星売りのメテオシスター

オカリ

10.ミッション完了(脚本)

星売りのメテオシスター

オカリ

今すぐ読む

星売りのメテオシスター
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇救急車の中
  2017年10月27日
  長岡花陽、転院の日
長岡茉莉「じゃあ、ハナビ 向こうの病院でね」
長岡花陽「うん!ねえちゃ!」
長岡花陽「またあとでね〜!」
看護師「扉閉めます、離れてください」

〇病院の入口
長岡茉莉「・・・・・・・・・」
粟島研究員「・・・・・・・・・えーっと」
粟島研究員「い、行こうか 東能大附属病院だったよね?」
長岡茉莉「ハァ・・・」
長岡茉莉「すみません、お願いします」
粟島研究員「お安いご用だ!」
  第10話
  ミッション完了

〇車内
長岡茉莉「ありがとう、ございます」
粟島研究員「うん?なにが?」
長岡茉莉「病院まで車を出して下さり・・ 荷物もあったので助かりました」
粟島研究員「送迎程度なら朝飯前さ ・・もうお昼時だけどね」
長岡茉莉「あと、それと・・ほっぺた」
長岡茉莉「殴ってすみませんでした」
粟島研究員「いやいやいや! 謝らなくていいよ!」
粟島研究員「完全に僕に非があるコトだ 無断での入室だったし」
粟島研究員「余命とか、いろいろ 言っちゃったしね・・」
長岡茉莉「確かに、無断入室は反省してください」
長岡茉莉「私からすれば恐怖でしたよ どう見ても不審者だったので・・」
粟島研究員「ハハ・・申し訳ない」
長岡茉莉「ですが、そうですね」
長岡茉莉「次からは見逃してあげます」
粟島研究員「へ?」
長岡茉莉「妹が太鼓判を押しましたから ・・なら、もう大丈夫です」
粟島研究員「ずいぶんと信頼してるんだなぁ」
粟島研究員「太鼓判と言っても、あんなに 小さな子供の判断だろう?」
粟島研究員「こんな目つきの悪いオジさんを あまり近づけない方が・・・」
長岡茉莉「目つきの悪さ、自覚してるんですね」
粟島研究員「最近寝不足だからね 鏡を見るたび思い知らされる」
長岡茉莉「ならハナビに会うのは目つきが 良くなってからにしてください」
粟島研究員「うぅ〜ん、善処するけど・・」
長岡茉莉「妹、ハナビは──」
長岡茉莉「ヒトを見る目が凄いんです」
粟島研究員「え?」
長岡茉莉「本質を見る・・って言うのかな 相手の性根を見通すと言うか」
長岡茉莉「危ないヤツ、下心あるヤツ・・ ヒトの悪意に敏感なんです」
長岡茉莉「そのハナビが気に入ったのなら」
長岡茉莉「粟島さんも、根は善人なんでしょう」
粟島研究員「ははは、光栄だな〜・・」
粟島研究員「・・・・・・」
粟島研究員「いや〜どうだろう 節穴じゃないか、それ」

〇病室のベッド
  下心バリバリで近づいたぞ、僕は
  目的も隕石奪取だったし・・
  信頼?される分には嬉しいけどね

〇車内
長岡茉莉「────隕石」
長岡茉莉「もし、もしですよ?」
長岡茉莉「隕石調査を粟島さんに依頼した場合、 時間はどれくらいかかりますか?」
粟島研究員「・・・調べるといっても 一概には言えないからなぁ」
粟島研究員「何を調べたいかにもよる──」
長岡茉莉「コレが本物だと証明できれば十分です」
粟島研究員「おわっ!?ソレはッ!!!?」
粟島研究員「今までどこにっ・・!? いや、今どこから取り出した!?」
粟島研究員「カバン持ってないだろ?あぁ!? 本当に持ち歩いてッ!? いやっ・・」
長岡茉莉「そんなに驚きます?」
粟島研究員「あっ!?あ〜いやいや」
粟島研究員「失礼、少し取り乱した 隕石の証明・・だったね」
粟島研究員「隕石と普通の石の違いは、 まず外見で大きく2つ」
粟島研究員「1つ目は溶融皮膜(フュージョンクラスト)」
粟島研究員「黒いガラス質の光沢ある皮膜でね・・」

〇落下する隕石
粟島研究員「隕石は大気圏突入で高熱になるだろ? その熱で表面が溶け、ドロドロになる」
粟島研究員「で、そのあと冷えて固まると なめらかな表面ができあがるんだ」
粟島研究員「これを溶融皮膜と呼ぶ」
長岡茉莉「溶融皮膜・・」

