《エデン》

草加奈呼

エピソード29 それから。前編(脚本)

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〇ヨーロッパの街並み
  10年前────
幼き日のヴァル「あたい、大きくなったら紅蓮と一緒に 冒険したいな!」
幼き日の紅蓮「冒険!?」
幼き日のヴァル「うん! 夫婦で大海原を冒険!」
幼き日の紅蓮「夫婦!?」
幼き日の紅蓮「・・・てことは、ケッコン!?」
幼き日のヴァル「夫婦で海賊なんて、楽しそうじゃない!?」
幼き日の紅蓮「たしかに、楽しそうだな・・・」
幼き日のヴァル「じゃあ、決まりね! ユビキリしよう!」
「ゆーびきーりげーんまん」
「うそついたら はりせんぼん」
幼き日のヴァル「のーませて こーろす♪」
幼き日の紅蓮(約束やぶったらころされる!?)

〇兵舎
紅蓮「ヴァル!! すまない、俺は・・・!!」
ヴァル「えええっ、紅蓮!? いつの間に帰ってきたの!?」
紅蓮「10年前の約束を・・・!!」
ヴァル「あ、ああ! あれ!」
ヴァル「いいんだよ、子どもの頃の話だし、 水にながそうぜ!」
紅蓮「・・・・・・え?」
ヴァル「いや、実はあたい・・・」
マック「ヴァルー、これはどこに置けば・・・」
マック「あっ、お客さんでしたか!」
ヴァル「マック、ちょうどいいところに!」
ヴァル「紹介するよ。こちら紅蓮。 ほら、ワケアリの頭領で────」
マック「あなたが、頭領の紅蓮さんですか!」
マック「初めまして、新人クルーのマックです!」
紅蓮「お、おう。初めまして・・・」
マック「僭越ながら、ヴァルさんとお付き合い させていただいてます!」
紅蓮「お、おう・・・・・・・・・」
紅蓮「・・・・・・・・・・・・はぁっ!?」
マック「す、すみません! 新人の分際で・・・!」
紅蓮「いや、新人とかどうでもいいし!」
ヴァル「ま、まあ、そういうわけなんだわ!」
ヴァル「じゃ、じゃあ、あたいら仕事があるから。 紅蓮はゆっくりしていってな」
紅蓮「・・・・・・・・・・・・・・・」
紅蓮(告ってないのにフラれた気分・・・)

〇城壁
  数日後────
風華(紅蓮・・・まだかしら・・・?)
風華(もしかして、もうここへは来ない・・・ なんてことは・・・)
風華(クイクに帰らせたのは、間違いだった・・・?)
風華(紅蓮・・・あなたの声を、聴きたい・・・)
「風華ーーーーーーーー!!」
風華「紅蓮!?」
  紅蓮は、転移の羽で帰ってきた。
紅蓮「いてててて・・・」
風華「紅蓮!」
紅蓮「ただいま、風華!」
紅蓮「悪い、いろいろと引き継ぎしてたら、 遅くなっちまって・・・」
紅蓮「でもちゃんと、ヴァルにフラれてきたから・・・! ははは・・・」
紅蓮「風華?」
紅蓮「おわっ!?」
  風華は、紅蓮の胸に飛び込んだ
風華「良かった・・・! あなたまで いなくなってしまったら私・・・!」
紅蓮「俺は、勝手にいなくならない。 約束する」
風華「約束なんて・・・もういらない・・・」
紅蓮「えっ? じゃあ、どうすれば・・・」
風華「約束なんて、不確定なものはイヤ!」
風華「誓って! 今ここで!」
風華「一生、私をひとりにしないと!」
紅蓮(風華・・・!)
  2人は、しばしの間見つめ合い・・・
  そして抱きしめ合った
紅蓮「俺の気持ちは、最初から変わってない」
紅蓮「ずっと・・・ずっと、一緒だ!!」
風華「紅蓮・・・」
風華「ありがとう・・・」
風華「ずっとずっと、支えてくれて・・・ ありがとう・・・」
  そして、互いの唇が触れようとした時・・・
  ガタッ!!
「あーっ! このおバカ! バレちゃったじゃないのよ!」
「お、おまえが押すからだろー!?」
風華「み、みんな・・・」
風華「見てたのーーーー!?」
影利「ご、ごめん、風華・・・」
影利「そっと 見守ろうって言ってたんだけど・・・」
吹雪「いや、まあ、良かったな!」
氷河「ほんとほんと」
雷火「ごめんよー」
地季「ほんと、なんか・・・」
色時「邪魔・・・しちゃったね・・・」
風華「雷火に地季、色時まで・・・!」
紅蓮「お、おまえらなぁ・・・!!」
「ごめんなさーーい!!」

