サンガクブ!

都麻(とま)

ゆら、叫ぶ!(脚本)

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〇田舎駅のホーム
  9月──
  天候:晴れ
  大倉登山口より入山

〇山道
  ザッザッザッ・・・

〇山中の川
石塚ゆら「ふう・・・」
  サァァァ・・・
石塚ゆら「なつかしいなあ、ここ」
石塚ゆら「前に来たときから、もう5ヶ月経つのかあ・・・」
石塚ゆら「あの頃はあたしも若かった・・・」
「今もそんな変わらんだろうが」
石塚ゆら「へ?」
矢間「・・・」
矢間「おう」
石塚ゆら「え!?せんせー!?!?」
石塚ゆら「な、なんでいるんですか!?」
矢間「・・・たまたまだ」
石塚ゆら「いやいやいやたまたまですかね!?」
石塚ゆら「この山でソロ登山デビューするって、あたし部室できのう言いましたよね!?」
矢間「・・・そうだったか?」
石塚ゆら「ええ~」
石塚ゆら「・・・まさか心配で着いてきたとか・・・」
矢間「たまたまだ」
矢間「じゃあ先に行く」
石塚ゆら「えー!!待ってー!!」

〇山中の坂道
  ザッザッザッ・・・
石塚ゆら(つかず離れずのペースで登ってくれてる)
石塚ゆら(一緒に登ってるかんじではないけど、 何かあったら助けられる距離だな~)
石塚ゆら(・・・先生らしいや)

〇山の展望台(鍵無し)
  七里山 山頂──
石塚ゆら「着いた~ッ」
石塚ゆら「コホン・・・では・・・」
石塚ゆら「ヤッホーーーーー!!!!」
矢間「・・・正気か・・・」
石塚ゆら「気持ちいいですよ!!先生もホラ!!」
矢間「俺はいい・・・」
石塚ゆら「へへ・・・」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「好きだーーーーー!!」
  だー・・・だー・・・だー・・・
矢間「──な・・・」
石塚ゆら「んー!!青春てかんじ!!」
石塚ゆら「・・・先生」
矢間「・・・」
矢間「・・・ストップ!!」
石塚ゆら「いやいや言わせてくださいよ!!」
矢間「だーめーだ!!!!」
矢間「・・・俺は・・・」
矢間「お前ともっといろんな山に登りたいんだよ」
矢間「秋山も楽しみだし、正月休みに日の出見に行くのもいいし、雪山もまた違う味わいがあるし・・・」
矢間「だからそれ以上は言うな」
矢間「その告白は・・・ここに置いてけ!!」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「え~!? なんかそれ・・・ズルくないですか!?」
矢間「ズルくない!!」
石塚ゆら「ズルいです~!!」
「・・・・・・」
石塚ゆら「わかりましたよ」
石塚ゆら「でもそうやって余裕ぶってるうちに」
石塚ゆら「あたしも加奈子さんも、他にいいひと見つけちゃうかもしれないんですからね!!」
矢間「なっ・・・」
矢間「なんでそこで加奈子の名前まで出てくるんだ!?」
石塚ゆら「なんででしょうね~」
矢間「はあ・・・」
矢間「ほんとにお前は・・・」
矢間「・・・」
石塚ゆら(──あ)
石塚ゆら「笑っ・・・」
矢間「え?」
石塚ゆら「あ~!!もう1回!! 待ってスマホ・・・写真・・・」
石塚ゆら「急に笑わないでくださいよ も~~~!!」
矢間「なんの話だ・・・!?」
矢間「本当にお前は・・・理解できん!!」
石塚ゆら「も~!!」
石塚ゆら「先生の・・・バカヤロー!!!!」
  ろー・・・ろー・・・ろー・・・

〇教室の外
  時は流れ──
  4月

〇学園内のベンチ
バスケ部員「中学でバスケ部だったの? じゃあウチでも大歓迎だよ!!」
吹奏楽部員「吹奏楽部のコンサートがこれから 体育館ではじまりまーす!! 見に来てねー!!」
「・・・」
石塚ゆら「・・・ねえ男子部部長」
黒木「なんだよ女子部部長」
石塚ゆら「なんかうちらの周りだけ・・・ 静かじゃない・・・?」
黒木「き・・・気のせいだろ!!」
黒木「あっそこのキミィー!! 登山って興味あ・・・」
黒木「ないか・・・うん・・・ ありがとね・・・」
「・・・」
黒木「俺の代で南高山岳部は終わる・・・」
石塚ゆら「待て待て待て」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「ここは・・・やるしかないか」
黒木「やるって何を・・・」
石塚ゆら「行くよ・・・肉屋に!!!!」

〇中庭
  ジュウウウウウウ
石塚ゆら「うわ美味しそう~!!」
石塚ゆら「フフ・・・これでお腹をすかせた新入生たちがわんさかと・・・」
新入生「なんか肉焼いてるぞ・・・」
新入生「え、コワ・・・何・・・?」
石塚ゆら「あ、あれ・・・?」
黒木「いやアレが普通の反応だろ」
石塚ゆら「え~!?」
石塚ゆら「そんなはずない!!」
石塚ゆら「いるはずだよ、きっと!!」
石塚ゆら「お腹をすかせてて・・・」
石塚ゆら「高校入って何かしたいけど、何をしたらいいかわからなくて・・・空回りしてて・・・」
石塚ゆら「でも自分をあきらめられない、 そんな子が・・・」
石塚ゆら「この肉の匂いにつられてくるはず・・・!!」
黒木「お前が特殊なんだよ・・・」
「あの・・・」
石塚ゆら「えっ」
新入生「ここって・・・部活・・・ですか?」
新入生「何部・・・バーベキュー部・・・?」
石塚ゆら「ふっふっふ・・・」
石塚ゆら「さ、来て来て!! 肉食べよ、肉!!」
石塚ゆら「鍋で炊いたご飯もあるよ~!!」
新入生「え!?いや、だから何部・・・!?」

〇空
「サンガクブ!」
「でーす!!」

コメント

  • 楽しくいっき読みさせていただきました!
    過去との決着もスッキリしていて、爽やかな読了感です(*´ω`*)
    山岳部にもインターハイがあったんだ……などと、僕も主人公と一緒に知らない世界と出会えたのも良かったです!

  • 全10話、お疲れ様でした!
    矢間先生の笑顔が一瞬だったので、2度読みしました笑

    第1話のゆらから成長を感じるラストで、綺麗な幕引きだと思いました。
    登山経験はほとんどないので、インターハイの様子など、とても勉強になりました。

    スピンオフ希望です!待ってます(^^)

  • 完結と受賞おめでとうございます!
    私も何度か登山の経験はあるのですが、本格的に天気を読んだりテントを張ったりしたことはないので、いつも「へぇ~!」と思って読んでいました! 登山って奥が深いんですね! 青春して成長したゆらちゃん、いい先輩になりそうです!

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