〇車内
粟島研究員「もう1つの特徴が拇印(サムプリント) レグマクリプトと呼ぶ方が有名かな?」
長岡茉莉「どっちも知りません・・」
粟島研究員「大雑把に言うと、隕石は大気圏を 通過する時に摩耗でボコボコになる」
粟島研究員「石の表面に指で押したような 凹みができる時があるんだ」
粟島研究員「パッとわかる特徴はこの2点 以上を踏まえて見てみよう」
  どう思う?
  皮膜に覆われている・・
  ような気はします
  確かに木星を思わせる独特な紋様だが
  正直、僕は初めてだね
  こんな鮮やかな隕石は
  しかもコレ、完全な球体だ
長岡茉莉「球だとマズイですか?」
粟島研究員「マズイって訳じゃないけど・・ 珍しいんだよ、とても」
粟島研究員「隕石は大抵が落下途中で 崩壊してバラバラになる」
粟島研究員「だから不規則な形がほとんどでね 対してコレは不自然なほど丸い」
粟島研究員「ニセモノと呼ばれるのも理解できるな それほどまでに人工物めいている」
長岡茉莉「む・・むむむ・・・・」
粟島研究員「だけど、安心するといいよ」
粟島研究員「それらの前提すべてを覆す 完全な証明法がある」
粟島研究員「例えば・・・もしその隕石が 地球の年齢より古ければ、とかね」

〇地球
粟島研究員「地球の年齢は46億年、 最古の岩石は約44億年前だ」
粟島研究員「それより前にできた石だと わかれば確実」
粟島研究員「少なくとも数十億年単位の岩石だと わかれば数値的に証明できる」
粟島研究員「他にも隕石に含まれる材料比が 地球産とどれだけ違うか・・とか」

〇車内
粟島研究員「隕石の証明なんていくらでも やりようはあるさ」
粟島研究員「1ヶ月もあればまとまった結果を 用意できると思うよ」
長岡茉莉「1ヶ月!?」
粟島研究員「ん?どうかした?」
長岡茉莉「1ヶ月じゃ・・」

〇超高層ビル
佐渡トキ子「放送枠自体は再来週・・ 11月10日を押さえています」
佐渡トキ子「ですが正式決定はその前週、 11月1日の編成会議こそデッドライン!!」
長岡茉莉「あと1週間もないですね」

〇車内
長岡茉莉「1ヶ月じゃダメ ぜったい間に合わない!」
長岡茉莉「出し惜しみの余裕ナシか やっぱりもう・・」
長岡茉莉「──粟島さん」
長岡茉莉「この隕石を貸し出します 調べて頂いて構いません」
粟島研究員「ホントかいっ!!!?」
粟島研究員「ボクとしては嬉しいこと この上なs・・・」
長岡茉莉「ただしっ!」
長岡茉莉「詳細な分析結果を1週間・・・いや、」
長岡茉莉「3日以内に出すことはできますか!?」
粟島研究員「みっ・・・・・・みっかぁ!?」
粟島研究員「えーーっと、ちょっと待ってね 3日、3日か・・・」
粟島研究員「同位体顕微鏡をセッティングして 検出機の立ち上げをしてから・・・」
粟島研究員「いや、いっそ削り取って 直で成分分析を──・・」
粟島研究員「・・・・・・・・・・・・・・・」
粟島研究員「今から、そうだな」
粟島研究員「ハナビちゃんの転院先に着いたら 即座に研究所へ向かうとして」
粟島研究員「泊まり込みでフル稼働すれば ・・・たぶん、できると、思う」
長岡茉莉「ありがとうございます!!」
粟島研究員「・・皮肉なもんだな」
粟島研究員「辞めようと諦めた瞬間、 隕石の方から出てきたよ」
粟島研究員「結果的には、あの記事の おかげなのか・・な?」

〇高速道路

〇おしゃれな大学

〇田舎の病院の病室
  せーのっ
長岡花陽「よいしょー!」
長岡花陽「新しいとこ広いねー!」
長岡茉莉「これ、いつもの本ね 棚の上に置いとくから」
長岡花陽「ねえちゃ、もうお出かけ?」
長岡茉莉「ゴメンな〜ハナビ! ちょ〜っと野暮用ができちゃって」
長岡茉莉「ヘタしたら明日明後日じゃ 帰れないかも・・・」
長岡茉莉「で、でも!ねえちゃのスマホは 24時間体制だから!」
長岡茉莉「寂しかったらいつでも電話を・・・」
長岡花陽「だいじょーぶ! 心配しなくていいよ!」
長岡花陽「ハナビは新しい病院に ワクワクモードだからね!」
長岡花陽「ねえちゃもちょう元気に いってらっしゃい!」
長岡茉莉「・・・・ありがと! ちょう元気に行ってくる!」