〇城壁
紅蓮「はぁ・・・」
紅蓮「なんか、締まらなかったな・・・」
紅蓮「本当に、俺なんかが・・・ 夢なんじゃないか・・・?」
「紅蓮」
紅蓮「氷河か・・・」
氷河「悪かったな、風華じゃなくて」
紅蓮「いや、そんなことないぞ?」
氷河「冗談だよ。ほら・・・」
氷河「ちょっと飲もうぜ」
紅蓮「そういえば、おまえと飲んだことって なかったな・・・」
氷河「5年ぶりだしな」
紅蓮「じゃ、ちょっとだけ飲むか・・・!」
「カンパイ!」
氷河「しかし、おまえわかってるのか?」
紅蓮「何を?」
氷河「風華と結婚するということは、おまえが この国の王になるということだぞ」
紅蓮「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
紅蓮「いやいやいやいや! おまえこそ何言ってんだ!?」
紅蓮「この国の王はおまえだろ!?」
氷河「俺は王位を継ぐつもりはない」
氷河「8年も国を空けてたんだ。 俺は皆の上に立つ資格はないし・・・」
氷河「風華の方が人望もある」
氷河「俺は、おまえになら安心してこの国と 風華を任せられるよ」
紅蓮「氷河・・・」
氷河「安心してくれ。俺は、この国の王子として お前たちを支えていく」
氷河「最初は大臣の下で勉強して、最終的には 宰相を目指すつもりだ」
紅蓮「そうか・・・」
紅蓮「氷河が宰相なら、心強いな!」
氷河「ははははっ、まだ気が早いって!」
氷河「・・・紅蓮」
紅蓮「うん・・・?」
氷河「風華を・・・頼んだぞ・・・」
紅蓮「・・・・・・・・・・・・」
紅蓮「あいつ、ガラにもなく兄貴らしいこと 言いやがって・・・・・・」
紅蓮「まかせろよ・・・・・・」
  数ヶ月後、紅蓮は風華と結婚し、
  モステアの国王となる。

〇謁見の間
  最初は反発する者も多かったが──
  紅蓮の持ち前の明るさと根性で、
  すぐに家臣や国民たちの心を掴んで、
  良き王となる。
  風華は、氷河と共に王となった紅蓮を
  支え、良き王妃となり────
  モステア王国はこの先何代も続く
  大国となった────

〇古書店
  氷河は、紅蓮に宣言した通り、
  大臣の下で勉強しているが────
グリス大臣「氷河様、今日はこれだけお読みください」
氷河「無茶言うな。 1日では無理だ・・・!」
グリス大臣「先日、 速読法をお教えしたではないですか」
氷河「あれは、グリス大臣だからできる技だ。 今の俺には無理だよ」
グリス大臣「ファイトです、氷河様・・・!」
氷河(国王になってた方が ラクだったんじゃないか!?)
  グリス大臣は、
  思いの外スパルタだった・・・・・・

