サンガクブ!

都麻(とま)

ゆら、決断する!(脚本)

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〇山中の坂道
石塚ゆら「ハア・・・ハア」
  インターハイ1日目
  午前11時
石塚ゆら「頭上注意です!」
副部長「はいはーい頭上注意~」
部長「頭上注意です」
長老「了解」
副部長「その調子、その調子。 SLも板についてきたね~」
石塚ゆら「ウス!」
副部長「・・・矢間先生のことでもっと動揺してるかと思ったよ」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「動揺っていうか、めちゃめちゃ腹立ってます」
石塚ゆら「やっぱりぶん殴っておけばよかったです」
石塚ゆら「サヤカのやつ・・・」

〇学校の廊下
石塚ゆら「『矢間先生があたしにセクハラしてるのを見た』なんて、最悪の嘘つきやがって・・・」

〇山中の坂道
部長「でも結局、そのサヤカって子の話は矛盾だらけで、校長も取り合わなかったのよね?」
石塚ゆら「はい・・・サヤカと一緒にいた子が『そんな場面は見てない』って否定してくれたみたいです・・・」
副部長「が、しかし」
副部長「クソマジメ教師である矢間せんせーは、 そんな噂を防げなかったことに責任を感じて」
副部長「インターハイへの同行を辞退したと」
副部長「いやなんでやねん!!」
部長「矢間先生らしいといえばらしいけど・・・」
長老「ゆらと距離をとることで、これ以上詮索の的になるのを避けたかったのかもしれないな」
長老「ゆらのためにそれが一番だと思ったんだろう」
石塚ゆら「それもそれでなんか腹立つんですよ・・・!! 勝手に決めて・・・」
長老「まあそうだな」
石塚ゆら「あーもう・・・ こうなったら・・・」
石塚ゆら「絶対に優勝して・・・ 驚かせて・・・」
石塚ゆら「それでそれで・・・」

〇山並み
「絶対絶対先生の笑顔を見てやるんだから──!!!!」

〇学校の部室
矢間「今頃、ひとつめのピーク(※山頂)あたりか・・・」
矢間「・・・あいつ、力入りすぎてないといいんだが」

〇山道
???「っくしゅ!!!!」
長老「・・・ズッ」
石塚ゆら「・・・」

〇山道
  ポツ・・・ポツ・・・
  ザアァァァ・・・
石塚ゆら「降ってきましたね・・・」
部長「雨具を出しましょう。泥除けも装着して」
石塚ゆら「ウス!! いったん止まりまーす!!」
副部長「あ~やばい、さっきの橋からの歩数忘れた・・・そろそろ読図チェックありそうなのに」
長老「350だ」
副部長「わーさすが長老先輩!!あざす!!」
長老「ゆら。ペースを少し落としてぬかるみで滑らないように気をつけていこうか」
石塚ゆら「あ、はい!!」
石塚ゆら「・・・」
長老「なんだ?」
石塚ゆら「長老先輩もインターハイは初めてなのに、落ち着いてるな~と思って」
長老「そんなことないさ」
長老「ずっとドキドキしてるよ。 あこがれだったからな、3年間」
石塚ゆら「そうなんですか!?」
長老「・・・ゆらのおかげで念願がかなった。感謝してる」
石塚ゆら「・・・えへへ」
石塚ゆら「ハッ!前方左手斜面に審査員を発見です!!」
長老「じゃあおしゃべりはやめて、 出発しようかサブリーダー」
石塚ゆら「了解です、チーフリーダー!!」

〇原っぱ
  インターハイ1日目
  午後4時
石塚ゆら(はあ~とりあえず設営も装備チェックもペーパーテストも終わった~)
石塚ゆら(これがあと2日続くのか・・・ キッツ・・・)
「ううっ・・・」
石塚ゆら(他校の子たちだ・・・泣いてる?)
「仕方ないよ・・・」
「これ以上は無理だって・・・」
「でも・・・せっかくここまで・・・」
石塚ゆら「・・・」

〇山並み
  インターハイ2日目
  午前9時
石塚ゆら「あっつ~~~!!」
部長「なかなかキツイわね、この暑さ・・・」
石塚ゆら「でもでも負けません!! 今日が正念場ですもんね!!」
副部長「だね。今日がいちばん縦走距離が長いし、高低差もキツイから」
部長「審査員も体力が尽きてきたあたりのポイントで待ち構えてるはずよ」
石塚ゆら「エグ・・・」
長老「ゆら。休憩あと1本で山頂まで一気に行けるようにしようか」
長老「そのほうが後半もゆとりができるだろう」
石塚ゆら「・・・」
長老「ん?」
石塚ゆら「あ、いえ!!」
石塚ゆら「了解しました!!」
  ザッザッザッ・・・

