域』なんだよ」
【V】癒野 ぷりす「貴重な『初体験』消費した所で、 結果、アイツ引き離せてねーじゃん」
【V】癒野 ぷりす「『処女喪失損』『中出され損』とか 笑えねーわマジで」
何の得もない身の切り方してさ、
身体も心もボロボロだろ?
『無駄な努力』、ご苦労さま
さっさと休め、『猫被り野郎』
〇古いアパートの一室
⋯
え?
⋯なんで?
なんで初体験の事、知ってるの?
〇教会の中
11月24日 21:00
【V】癒野 ぷりす「『みんなを癒す僧侶(プリースト)!』」
【V】癒野 ぷりす「『あなたの身近な癒し系!』 『癒野 ぷりす ですっ!』」
【V】癒野 ぷりす「今日は生誕祭に来てくれてありがとう!」
〇教会の中
【V】癒野 ぷりす「今回は『信徒』の皆からの 誕プレを開封する企画で〜す!」
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こんばんは!
ずっと読みたくて続き読めていなかったので参りました
このどっちもどっちな潰し合い、つぶし愛?怖いけど気になりますね
花言葉入るの大好き!最高です🙌
私もこちらのコンテストの時に花言葉入れてました😂👍
読書カロリーっていうのかな。元気な時じゃないと読めないストーリーですよね。
DNPコンテスト中最大のお題達成は未だにこの作品だと思ってます。
まさか舌入れてくるとは…打ち返すなら舌を咬み千切る、でしょうけどさすがにTapNovel的な枠から外れちゃうかな。さて、好きとか言ってても中の人晒したらブラフだって読み解く人はいそうだけど、どうなるか。
自分より下だと思っている相手からのリアル&ネット上での反撃。これぞ復讐劇!熱い展開で楽しませてもらいました!!
このままどこまでいくんだろうと考えていたら、1話目冒頭はかなり「ヤバイ」シーンだった記憶が…せっかくなのでYoutubeで見直させてもらいます^^