〇田舎の病院の廊下
???「あらぁ? 長岡さんお出かけですかぁ?」
長岡茉莉「ああ、担当の看護師さんですね!」
長岡茉莉「すみません、どうか妹を よろしくお願いします」
???「うぅ〜ん、弱ったわぁ 外出しちゃうのねぇ」
長岡茉莉「あっ、そうですよね!」
長岡茉莉「スマホの番号です、何かあれば こちらにかけて頂けると・・」
???「はぁい、わかりましたぁ」
長岡茉莉「では!私はこれで!」
???「・・お気をつけてぇ」

〇おしゃれな大学
粟島研究員「・・・・・・」
長岡茉莉「お待たせしました!」
粟島研究員「手洗いは済んでるかい?」
粟島研究員「東能大附から片道4時間かかる ノンストップで行くよ!」
長岡茉莉「オッケーです、お願いします!」
???「・・・・・・・・・うん」
妙高新太「いいね、これで達成率は9割だ」
妙高新太「あとは頃合いに一報いれて ミッション完了ってね」
妙高新太「あの女がお喋りで助かったよ」

〇病院の待合室

〇おしゃれな大学
妙高新太「──おかげで、仕込みも済んだ」
???「妙高さぁん」
阿賀野さん「タイミングどうしますぅ?」
妙高新太「そうだな、最終便が間に合う 時間帯でいこう」
阿賀野さん「ラジャでぇす」
妙高新太「にしてもアガノさん ナース服、似合ってるね」
妙高新太「本気で目指してもイイんじゃない?」
阿賀野さん「治す仕事は性に合いませぇん♡」
妙高新太「・・・怖いこと言うなぁ」
妙高新太「でも暴力はナシだ 回りくどくて手間がかかろうと」
妙高新太「あくまでスマートに、ね」

〇高速道路
粟島研究員「・・・良かったのかい?」
長岡茉莉「何がです?」
粟島研究員「ハナビちゃんの側にいなくて 寂しくないかな?」
長岡茉莉「そうですね、とても寂しいです」
長岡茉莉「ハナビと3日も会えないなんて・・ 正直、耐えられません」
粟島研究員「ああいや、キミじゃなくて ハナビちゃんの方なんだけど」

〇車内
粟島研究員「今からでも引き返そうか?」
粟島研究員「隕石を僕に託してくれるなら 解析はしておくけど」
粟島研究員「キミは病院に残っても・・・」
長岡茉莉「考えはしました でも、ですね」
長岡茉莉「コレはハナビの生命線です なんとしても高く売らなきゃ」
長岡茉莉「だから絶対になくせません」
長岡茉莉「妹は気を許しましたが・・」
長岡茉莉「すみません、私まだ・・ 完全には信用できないんです」
長岡茉莉「ぶっちゃけちゃいますと、 借りパク防止ですね!」
粟島研究員「なるほどねぇ・・」
粟島研究員「うん、警戒心は大事だ 捨てない方がいい」
粟島研究員「そうだ!どうせなら研究の様子を スマホで撮ってくれないかな?」
粟島研究員「ハナビちゃん、興味津々だったからね あとで教えてあげたいんだ」
長岡茉莉「ふふっ、わかりました!」

〇開けた高速道路
粟島研究員「ところでさ、 ずっと気になってたんだけど・・」
粟島研究員「キミ、隕石どこに隠してるの?」
長岡茉莉「・・・・・・・・・・・・・・・」
長岡茉莉「・・・・・・・・・・・・」
長岡茉莉「・・・サラシって意外と便利なんです」
長岡茉莉「窮屈だけど強めに巻けば スペースが空くので・・」
粟島研究員「オーケー、わかった これ以上は聞かない」
粟島研究員「どこぞの女スパイかよ 道理で見つからないワケだ」
粟島研究員「最初から、僕には盗めない 場所にあったんだな・・・」