〇空
  午前11時
  山頂
石塚ゆら「着いた・・・」
石塚ゆら「着いた~~~!!」
副部長「お~さすがに高いな~」
部長「このあたりの山系では一番高いものね」
副部長「ということは・・・」
石塚ゆら「え!?電波通じるんすか!?」
副部長「あ~~でもちょっとだけだな~電波1本てかんじ」
副部長「まあいいや」
  トゥルルルル・・・
副部長「ちょっと彼氏に電話してくるわ~w」
石塚ゆら「えー!!いいなー!!青春ー!!」
石塚ゆら「・・・」
部長「矢間先生に電話してみたら?」
石塚ゆら「え!?」
石塚ゆら「いや~大会中に電話したら怒られそうだし・・・」
長老「内心では喜ぶと思うけどな」
石塚ゆら「・・・」
  カシャ
部長「あら・・・写真?」
石塚ゆら「はい」
  あたしは山頂から
  1通のLINEを送った
  宛先は・・・
  先生ではなくて
「『ここが、あたしが今いるところ』」
「『あたしが自分の足で来たところ』」
「『もうあたしは、あんたとは違う道にいる』」
「『じゃあね』」
石塚ゆら(ま、返信はないだろうけどさ)
石塚ゆら「あースッキリした!!」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「よし」

〇山並み
長老「・・・」
長老「嫌だ」
長老「風邪気味なだけで、風邪じゃない」
石塚ゆら「・・・今朝何度ありました?」
長老「もともと平熱が高いんだよ、私は」
石塚ゆら「いやいや・・・」
石塚ゆら「じゃあせめて、設営地についたら医務テントに行きましょう」
長老「嫌だ!!」
石塚ゆら「いやめちゃめちゃ抵抗しますね!?」
石塚ゆら「調子が悪いときは周りに言えって、教えてくれたのは長老先輩じゃないですか!!」
長老「・・・」
長老「ここで終わりになるぞ」
長老「せっかくここまで・・・ みんなで時間をかけて・・・」
長老「それを私のせいで潰すなんてできない」
長老「お前だって・・・あんなに優勝にこだわってたじゃないか」
長老「それなのに・・・」
石塚ゆら「あ、それは別に!!」
石塚ゆら「あたしまだ1年ですし!!」
石塚ゆら「あと2回チャンスあるんで!!」
長老「・・・いや私は最後なんだよ!!」
石塚ゆら「ですよね」
石塚ゆら「でもすみません」
石塚ゆら「あたしバカで自己中なんで、そのへんまで考えられません」
石塚ゆら「先輩には無理してほしくない、無事に一緒に下山するのがあたしの最優先なんです」
長老「・・・」
長老「一生恨むぞって言っても?」
石塚ゆら「・・・ハイ」
石塚ゆら「すみません」
長老「・・・ハア」
長老「わかった。設営地についたら医務テントに行って指示を仰ぐよ」
石塚ゆら「・・・ありがとうございます」
長老「・・・」
長老「まさかゆらが棄権をすすめてくるとはね」
石塚ゆら「アハハ」
石塚ゆら「最悪のサブリーダーですよね~」
長老「いや」
長老「・・・ゆらをサブリーダーに選んでよかったよ」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「泣いちゃうからやめてくださいよ~~~」
石塚ゆら「うえ~~~ん」
石塚ゆら「ウイルスのバカヤロー~~~~」

〇原っぱ
  インターハイ2日目
  ──南高校山岳部 棄権
  あたしたちは閉会式に参加したあと
  すぐに新幹線で帰路についた

〇新幹線の座席
  あたしたちの夏は終わった
  優勝はできなかったし
  先生もいない・・・
  思ってたような青春ではなかったけど・・・
  あたしはこの夏をけして忘れないだろう・・・・・・・・・
「いやいや」
「勝手に夏終わらせないで」
石塚ゆら「へ?」
副部長「へ?じゃないよ」
部長「インターハイが終わったら、夏合宿登山よ!!」
部長「例年、北アルプスの2000m級の山々を縦走することになってるの」
副部長「ちなみに3泊4日かけてね・・・」
石塚ゆら「・・・いやソレ」
石塚ゆら「インターハイより長いしキツイんじゃないですか!?」
長老「まあ正直そうだな・・・」
石塚ゆら「聞いてないし~~~!!」

〇空
  あたしたちの夏は、
  まだまだこれから!!
  らしい──

次のエピソード:ゆら、叫ぶ!

コメント

  • 普段は落ち着いている長老先輩も高校3年生ですもんね…
    悪いことを伝えるのは、いつだって難しいですね。

    コロナ禍の今、考えさせられる展開をありがとうございます。
    トザンブの再出発と最終回見守っていきたいです!

  • ゆらの成長具合に感動ですね。山岳部員としても、人間としても!いろんな逆風をまっすぐ乗り越えて、一皮むけた姿が愛おしいですね!

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