〇西洋風の受付
  地季はハンスに戻り、今まで通り
  薬師として生活している────
地季「やあ、レイシア。 今日の分、持ってきたよ」
レイシア「ありがとう。あ、今そこちょっと 散らかってるから・・・」
レイシア「そのままもらうね」
  箱を受け取った時、お互いの手が触れて────
「・・・あっ」
地季「うわっ・・・と!!」
  箱を落としそうになり、既のところで
  キャッチした。
レイシア「ご、ごめん・・・」
地季「いや、こっちこそ・・・」
  2人は、まだまだ恋人未満であった・・・

〇森の中
「うおおおおりゃああああああ!!」
師匠「うおおおおおっ!?」
  雷火はホンカルトに戻り、師匠と剣術の
  修行に励む毎日を送っていた。
師匠(旅に出て、 一段と強くなったな、雷火!!)
雷火「俺は!! 世界一の剣士になぁるっ!!」
師匠「ぬおっ!!」
師匠(俺の立場が危うい!!)
  雷火が師匠を超え、剣術師範となるのは、
  この数年後となる────

〇占いの館
  影利は、ヒュートリーに戻り、再び
  占い師をしているが・・・
  時折遊びに来る吹雪と、影利の父のソリが
  合わず、気苦労している────
影利の父「おまえに娘はやらん!!」
吹雪「だから・・・まだそこまでの仲じゃ ねぇって・・・」
影利の父「『まだ』!? そのうちそこまでの仲に なると言うことか!?」
吹雪「だーかーらー・・・」
影利「おまえら、仕事の邪魔だから帰れ!!」
影利の父「しゅん・・・」

〇荒地
  色時は、相変わらず遺跡を求めて世界中を
  飛び廻っている。
色時「いやぁ、それにしても、ジェルバーンに いい技を教えてもらったなぁ」
色時「まさか、自分自身に時を遅くする技を かけて老化を防ぐなんて、思いつきも しなかった!」
色時「これで、 ずっとずっと世界中を旅できるぞ〜!」
  色時は、しばらくはひとり気ままに旅を
  続けるようだ────

〇武術の訓練場
  吹雪はシルヴィと共にガイアへ戻り、
  元の生活に戻ると思いきや────
  ガイア竜盗団から「竜兵団」と名を改め、
  盗みをしない自警団として活動を始めた。
  さらに、モステアと提携して物資の輸送を
  行なったりもした。
竜盗団頭領「うおおおおお、 思ってたより忙しいじゃねぇか!」
吹雪「まあ、アクイアナからまだ仲間が 解放されてねぇしな・・・」
竜盗団頭領「仲間はいつ戻るんだ!?」
吹雪「今、モステア国王が取り計らってるらしいから、しばらくはかかるな・・・」
竜盗団頭領「うおおおおお、無理だーーーー!!」

〇屋敷の書斎
  風華は、カートの部屋に来ていた。
  ここだけは、他人に任せたくないと、
  朝からずっと遺品整理をしていた。
風華(本がたくさん・・・)
風華(整理しても整理しても、キリがないわ・・・)
風華「・・・あっ!」
風華「倒しちゃった、えーと、これは・・・」
風華「これは・・・」
  魔術についての研究
風華(そうだ・・・カートは魔術について 研究していた・・・)
風華(そして、呑まれた・・・?)
風華(でも、 カートはなぜ、魔術の研究を・・・?)
  風華は、カートがまとめた資料に目を
  通していく。
風華「これ・・・は・・・!」
  カートが遺した、魔術の研究資料────
  そこには、風華が知らなかったカートの
  想いが記されていた────

次のエピソード:エピソード30【最終回】それから。後編

コメント

  • ヴァル、思ってたのとは違ったけど報われてくれてよかった(^▽^ そして紅蓮、ドンマイ☆こちらも結果的には良かったしね!
    その後エピソードは大作RPGっぽくていいですね♪

  • カートがわからないまま引っ掛かってて、紅蓮とラブラブされてもついていけないよー!😂となっていたので、ようやく言及されそうでほっとしています。
    しかしあのタイミングで全員覗き見スタンバイできるって、影利の占いで紅蓮の帰還を予知していたとかですかね?w

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