罪  恋―TSUMIKOI―

望月麻衣

エピソード12 手筈(脚本)

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望月麻衣

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〇空
  恋をして気付く、ひとつのこと。
  自分が生きた、生身の人間であることを実感する。
  強い鼓動も、ドクドクとながれる血流も。
  衝動に突き動かされる感覚も。
  愚かなほどに、笑えるほど、コントロールできない自分自身に愛しさを感じる。

〇空
  涼太を訪ねて来た梓の下着を無理やり奪ってみたり。
  興奮した涼太に抱かれ、乱れる梓を想いながら他の女を抱いてみたり。
  歪み壊れながらも、果てなく純粋に、
  君に恋してたよ。

〇ダブルベッドの部屋
  梓との関わりで、変化もあった。
久弥「やっぱり、涼太を抱くのはやめよう。無理そうだし」
  そんな陳腐な復讐はやめよう。
  涼太を穢したりしたら、佐竹だけじゃなく梓が傷付く。
  それに思えば佐竹が何より愛してるのは、妻や子じゃなく会社だ。
  それを奪ってやろう。
「なんの話だ?」
  俺の足を熱心に舐めながら、不機嫌そうに上目遣いを見せる、いつもの男。

〇ダブルベッドの部屋
久弥「うん?こっちの話。 ね、俺のこと好き? それとも俺はただの男娼の一人?」
  まっすぐに見つめて尋ねると、彼は心底驚いたように目を開いた。
「驚いたな、君がそんなことを聞くなんて。 君の方こそ、俺はただの客の一人だろう?」
  頬を紅潮させ、嬉しさを隠しきれない様子でそう言う。
  まったくこの人はなんていい駒なんだろう。
久弥「そう思ってたよ。 いや、そう思わないとやりきれないから。俺は所詮、男娼だからさ」
  切なげにそう告げて、遠くを見てみせる。
「久弥?」
久弥「俺を地獄に突き落とした佐竹が憎い」
  囁いてから、掌で目を覆って見せる。
  残念ながら、役者じゃないから涙までは流せないけど。

〇ダブルベッドの部屋
  それでも彼は堪えきれないように、
  強く抱き締めてきた。
「・・・久弥っ!!」

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