〇海岸線の道路

〇大きい研究所

〇研究開発室
粟島研究員「時間が惜しい 早速はじめようか」
粟島研究員「茉莉さん、隕石を」
長岡茉莉「お願いします」
粟島研究員「少し生暖かっ・・」
粟島研究員「アホか、雑念は捨てろ!」
  やはり滑らか、そして軽い
  空洞ってことはないだろうが・・
  手始めに年代を測るか
粟島研究員「真空状態に切り替えて・・」
粟島研究員「よし、設置完了 しばらくはカメラ越しだ」
長岡茉莉「ホントに研究者だったんですね」
粟島研究員「おいおい、今まで何だと 思ってたんだい?」
長岡茉莉「改めて言いましょうか?」
粟島研究員「あー・・やっぱり遠慮しとく」
粟島研究員「おおかたストーカーか・・ ロリコンあたりだろうな」
長岡茉莉「そうだ、録画録画!」
長岡茉莉「粟島さんの勇姿をハナビに 教えなきゃでしたね」
長岡茉莉「では撮影しま──」
長岡茉莉「電話?こんな時間に?」
長岡茉莉「知らない番号だ、誰だろ?」
長岡茉莉「はい、長岡ですが・・」
長岡茉莉「あぁ、担当の方でしたか! ハナビが何か・・・」
長岡茉莉「──────え?」
粟島研究員「なんだ?彼女の様子が・・」
長岡茉莉「ウソ・・・・・そんなっ!!!?」
長岡茉莉「わか、わかりました! すぐに向かいます!!」
粟島研究員「おいおいおい・・・!?」

〇研究施設の廊下(曲がり角)
粟島研究員「茉莉さん、どうした!? 急に走って・・・」
長岡茉莉「ハナビが、ハナビの容態がっ!!」
長岡茉莉「帰らなきゃ! いま、いますぐに!!」
粟島研究員「今の電話、病院からか!」
粟島研究員「とりあえず落ち着きなさい! 走ってどうにかなる問題じゃない!」
長岡茉莉「でも、でもハナビが!」
粟島研究員「車・・・じゃ遅いな ちょっと待ってくれ」
粟島研究員「今からだと・・あった! 特急の最終便がギリ間に合う!」
粟島研究員「駅まで送ろう! 急いで!」
長岡茉莉「ハナビ、ハナビ、ハナビッ・・!」

〇駅前ロータリー(駅名無し)

〇改札口前
粟島研究員「東能大駅からはタクシーを使うんだ コレ、持ってきなさい!」
長岡茉莉「すみません、お借りします!」

〇新幹線の座席
  神様、どうか、どうかっ──!
  ハナビは、ハナビだけはっ!!

〇田舎の駅舎

〇おしゃれな大学

〇田舎の病院の病室
長岡茉莉「ハナビッ! はな・・・」
長岡花陽「むにゃ・・・」
長岡花陽「う〜ん? ねぇちゃぁ・・・?」
長岡茉莉「ハナビ・・・・・・? あれ、寝てたの?」
長岡花陽「うぅ〜ん、まぶしいよ〜」
長岡茉莉「あ、ゴメン」
長岡茉莉「・・・ハナビ?」
長岡花陽「なぁにぃ〜?」
長岡茉莉「元気?」
長岡花陽「うぅ〜ん・・」
長岡花陽「ちょうげんきぃ〜」
長岡茉莉「あ・・・」
長岡茉莉「あぁぁ〜〜〜!よかったぁ! なんだ、全然元気じゃん!」
長岡茉莉「よかったぁ! 本当によかった──」
長岡茉莉「あれ?」
長岡茉莉「じゃあ、さっきの電話は?」
看護師「長岡さん!」
長岡茉莉「は、はいっ!?」
看護師「困りますよ〜! こんな夜中に来て!」
看護師「とっくに消灯時間過ぎてますっ! みなさんお休みなんですよー!」
長岡茉莉「えっと、アナタは・・・」
看護師「おっとそうでした! 申し遅れましたね!」
看護師「ハナビちゃんの担当看護師でーす! よろしくお願いしまーす!」
長岡茉莉「担当の、看護師さん?」

〇田舎の病院の廊下
  ん?あれ?
  じゃあ昼間の人は?

〇田舎の病院の病室
長岡茉莉「あの、ハナビの容態が急変したって 別の担当の方から電話が・・・」
看護師「はいぃ?ハナビちゃんがですか!?」
看護師「今日は読書と・・ 病院を少し探検して・・」
看護師「後はグッスリネムネムでしたよー?」
看護師「あと担当は私1人でーす! そんな余裕はありませーん!」
長岡茉莉「え?じゃあ、あの人は・・?」
長岡花陽「ねえちゃ!」
長岡花陽「お星はたべれないよ! もっとかき混ぜて・・・」
長岡花陽「食べごろは宇宙・・・・・・ぐぅ」
長岡茉莉「・・・・・・・・・・・・」
長岡茉莉「ねごと、かな どんな夢みてるんだろ?」
長岡茉莉「なんでもいいや ハナビが無事でよかった」
長岡茉莉「すみません、今晩はもう ここで泊まっていいですか?」
看護師「う〜ん、ホントは事前に 言って欲しいんですがー」
看護師「特別ですよー? 簡易ベッド持ってきますねー!」
長岡茉莉「ありがとうございます!」

〇田舎の病院の病室
  とにかく今は、ハナビの側にいたかった
  心労で疲れ切ったせいか
  途端に眠気に襲われる

〇黒背景
  心地よいまどろみのなか
  いつもより体が軽いことに気づいた
  まるで胸のつかえが取れたような感覚
  ハナビが無事で安心したせいかな、
  と思ったけど・・・そうじゃない
  本当に胸元が軽かったのだ

〇宇宙空間
  その晩は
  いつも、常に、肌身離さず
  持ち歩いていた隕石を
  ──初めて手放した夜だった

〇おしゃれな大学

〇田舎の病院の病室
  「おかけになった電話は電波の届かない
   場所にあるか、電源が入って・・」
長岡茉莉「粟島さん、でないな」
  昨晩のイタズラ電話、
  手元にない隕石・・・
  イヤな予感がする
長岡茉莉「電話じゃ埒が明かないか ・・急いで戻らなきゃ!」
長岡花陽「どしたの〜?」
長岡茉莉「おはよ、ねえちゃまた出るね!」
長岡花陽「は〜い いってらっさぁ・・・」
長岡花陽「・・・ぐぅ」

〇走る列車

〇大きい研究所
長岡茉莉「ここ、だったよね? 夜と雰囲気違うなぁ・・」

〇研究施設の守衛室前
長岡茉莉「あの〜・・」
受付嬢「こんにちは、外部の方は サインをお願い致します」
受付嬢「長岡・・茉莉さま、ですね」
受付嬢「長岡さま、本日はどういった ご用件でしょうか?」
長岡茉莉「あの、こちらの粟島さんに 解析を頼んでまして・・」
受付嬢「粟島ですね、少々お待ちください」
受付嬢「──長岡さま」
受付嬢「申し訳ございません 粟島は不在にしております」
長岡茉莉「不在、ですか?」
受付嬢「はい、本日からですね ええと・・北米の・・・」
受付嬢「ありました、行き先は 北米のアゾナ大学ですね」
受付嬢「西海岸経由の早朝便です 今ごろは空の上かと!」
長岡茉莉「────は?」
長岡茉莉「えっと・・・・・・は?」
長岡茉莉「粟島さん、え?」
  まさか
長岡茉莉「あの、なにか忘れ物とか 伝言とかってないですか!?」
受付嬢「いえ、特に預かっておりませんが・・」
  まさか
長岡茉莉「じゃ、じゃあ! 帰りはっ!?」
長岡茉莉「粟島さん、研究所に いつ帰って来ますか!?」
受付嬢「粟島の戻りですね 少々お待ちください」
受付嬢「あら、結構長いですね〜」
受付嬢「年明けの2018年1月まで・・ 90日ほど滞在するそうです」
  まさか
長岡茉莉「隕石とか、残して・・」
受付嬢「あぁ、隕石ですね!」
受付嬢「その研究のため行かれるそうですよ!」
長岡茉莉「──────────────────────────────────────」
長岡茉莉「あぁ──」

〇大きい研究所
  あんのっ!!!!
  粟島ァアアアアアッ!!!!
  隕石をっ・・・!
  借りパクしやがったぁぁぁあ!!!!

次のエピソード:1-10. 人物相関図で振り返る総集編

コメント

  • イッキ読みしました。ああ、面白かったー。
    粟島さん誘拐された?
    再来週には間に合わないのかしら。
    どの作品も面白いんですが、オカリさんの頭の中ってどうなってるんですか?

  • 許すまじ粟島。しかし先が読めん!
    この続きはどこで読めますかというツイートが似合う引きですね。
    また次回を楽しみにしてます。

  • 粟島ー! オマエはそんなやつじゃないってしんじてるぞー!(棒)

コメントをもっと見る(8件)

成分キーワード

ページTOPへ